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コレステロールとは?

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【コレステロール】



(10R,​13R)-​10,​13-​dimethyl-​17-​(6-​methylheptan-​2-​yl)-​2,​3,​4,​7,​8,​9,​11,​12,​14,​15,​16,​17-​dodecahydro-​1H-​cyclopenta​[a]phenanthren-​3-​ol


別称
(3β)-コレスタ-5-エン-3-オール
コレスタ-5-エン-3β-オール

【識別情報】

CAS登録番号 | 57-88-5
PubChem | 5997
日化辞番号 | J2.804E
KEGG | C00187
D00040 (医薬品)
RTECS番号 | FZ8400000
  • CC(C)CCCC(C)C1CCC2C1 (CCC3C2CC=C4C3(CCC(C4)O)C)C

【特性】

分子式 | C27H46O
モル質量 | 386.65 g/mol
外観 | 白色または微黄色固体
密度 | 1.052 g/cm3
融点 | 

148–150 ℃


沸点 | 

360 ℃(分解)


への溶解度 | 0.095 mg/L (30 ℃)
溶解度 | アセトンベンゼン
クロロホルムエタノール
ジエチルエーテルヘキサン
ミリスチン酸イソプロピル
メタノールに溶解
比旋光度 [α]D | -31.5º (c = 2, Et2O, 20 ℃)
【出典】

NIST
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

コレステロール (cholesterol) とは、ステロイドに分類され、その中でもステロールと呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種である。1784年胆石からコレステロールが初めて単離された。室温で単離された場合は白色ないしは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからラノステロールを経て生合成される。

コレステロール分子自体は、動物細胞にとっては生体膜の構成物質であったり、さまざまな生命現象に関わる重要な化合物である。よって生体において、広く分布しており、主要な生体分子といえる。また、化粧品・医薬品・液晶の原材料など工業原料としても利用される。

食物由来のコレステロールのほとんどは動物性食品に由来する。卵黄に多量に含まれる。そのため卵の摂取量はしばしば研究の対象となる。植物のフィトステロール血漿中のコレステロール量を下げるとされる。

いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物は、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示し、コレステロール分子自体を指すものではない。善玉と悪玉の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これにより血管内での振る舞いが変わることに由来する。これらのコレステロールを原料とする複合体分子が血液の状態を計る血液検査の指標となっている。

目次

  • 1 名称
  • 2 動植物への分布
  • 3 資源
    • 3.1 精製
    • 3.2 食物由来コレステロール
  • 4 化学
    • 4.1 物性
    • 4.2 定性試験
    • 4.3 コレステリック液晶
  • 5 生化学
    • 5.1 悪玉コレステロールと善玉コレステロール
    • 5.2 構造と生合成
    • 5.3 生体膜とコレステロール
  • 6 生理学
    • 6.1 機能
    • 6.2 生合成と吸収
    • 6.3 体内輸送
    • 6.4 分泌・代謝
    • 6.5 調節
    • 6.6 昆虫におけるコレステロール代謝
    • 6.7 植物におけるコレステロール
  • 7 健康とコレステロール
    • 7.1 コレステロール値の増減に関わる因子
    • 7.2 脂質異常症
    • 7.3 動脈硬化症とコレステロール
    • 7.4 冠動脈疾患 (CHD) とコレステロール
    • 7.5 がんとコレステロール
    • 7.6 低コレステロール血症と副腎、生殖腺
    • 7.7 寿命とコレステロール
    • 7.8 コレステロール低値で死亡率が上昇
    • 7.9 コレステロール等についての血液検査の参考基準値
  • 8 食事中コレステロールと健康
    • 8.1 食事中コレステロールの摂取目標量
    • 8.2 食事中コレステロールと疾患リスク
  • 9 日本でのコレステロール値の決定プロセス
  • 10 年表
  • 11 脚注
    • 11.1 注釈
    • 11.2 出典
  • 12 関連文献
  • 13 関連項目
  • 14 外部リンク

名称

名称は1784年に研究者が胆石からコレステロールの固体を初めて同定した際、ギリシア語chole-(胆汁)と stereos(固体)からコレステリン (cholesterin) と命名されていたが、その後化学構造がアルコール体であるため、化学命名接尾辞 "-ol" が付けられて現在の名称となっている。

動植物への分布

ヒトのあらゆる組織細胞膜に見出される脂質である。ヒトを始めとした哺乳類においては、コレステロールの大部分は食事に由来するのではなく、体内で合成され、血漿に含まれるリポタンパク質と呼ばれる粒子を媒体として輸送される。コレステロールはそれを生産する臓器や細胞膜や小胞体のような膜組織が密集している細胞で構成される臓器、たとえば肝臓脊髄に高濃度に分布している。成人の体内コレステロール量である100-150 gのうち約1/4が脳に集中し、約1/3が脳を含めた神経系に集中している。

動脈硬化叢に形成されるアテローム(血管の内側に詰まるカスのようなもの)にも高濃度で存在する。また、コレステロールが胆汁中で結晶化すると胆石の原因となる。植物の細胞膜においてはわずかな量のコレステロールが認められるに過ぎず、他の種類のステロイド(フィトステロールもしくは植物ステロールと呼ばれる)が同様の役目を担う。

【ヒト組織】
【コレステロールの重量比】

胆石(コレステロール結石)
胆石(コレステロール結石) | 98%–99%
上皮脂肪 | 13%–24%
毛髪 | 1%–5%
脳 | 2.7%
神経 | 1.5%
血液 | 0.015%–0.025%

資源

コレステロールは工業製品原料として化粧品医薬品液晶などに利用される。これらは全て天然物から精製し原料に供される。コレステロールを多く含む高等動物の組織、あるいはイカ内臓からも抽出され、工業原料として利用される。

精製

コレステロールを多く含む天然物から抽出すると、ヒドロキシ基(OH基)の部分に脂肪酸が結合したエステル体であるアシルコレステロール、さらに他のステロイド(コレスタノール7-デヒドロコレステロール)のアシル体などが含まれる粗精製物が得られる。この混合物から純粋なコレステロールを取り出すには、脂肪酸を鹸化して取り除いたあと、鹸化されない分画を抽出し、アセトンあるいはアルコールを用いて再結晶する。二重結合を持たないコレスタノールや7-デヒドロコレステロールなどを取り除くために、臭素付加してコレステロールの二臭素体とすることがある。二臭素体は難溶性を示すので再結晶などで容易に精製することが可能であり、そのあと二臭化物を脱臭素化してコレステロールに戻すことにより、純粋なコレステロールを得る。

食物由来コレステロール

卵黄には多量のコレステロールが含まれる

食物由来コレステロールのほとんどは動物性食品に由来する。たとえば、卵黄(約1400 mg/100 g)、するめ(乾物; 約980 mg/100 g)、エビ類(約 170 mg/100 g)。植物性食品(亜麻仁種子やピーナッツ)では、コレステロール類似化合物のフィトステロールが含まれ、血漿中のコレステロール量を下げるとされている。

食品中に含まれるコレステロールおよび各種脂肪酸の量
(食品 100 g あたり)
【食品名】
エネルギー
(kcal) コレステロール
(mg) 飽和
脂肪酸 (g) 一価
不飽和
脂肪酸 (g) 多価
不飽和
脂肪酸 (g)
卵黄 | 387 | 1400 | 9.22 | 11.99 | 5.39
するめ(乾物) | 334 | 980 | 0.6 | 0.12 | 0.89
たたみいわし | 372 | 710 | 1.53 | 1.41 | 1.35
ピータン | 214 | 680 | 3.06 | 8.19 | 1.64
あんこうきも | 445 | 560 | 8.3 | 18.44 | 8.38
すじこ | 282 | 510 | 2.7 | 4.02 | 6.18
うずら卵 | 182 | 490 | 4.24 | 5.36 | 1.79
鶏全卵 | 151 | 420 | 2.64 | 3.72 | 1.44
豚レバー | 128 | 250 | 0.78 | 0.24 | 0.75
バター | 745 | 210 | 51.44 | 20.9 | 2.43
えび | 83 | 170 | 0.06 | 0.04 | 0.08
マヨネーズ 卵黄型 | 670 | 150 | 6.85 | 36.5 | 22.99
鶏肉(皮を含む) | 200 | 98 | 3.9 | 5.83 | 1.97
豚肉 | 225 | 71 | 5.06 | 6.42 | 1.41
牛肉 | 182 | 67 | 3.34 | 3.87 | 0.41

化学

瓶に入ったコレステロール

物性

単離された純粋なコレステロールは白色ないしは微黄色の固体で味は無い。クロロホルムジエチルエーテルに溶けやすく、1,4-ジオキサンにやや溶けやすく、エタノール (99.5%)、石油エーテル、冷アセトンにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。含水エタノールからは一水和物が板状晶として析出する。比旋光度[α]D20{\displaystyle \left[\alpha \right]_{D}^{20}} = -31.5°(c = 2、エーテル、20 ℃)。遮光された気密容器中に保存する。

定性試験

分析化学において、コレステロールを同定する定性反応が幾つか知られている。これらのうちいくつかはコレステロールと同じ部分構造のステロイドに対しても反応する。日本薬局方ではサルコフスキー反応とリーバーマン‐ブルヒアルト反応とでコレステロールを同定するよう指示している。

サルコフスキー反応 (Salkowski reaction)
クロロホルム溶液 (0.01 g/1 mL) に濃硫酸 (1 mL) を加えて室温で振り混ぜると、クロロホルム層は赤色を呈し、硫酸層は緑色の蛍光を発する。
リーバーマン・ブルヒアルト反応 (Liebermann-Burchard reaction)
クロロホルム溶液 (5 mg/2 mL) に無水酢酸 (1 mL)、硫酸1滴を室温で振り混ぜると、クロロホルム層は赤色を呈し、黄色を経て緑色に変わる。
チュガーエフ反応 (Chugaev reaction)
氷酢酸溶液に塩化亜鉛塩化アセチルを加えて煮沸する。液は紅色を呈し紫色に変じる。
トーテリィ・ヤッフェ反応 (Tortelli-Jaffe reaction)
酢酸溶液に臭素のクロロホルム溶液を重層すると8位に二重結合を持つステロールは境界面に緑色のリングを形成する。
ジギトニン沈殿反応
ジギトニン (Digitonin) のアルコール溶液を加えると、3-β-ヒドロキシステロールは沈殿を生じる。

コレステリック液晶

コレステロール脂質を含むいくつかのコレステロール誘導体はある種の液晶として知られており、この分子はコレステリック液晶と呼ばれる配向状態をとる。コレステリック液晶はネマティック液晶の一種であり、ネマティック液晶のダイレクタ(分子集合体の向き)が空間的に歳差運動のようにねじれながら回転していき、らせん状に配向する性質を持つ。これはコレステリック液晶分子がキラリティを有することに起因している(下図参照)。コレステリック液晶はキラルネマティック相とも呼ばれる。コレステリック相のらせんピッチは可視光線の波長と同程度であることが多く、このとき選択反射という現象が観察されて色が見える。刺身から緑色の反射光が見えることがあるのはこのためである。らせんピッチは微小な温度変化に応答するため、温度によって色彩が変化する。それゆえ、コレステロール誘導体は液晶温度計や温度応答性インキとして利用される。カナブン玉虫のようなメタリックな色彩を示す甲虫の一部の構造色はこれによると考えられている。

コレステリック液晶は表示の書き換え時にのみ電圧印加が必要となるだけで、透過状態でも反射状態でも電気を消費しない。低い電圧で横向きらせん姿勢をとるため透過状態となり、通常は背面の黒を表示する。より高い電圧を加えれば縦向きらせん姿勢をとるため反射状態となる。

コレステリック液晶は色彩を反射するのでバックライトが不要であるという長所の一方、単色では1層の表示構造で済むが、擬似フルカラーでは少なくともRGBのような3層分を積層する必要があり、透過時の光損失によって表示が暗くなるという短所がある。2005年には日本の家電メーカーがコレステリック液晶の試作品を製作した。

  • コレステリック晶の顕微鏡像

  • コレステリック(晶)状態の分子配列

生化学

コレステロールは生体内の代謝過程において主要な役割を果たしている。まず多くの動物でステロイド合成の出発物質となっている。また動物細胞においては、脂質二重層構造を持つ生体膜(細胞膜)の重要な構成物質である。人間では肝臓および皮膚で生合成される。肝臓で合成されたコレステロールは脂肪酸エステル体に変換され血液中のリポタンパク質により全身に輸送される。

悪玉コレステロールと善玉コレステロール

コレステロールが生命維持に必須な役割を果たす物質であるという事実は、科学者以外にはあまり知られていない。むしろ、一般社会には健康を蝕む物質として認知されていることが多い。すなわち、様々なリポタンパク質コレステロール複合体の血液中でのあり方が、脂質異常症など循環器疾患の一因になるとの認識が強い。たとえば、医者が患者に対してコレステロールの健康上の懸念がある場合には、悪玉コレステロール(LDLコレステロール:low density lipoprotein cholesterol、いわゆるbad cholesterol)の危険性を訴える。一方、悪玉コレステロールの対極には善玉コレステロール(HDLコレステロール:high density lipoprotein cholesterol、いわゆるgood cholesterol)が存在する。この両者の違いはコレステロールを体内輸送する際における、コレステロールと複合体を作るリポタンパク質の種類によるものであり、コレステロール分子自体の違いではない。 詳細は、体内輸送およびリポタンパク質変性LDLの項を参照のこと。

構造と生合成

HMG-CoAリダクターゼ経路(メバロン酸経路)。画像クリックで拡大と解説
ステロイド骨格形成反応。画像クリックで拡大と解説

コレステロールの存在自体は知られていたが、20世紀に入るまでその構造は長い間不明であった。1927年にコレステロールのステロイド骨格が4つの環構造6, 6, 6, 5員環が繋がっているものであると決定したのはオットー・ディールスである。彼はセレンを使った脱水素反応を利用した炭化水素の構造に関する系統的な研究を行っている。すなわち構造が未知の炭化水素を脱水素して二重結合を生成したり骨格を切断したりして既知の炭化水素に導き、元の炭化水素の構造を推定していくのである。ステロイド骨格もその一環でディールスの炭化水素と呼ばれる化学式 C16H18 の炭化水素から現在の立体配置を除くステロイド骨格の構造を決定した。この方法では構造変換の過程で立体構造に関する手掛かりが失われるため、コレステロールの立体構造は解明されないままであった。

1930年代はステロイドホルモンの単離と構造決定が相次いで研究された。この段階ではディールスの研究では立体構造が不明なため、これらのステロイドホルモンの構造はコレステロールを化学的に構造変換してステロイドホルモンへ変換しそれによって立体構造を決定している。

立体構造を最終的に決定したのはE・J・コーリーである。彼の天然物合成の研究方法に基づき、ほとんど立体構造が分からない状態から天然物の生成経路ならびに中間体立体配座反応機構からステロイド骨格の生成反応が立体特異的に進行することを見出した。

コーリーの見つけ出したステロイド骨格(ラノステロール)の構築反応は、生体内で生じる生化学反応のなかでも非常にエレガントなものの一つである。メバロン酸経路やゲラニルリン酸経路を経て生合成されるスクアレンの2,3-位が酵素的にエポキシ化されると、逐次閉環反応が進行するのではなく、一気にラノステロールが生成する。酵素によりエポキシ酸素がプロトネーションされるのをきっかけに、4つの二重結合のπ電子ドミノ倒しのように倒れこんでσ結合となりステロイドのA, B, C, D環が一度に形成される。それだけでなく、ステロイドの20位炭素上に発生したカルボカチオンを埋めるように、2つの水素(ヒドリド)とメチル基がそれぞれステロイド環平面を横切ることなく1つずつ隣りの炭素に転位することで、熱力学的安定配座となりラノステロールが生成する。

他の生物種では同じスクアレンエポキシダーゼによりスクアレン 2,3-エポキシドからテルペノイドであるβ-アミリンを生成する生合成経路も知られているので、このステロイド構築反応はスクアレンエポキシダーゼ固有の反応というわけではない。

ラノステロールからさらに先はリダクターゼとP450酵素によるメチル基の酸化が繰り返されて適用される。その結果、3つのメチル基が二酸化炭素として切断される酸化的脱メチル化によって(ラノステロールから17段階で)コレステロールが生成する。

生体膜とコレステロール

生体膜模式図
リン脂質の二重膜構造(橙のリン酸部分+水色の脂肪鎖)にタンパク質(緑褐色 (4))やコレステロール(黄色 (7))が埋め込まれている
クリックで拡大

リン脂質から人工的に製造した脂質2分子膜電気容量屈折率との界面張力が実際の生体膜とよく類似するが、生体膜と異なり相転移温度Tcを持つ。すなわちTc以上では流動性を示すが、Tc以下では硬くなり流動性を失う。

これに30–50 mol%のコレステロールを加えると流動性はさらに増し、しかもTcが消滅することが知られている。脂質2分子膜上では次のように埋め込まれる。すなわち、親水性を示すコレステロールのヒドロキシ基は外向きに配置されリン脂質の燐酸基部分と水素結合する。そして嵩高いステロイド骨格と炭化水素側鎖は内側のリン脂質の脂肪酸鎖の間に埋め込まれる。

ステロール類の構造式

コレステロールは高等動物細胞膜の必須成分であるが、植物細胞の細胞膜には別のステロールであるフィトステロール類(シトステロールスチグマステロールフコステロールスピナステロールブラシカステロールなど)も含まれ、真菌では別のステロールであるエルゴステロールも含まれる。一方細菌の細胞膜にはコレステロールは含まれない。

生理学

コレステロールは生体の細胞膜の必須成分であり、また動脈硬化症の危険因子として、ヒトにおけるコレステロールの生理学は注目を集めている。

まず、コレステロールが含有することでリン脂質より構成される脂質二重膜は、生体膜特有のしなやかさを発現する。そして、コレステロールから代謝産生されるステロイドホルモン類は、細胞核内の受容体タンパク質と結合して転写因子となり遺伝子の発現を制御する。

複雑な体制を持つ多細胞動物の体内では、コレステロールは胆汁酸リポタンパク質など輸送分子と共に複合体を形成して移送される。そして、どの輸送分子と組み合わされているかによって、どの組織からどの組織へ移送されるのかが制御されている。

コレステロールに関する研究ではコンラート・ブロッホフェオドル・リュネンがコレステロールと脂肪酸代謝の調節機序を解明した功績で1964年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。

機能

コレステロールは細胞膜の構築や維持に必要で、広範囲の温度帯で膜の流動性(粘性度)を安定にする働きがある。いくつかの研究によるとコレステロールは抗酸化剤としての作用を持っている。

人の代表的な胆汁酸、コール酸の構造式

コレステロールは(脂肪消化を助ける)胆汁酸の産生も助けている。胆汁酸は、肝臓にてチトクロムP450の作用でコレステロールを酸化することにより産生される。胆汁酸は、タウリンアミノ酸であるグリシンと結び付いて、あるいは硫酸塩、グルクロン酸と抱合して、脱水により塩にまで濃縮されて胆嚢に蓄えられる。人においては、コレステロール7-α-水酸化酵素により、ステロイド環の7の位置にヒドロキシ基(水酸基)が付加され 7α-ヒドロキシコレステロールが合成される反応が律速反応となっている。胆汁酸の生合成は、コレステロールの代謝によるものが一般的である。人体では1日あたり 800 mg のコレステロールを産生し、その半分は胆汁酸の新たな生成に使用されている。毎日、合計で20-30 gの胆汁酸が腸内に分泌されている。分泌される胆汁酸の90%は回腸能動輸送され再吸収され再利用され、腸管から肝臓や胆嚢に抱合胆汁酸が移動することを、腸肝循環と呼んでいる。

ビタミンD3の構造式。コレステロールの脱水素化と紫外線による開環により生成する

ビタミンADEおよびKなど脂溶性ビタミンの代謝にも重要な役割を果たしている。ビタミンDは、コレステロールが7-デヒドロコレステロールに変化し、これに紫外線が当たることによって生成される。

そしてコレステロールはビタミン以外にも色々なステロイドホルモン(コルチゾールアルドステロンなど副腎皮質ホルモンプロゲステロンエストロゲンテストステロンや誘導体など性ホルモン)の合成の主要な前駆体である。

最近、コレステロールが細胞シグナル伝達に関与していることが発見された。それによると、原形質膜で脂質輸送の役割を果たし、原形質膜の水素イオンやナトリウムイオンの透過性を下げる働きがあることが示唆されている。

脳、神経系にコレステロール全量の1/3も多く含まれているのは、神経細胞から伸びた神経伝達を司っている軸索を覆っているミエリン鞘にコレステロールが大量に含まれているためである。コレステロールは、ミエリン鞘の絶縁性を保持する役割を果たしている。絶縁されたミエリン鞘の切れ目であるランヴィエの絞輪ごとでの跳躍伝導により高速の神経信号伝達に寄与している。実際、哺乳類である豚や牛などでは脳総重量の2-3%がコレステロールで占められている。

脳の灰白質は、中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位のことである。これに対し、神経細胞体がなく、神経線維ばかりの部位を白質と呼ぶ。白質は明るく光るような白色をしているのに対し、灰白質は、白質よりも色が濃く、灰色がかって見えることによる。これは、有髄神経線維のミエリン鞘の主成分として大量に存在しているコレステロールやミエリンが白い色をしているためで、白質には、灰白質に比べて、有髄神経線維が多いからと考えられている。

カベオラ依存エンドサイトーシスクラスリン依存エンドサイトーシスにおいて、カベオラやクラスリン被覆ピットを構成したり陥入する作用にコレステロールは必須である。これらのエンドサイトーシスにおけるコレステロールの役割は、コレステロール欠損原形質膜とメチルベータシクロデキストリン (MβCD) とを使って研究されている。

生合成と吸収

コレステロールは哺乳類細胞膜において正常な細胞機能を発現するために必要であり、コレステロールはいくつかの細胞や組織でアセチルCoAを出発原料として細胞内の小胞体で合成されるか、食事から取り込まれ、コレステロールのアシルエステルはLDLにより血流を介して輸送される。そして、受容体関与エンドサイトーシスによりクラスリン被覆ピットから細胞内に取り込まれ、リソゾーム加水分解される。

まず、コレステロールの供給については胆汁酸と複合体を形成して腸管より吸収される外因性コレステロールと、主に肝臓において、アセチルCoAからメバロン酸スクアレンを経由して生合成される内因性コレステロールとに大別される。その生合成量は外因性コレステロール量の変動を吸収するように調節されている。

外因性コレステロールは1, 200–1, 300 mgが吸収されるが、食事由来のものは200–300 mgほどであり、他は肝臓から胆汁に分泌されたものの再吸収である。したがって、体内で循環しているコレステロールの50%ほどが血流中に存在していることになる。

ヒトで体内の全コレステロール量はおよそ100-150 gほどである。殆どが細胞膜に取り込まれたものであるが一部が代謝循環している。すなわち内因性コレステロールの生産量は低コレステロール食摂取時にはおよそ800 mg/程度 であることがしられており、体内を循環するコレステロールのおよそ20%–25%が肝臓で合成される。

皮膚においても肝臓に次ぐ量のコレステロールが産生されており、皮膚で 7-デヒドロコレステロールからビタミンD3光化学的に生成される。7-デヒドロコレステロールは、ヒトを含むほとんどの脊椎動物の皮膚中で大量に生成される。ビタミンD3は、肝臓でC25の位置でヒドロキシ化の代謝を受け25-ヒドロキシコレカルシフェロール(別名 25(OH)D3カルシジオール)へと変化し肝細胞に貯えられ、必要なときにα-グロブリンと結合しリンパ液中に放出される。

詳細は「ビタミンD」を参照

ヒトを含む哺乳類においては、皮膚以外の組織で必要とされるコレステロールあるいはステロイドホルモンなどコレステロール誘導体は生合成されるのではなく、肝臓から血漿中を輸送されるコレステロールエステルを含むリン脂質複合体を利用するデノボ合成により産生される。また体内における貯蔵について述べると、コレステロールを貯蔵するための特別な形態は存在しない。たとえばブドウ糖グリコーゲンへ、アセチルCoAトリグリセリドへと転換されることで蓄積される。しかし、コレステロールはそうではない。このため輸送途中のリポタンパク質(LDLコレステロール)などは体内におけるコレステロールのリザーバーとしての役割もある。末梢組織にリン脂質とともに運ばれたコレステロールエステルはリソゾームで加水分解を受けてコレステロールに戻り、さらに利用される。

このような動態を持つためコレステロールの食事からの吸収や肝臓での生合成は必須である一方、コレステロールの過剰による脂質異常症も問題となる場合も多い。

脂質異常症は、食事による外因性コレステロールの増大だけでなく、末梢組織での LDLコレステロール受容体機能の抑制も大きな因子である。家族性高コレステロール血症では遺伝的に末梢組織のLDL受容体が変成することで、結果として末梢でのコレステロール取り込みが減り、脂質異常症が発生する。また、先天的要因だけでなく後天的に脂質代謝異常も発現していると考えられ、そういった糖・脂質の複合的な代謝異常という意味でメタボリックシンドロームが注目を集めている。なお、植物油に含まれる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

出典:wikipedia
2018/02/24 08:59

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