このキーワード
友達に教える
URLをコピー

コンパクトカセットとは?

この記事に雑多な内容を羅列した節があります。事項を箇条書きで列挙しただけの節は、本文として組み入れるか、または整理・除去する必要があります。(2010年3月)
コンパクトカセット
カセットテープ、カセット

TDK SA90 Type II カセットテープ

【メディアの種類】
磁気テープ
【記録容量】
30分
60分
90分
120分
【策定】
フィリップス
【主な用途】
音声、データ記録
【大きさ】
約100×60×10mm
(テープ幅:3.8mm)
1970年代後期のカセットテープ(東京電気化学工業=TDK製「Dシリーズ」)
1972年頃のカセットテープ(ソニー製「Low-Noise」) コンパクトカセットのロゴが見える。A面部分の表示は識別用にエンボス入り。
後期のオーディオ用カセットテープ(TEAC製) カセットハーフ(筐体)を透明化した上でハブをオープンリール風のものに模し、音楽用途に適することを表している。後に、同じくティアックからリールを交換可能としたものも販売されたが、普及はしなかった。

コンパクトカセットは、オランダの電機メーカーであるフィリップス社が、フェライトを素に1962年に開発したオーディオ用磁気記録テープ媒体の規格である。「カセットテープ」、「アナログカセット」、「フィリップスカセット」などとも呼ばれる。また1980年代終盤に登場したDCC(デジタルコンパクトカセット)に対するレトロニムとして、ACC(アナログコンパクトカセット)と表記することもある。

民生用の録音規格としては、2000年代前半から若年層を中心にミニディスク (MD) にその割合を超えられ、2000年代後半からはデジタルオーディオプレーヤーICレコーダー(リニアPCMレコーダー含む)も台頭してきた。

なお、コンピューター分野ではCMT(Cassette Magnetic Tape : カセット磁気テープ)と呼ばれていた。データレコーダ参照。

目次

  • 1 概要
    • 1.1 派生的用途
  • 2 歴史
  • 3 録音再生方式
  • 4 構造
    • 4.1 エンドレス・カセット
  • 5 テープの種類
    • 5.1 磁性体の種類
  • 6 収録時間
  • 7 収納ケース
  • 8 使用上の注意
  • 9 現在の主要なテープ製造・販売会社
    • 9.1 電器・音響系
      • 9.1.1 備考
    • 9.2 流通系・他
    • 9.3 海外
  • 10 過去の製造会社
    • 10.1 国内(大手電器・音響系)
    • 10.2 国内(その他の電器・音響系)
    • 10.3 海外
    • 10.4 流通系・他
  • 11 過去に市販された主なカセットテープ
    • 11.1 TYPE IV/メタル
    • 11.2 TYPE III/フェリクロム
    • 11.3 TYPE II/ハイポジション、クロム
    • 11.4 TYPE I/ノーマル
  • 12 発売初期の録音再生機器
  • 13 符号位置
  • 14 脚注
  • 15 関連項目
  • 16 外部リンク


概要

オープンリール式だった録音テープを扱いやすくするため、1950年代以降、テープをカートリッジ式にした規格が数多く考案された。その中にはオープンリール式同様一方向回転でエンドレス構造とした8トラック方式(1965年)のような事例があった一方、同一規格リール2個をカートリッジ内に固定し、テープ上トラックを2セットに分けたうえで、両回転方向で往復(片方向送り専用に比して2倍)の録音・再生ができる構造とし、長時間録音を可能とした製品も見られた。

往復型カートリッジの中でもフィリップスが開発したコンパクトカセットは小形の割に音質が良く、1965年にフィリップスが互換性厳守を条件に基本特許無償公開したため、多くのメーカーの参入を得て事実上の標準規格となった。このため単に「カセットテープ」の呼称でも通じるようになっている。

当初はテープ幅の狭さやテープ速度の遅さによる性能の制約から会話録音や BGM 程度までのメディアと考えられ、語学学習などへの活用も目立っていたが、1960年代末頃から性能が大きく向上し、1970年代には携帯が容易な音楽用メディアとして広く普及した。メディアが廉価で長時間再生に適することもあって、録音媒体としてレコードダビング、放送番組を録音するエアチェックなどに幅広く活用された。

カーオーディオの分野においても、先行する8トラックカートリッジ方式に比べて小さなコンパクトカセットはスペースの限られる自動車のダッシュボードにデッキを配置しやすく、実用上の耐久性にも優れ、1970年代から1980年代にかけ隆盛を極めた。

しかし欠点もあった。

これらの課題を根本的に解消するのは難しく、1980年代以降CDなどのデジタルオーディオが普及し、コンパクトカセットはデジタルオーディオの安定した高音質やランダムアクセスによる容易な選曲などの使い勝手の良さに慣れたユーザーから次第に敬遠されるようになった。

1990年代初頭にはコンパクトカセットの後継として、音声データをデジタルで記録・再生でき、コンパクトカセットとの再生互換性を持たせたデジタルコンパクトカセット (DCC) がフィリップスと松下電器産業(現 : パナソニック)との共同開発で誕生した。ほぼ同時にソニーから登場したミニディスク (MD) とポータブルオーディオ戦争を繰り広げるかと思われたが、音質ではミニディスクを凌駕していたものの、DCCレコーダーでは設計段階から(アナログ)コンパクトカセットの録音ができなかったこと、テープ方式に起因する欠点を引きずったこと、さらにMDはおろかDATに対してもポータブル録再機のラインアップが非常に少なかったことなどで結果的にMDの圧勝に終わり、DCCは姿を消した。

2000年頃からポータブルMDプレーヤーなどの小型化、再生時間の長時間・大容量化が進み、発売当初の本体の巨大さや短い電池持続時間が解消され日本の若年層ユーザーはそれらの新しいメディアへ移行するようになったが、小売店では売価2,000 - 5,000円程度のモノラルラジカセ、CDラジカセと録音済音楽テープが引き続き廉売されており、取り扱いが簡易なこともあって主に70歳以上の高年齢層のコンパクトカセット支持は依然として根強い。信頼性と安心感の高さはもとより、録音内容をその場ですぐに聴けること、81分以上の長時間かつ手軽に録音できる同等の媒体が2010年代以降はほとんどない(CD-Rは最大記憶容量約700メガバイト・最大記録時間約80分の制限がある)こともあり、ラヂオプレスではいまだに用いられている。工事現場などでの朝礼前のラジオ体操時に使われるラジカセやワイヤレスアンプはCDよりもカセットテープ利用時の方が電池の残量が低下しにくいため現在でもカセットでの体操が多い。J-POPや洋楽などの国内向けミュージックカセットテープは国内盤だと1990年代末に、アジア圏などへの輸出向けなど逆輸入盤だと2000年代半ばに消滅したが演歌や輸入盤(ジャズクラシックなど)では2016年現在においてもCDとカセットの同時発売が依然として続いている。なお、2013年に入るとカーオーディオの分野からは自動車メーカー純正品(ただし輸出用は除く)、社外品に関わらず1DIN、2DIN規格ともどもカセット対応カーオーディオはラインナップから消滅している。

また発展途上国や一部の先進国でも、音楽・音声用メディアとして今なお広く使われている。

派生的用途

コンパクトディスクMD対応デッキの普及により、車載用コンパクトカセットデッキの種類は次第に数が少なくなっていった。一方で、iPodをはじめとする大容量携帯プレーヤーをカーオーディオで聴くユーザーの間では、FMトランスミッターに比べて音質劣化や電波干渉を受けにくいコンパクトカセット型のカセットアダプターを珍重する傾向があった。

音楽制作の現場では、テープを片面方向のみに使用し、両面それぞれの左右チャンネルの合計4チャンネル、あるいは特殊なヘッドで8チャンネルの再生・録音を可能にしたマルチトラック・レコーダー (MTR) の記録媒体として重宝された。

またコンパクトカセットは、1980年前後を中心に、初期のパーソナルコンピュータの記憶メディアとして個人ユーザーを中心に広く利用され、専用の製品も発売されていた(データレコーダも参照のこと)。しかしその後、本格的なデータ用メディアであるフロッピーディスクの低価格化と普及に伴って利用されなくなった。1980年代前半に人気のあったMSXではカセットテープでのゲーム発売なども行われており、近年の復刻が困難になる一因となっている。

歴史

録音再生方式

録音は録音ヘッドで電気信号を磁気に変換しヘッドギャップから放射させ、そこに磁性体を塗布した磁気テープを接触させ磁化させる。長い磁気テープを一定速度で摺動させることにより信号を連続的に磁気として記録する水平磁気記録方式である。再生は録音の逆で、再生ヘッドで磁気を電気信号に変換することで行う。また、録音時には消去ヘッドにより既存の録音の消去が行われる。ヘッドがすべて独立している場合、磁気テープは消去ヘッド、録音ヘッド、再生ヘッドの順に通過する。

録音ヘッドに加える電気信号は音声信号のみでは残留磁束の直線性が悪いため録音バイアス信号が重畳される。オープンリールレコーダーと同じく、高周波(100 kHz 程度)の交流を録音バイアス信号とする交流バイアス法が標準的である。交流の録音バイアス信号自体は周波数が高いため録音されない。

録音ヘッドと再生ヘッドでは最適な設計が異なるので、性能の点からは録音ヘッドと再生ヘッドはそれぞれ専用が望ましい。しかしコンパクトカセットレコーダーではスペースやコストの点から、一つのヘッドを切り替えて録音時には録音ヘッド、再生時には再生ヘッドとして使う録再兼用ヘッドが標準的である。消去には消去ヘッドに高周波の交流(実際には録音バイアス信号と共用)を加えて行う交流消去と、安価なレコーダーで用いられる、永久磁石でできた消去ヘッドをテープに当てて行う直流消去とがある。

トラック構成は通常2トラック/1チャンネルのモノラルまたは4トラック/2チャンネルのステレオで、カセットハーフの表裏にあたる A 面 B 面(サイド1サイド2ともいう)を裏返すことにより往復で使用できる。テープ幅は 3.81 mm で、中央の 0.66 mm は A 面 B 面のトラック間のガードバンドとし記録しない。モノラルの場合、その両側各 1.54 mm を A 面および B 面のトラックとする。ステレオの場合はモノラルのトラックの中央 0.3 mm にあたる部分を左右チャンネルトラック間のガードバンドとし、その両側各 0.62 mm を左右チャンネルのトラックとする。モノラルのトラックとステレオのトラックがテープ上の同じ位置にあるためモノラルとステレオに互換性がある。

平坦な周波数特性を得るには大幅なイコライゼーションが必要で、互換性を保つため IEC により再生イコライザの時定数が規定されている(低域時定数は 3180 μs 、高域時定数は Type I テープでは 120 μs, Type II, Type III, Type IV テープでは 70 μs)。実際には IEC の時定数によって録音されたキャリブレーションテープが用意され、それを再生してフラットになるように再生イコライザが調製される。そして録再総合でフラットになるように録音イコライザが調製される。

録音・再生時のテープ速度は 4.76 cm/s と規定されており、カセットハーフに設けられた孔に一定速度で回転するキャプスタンを通し、テープを挟んでゴム製のピンチローラーを押し当てることで、テープ位置により変化するリール巻径にかかわらず 4.76 cm/s のテープ速度を得ている。 4.76 cm/s というテープ速度は家庭用オープンリールレコーダーに用いられた速度 9.53 cm/s の半速であり、本来、音質より小形と経済性を優先した規格である。

録音時と再生時のテープ速度が異なっていると時間や音の高さが変わってしまうので、互換性上テープ速度は重要である。しかし正確に合わせることは難しく、特に録音と再生で別のレコーダーを使用した場合、時間や音の高さが大きく変わることがある。逆にピッチコントロールとして速度を微調整できるようにしたレコーダーもあり(当然ながらテンポも変わる)、楽器ルート系の機材に多くみられる。ほとんどのものはピッチコントロールが有効なのは再生時だけで、録音時には固定された速度となる。

同様にテープ速度が変動すると音の高さが変動し、ワウ・フラッターと呼ばれる。これを防ぐためキャプスタンは精密に仕上げられており、またほとんどのレコーダーはキャプスタンの根元にフライホイールを備え、その慣性を利用して回転むらを抑えている。しかし可搬型のレコーダーでは本体が揺れると逆に回転むらを発生させてしまうため、フライホイールを2つ持ち、互いに逆方向に回転させて相殺するもの(アンチローリング)や、フライホイールを持たず電子制御で回転むらを抑えるものもある。

特殊な用途向けに独自の録音方式も開発された。

LL(ランゲージ・ラボラトリー)
英会話の学習に用いられた方式で、ステレオの片チャンネルに手本となる音声が録音されており、もう片方の空きチャンネルに自分の声を後追い録音する。テープは通常のものだがレコーダーが特殊なタイプとなる。
4チャンネル
カセット式MTRに用いられるチャンネル利用法。両面2チャンネルステレオのトラック規格を片面4チャンネルへ転用したもの。磁気ヘッドはオートリバース用の4チャンネルタイプが流用されている。後述する倍速録音との組み合わせにより6チャンネル、8チャンネルも存在した。
倍速録音
2倍速で録音・再生し、音質の向上を目指したもの(1970年代中期頃、マランツSUPERSCOPEブランドで発売したラジカセの一部、TEAC社のオーディオ用カセットデッキC-○X、など)。
低速録音
倍速録音とは逆に、会議用等に走行速度を1/2・1/3にして録音時間の延長を図ったもの。各社のポータブルレコーダーおよび一部の業務用大型デッキに設定されている(ソニーの「2倍モード」やパナソニックの「3倍モード」など)。資料としての長期保存性や、文字媒体転記作業でのリピート再生を目的とした強度確保の見地から、メディアには一般にC-90以下のタイプが用いられる。高域周波数特性が著しく劣るので音楽の録音には適していない。その一方で人の会話音声に限定すれば聴き取り可能な実用レベルの音質(マイクロカセットや最初期のカセット程度)が確保されている。なお、視覚障害者向け録音図書では1/2が用いられていた。

構造

コンパクトカセットの構造。乳白色のケースがハーフ、テープが巻かれているのがハブ、テープ端の透明なテープがリーダーテープ、ハブの下の黒シートがスリップシートである。

テープはベーステープと呼ばれる薄いプラスチック製(強化ポリエステル)テープ上にバインダと呼ばれる接合剤()で磁性粉を接着している。また70年代後半以降はテープ表面に鏡面仕上げを施したことにより、テープの走行性が保たれ、ドロップアウトやヘッドの摩耗を防いでいた。

ハーフもしくはシェルと呼ばれるプラスチック製ケースの中に、ハブというリールに巻かれた状態で入っている。テープはオープンリールと同じように再生開始および終了時の伸びにより劣化することがないよう、リーダーテープとよばれる録音ができないテープが両端に付属している。リーダーテープにはヘッドのクリーニングを兼ねた、クリーニングリーダーテープと呼ばれるものも存在する(ヘッドが摩耗することはない)。また、リーダーテープは乳白色や無色透明のテープを用いるものが多く、現在、ソニーもそのタイプでハブとの接合部付近のみ着色されたリーダーテープが付いているが、ソニーのカセットテープは1970年頃、厚みを工程上識別するためリーダーテープそのものにも色がついていた。ハーフとテープの間には走行性を維持するためにスリップシートと呼ばれる、長繊維ポリエステル系の素材で出来たシートが挟まっている。またヘッドが押しこまれる部分にはヘッドとのタッチを良好に保ちなおかつテープ裏面に付着した磁性粉を清掃するためにフレッシャーパッドと呼ばれるパッドがつく。またヘッドから巻かれているテープへ磁気の影響が及ばないよう、遮磁板がある場合が多いが省略しても問題はない。

エンドレス・カセット

BGMや繰り返しの再生用に、同じ音声を繰り返す方式。摩擦を軽減するための特殊なバックコートを施したテープを使用している。テープの両端を同じ面同士で繋ぎ合わせており、一度再生すると終端からそのまま先端にループを繰り返す。1972年頃にはすでにTDKとフィリップスから発売されていた。他のオーディオテープでは4トラック(フィデリパック)、8トラック(リアジェット)、プレーテープハイパックがこのタイプである。なお、その特異な構造のためにスペースを取るので長時間タイプは存在しない。また、巻き戻しも不可能なため片面走行のみ。スーパーマーケットの特売品売り場で、特価内容を知らせるために小型のカセットプレーヤーとともに用いる例がある。ただし近年ではエンドレス・カセットは入手困難品のためかオートリバースラジカセを利用したりSDカードやCDをリピート再生する場合が多くなった。尚、前者は車載拡声器や宣伝車及び遊説車で使用されることが多かった。ノーマルポジションのみで、過度の振動や衝撃は内部での巻き込み等の走行不良を起こすことがあるので注意が必要である。後年、音楽用テープを使用した高音質タイプも発売された。

テープの種類

上: Type IV テープ、中: Type II テープ、下: Type I テープ
機器側で種類判別できるように背面の特定位置に四角い穴(検出孔)が設けられている。
ヘッドクリーナー

当初は会話・ BGM 用として手軽に扱えるものだったコンパクトカセットだが、用途がHi-Fiにも拡がると周波数特性ダイナミックレンジなどが求められるようになり、さまざまな磁性体を用いたテープが現れ、互換性に問題が生じるようになった。そこでテープの電気的特性により Type I, Type II, Type III, Type IV (IEC I, IEC II, IEC III, IEC IV とも呼ばれる)の4グループを制定し、それぞれに基準となる IEC リファレンステープを規定して、グループごとに互換性を保つことになった。

Type I, Type II, Type IV のテープを自動的に検出して切替えるための検出穴が規定されている(Type III の検出穴は規定されていない。また、実際には Type I には検出穴がない)。この検出穴は後で決められたもので、古い Type II, Type IV テープには検出穴がない。

コンパクトカセットの性能向上が激しかった時代には市販テープに追随するため IEC リファレンステープはたびたび改訂を余儀なくされたが、 1994 年に Type I リファレンステープが BASF Y348M に改訂されて以来、改訂は行われていない。

Type I (IEC I)
Type I はコンパクトカセット登場当初から使われている基本的なテープである。このため「ノーマル」テープとも呼ばれるが、当初のものとはかなり特性が変わっており、また Type I でも高性能なテープもある。磁性体として当初γ‐酸化鉄 (III) (γ-Fe2O3) が用いられたので「Fe2O3」と表記されることもあるが、 Type I テープの磁性体が必ずしも Fe2O3 とは限らない。一部特殊用途のレコーダーを除くほぼすべてのレコーダーで使用できる。カセットには IEC I, TYPE I, または単に I と表示される。 IEC リファレンステープは BASF Y348M (1994 年改訂)。再生イコライザの高域時定数は 120 μs 。
Type II (IEC II)
Type II は Type I より保磁力の大きな磁性体を使用するテープで、テープ速度が遅いため高域のダイナミックレンジが小さいコンパクトカセットの欠点を改善すべく開発された。「クロム」「CrO2」「ハイポジション」テープとも呼ばれる。磁性体として当初二酸化クロム (CrO2) が用いられたが、中域以下の MOL が低くヘッド摩耗が激しかったことに加えて公害問題の風評のため、日本ではコバルト‐酸化鉄系磁性体に取って代わられた。しかし「クロム」「CrO2」の呼び名はそのまま通用している。 Type I より録音バイアス量を増やす必要があり(このため「ハイポジション」の名がある)、また消去しにくいため、 Type II テープに対応したレコーダーでないと使用(録音)できない。カセットには IEC II, TYPE II, または単に II と表示される。 IEC リファレンステープは BASF U564W (1986 年改訂)。録音バイアス量は Type I 比 1.6 倍程度。再生イコライザの高域時定数は 70 μs で、再生時に Type I テープより高域を減衰させることで雑音の高域成分を抑えている。
Type III (IEC III)
Type III は下層に Type I の磁性体、表層に Type II の磁性体と二層塗りを施したテープである。「フェリクロム」「Fe-Cr」テープとも呼ばれる。もともとは Type I のみに対応するレコーダーの高域特性を改善すべく開発されたものだが、結局 Type III として別に分類されることになった。 Type III テープが登場した当時(1973 年)は Type I のみ対応のレコーダーで使用でき、また初期の Type II テープは中域以下の MOL が低い欠点があったため存在意義があったが、 Type I, Type II テープが改良され、またレコーダーも Type II に対応するものが多くなると存在意義が希薄になり、 Type III テープはほとんど使われなくなった。カセットには IEC III, TYPE III, または単に III と表示される。 IEC リファレンステープはソニー CS301 。録音バイアス量は Type I 比 1.1 倍程度。再生イコライザの高域時定数は Type II と同じく 70 μs 。
Type IV (IEC IV)
Type IV は最も後に登場したもので、酸化されていない鉄合金磁性体を使用したテープである。「メタル」テープとも呼ばれる。最大残留磁束密度は Type I~Type III テープの2倍程度、保磁力は Type II 磁性体の 1.6 倍程度あり、 MOL は非常に高い。録音バイアス量を大きく増やす必要があり、消去もしにくい。テープの能力としては非常に高いが、レコーダー側のヘッドや発振回路などの負担も非常に大きくなる。当然、 Type IV テープに対応したレコーダーでないと使用(録音)できない。カセットには IEC IV, TYPE IV, または単に IV と表示される。 IEC リファレンステープは TDK MJ507A (1991 年改訂)。録音バイアス量は Type I 比 2 倍程度。再生イコライザの高域時定数は Type II と同じく 70 μs 。

磁性体の種類

主な磁性体の材料としては、まずType I には当初から存在し現在でも廉価タイプに用いられるγ酸化鉄(γ-ヘマタイト、マグヘマイト γ-Fe2O3)、主に高級タイプに用いられた、Type III に倣った発想で、特性の異なるγ酸化鉄を二層塗布したもの(富士写真フイルム/Fx-Duo・Range6、日本コロムビア=DENON/初期DX3・DX4)、例は少ないが四酸化鉄(マグネタイト Fe3O4)のもの (TDK/ED)、そして1980年代に入って開発された、γ酸化鉄の生成時の内部空孔(ポア)をほぼなくして磁気効率を改良した無空孔(ノンポア/ポアレス)酸化鉄(TDK/初期AR、日立マクセル=maxell/初期UDI)およびそれのコバルト被着タイプ(前掲機種の後期型)がある。 また、Type I内にも複数のランク分けが存在する。詳しくはノーマルポジションを参考のこと。

後にType IIの主流になったものの、最初はType Iの高性能タイプ用に用いられたものに、コバルトドープ酸化鉄 (Scotch/HighEnergy) やコバルト被着酸化鉄 (maxell/UD-XL) がある。特にコバルト被着酸化鉄はその調整の容易さと高域特性改善の面からTypeIでも並行して用いられ、1970年代後期から高級タイプ (TDK/AD-X,maxell/XLI-S) の、1980年代中期以降は普及タイプ(富士写真フイルム=AXIA/PS-I、太陽誘電=That's/RX)にも多用された。

Type II用としては、最初期こそ代名詞ともなった二酸化クロム(CrO2; デュポンが発明)が主流だったが、日本国内でめっき工場の廃液などの公害問題(六価クロム廃液)の余波で次第にフェードアウトし、特許のライセンス問題もあったので、一部で用いられたコバルトドープ酸化鉄(Scotch/Master70、DENON/初期DX7)等を経て、現在では殆どがコバルト被着酸化鉄磁性体(Co-γ-Fe2O3;酸化鉄の表層にコバルトフェライトが結晶成長したもの)となっている (TDK/SA、maxell/XL II)。これはコバルトフェライトの被着量をコントロールしやすい、すなわち磁気特性の調整が容易な点が大きく、家庭用ビデオカセットフロッピーディスクなど、幅広く使用された。1980年代終期、この酸化鉄の代わりに前述のマグネタイトを核に用いたものもあり、日立マクセル、日本コロムビア等が採用した(maxell/最終XL II-S、後期UD II)。

※マグネタイトにコバルトを被着したテープはビデオテープの方が先行しており、3M、マクセル、ビクター、コニカ、パナソニック等多くのメーカーが採用していた。マクセルの“ブラック・マグネタイト”の名称などが知られている。VHSテープの場合はテープの磁気特性重視ではなく、おもにコストダウンのために採用された経緯がある。VHSテープではエンドサーチに赤外線センサーを用いており、透明なリーダーテープがセンサーを通過したときストップをする機構であった。ところが高性能化、すなわち微粒子化に伴い、赤外領域では光透過率が規格を満たさないようになったため核晶が黒色のマグネタイトの磁性粉を採用するに至った。核晶がγ-ヘマタイトより磁気特性が良いのでテープの磁性層も薄くできるのでコストダウンが可能となった。ちなみに初期のVHSテープはT-120換算で磁性粉の使用量は約40g、核晶がマグネタイトの磁性粉を使用して設計した場合、約20gに可能になった。また、磁性層のカーボンを低減して磁性粉の密度を上げることも可能になった影響も大きい。

Type IVとしてはいわゆるメタル(主成分はα-Feとコバルトなどの合金)であるが、これも酸化に弱いという欠点を克服すべく、各社工夫していた。表面にマグネタイトを形成する方法が一般的だがまったく充分ではない。還元時の焼結防止も兼ねてシリカ、酸化アルミニウムなどを析出、被覆し酸化防止をしている。このメタル磁性体も、1980年代初期よりイコライザーが同じTypeIIへの転用が図られ、極めて高出力な特性を買われて主に高級タイプ (TDK/HX、DENON/DX8) に用いられたが、中には低価格タイプ (That's/EM) も存在する。このメタルパウダーの成分はNiを合金としており、ハイポジションの保磁力に近づけるように設計をしていた。これは言い方を変えればメタル磁性粉をパーマロイ化して保磁力を下げたといってよい。俗にLow Hcメタルとも呼ばれ、ハイポジションの欠点であった低音域のパワー不足を大幅に向上させた。

Type IIIは基本的に下層に中低域用のγ-ヘマタイト、上層に高域用の二酸化クロムを塗布するが、他にも上層をコバルト被着酸化鉄にしたり (DENON/DX5)、特性の異なるコバルト被着酸化鉄の二層塗布とするものも存在した。

そのType IIIがほぼ死滅した1980年代中期、松下電器産業が「オングローム」ブランドで投入した蒸着テープが存在した。通常の塗布層の上にさらに金属コバルトを蒸着させるという、発想自体は極めてType III的な製品だった(ポジションは当初Type II、後Type I・IVを追加)。TypeIIIと異なる点は、低域 - 中高域のテープ特性の大部分は下の塗布層に由来しており、上の蒸着層は超高域(スピーカーで言うスーパーツィーター)のみを担当する。そのために高域特性を大幅に改善したものの、塗布層自体の性能が他社の同価格帯と比較して見劣りしていたこと、その強力な高域特性のためデッキによって相性の相違が激しく、また製造コストの高騰からくる価格設定の高さもあり、短命に終わった。この技術は、蒸着層の超高域信号(ビデオの映像信号)への対応能力を買われて、後にビデオカメラ用テープの技術として開花することとなる(Hi8のMEタイプ、その後のテープ式デジタルビデオの規格DV (ビデオ規格)|DVC)。

Type IIクロームテープ、Type IVメタルテープにはカセットハーフの上部にテープポジション検出孔(画像参照、クロームは誤消去防止ツメの隣り、メタルはそれに加えて中央部)が設けられ、これによりデッキはバイアス、イコライザなどを自動設定する。ただし最初期のメタルには中央の検出孔が存在しない製品もある。

Type IIIフェリクロムは発売当初から検出孔がなかったが、ソニー案としてType IVの検出穴(ハーフ中央部)1カ所のみが開口していれば他のTypeと独立して明確な検出が行える案を確認できる(日本放送協会出版カセットデッキ阿部美春著126ページに4種類。Type Iは検出穴なし、Type IIの検出穴は外側1カ所、Type IIIの検出穴は中央1カ所、Type IVは外側と中央の合計2カ所に検出穴を開けた図示が見られる)。その後JIS C 5568:1997(IEC94-7に適合させるための改正)にてType IIIテープ用検出穴を規定しないことが明文化された。この2者は基本的に手動の対応ポジションセレクターを持つデッキで使用するのが前提(フェリクロム策定元のソニーが当初IECにハーフ中央部をType III用の検出孔として申請していたものの認可されなかったという噂がよく聞かれるが、虚実は不明。)。検出穴を自動的に読みとる機構が装備される以前のテープセレクトの方法は手動によるスイッチ式が全盛だったため検出孔の必要性があまりなかった。Type IIIは磁気特性がType Iに近い(バイアスが+10%)ため、うまく調整すれば高性能ノーマルとしての使用も可能であるむねメーカーも謳っていた。ただしこの場合、補正カーブが異なるために音質のバランスが変わってしまう可能性が高い。そのためか、1970年代にわずかながら存在したバイアスとイコライザーを個別設定できるデッキでは、バイアスをノーマル・イコライザーをクロームに設定することを推奨した例があった。

収録時間

収録時間は、“Cassette”の頭文字“C”に両面の公称総収録時間を付けて表示される(主に1970年代後期頃からは省略されることが多い)。標準的な製品は、それぞれC-30からC-120と呼ばれる、両面で30分 - 120分(=片面で15分 - 60分)録音できるもの。収録時間によってテープの厚みが異なり、標準タイプのC-60以下で約17 - 18μm(ベース厚13.5μm)、長時間タイプのC-64 - C-90でその約2/3の11 - 12μm(ベース厚7.5μm)、超長時間タイプのC-120で半分の9μm(ベース厚4.5μm)…と段々薄くなる。なお、この数値は磁性層4.5μm(メタルテープは3.5μm)を含んだ厚さであり、テープの長さが変わっても磁性層の厚さは変わらず、ベースフィルムの薄さにのみ影響する。このため、長時間録音になればなるほど安定性と耐久性は当然悪化し、高温下で伸びやすく、又は過剰なテンションによって切れやすくなる。温度変動が大きい高負荷環境にあるカーステレオや、特に緻密な走行制御(安定性)を要するクローズトループ・デュアルキャプスタンを採用した一部のテープデッキ(主に概ね最低5万円台以上のクラスの3ヘッドタイプのものがほとんど)でC-90以下の使用を推奨しているのはこのためである。規格としてはTDKの輸出モデル等にC-180やC-240もあるが、耐久性の問題(テープ厚はC-180で6.5μm、C-240で5μm。ベース厚はそれぞれ2μm、0.5μm=物理上の限界値)もあり製品としてはほとんど存在しない。

特殊用途を除く一般的な収録時間は、過去に国内で発売されたものだけでもC-5・C-6・C-8・C-9・C-10・C-12・C-15・C-16・C-18・C-20・C-22・C-30・C-36・C-40・C-42・C-45・C-46・C-48・C-50・C-46+5・C-52・C-54・C-55・C-60・C-62・C-64・C-65・C-60+5・C-70・C-74・C-75・C-76・C-80・C-84・C-90・C-92・C-94・C-90+5・C-100・C-108・C-110・C-120・C-120+5・C-150と多岐にわたる。

当初はC-60に始まり、短時間用のC-30、長時間用のC-90、超長時間用のC-120が追加された。やがて音楽専用タイプが発売された1970年代中頃には、当時の一般的なLPアルバムを収録するのに丁度良いC-45(C-90の半分)が追加されたが、片面の収録時間が22.5分と中途半端で録音時間とテープスピードの誤差に対してあまり意味を持たなかったため、1970年代後期にはほぼ全てC-46へ置き換わった。1970年代までは各社ほぼこの5種類であったが、すでに多様化の兆しもみられ、1970年代中期には富士写真フイルムがFXで初採用したC-80、後に同じくC-80を採用した日本コロムビア(DENON)の、C-45に余裕を持たせたC-50および

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出典:wikipedia
2018/10/24 08:20

HAPPY Wikipedia

あなたの考える「コンパクトカセット」の意味を投稿しよう
「コンパクトカセット」のコンテンツはまだ投稿されていません。
全部読む・投稿 

コンパクトカセットスレッド一覧

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「コンパクトカセット」のスレッドを作成する
コンパクトカセットの」
友達を探す
掲示板を探す
このページ
友達に教える
URLをコピー

注目のキーワード

錦織圭/北島康介/2014_FIFAワールドカップ・アジア予選/サッカー日本女子代表/消費税/東京スカイツリー/ダルビッシュ有/イチロー/香川真司/野田内閣/復興庁/石川遼/HKT48/AKB48/ワールド・ベースボール・クラシック日本代表/黒田博樹/尖閣諸島/バレンタインデー/ONE_PIECE

キーワードで探す

 
友達を探す
掲示板を探す
無料コミックを探す
占い・診断
着メロを探す
GAMEを探す
デコメを探す
きせかえツールを探す
FLASH待ち受けを探す
ハッピーWiki
ハッピーメール
ハッピーランド
HAPPY NEWS
2010Happy Mail