コンビニエンスストア(英: convenience store)は、年中無休で長時間の営業を行い、小規模な店舗において主に食品、日用雑貨類など多数の品種を扱う小売店である。
略称は「コンビニ」「CVS」など。
もともとアメリカ合衆国で誕生した業態であり、その後日本で独自の発展を遂げ、POSシステムなどのコンビニエンスストアのシステムは日本から世界に拡大した。
多くの場合、大手資本がチェーン店舗として展開している。
コンビニエンスストアはアメリカ合衆国発祥の業態である。
1927年、テキサス州の氷販売店「サウスランド・アイス社」で経営を委任されていた「j.j.グリーン」は、氷の需要が高まる夏季には「週7日・1日16時間」と営業時間を延長し、客に喜ばれていた。さらに客からパン、卵、牛乳なども取り扱ってほしいとの要望があり、これらも扱うようになったことでコンビニエンスストアの原型となった。
1939年にはオハイオ州で牛乳販売業を営んでいた「J.J.ローソン」が、「ローソンミルク社」を設立し、牛乳のほかに日用品等も販売する小型店「ローソン」をアメリカ合衆国北東部にチェーン展開した。
アメリカ合衆国では、ガスステーションに併設されている形態の店舗が多い。また、日本のコンビニでは販売されていないエンジンオイルや洗車用品などのカー用品も販売され、さらには自動車整備に携わえるスタッフとピットを擁してエンジンオイルの交換の他、パンク修理など自動車の簡単な修繕すら行う店舗もある。これは、広大な国土ゆえ特に長距離を移動する車が人家のない地域で立ち往生することは、場合によっては生死に直接関わるためである。最低限の生活必需品や少々の休息がとれる軽食・ドリンク類、などの多種多様な商品が用意されている。ampmやmini-martなどがある。
ニューヨーク市やシカゴ市などの地下鉄・バス網が整備された大都市中心部ではグロサリー(食料雑貨屋)が主流で、扱い商品は日本のコンビニに相当するが、日用雑貨、生鮮食品(主に果物)が多く陳列されている。これらは日本で見られるようなチェーンストアではなく独立した店舗である場合が多いため、営業時間・商品内容や規模は店舗毎に相違があり、飲料・菓子・雑貨・雑誌などのみを揃えた小規模なものから食肉・野菜・惣菜・調味料・花・酒類(ビールのみ)などさまざまなものを取り扱う大型グロセリーまである。また口語でコンビニエンスストアという名称を使用することはあまりなく、単に「グロサリーストア (grocery store)」が主流、または深夜まで営業する店を「ナイトアウル (Night Owl)」(直訳は夜のフクロウ)と呼ぶこともある。
日本の経済産業省の商業統計での業態分類としての「コンビニエンスストア」の定義は、「飲食料品を扱い、売り場面積30平方メートル以上250平方メートル未満、営業時間が1日で14時間以上のセルフサービス販売店」を指す。
日本経済新聞の2014年度の調査では、国内市場が初めて10兆円を超える規模に成長し、トップシェアの「セブン-イレブン・ジャパン」と、「ファミリーマート」と「ローソン」の上位3社だけで約8割のシェアに達したことが明らかになった。
店舗の経営形態には、フランチャイズ・チェーン方式(FC方式)、ボランタリー・チェーン方式、チェーン等に属さない独立経営のコンビニエンスストアなどがある。
店舗経営者(フランチャイジー)の多くは個人である。複数店舗を経営する場合には法人化することが多い。他方で、主にビルや運輸関係(バスターミナル・倉庫業など)の施設を所有する既存の会社法人が、サイドビジネスの一環として自社が保有する建物内や遊休地などに店舗を設置して運営することも見られる。
個人経営の場合、多くは経営者夫妻での加盟を求められるため、夫が店舗オーナー・妻が店長やマネジャーという肩書きになるが、複数店舗を運営する場合には店舗毎に店長職を社員として雇用することが見られる(いわゆる「雇われ店長」)。既存の会社法人が店舗を運営する場合、オーナーは置かず専任の店長として社員を配置することが多い。いずれにしても、これ以外の従業員はほとんどがアルバイト・パートなどの非正規雇用の形態で就労する。これらの場合、従業員は店舗を運営する経営者や法人によって募集・雇用・解雇が行われ、賃金が支払われる。
フランチャイズ・チェーンであるため当然であるが、フランチャイズ店舗はチェーン本部(フランチャイザー)とはフランチャイズ契約を締結し、これに基づいて商標の使用が許可され、店舗運営の指導を受け、商品の供給を受ける関係になる。店舗用地を借りている場合にもフランチャイズ店舗のオーナーが自身で事業用定期借地権を締結し、本部側は紹介・仲介程度の関与であり、ほとんどの場合、本部とフランチャイズ店舗の間に資本・人材・雇用の直接的な関係はない。
「FC店」という表記を用いる場合もある。この場合、基本的にはこのフランチャイズ店舗を指す。
コンビニエンスストアの店舗の一部には、チェーン本部や地区事務所など、フランチャイザーが自ら経営する直営店舗が存在する。ただし、基本的にはフランチャイズ店舗がコンビニチェーンの規模拡大の中核を担っており、直営店舗はチェーン全体を見渡した場合には少数派である。
働く上では、直営店舗は本部の店であるためフランチャイズ店舗に比べるとSVの巡回回数も多く、厳しい指導がなされる。また新商品導入に関しても直営店はフランチャイズ加盟店の見本であるという名目で、一部の新商品は「送り込み」などといって強制的に納品されることもある。ただし、人事面に関しては、直営店で働くスタッフも給与計算上は時給制の本部社員として扱われ、人件費も全額本部負担であるため、フランチャイズ店舗に比べれば福利厚生は充実している。
日本の大手チェーンの場合、本部や地区事務所による直営店舗には、以下のようなものが見られる。
この中でも、主に1と2に該当する店舗は、通常の営業の中でフランチャイザー社員やFCオーナー・店長候補者の実践的な研修・教育の場、新機軸を伴うサービスやプライベートブランド・デリカ類の試作商品の先行テストの場などとしても使用されている。
他方、特に6や7のケースでは、他の経営者に経営が委譲されるか店舗閉鎖(閉店)の処理が完了するまでの一時的措置であることが多い。だが、実際には大半のケースで事態の発生を理由に短期間ないし即時に店舗閉鎖の措置が取られる。実際に本部が一時的な直営化を行ってでも維持するのは、ドミナントや地域戦略、他チェーンの展開への対抗などの観点から必要な立地に所在しているなど、本部側が維持を必要とする店舗に限られている。他方で、不祥事や契約トラブルを理由としてチェーン本部が契約に基づいて強制的に店舗閉鎖の処置を取った店舗などでは、コンビニチェーンのイメージ保護やマスコミ対策などの目的から、チェーン本部が店舗建物を賃貸していた地主から建物上屋を買い取るなどした上で、店舗閉鎖後ごく短期間で店舗の施設一切を破却・撤去し、跡形もなく更地化する場合もある。
また、地域単位での初出店の場合などには、当初はフランチャイザーが直営店舗としてオープンさせ、経営が安定した頃合を見て店舗オーナー候補者を募るなどしてフランチャイズ店舗へと転換する手法が取られることもある。
立地場所として、当初は市街地を中心に店舗展開したが、現在では都市周辺の住宅地や、郊外・地方の幹線道路沿いへのロードサイド店舗としての様態を持つ店舗が目立つ。コンビニが市街地から発祥した理由としては、当時の大規模小売店舗法による規制や不動産バブルによって、既存市街地に新規の商業床(立地条件)を確保することが困難となった大手百貨店が、新業態として小さい店舗を始めたということが言われている。
市街地では徒歩5 - 10分程度の近距離に同一チェーンの別店舗が複数あるなど、同一地域内に特定チェーンの店舗が林立していることも多いが、これはチェーン本部による「ドミナント戦略」と呼ばれる販売戦略に基づく出店戦術である。特に各店舗毎の商品在庫数が少ないことから、商品を配送する場合に、各店舗が離れすぎていると、配送の時間とコストが掛かり過ぎて非効率となるため、地域ごとにベンダーと呼ばれる配送センターを設置して、その周辺に円を描くように多くの店舗を出店することにより高効率の配送ルートを確立して配送コストを削減している。また、他チェーンに先んじて集中的な出店を行うことで、他チェーンによる展開と競合の余地を狭め、その地域のシェアを独占することもチェーン本部にとっては大きな目的となる。
また、ある時期までは東京都内の中でも、丸の内、大手町、虎ノ門、新宿駅前、池袋駅前、大阪梅田といった都心、副都心の大規模繁華街、オフィス街にはほとんど店舗は存在せず、住宅地特有の業態となっていたが、1980年代末からam/pmが積極的に出店。その後しばらくして他社も追随し、2000年ごろには都心におけるコンビニは当たり前の光景となった。
配送センターは共同配送化が進められており、かつての一般的な商店では問屋ごとに店舗への配送が行われていたものを、共同配送センターで各問屋からの商品をある程度ひとまとめにして店舗に配送することで、1店舗あたりの配送回数の削減を実現している。各店舗は概ね日に2 - 5回程度(チェーンによって異なる)の商品配達を受けている。
2000年代頃よりいわゆる「サテライト店舗」というものも多数登場するようになった。これは、店舗面積や営業時間などに柔軟性を持たせたもので、従来店の出店基準より、店舗商圏の購買力が低いために出店することが事実上できなかった小規模土地でも出店できるようにしたもので、この特権を生かし、公共施設の病院・大学・庁舎内などへの出店が増えている。病院内初出店は2000年8月10日 - 恵寿総合病院内にローソン、庁舎内の初出店は2002年9月18日 - 大阪府警本部庁舎内にファミリーマート、2004年11月22日 - 福岡市役所内にローソン、2005年1月25日 - 東京都庁舎内にセブン-イレブンが開店している。また、高等学校・中学校内初出店は2006年4月11日 - 栃木県宇都宮市の宇都宮短期大学附属高等学校・中学校キャンパス内にファミリーマート(営業時間は7時45分 - 8時25分、12時20分 - 13時10分と、食事時間のみ、近隣店のサテライト店舗扱い)が購買部として進出している。神奈川県伊勢原市の産業能率大学湘南キャンパスにもファミリーマートが出店している。また、ヤマザキショップは以前から山崎製パンの直営ミニコンビニであったが、2013年7月にデイリーヤマザキの運営が子会社から山崎製パンの直営になった際、事実上デイリーヤマザキのサテライト店舗となった。
またこのサテライト店舗の実現により、鉄道系売店も、大手コンビニと事実上のエリアフランチャイズとして業務提携を結ぶ事例も多くあり、
2000年代以降、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアへの出店が活発化している(首都高速6号三郷線の八潮パーキングエリアなど)。
建築基準法により、第一種低層住居専用地域、工業専用地域には建設できない。
店舗の構造としては、独立した建築物の場合には平屋で、現在は軽量鉄筋プレハブ工法による簡易建築が主流であるが、木造FP工法もファミリーマートなど一部チェーンで用いられている。コンビニ業界初期に見られた酒屋などの既存店の転業による店舗には、既存の木造軸組工法の建物を改装したものも見られる。建物部材についてはチェーン毎に共通化された特徴が見られ、本部サイドによる計画的な大量一括調達により部材のコストダウンが図られると同時に、共通の部材による外観デザインや外壁はそのチェーンを示す意匠的な特徴となっている。ただし、設置場所が景観条例などの対象区域である場合には、これに添った特殊な外観の店舗デザインが用いられることもある。
ビル・マンション・商業施設などへ出店する場合は1階(地上階)への設置が基本であり、飲食店や金融機関で多く見られる様な空中店舗や地下店舗はビル・官公庁や複合施設内での事例はあるものの、大都市圏でも少数で例外の範疇である。その他、新築分譲マンションのショールームなどとして建てられた独立した比較的小規模な建築物が、当初の用途での利用終了後に貸店舗に転用され、テナントとしてコンビニエンスストアが入居するケースなども見られる。
店舗は道路(正面)や駐車場の方向側の一面の側壁が大きく開かれ、足元近くから天井高さまでガラス張りになっており、4-8面程度並べた大型ガラスに面して雑誌の棚が配置されている構造・外観が一般的である。これは防犯上とマーケティング上の理由によるもので、店舗内に常時(立ち読みの)客が店外から見える状態を維持することで、他の客の誘引効果を図り、また強盗などを抑止する効果を兼ね、客が店内に入りやすい心理的作用をもたらしている。
商品を必要に応じて随時配送する事により、店舗側には余剰在庫を基本的に置かないことも店舗の設計・運用における大きな特徴で、商品や業務用具をストックしておくバックヤードを最小限度に設計でき、店舗スペースを有効活用できる。このことは、同時に建物のダウンサイジングを可能とし、建設費・光熱費などの圧縮や、店内の隅々まで店員の目が行き届きやすくなるなどといった商品管理・防犯、従来の雑貨店では出店不可能であった都心部のビルなどのより狭小なスペースへの出店を可能にするなど、様々な副次的なメリットを生み出した。商品種類が非常に多岐に渡るため、それらを余すことなく店頭展示するためにも、バックヤード側から商品補充が可能なウォークイン式冷蔵庫や、商品の後入れ先出しを容易にする可動構造の陳列棚、緻密な商品レイアウトなどの、様々な工夫が徹底されている。また、チェーンを問わず事務所も最小限度の広さに店舗運営に必要なストアコンピューターや事務机などが所狭しと並べられている店舗が多く、全般に従業員の労働環境よりも効率化とコストダウン(日本の割高な地価・地代の節約)に比重が置かれた店内構造ということが言える。
チェーンの名称を入れた内照式の看板であるファサードサインを店舗上部に掲げていることが一般的である。セブン-イレブンなどの一部店舗では、正面のガラス窓にシャッターが設置されており、台風などの災害時や暴動発生時など近隣での非常事態発生時や、閉店時、設備の点検・改修時などには必要に応じて一時的に閉めることが可能である。また、出入り口は内外両方向に引く観音開きが多く、自動ドアを導入している店舗は初期投資やメンテナンスコストの都合などから比較的少なかったが、後に新規開店した店舗ではバリアフリー推進の観点から、以前は自動ドアの店舗がなかったコンビニチェーンの店舗でも導入するケースが増えている。同様に、現在の店舗にはバリアフリー対応型トイレを設置している店舗も多い。また、大学病院や総合病院などの大型医療機関が近隣にある店舗を中心にオストメイト対応トイレを持つものも見られる。
チェーンによっても割合は異なるが、全体的に見た場合、敷地や店舗建物は賃借されるケースが主流である。小売とは全く別業種の企業が、自社所有のたとえば市街地の工場跡や旧本社跡などの有休地を利用したサイドビジネスとして不動産賃貸業を手掛けることも多い。店舗オーナーが敷地や建物のオーナーを兼ねるケースは、元々が酒屋や日用品店として土地を自前で所有していた既存店舗転業型の店舗を例外とすれば少ない。ただし、稀にではあるが、経営効率改善を目指したり貸主側の事情などから、コンビニ店舗のオーナーが賃借していた土地建物を買収することが見られる。
オーナーが当初から土地建物を自己所有している場合、建物の設計全般についてはオーナーの意向が反映されることが多く、店舗建物についても重量鉄筋を用いたよりしっかりとした造りであったり、オーナーの住宅が横や上部に併設された住居兼店舗となっていることも少なくない。
コンビニエンスストアが営業を終了し、閉鎖(完全閉店)して立ち退いた後の店舗建物については、撤去される場合とそのまま残されて転用される場合があり、多くは建物所有者の意向や建物の状態、築年数、減価償却、そして利用用途など幾つもの要素が勘案されて決まってくる。
上述の通り日本のコンビニエンスストアの店舗建物には軽量鉄筋プレハブの簡易建築が多いが、コンビニチェーンのフランチャイズ契約は2000年代前半までは15年、現在でも10年程度が基本であり、建物の減価償却・建築基準法・耐震基準などの観点からも、標準的なコンビニエンスストアの営業期間を超える長期間の使用を前提とした耐久力への配慮がなされている。
コンビニエンスストアが店舗を閉鎖して退去した後の建物が再利用される、あるいは中古不動産として売却されるケースは都市部・郊外部のいずれであっても枚挙に暇がなく、貸店舗として賃貸される場合だけをとっても、飲食店・理髪店・英会話教室・クリーニング店・レンタルショップ・コインランドリーを始め実に数多くの業種の店舗や、企業・政治家の事務所など多種多様なものがテナントとして入っている。そのため、他業種でもコンビニ店舗跡の利用が多い業種では、機器類についてコンビニ店舗跡の利用を前提として作られていることがあり、たとえばコインランドリーの大型の洗濯機や衣類乾燥機は、コンビニエンスストアの両開きドアを外すことなく内部に搬入して組み立てられる仕様で設計されている。また、その後の入居者も必要最小限度の改装だけで済ませ、建物の外観についてはコンビニエンスストア当時の様態を残したまま使用することも多く、外壁部材の特徴などからその建物がかつてどこのコンビニチェーンの店舗であったか容易に判別できることも多い。また、コンビニ店舗閉店後、別のコンビニが入るケースもある。
一方で、コンビニエンスストアの退去後、貸店舗としての後継テナントが決まらぬまま、テナント募集中の空き状態が延々と続く店舗も見られる。
ビルテナントの店舗の場合には原状回復が行われた後に新たなテナント入居希望者を募るのが基本で、退去後にはコンビニエンスストア時代の痕跡を全くとどめないことも多い。
ただ、いずれにしてもコンビニエンスストアの店舗は各チェーン毎の個性が強い上、現在では大半のフランチャイズチェーンで機器・什器類が各社専用仕様品のリースであり店舗が閉鎖されると即時撤去・返却され、店内は“もぬけの殻”になるため、後継テナントがどの様な業種や小売店でもコンビニエンスストアからの居抜き出店は皆無に等しい。コンビニエンスストアの店舗跡に競合チェーンのコンビニエンスストアが新規出店することもあるが、特に大手チェーンでは、独立した建物の場合、一旦完全に更地に戻してから、あらためて自チェーンの仕様で新規に店舗建物を設置する手法が一般的である。
他方で、コンビニエンスストアの閉店・退去後に間を置かず建物が破却・撤去されることも多い。これは築年数や跡地利用の関係から撤去が決まることが多いが、他にも簡易建築の建物が大半であるだけに、建設時の施工不良の見落とし、店舗営業中の度重なる改造やメンテナンスの手抜かりなどが要因となって建物が一旦状態不良となってしまうとその補修費との釣り合いが取れないなどといった点が理由である。
交通量の多い幹線道路の沿道では、コンビニエンスストアの建設・開店・閉鎖が幾度と無く繰り返されている。既存店が建物・駐車場の拡張のため同じ街道沿いの近隣地に移転することも多い。また、店舗閉鎖後に残された多くの建物が残存し貸店舗として供されており、大都市圏の主要な国道・県道やバイパス道路では少なからず、長い年月の経過の末に数キロ程度の区間に様々な業種で営業中の店舗・空き店舗を含めて何軒もの“現役コンビニ”と“コンビニ跡”の建物が乱立する状態になっている。
郊外店を中心に、店舗敷地内にゴミ箱が設置されている。都心には設置されていないことが多い。店にもよるが、店頭で商品を購入しなくても無料かつ匿名でゴミを捨てることができ、ゴミの量や質等は客の善意に任されている。本部は自店で購入した調理品(主に揚げ物)の包装紙などを想定しているようだが、2000年代以降、以下のようにマナーを遵守しない客が多い。
上記事由によりすぐ満杯になるため、忙しい時間帯ではゴミ袋が交換できない事も多い。 ゴミ箱は専門の業者ではなく、コンビニエンスストアの店員が手作業で取替しており、手を殺菌消毒したといえども、本来その手で客の商品に触れたり、揚げ物などを調理するのは好ましくない。 また店員に「ゴミ袋を交換しなくては」という意識が無い場合、生ゴミの腐敗した異臭が周囲に立ちこめることになる。 これらを受けセブンイレブンなど大手チェーンは、ゴミ箱を店内に移設して家庭ゴミを心理的に捨てさせない動きを加速させている。 さらに、新規に開店する店舗では、あらかじめゴミ箱を店内に設置するのがほとんどである。
顧客の利便性向上を目的にトイレが設置されている。店にもよるが、店頭で商品を購入しなくても無料かつ匿名で利用することができる。2000年代以降は、洋式の自動水洗トイレが多い。しかし、何も購入せずトイレのみ利用する客もおり、こちらもマナー向上が求められている。トイレットペーパーを窃盗する客も存在する。超繁忙店舗では、トイレットペーパーの補充が追いつかず、客からクレームを受けることもある。都心には設置されていないことが多い。
ミニストップが全店に展開しているイートインであるが、ファミリーマートが追随し、その後セブン-イレブンやローソン(以上日本コンビニ大手3社)、セイコーマートも追随している。簡易な椅子や机等を用意し、客が店で買った商品等を飲食することができる。大手3社の中ではファミリーマートが先行しており、スターバックスに似たような雰囲気で、デザイン性の高いものとなっている。高齢者が新聞を読んだり弁当等の食事に使用するほか、学生が自主学習に利用するなど、若年層の利用率も高い。大手3社ともイートインを拡大していく方向ではあるが、駅前立地など狭小な店舗の場合は物理的に展開できない場合もある。また、店舗によっては安全確保のため深夜はイートインを封鎖していることもある。
昭和期のコンビニ業界初期の酒屋など既存店舗からの転換店では、店舗に付属する駐車スペースが1-2台分しかなく、来客用ではなく業務用車やオーナーの自家用車の駐車スペースという店舗は郊外部でも珍しいものではなかった。しかし、モータリゼーションが進展した21世紀の日本では、地域による差はあるがあらゆる場面で自動車の存在が必要不可欠になっていることが多く、小売店にもそれに対応した設備が求められる。
郊外部の主要街道沿いや新興市街地で最近新設されたコンビニエンスストアの場合、ほとんどの店舗が客の自家用車での来店を前提にした典型的なロードサイド店舗としての形態を持ち、普通乗用車で10-20台が駐車できる駐車場空間を保有することが事実上の条件となっており、単純な買い物の一時的な駐車だけではなく、休憩したり短時間の仮眠を取るなど、ドライブインのようにも利用される。特に立地条件次第では、目的地周辺に早めに到着して納品の指定時間を待つトラックの待機場所としても利用される。コンビニ本部側では、ピーク時に駐車場が満車になることはビジネスチャンスの逸走の要因でありチェーンのイメージにも良くないこととしており、郊外部では新規開店後しばらく経ってから駐車場が拡張される場合もある。縁石が長く、出入りが難しいといった“狭さ”が店舗経営や近隣他店との競合で不利に働く要因となる場合には、移転することもある。
ただし、同一敷地内に飲食店・書店・カー用品店などが立地している場合や、サービスエリアや道の駅などにテナントとして入居している店舗では、駐車場は同一敷地内の他の施設や店舗と共同使用のものとして利用され、実質的に数十台から百台以上が同時に駐車可能になる。電気自動車が充電できる駐車場も存在する。
大型車が駐車できるスペースが十分に確保されていない店舗では、白線を無視して敷地内に駐車したり、道路沿いに駐車するなど、他の客の迷惑となる行為も見受けられる。
自動車用駐車設備についてはこのように充実が図られている一方で、自転車・オートバイ向けの駐輪スペースは、土地に余裕のある郊外部でも重視されていない。そのため、駐車場の片隅や店舗建物前面の間のスペースを利用して駐輪する形になる。中型や大型のオートバイについては、乗用車用の駐車スペースをそのまま利用することを前提としていることも多い。
駐車場を持つ店舗では、夜間の敷地内での事故防止や車両へのいたずら・車上狙い・不法投棄などの犯罪を防止する観点から、駐車場全体を照らせる最低限の夜間照明設備が設けられている。また、駐車場内の片隅や店舗建物脇に郵便ポストを設置している店舗も多く見られる。また、道路に面した位置にコンビニチェーンのロゴマークと酒・たばこなどの取扱やATMの設置を示す合成樹脂製の自立型の電照式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・