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ディーゼルとは?

(ディーゼルから転送)
鉄道車両(キハ183系)用の高速ディーゼルエンジンの一例。DML30HSI形ディーゼルエンジン
水平対向12気筒排気量30L(440PS/1,600rpm)
4サイクル・ディーゼルエンジンの動作

ディーゼルエンジン (英:Diesel engine) は、ディーゼル機関とも呼ばれる内燃機関であり、ドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルが発明した往復ピストンエンジン(レシプロエンジン)である。1892年に発明され、1893年2月23日に特許を取得した。

ディーゼルエンジンは点火方法が圧縮着火である「圧縮着火機関」に分類され、ピストンによって圧縮加熱した空気に液体燃料を噴射することで着火させる。液体燃料は発火点を超えた圧縮空気内に噴射されるため自己発火する。

単体の熱機関で最も効率に優れる種類のエンジンであり、また軽油重油などの石油系の他にも、発火点が225℃程度の液体燃料であればスクワレン、エステル系など広範囲に使用可能である。汎用性が高く、小型高速機関から巨大な船舶用低速機関までさまざまなバリエーションが存在する。

エンジン名称は発明者にちなむ。日本語表記では一般的な「ディーゼル」のほか、かつては「ヂーゼル」「ジーゼル」「デイゼル」とも表記された。日本の自動車整備士国家試験では現在でもジーゼルエンジンと表記している。

目次

  • 1 仕組み
  • 2 特徴
    • 2.1 4ストロークと2ストローク
    • 2.2 燃焼行程
    • 2.3 燃料噴射装置(燃料噴射ポンプと燃料噴射弁)
      • 2.3.1 従来の方法
      • 2.3.2 近年の動向
  • 3 補機類
    • 3.1 燃料油清浄機
    • 3.2 予熱機構
    • 3.3 スターターモーター
    • 3.4 エンジン停止機構
    • 3.5 エンジンオイル
    • 3.6 エンジンオイルフィルター
    • 3.7 真空ポンプ
  • 4 ガソリンエンジンとの比較
    • 4.1 長所
      • 4.1.1 燃費・効率面
      • 4.1.2 構造・動作面
        • 4.1.2.1 逆回転運転
    • 4.2 短所
      • 4.2.1 健康面
      • 4.2.2 燃費・効率面
      • 4.2.3 構造・動作面
        • 4.2.3.1 ディーゼルエンジンの暴走
  • 5 主な用途
    • 5.1 船舶
    • 5.2 鉄道
    • 5.3 自動車
    • 5.4 オートバイ
    • 5.5 航空機
  • 6 環境への影響と対策
    • 6.1 排気ガスの発がん性
    • 6.2 硫黄とSOx
    • 6.3 NOxと黒煙
    • 6.4 関連する法規制
    • 6.5 排出ガス処理
      • 6.5.1 EGR
      • 6.5.2 微粒子除去装置
      • 6.5.3 SCR
      • 6.5.4 NOx吸蔵還元触媒
  • 7 燃料
    • 7.1 新たな燃料
      • 7.1.1 合成油
      • 7.1.2 DME
      • 7.1.3 BDF
      • 7.1.4 BHD
  • 8 歴史
    • 8.1 年表
  • 9 製造者
    • 9.1 日本のメーカー
    • 9.2 アジア諸国(日本除く)のメーカー
    • 9.3 欧州諸国のメーカー
    • 9.4 アメリカのメーカー
    • 9.5 基幹部品メーカー
  • 10 脚注
    • 10.1 注釈
    • 10.2 出典
  • 11 参考文献
  • 12 関連項目

仕組み

ピストンで空気を液体燃料の発火点以上に圧縮加熱し、そこに液体燃料を噴射して自己発火させる。これにより生じた燃焼ガスの膨張でピストンを押し出す「圧縮着火拡散燃焼機関」である。ディーゼルエンジンの本質は「点火装置が不要な内燃機関」である。

ディーゼルエンジンは、4ストローク サイクルと、2ストローク サイクルに大別される。理論サイクルの分類では、低速のものがディーゼルサイクル(等圧サイクル)、高速のものはサバテサイクル(複合サイクル)として取り扱われる。

ディーゼルエンジンにはスロットルバルブがなく、燃料噴射量だけで出力を制御する。すなわち、常時 吸入空気余剰の希薄域で運転される。ただし、不均一な拡散燃焼のため、全体では希薄であっても、部分的に燃え残りの粒子状物質(PM、Particulate matter)や窒素酸化物(NOx)が発生する。

燃料噴射装置を用いて燃焼室に燃料を高圧で噴射する。燃焼室形状の違いで、単室の直接噴射式副室式(予燃焼室式渦流室式)に分かれる。1990年以降に燃料噴射圧を上げることが可能になったため直接噴射式が主流であり、副室式と渦流室式は低効率のため使われなくなった。今日ではディーゼル燃料で大型ガスエンジンを点火するときに副室式が用いられる。

特徴

ディーゼルエンジンは圧縮着火のため高圧縮比となる。一般にピストンエンジンは圧縮比=膨張比であることから、高圧縮比、高膨張比エンジンとすると熱効率が高まる。圧縮比を上げることを気体の熱力学だけで解析すると、対数的に効率は上がり続けるものの圧縮比15を超えると伸び悩む。一方で高圧縮は摩擦損失と可動部品の重量増による慣性損失を増大させ、特に高回転で機械損失が急増する。また高圧縮になるほど着火しやすいが、むしろ早期着火により完全燃焼しにくくなるため、適正な圧縮比は14台だといわれている。膨張比はより大きくても良い。ただし、低温時や高地でのエンジン始動性のため圧縮比は14より大きいものが多い。

ディーゼルエンジンは高圧縮比エンジンなので発火点さえ確保できれば精製度の低い安価な燃料を使用できる。ただし、その実現には高価な前処理装置や特殊なエンジンオイルが必要になる。低燃費だがエンジン本体に高い圧縮比に耐え得る構造強度が必要になるため大きく重くなり、イニシャルコストが高い。稼動回転域はガソリンエンジンより低回転でかつ狭いため、車両の発進には有利だが、より多段の変速機が必要になる。

拡散燃焼の特徴から気筒容積あたりの出力が低い代わりに、気筒容積に制限がなく、巨大なエンジンを実現できる。熱効率は良いので必要な出力が得られるまでエンジンを大型化することができる。この場合、大型ほど低速回転になるが、これは大型船舶など低速回転・大出力が必要な用途においては極めて都合がよく、実際に超大型低速ディーゼルエンジンが大型商船の主機関として広く用いられている。

空気だけを圧縮した中で燃料が自己発火するため、予混合燃焼ガソリンエンジンで問題となるノッキングデトネーションが発生しない。そのため過給による吸入充填量の増加で気筒容積あたりの低出力を補うことが容易である。スロットルバルブを持たず低速でも排気圧力が高いことから、ターボチャージャーにより排気エネルギーの一部を回収し、効率を維持したまま排気量1L当たりの出力を100馬力程度にすることも可能である。

4ストロークと2ストローク

21世紀、現在の中速、高速ディーゼルエンジン には4ストローク機関が使われ、大型船舶や大型発電には、低速2ストローク・ユニフロー掃気ディーゼルエンジンが使われている。 2ストロークエンジンで新気をシリンダーに送り込むためには、何らかの過給が必要となる。ガソリンエンジンでは安価なクランクケース圧縮が使われているが、ディーゼルエンジンでは過給機と頭上排気弁を併用するユニフロー掃気ディーゼルだけが生産中である。

4ストロークサイクル・ディーゼルエンジンの各行程
  1. 吸入行程 - ピストンが下死点まで下がり、空気シリンダー内に吸い込む
  2. 圧縮行程 - ピストンが上死点まで上がり、空気をシリンダー内で圧縮加熱する
  3. 膨張行程 - 燃焼室内の高温高圧の空気に燃料を噴射すると、燃料が自己発火し、膨張した燃焼ガスがピストンを下死点まで押し下げる
  4. 排気行程 - フライホイール慣性や、他の気筒での膨張などによりピストンが上死点まで上がり、燃焼ガスをシリンダー外に押し出す
2ストロークサイクル・ディーゼルエンジンの各行程(ユニフロー掃気の場合)
  1. 上昇行程 - ピストンの上昇によって掃気ポート、排気弁の順にふさがれ、前半までに掃気が完了し、後半(過半)で圧縮が行われる。その後に圧縮上死点付近で燃料を噴射し点火する。
  2. 下降行程 - 前過半で膨張が行われた後、排気弁が開き、内圧が下がり、直後にピストンの下降によって掃気ポートが開き、吸気が排気を押し出す、掃気が始まる。

燃焼行程

  1. 拡散燃焼
    • ディーゼル機関は噴霧燃焼における液滴の拡散燃焼である。燃焼室内の圧縮加熱した空気に液体燃料を噴射すると、複数の微細な液滴が蒸発しながら、個別に表面の拡散域が燃えやすくなり、自己発火と拡散燃焼を繰り返し、隣の液滴に燃え拡がる。近年、液滴間の燃え拡がりの主要因は着火に伴うマランゴニ対流による蒸発ガスの噴出で、着火を伝播すると分かった。そして重力下では高圧になるほど、自然対流により、マランゴニ対流が阻害され、燃え拡がり速度が低下する。その他、高圧になるほど熱拡散率と物質拡散係数も減少するため、燃え拡がり速度に限界がある。
    • 拡散燃焼は一気に着火、燃焼しないので、火花点火・均一予混合燃焼で起こる点火プラグを起点に広がる火炎面の伝播はない。適切な着火遅れは拡散、混合域の拡大により、良好な拡散燃焼をもたらし、燃焼室の隅には空気だけが止まっているので圧縮比が高くても異常燃焼によるノッキングは発生しない。ただし低温始動時や着火性の悪い燃料では長い着火遅れから一気に予混合的に燃焼するディーゼルノックが発生する。
    • 軽油ディーゼルが確実に低温始動するため圧縮比を16-18程度にしてきた。この高圧縮比では暖機後の高負荷時に大量の燃料噴射が行われると、燃焼室が大幅に発火点を超えているため、燃料が著しく不均一で濃い領域において、気化する前の液滴まで早期に発火し低酸素状態で不完全燃焼して大量のスス状PMが発生していた。PMは発がん性のある大気汚染物質となる。本来は十分に拡散して気化しかけている液滴の表面から内部に向かって完全燃焼したい。さらに完全燃焼する条件でも空気余剰の燃焼ガスが高温、高圧となるため、余った酸素と窒素が結合し窒素酸化物(NOx)も大量発生する。
    • 従来は「圧縮着火」の条件を優先し、「拡散燃焼」にとっては高圧すぎて、早期着火による不完全燃焼により排気ガスが汚く、効率も低下していた。高圧縮の問題を低減しつつ、上死点で点火したときの十分な膨張比を考えると、自動車用軽油ディーゼルの圧縮比は14台が良いとされている。この圧縮比で燃料が自己発火できる手段として燃料噴射の高圧化と多段噴射が必要になる。高圧燃料噴射で油滴を微細化して気化しやすくし、多段燃料噴射によって空気を含んだ拡散領域を拡大し、高温になりすぎない雰囲気で完全燃焼をさせる。低温始動には#予熱機構を拡充する。
    • このような不均一な拡散燃焼とは均一混合気が燃焼室全体に広がる前に発火しているに等しいので原理的にシリンダー容積を使い切ることが難しく、容積あたりの出力が低い。高圧縮であることから燃焼速度が遅く、高回転で運転できない。
  2. PCCI(予混合圧縮着火)
    • 1995年にはディーゼル機関の低負荷領域で PCCI (Premixed Charged Compression Ignition:(不均一)予混合圧縮着火)が実用化される。これは吸気過程で燃料を噴射し不均一な予混合気を生成した後に一気に圧縮着火させるもので、制御されたノッキングと言えるものである。予混合燃焼なのでPMが発生しないうえに、EGRと併用して低負荷時の燃焼温度を低下し、ディーゼルノックとNOxを低減しながら、希薄燃焼による燃費を向上する手段とされている。
    • ただしPCCIは高負荷時には激しいディーゼルノックを発生させるため使用できない。高負荷時の有害排気低減には圧縮比14台で、きれいな拡散燃焼を実現することが必要になる。

燃料噴射装置(燃料噴射ポンプと燃料噴射弁)

詳細は「噴射ポンプ」を参照

従来の方法

かつてはプランジャーポンプの一行程の加圧と吐出だけで一回の燃料噴射を実現する「ジャーク式」ポンプだったので、多段噴射できなかった。噴射量は機械制御によるプランジャーの有効ストローク量で決まった。従来のジャーク式ポンプはエンジン回転数や負荷によって燃料圧力と噴射量が変化する欠点がある。燃料噴射弁は燃料圧力の増減で従属的に自動開閉するものだった。いずれも噴射ポンプと噴射弁の間にある長い噴射管を毎回低圧に戻す影響のため、噴射圧が低く、近年では使われなくなってきた。

列型噴射ポンプの一例
分配型噴射ポンプの一例
  1. 列型噴射ポンプ(Inline Injection Pump)
    • 一つのプランジャーポンプが単気筒の燃料加圧と吐出を担当し、気筒数分のポンプが一列に並んでいる構造
    • ジャーク式ポンプの中では低速回転から噴射量が安定するので大型車に用いられた
    • 噴射ポンプと噴射弁の間にある噴射管を毎回低圧に戻す影響のため実現できる燃料圧力は200bar強まで
    • それ以上に高めようとしても噴射管内で衝撃波を発生させるなど損失が大きくなり現実的でない
  2. 分配型噴射ポンプ(Distributor Injection Pump)別名ロータリーポンプ(Rotary Pump)
    • 一つのプランジャーポンプが全気筒の燃料加圧と吐出を実現する
    • プランジャーが1サイクルに1回転しながら気筒数倍の往復運動をする
    • プランジャーの外周に気筒の分配のための切り欠けがあり該当位置の吐出ポートと重なったときに噴射される
    • プランジャーポンプは全気筒に共有されるが、毎回、加圧と吐出を繰り返すので、コモンレールのように蓄圧しない

近年の動向

1990年代後半から以下の方法で高圧燃料噴射を電子制御している。基本的にポンプで加圧だけを分担し、従属弁との間に配置した電子制御弁が噴射量とタイミングを分担する。

電磁式噴射ポンプ
  1. コモンレール
    • サプライポンプが共通(コモン)の圧力管(レール)に高圧燃料を蓄えてから、気筒ごとに電子制御弁を内蔵した噴射ノズル(インジェクター)が噴射する
    • 電子制御弁が噴射のタイミングと噴射量を分担し、高圧で多段噴射を実現する
    • ソレノイド式インジェクターは1,800気圧で1サイクルあたり5回ほど噴射できる
    • 2012年現在のピエゾ式インジェクターは2,500気圧の超高圧で燃料を1サイクルあたり9回噴射できる。
  2. ユニットインジェクター
    • 噴射ポンプと噴射弁が一体式の噴射装置、1930年代から機械式のものが存在し、1990年代に電子制御化された
    • 気筒ごとにユニットインジェクターを設置する。すなわち高圧パイプを引き回さなくても済むため大型エンジンに適する
    • 単純な構造のため、高圧化はコモンレールよりも先行した、ただし多段噴射は不得意で、対応するには二つの電磁弁を併用するなど複雑な構造になる
    • OHCがユニットインジェクターのプランジャーポンプを駆動し、第一の電磁弁がポンプの加圧の開始と終了を精密に制御し、1サイクル毎の噴射量を決める
    • 多段噴射するには加圧行程の内部で第二の電磁弁が噴射弁の開閉を制御する。したがって大まかな噴射タイミングに制限がある

補機類

ディーゼルエンジンではガソリンエンジンとは異なる特性に応じた装置が必要になるため、かなりの高コストになる。上記の燃料噴射装置や後段の排ガス対策用の後処理装置が代表例であるが、これら以外でも、原理的に振動と騒音が大きくなるため、ディーゼルエンジンでは2次バランサーを追加したり、防振ゴムによる固定に高度な技術が使用され、また大型車に圧縮開放ブレーキも使用される。

燃料油清浄機

燃料油清浄機はC重油から不純物を取り除く装置。1950年ごろ舶用大型ディーゼルエンジンで安価なC重油を使うために開発された燃料の前処理装置。それまでディーゼルエンジンは一定水準以上のグレードにあるA重油までしか使えなかった。C重油は製油残渣といえる劣悪な燃料で、不純物の混入が前提となる。燃料油清浄機は残渣油を加熱して流動性を高めてから、水分や固形分を遠心分離機で取り除き、さらにフィルターで濾過して綺麗にする。

安価を求める残渣油は軽質油を蒸留した残り物なので、製油技術が向上すると、より低質化し、一定品質に止まらないため、燃料油清浄機も高性能化を求められる。1970年以降に製油法の進展によって導入された接触触媒分解装置からアルミナ、シリカ微粒子が残渣油に混入するようになり、ピストンリング、シリンダーライナー、燃料ポンプを短時間で損傷する事故が多発するようになった。燃料油分析サービスと併用して事故の防止を図っている。

予熱機構

火花点火のような着火機構を持たず、着火には空気の断熱圧縮による高温を利用しているため、寒冷地での長時間停車後など燃焼室が冷え切った状態からの始動や、標高が高く空気密度が小さいところで始動する場合は、吸気が着火に必要な温度に達しないことがあり、「予熱」が必要となる。燃焼室内に頭部を露出させた「グロープラグ」で予熱を行ったり、場合によりインテークマニホールド直前に置かれた「インテークヒーター」で吸気を加熱する。マツダのSKYACTIV-Dでは始動にはグロープラグを用い、始動直後には可変排気弁の遅閉じによって高温の排気ガスを吸気管に吹き返して(内部EGR)、吸気を暖めている。

スターターモーター

小型ディーゼルエンジンの始動にはガソリンエンジンと同様にスターターモーターによってクランク軸を回転させ、燃焼サイクルを開始するが、圧縮比が高いため、同程度の排気量に対して2 - 3倍程度に大きな出力のスターターモーターを備える必要があり、自動車などでもバッテリーを2個直列にして電装系を24ボルトとするものがある。

大型エンジンの始動には圧縮空気をシリンダー内に吹き込み、ピストンを直接動かすための装置が必要となる。あらかじめ補助動力装置を起動して発電や圧搾空気を生成しておく場合が多い。

エンジン停止機構

ディーゼルエンジンは着火に電気を用いていないため、エンジンキーをオフの状態にし(バッテリーからの電源を断つ)ても停止しない。運転を停止させる方法には以下の3種類がある。

燃料供給ストップ
主に小型エンジンに多い方法。古い列型ポンプには、手動式やキーオフの状態でモーターが噴射ポンプのスリーブ制御ロッドを直接動かして燃料を絞るものがあるが、分配型以降では、キーオフで「閉」となる電磁が用いられている。ピストンが吸気を圧縮する力で停止するため、振動が出ることと、停止位置が同じになりやすい短所もある。
吸気ストップ
インテークマニホールド直前に置かれたインテークシャッターで吸気を絞る方法。停止は滑らかで、振動が少ない。シャッターのアクチュエーターには、モーターまたは負圧駆動のダイヤフラムが用いられる。
圧縮力の開放
てこなどで給排気バルブを「開」の状態にし、ピストンが吸気を圧縮しないようにする方法。手動でクランキングを行う小型の発動機などでは、始動時の負担軽減のためにデコンプを利用するが、その機構を停止時にも用いるもの。未燃焼ガスや燃料が排出される欠点があり、主流ではない。

エンジンオイル

エンジンオイル#ディーゼル車も参照。 ディーゼルエンジンでは正しく添加剤が加えられたエンジンオイルでないと、シリンダー内の燃料の燃え残った微粒子が、ピストン側面のトップリング付近でエンジンオイルの主成分である鉱物油と結合して沈積物を作り、リングを固着する「リングスティック」という現象が起きる。これを防止する為に、エンジンオイルにはピストンリング付近に溜まる燃え残り、つまり「煤」や「スラッジ」を洗い流してエンジンオイル中に分散させる清浄分散剤が加えられる。また、排気 (EGR) やブローバイガスの還流で、それらに含まれる硫黄などによるでエンジンオイルが変質するのを防ぐ酸化防止剤や、腐蝕防止剤、粘度を適正に保つ粘度指数向上剤も加えられている。

船舶用潤滑油についての詳細はユニフロー掃気ディーゼルエンジン#船舶用を参照。 船舶用ディーゼルは大別して中・高速なトランクピストン式4ストロークと、低速なクロスヘッド式2ストロークに分けられる。前者のトランクピストン式の潤滑油は一般的な高速ディーゼルエンジンに近い。しかし後者のクロスヘッド式は大量に硫黄分の残留するC重油を使う特大型ディーゼルエンジンとなり、シリンダライナ潤滑用のシリンダ油とそれ以外の潤滑を行うシステム油の2種類が存在する特徴がある。シリンダ油は燃焼後に発生する硫酸成分を中和する為に塩基価(アルカリ価)の高い「高アルカリ価シリンダ油」が求められる。中和しないとエンジン内部がすぐに腐食してしまうためである。

エンジンオイルフィルター

ディーゼルエンジンのエンジンオイルは、ガソリンエンジンのものに比べ、早期に多くの微粒子を取り込むため、オイル・フィルターは大型で高効率なものが使われる。一部エンジンでは、本来のオイル流路とは別に設けられた、遠心式や吸着式によるバイパス式フィルターで微粒子を取り除いてオイルパンに戻すものもある。

燃焼残渣の多いC重油を使うクロスヘッド機関では、シリンダー部を潤滑した高アルカリ価シリンダ油は汚すぎてフィルタでも再利用できず廃油となる。その代わりクランク室はシリンダ室とは分離され独立のオイル経路で循環して潤滑される。

真空ポンプ

ディーゼルエンジンは、スロットルバルブが不要なことや吸気脈動が大きいことなどで、ガソリンエンジンと比較してインテークマニホールドでの負圧生成には適していない。そのため、真空倍力式のブレーキブースターを用いるディーゼル車では、Vベルトギヤで駆動する専用の真空ポンプと、負圧貯蔵タンクを備えている。

このポンプの潤滑にはエンジンオイルが兼用される。

ガソリンエンジンとの比較

大型低速であるほどディーゼルエンジンの長所が引き立ち、短所が目立たなくなる傾向にある。逆に小型高速ではガソリンエンジンが有利になる。このため小型車のエンジンはガソリンで、大型車のエンジンはディーゼルになることが多い。鉄道の気動車はディーゼルがほとんどであり、船舶も、軍用や高速船、小型船(20トン未満)の船外機などの例を除き、ディーゼルエンジンであることが一般的である。

ガソリンエンジンは点火方式が「火花点火」、燃焼方式が「均一予混合燃焼」である。あらかじめ燃料を気化させた混合気をシリンダーに吸入、圧縮したのち、電気火花により点火する。均一混合気に満たされた燃焼室に火炎面伝播が発生し燃焼域が半球状に広がって間欠燃焼する。シリンダー直径が大きすぎると火炎伝播速度が間に合わずシリンダーの外周に近い混合気まで点火できなくなるので、シリンダ直径(ボア)に限界(自動車用の場合10cm、容積で800ccほど)がある。一方で予混合燃焼ではPMは発生しない。ただし圧縮行程で燃料噴射する直噴ガソリンエンジンは気化できない液滴の残る不均一な成層燃焼なので、PMが発生する。

ディーゼルエンジンは拡散燃焼なので容積に制限はない。ただし、高圧下の拡散燃焼速度は遅いので大容積エンジンは低回転に限られる。これは、むしろ大型船舶やポンプ、発電機などの大出力エンジンにとって都合が良い。1万馬力を超える巨大出力の歯車減速機は信頼性に乏しいので、低速エンジンの直接出力が求められるため。ただし速度変化の激しい車両には多段変速機が必要になる。

ガソリンエンジンは混合気の吸入量をスロットルバルブによって絞ることで出力を制御するのに対し、ディーゼルエンジンは燃料噴射量だけで出力制御するため、ポンピングロスが少なく、効率が良い。また同じ理由でディーゼルは負荷変動によって空燃比も変わり、全般的にも希薄燃焼であり、理想空燃比は実現できない。これは容積あたりの燃料の充填が少ないことを意味し、気筒容積あたりの出力が低い傾向にあるが、過給により補完できる。特にスロットルがないため低回転から排気量が多いのでターボチャージャーとの相性が良い。

ただし、最近では両者の構成が近づいている。2012年に圧縮比を同じ14にした、高圧縮比ガソリンエンジンと低圧縮比ディーゼルエンジンがマツダから出荷されている。 他社のガソリンエンジンでも吸気可変バルブタイミング機構により吸入量を変えたり、低温多量EGRバルブにより排気と吸気の割合を変えて出力を調整するようになり、スロットルバルブは必須でなくなった。これらの改善のため近年ガソリンエンジンの効率が上昇し、ディーゼルとの差が縮まっている。

さらに事実上、同じ点火、燃焼モードを持つエンジンが開発中である。まず、ガソリン燃料でありながら圧縮比14台で圧縮着火を目標としているHCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition:(均一)予混合圧縮着火) エンジンが開発中であり、通称ディゾットエンジンとも呼ばれる一方で、1995年にはディーゼルエンジンでありながら低負荷領域で予混合を用いる PCCI (Premixed Charged Compression Ignition:(不均一)予混合圧縮着火)が実用済みであるなど、ガソリンとディーゼルエンジンの区分けが曖昧になりつつある。

長所

燃費・効率面

圧縮比が高く、燃焼室内の空気過剰率が大きいため、作動ガスの比熱比が高く図示熱効率が高い(投入したエネルギーに対して燃焼ガスの温度上昇に使われる割合が低い)と言われている。ただし、これは大型低速エンジンの場合であり、高速エンジンでは損失も多い。2010年現在の大型舶用ディーゼルの熱効率が50%に達するのに対し自動車用ディーゼルの熱効率は40%、ガソリン機関の熱効率が30%程度、ガソリンアトキンソンサイクル機関の熱効率は30%台後半である。また重量、負荷変動、速度、変速の効率が加味される自動車の走行パターンを与えた場合には差が縮まる。以下に乗用車用エンジンのトップランナー方式の実効率の報告書の結果を示す。2005年の予備調査のときより2010年の結果のほうがTank to Wheel 効率の差は半分に縮まっている。同じ程度の排気規制を満たすために差が縮まったともいえる。

この報告書の効率の算出方法について、まず燃料を比較すると、軽油はガソリンに比べ、密度が12%大きく、容積あたりの熱量も9%大きい、しかし質量あたりの熱量は5%小さい、熱量あたりの二酸化炭素(CO2)発生量は2.5%多く、質量あたりのCO2発生量は2%少ない、容積あたりのCO2発生量は10%多い。このような燃料の異なるエンジンを燃料の容積や質量単位で比べられないので、生産エネルギーと消費エネルギーを比べている。

このように補正したTank to Wheel 効率ではJC08モードでディーゼルはガソリンより3.5%しか良くない。ただし、10・15モードなら8.5%良い。 さらに Well to Wheel 総合効率のJC08モードの効率とCO2排出量では 11% 良い。さらに Well to Wheel 総合効率の10・15モードのCO2排出量では18% 良い。

まとめると、自動車用ディーゼルは現在の厳しい排気規制の下でもJC08モードの Tank to Wheel 効率ではガソリンエンジンより3.5%エネルギー効率が良いが、軽油の熱量あたりのCO2発生量は2.5%多いため、クルマ単体でのCO2の排出量の差は、ほとんどない。ただし、Well to Wheel 総合効率のJC08モードのCO2排出量で11%良い結論は変わらない。これはガソリンの精製に軽油よりもエネルギーを消費しているためである。

車両用ディーゼルは高速道路の定速走行など負荷が一定の状態なら熱効率どおりにガソリンより3割ほど効率が良い。しかし常用回転域が狭いことから市街地走行のような負荷変動と加減速を含む走行パターンでは一気にガソリンとの差がなくなる。変速が単純な10・15モードの効率がJC08モードより良いことから伺える。

構造・動作面

ディーゼルエンジンには点火装置とスロットルバルブが不用であるため、構造が単純化でき、信頼性が高い。

ディーゼルエンジンは拡散燃焼の範囲であれば圧縮時の筒内が空気だけなので、過給してもプレイグニッションノッキングデトネーションがない。スロットルバルブがないため、低速でも排気が多く、ターボチャージャーとの相性が良く、容積あたりの低出力を補うことができる。更に大型エンジンでは排気エネルギーを出力軸に、より多く回収するターボコンパウンドも可能。

ガソリンエンジンには点火時の火炎の伝播速度によりシリンダ直径に限界があるのに対し、ディーゼルエンジンには限界がないので大型化に適している。ガソリンエンジンでは、多気筒化で排気量を確保して高トルクを得るか、高回転化で出力を上げなければならないのに対し、ディーゼルエンジンでは気筒容積の拡大で可能となり、構造が単純化されフリクションロスも抑えられ、熱効率が高まる。大型エンジンほどディーゼルエンジンの利点が活きる。

ディーゼル燃料の引火点はガソリンに比べて80℃ほど高いため、爆発火災事故に対する余裕が大きい。特に被弾することを前提とした軍用車両で、このメリットが大きい。軍用車両のエンジンは航空燃料のJP-8等と併用することも考慮され、ディーゼル化を進めている。ガスタービン燃料は軽油よりも上質油であるが、燃料を共有することで有事の兵站が合理化される。

逆回転運転
詳細は「2ストローク機関#リード式吸気弁」および「ガソリン直噴エンジン#欠点」を参照

ディーゼルエンジンのうち、4ストローク機関は吸気系統側に掃気用の補機を持たず、噴射ポンプでシリンダー内に直接燃料を噴射する構造の為、(直噴を除く)ガソリンエンジンと異なり始動時に何らかの方法でクランクシャフトを逆方向に回転させることにより、逆回転運転をさせることができる。例えば、自動車の場合は変速機を前進ギアに入れた状態で車体を後進方向に押したり、坂道で下り方向に空走させたりすると、クランクシャフトは逆回転するため、デコンプを開いておくなど始動の予防措置を講じない限りは逆回転状態でエンジンが押しがけ始動してしまうのである。自動車でこのような状態になると、変速機が前進ギアの際に車体は後退し、後進ギアの際に逆に前進が行われる事になる。これは事故や労働災害を誘発する原因になる一方で、その特性を活用する事で変速機を介することなく逆回転のみによる後退運転が可能となることも意味している。

4ストロークディーゼルで逆回転運転が始まった場合、吸排気弁の機能が逆転する為、排気管から吸気し、エアフィルター側に排気が行われる事になる。また、カムシャフトのバルブタイミングや噴射ポンプの噴射タイミングも適切に反転させたものを使用しなければ十分な出力性能が得られない為、自動車ではあまり実用的とはいえないが、中・小型船舶用機関では古くはMANやスルザー、B&Wなどが前進用と後進用の2系統のカムシャフトを油圧などで切り替える事で4ストロークディーゼルの逆回転運転による後退航行を実現しており、航空用エンジンではダイムラー・ベンツ DB 602が同様の機構を有していた。しかし、今日では小型船舶ではこのような逆回転運転機構ではなく、油圧または電動の遠隔操作で断続されるクラッチと後退用ギアボックスを組み込む事で後退航行が行われている。

なお、2ストローク機関では逆回転運転をさせても掃気孔と排気弁または排気孔の機能が逆転せず、掃気ポートタイミングも変化しない為、リードバルブ式ガソリンエンジンでもユニフロー・ディーゼルでも共に逆回転運転は可能であり、ディーゼルエンジン特有の長所とはなっていない。但し、ガソリンエンジンでは逆回転が後退に利用される例は一部のスノーモビル程度に限られているが、ユニフロー・ディーゼルでは大型船舶にて今日でもごく当たり前に後退航行を行う手段として用いられている。

短所

自動車用ディーゼルエンジンの価格はガソリンエンジンの倍になる(国産車の車体価格差で40万-50万円高い)。スロットルと点火装置が要らない代わりに、高価な燃料噴射系と補機類が必要となりエンジン全体は高コストになる。

ディーゼルエンジンの主たる短所は、大きく重く振動が激しいことである。エンジンの出力重量比が悪く、軽量化を要求される航空機ではほとんど採用されていない。圧縮着火のため高空(低温、低気圧)での始動性や信頼性に乏しい。

拡散燃焼なので、黒煙やPMが発生しやすいうえに、燃焼室内が高温高圧かつ希薄燃焼域(軽負荷時は30:1から60:1)で酸素窒素も過多であるためNOxも発生しやすい。排気対策をするにも、排気中の残留酸素が多い酸化性雰囲気では三元触媒を使えないため、PMとNOx対策に別々の後処理装置が必要となり高コスト化する。

健康面

ディーゼル自動車#問題点」を参照

燃費・効率面

高圧縮比のため、ピストンリング面圧、軸受面圧と稼動部品の質量が大きい、高速回転させると摩擦損などでエネルギー損失が急増する。 高圧縮比のため高回転まで回らず、常用回転域が狭いため、車両用には走行速度に応じた変速が必要で、最適な回転数をはずすと効率が低下する。 この2点が調和しないため、自動車用ディーゼル機関は大型舶用ディーゼル機関より大幅に低効率となっている。

構造・動作面

ディーゼルエンジンでは燃料噴射装置が点火装置と出力制御装置を兼ねるため高価になり、燃焼制御も難しい。燃料噴射系がエンジンコストの半分を占める。

高圧縮比であるため、吸排気系の脈動も大きく、こちらの振動や騒音も大きい。船舶用、コジェネレーション用では脈動を抑える為、アキュムレータを備えた物もある。

シリンダーヘッドシリンダーブロックピストンコネクティングロッドクランクシャフトに高い強度剛性が求められ重量が嵩む。

車両には大トルク用の多段変速機が必要となる。副変速込みで18段や24段の手動変速機では、操作が煩雑すぎる。優秀な自動変速機が必要になり、更に重く、高コスト化する。

吸気管負圧を得にくいため、自動車において、ブレーキブースターを別の経路からとる必要がある。高コストの原因となる。

寒冷地では燃料中のパラフィンが析出して燃料フィルターで目詰まりする場合がある。温暖な地域の軽油を入れて寒冷地に移動して駐車していると燃料が流れなくなって始動しなくなる。

ディーゼルエンジンの容積あたりの低出力を過給、ターボチャージャー、ターボコンパウンドなどで補うと、点火装置の単純さが相殺され、高コストになる。

乗用車用ディーゼル機関では振動軽減のため小排気量なのに多気筒化する例があり、気筒容積拡大で大型化できる利点を生かせない。高コストになる。

ディーゼルエンジンの暴走
詳細は「ディーゼルエンジンの暴走」、「en:Diesel engine runaway」、「ディーゼルエンジンの問題」、および「en:Diesel_engine_problems」を参照

インテークにスロットル弁を持たず、アクセルペダルの操作が噴射ポンプの噴射量のみを制御するディーゼルエンジンは、噴射ポンプのリンケージの不具合や調速機の破損などにより燃料供給が過多となった場合、エンジン回転数が過回転となったまま、オペレーターの操作ではエンジン回転数を制御できなくなるディーゼルエンジンの暴走事故が発生する事がある。ディーゼルエンジンの暴走は、ターボチャージャーの軸受部のオイル漏れや過度のブローバイの発生などで霧化したエンジンオイルが吸気系統に大量に混入した場合、あるいは可燃性のガスが充満した空間に稼動状態のディーゼルエンジンが置かれた場合などの外的要因によっても発生しうる。

ガソリンエンジンは燃料装置の不具合、たとえばチョーク弁の誤作動などで燃料の供給が吸入空気量に対して過多となった場合は、点火プラグが失火してエンジンストールを起こすか、著しくドライバビリティが低下していく。ガソリンエンジンでもスロットル弁のリンケージの破損により、エンジン回転数が過回転となったまま制御不能になる

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出典:wikipedia
2018/12/10 18:32

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