ドゥラメンテ (Duramente) は、日本の競走馬。馬名はイタリア語の "duramente" (荒々しく、はっきりと)という音楽用語に由来する。
2015年に皐月賞、日本ダービーの二冠を制し、JRA賞最優秀3歳牡馬に選出された。翌2016年にはアラブ首長国連邦のドバイシーマクラシック (G1)で2着、続いて宝塚記念でも2着となったが、この競走中に競走能力を喪失する怪我を負い、引退して種牡馬となった。
母はエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴで、出産後の10月に死亡したため、最後の産駒であった。祖母エアグルーヴは優駿牝馬・天皇賞(秋)(共にGI)を勝った名馬(1997年JRA賞年度代表馬)で、さらにその母のダイナカールも優駿牝馬を勝っており、母子4代でのGI制覇となった。
ノーザンファーム場長の中島文彦によると、ドゥラメンテは当歳時は骨の成長が早かった反面やや馬体が薄く、クラブでな募集された時には少し繋ぎが硬いところがありすべてのバランスが良かったわけではなかったので、「ある程度じっくりやってくれる厩舎がいい」ということで、美浦トレーニングセンターの堀宣行厩舎への預託を決めたという。
デビュー戦は10月12日の東京競馬場芝1800m戦で1番人気に推されるも出遅れてしまい、2着だった。2戦目は東京の未勝利戦に出走。2着に6馬身差をつけて初勝利。
年が明け2月1日のセントポーリア賞では直線で抜け出すと、2着に5馬身差をつけ圧勝。中1週で共同通信杯を目指すこととなった。共同通信杯でも圧倒的な1番人気に推されるものの、道中では折り合いを欠き、スムーズに運んだリアルスティールに敗れた。次走は馬の状態を優先させ、トライアルを経ずに皐月賞直行をめざし、除外された場合は、青葉賞を経て東京優駿出走を予定していた。賞金的に出場は難しかったものの、出走馬が36年ぶりにフルゲートに満たなかったため、無事出場することとなった。
新たな鞍上にミルコ・デムーロ騎手を迎えて臨んだ4月19日の皐月賞では序盤は後方からのレースとなり、第4コーナーで内側から大外まで大きく斜行(3頭の進路を妨害したため、鞍上のデムーロはレース後開催4日間の騎乗停止処分を受けた。)するが、体勢を立て直すと直線では強烈な末脚を披露し、早め先頭に立った2番人気のリアルスティールを交わし勝利した。
5月31日の第82回東京優駿では単勝1.9倍で1番人気となった。レースでは折り合いが心配されていたが、道中は中団に位置し、直線に入ると坂の途中で先頭に立ち、押し寄せる後続馬をものともせずに押し切り勝利した。これにより、2011年に達成したオルフェーヴル以来、4年ぶり史上23頭目となる春の2冠達成となった。また勝ち時計2分23秒2は父キングカメハメハとディープインパクトが記録した2分23秒3を0.1秒更新するレースレコードとなった。 また、関東所属のダービー馬は2009年に制したロジユニヴァース以来6年ぶり、関東所属のクラシック二冠馬は1997年のサニーブライアン以来、実に18年ぶりとなった。鞍上のデムーロにとっては2003年のネオユニヴァース以来となる二冠達成となった。
東京優駿後、秋に目標とするレースについて、三冠達成がかかる菊花賞、あるいは10月4日にフランスのロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞の2つが浮上した。しかし、ノーザンファーム早来へ放牧されていた際に両橈骨遠位端骨折が発見された。堀調教師のコメントによればドゥラメンテの両脚の関節内へ米粒程度の軟骨片が遊離している状態であり症状としては軽度とされるも、今後について関係者間で協議して手術を行い骨片を摘出することに踏み切ったという。手術によりドゥラメンテの競走能力へ影響が及ぶ懸念は無いと堀調教師はコメントしているが、もとより手術やリハビリ期間だけでも6か月を要し、さらに復帰時期が厳寒期にさしかかるため、より慎重なリハビリメニューをドゥラメンテに施し再起を図った。
東京優駿以降、秋シーズンは全休を余儀なくされたものの皐月賞、東京優駿のクラシック春2冠制覇が大きく評価され、2016年1月6日に行われた2015年度JRA賞受賞馬選考委員会において、投票数291票中285票という圧倒的な得票数で最優秀3歳牡馬に選出された。
2月28日に行われた中山記念で9か月ぶりに復帰。M.デムーロ騎乗で単勝2.1倍1番人気に推され勝利。今後のレースは3月28日にメイダン競馬場で行われるドバイ国際競走出走を予定し、その後の経過によっては凱旋門賞も視野に入れているとコメント。3月3日、ドバイシーマクラシック (芝12ハロン≒2,411m)へ出走することが正式に発表された。
ドバイシーマクラシックでは、馬場入場後右前脚の蹄鉄を落鉄するアクシデントが発生。蹄鉄の打ち直しもうまくいかずそのまま発走し、その影響もあってイギリスのポストポンドの2着に敗れた。
6月26日、3か月ぶりの実戦として宝塚記念に出走し、天皇賞(春)を勝利したキタサンブラックを抑え、単勝1.9倍の1番人気に支持された。しかし、直線で外から伸びを図るも、先に抜けたマリアライトにクビ差及ばず2着に敗れた。その直後に歩様が乱れレース後に下馬し、左前肢ハ行(はこう)とする診断がなされた。吉田俊介は「凱旋門賞への出走はやめます。今後のローテーションについても白紙です」と語り、今後の病状によっては、2016年度も凱旋門賞への出走を事実上見合わせる方向で調整する予定だったが、6月29日、獣医師から競走能力喪失の診断が下され、引退することとなった。
引退後は種牡馬となり、社台スタリオンステーションで繋養されることが決まった。2017年から供用が開始され、同年は種牡馬生活1年目にして国内年間種付頭数の過去最高となる284頭との繁殖牝馬と交配された。翌2018年1月15日にノーザンファームにて初産駒となる鹿毛の牝馬が誕生。母が現役時代にGI3勝を挙げたスイープトウショウだったため、両親のGI勝利数を合計して「五冠ベイビー」と称された。同馬は後にクリーンスイープと命名され、シルクレーシングの所有馬、美浦の国枝栄厩舎の所属馬となっている。2018年もロードカナロアの294頭に次ぐ290頭の繁殖牝馬と交配された。
2020年に初年度産駒がデビュー。6月から始まる中央での新馬戦に先駆け、浦和でデビューしたトーセンウォーリアが4月24日に新馬勝ちを収め、これが産駒の初出走初勝利となった。
2020年6月7日、阪神競馬場の2歳新馬戦でアスコルターレがデビュー勝ちを収め、これが産駒のJRA初勝利となった。
種付け料は2020年度で700万円、2021年度は増額され、エピファネイア、キズナと同額の1000万円となる。
デビュー前の育成調教を担当したノーザンファーム早来厩舎長の林宏樹によると、ドゥラメンテはトップスピードに上がるのが速く、「車に例えるなら、3速を入れたつもりが、6速のスピードに達していたという印象もあります」といい、それでいてキャンターでは安定した走りもできるため、だからこそ直線で爆発的な末脚を使うことができると述べている。ミルコ・デムーロは皐月賞後のインタビューで「(2003年に自身が騎乗して二冠を制した)ネオユニヴァースに似てるね。本当に強い馬」と語り、「馬体がそっくり。それから頭、考え方みたいなものもよく似ている」と評している。
ドゥラメンテが優勝したGI競走で与えられたレーティングは、皐月賞が119、日本ダービーが121を記録した。いずれの競走でも最高となる数値を記録し(日本ダービーのレーティングは2020年にコントレイルが122を記録して更新)、皐月賞においては2005年のディープインパクト、2011年のオルフェーヴルの二頭の牡馬クラシック三冠馬を1ポンド上回った。