ニコニコ動画(ニコニコどうが、略称: ニコ動、ニコニコ)は、ドワンゴが提供している動画共有サービス。事業の拡大につれ、ニコニコ生放送やニコニコ静画など、ニコニコの名を冠し、動画共有サービスの枠を超えた多くの派生サービスが展開されている。従来「ニコニコ動画」という名称はこれらのサービスの総称でもあったが、2012年5月1日に新しい総称である Niconico が発表されて以降、ニコニコ動画は Niconico のサービスのひとつである動画共有サイトという位置づけとなっている。
ニコニコ動画は、日本の代表的な動画共有サイトの1つであり、多くの用語や文化を生み出している。 ニコニコ動画の特徴は、配信される動画の再生時間軸上に対しユーザーがコメントを投稿できる独自のコメント機能であり、その他にもユーザーやアップロード者同士が交流できる機能を数多く備えている。
ほかの動画配信・共有サイトと同様に、配信されている動画の中には著作権者に無断でアップロードされたものもしばしば見られ、ときにそれが問題となる。権利者の訴えにより動画は削除できるが、権利者側が全ての違反動画を把握することは困難である。しかし、その一方で趣向を凝らして自主制作された動画が高い人気を得るなど、独特のコメントシステムもあいまって、独自の文化を築いている。
2007年度グッドデザイン賞受賞。日本オタク大賞2007オタク大賞受賞。2008年にはアルス・エレクトロニカよりプリ・アルス・エレクトロニカ・デジタルコミュニティ部門栄誉賞を授与されている。
株式会社ドワンゴ、取締役の栗田穣崇が運営責任者を務めている。歴代運営責任者には、太田豊紀(元ニコニコ事業本部長)、川上量生(元ドワンゴ代表取締役会長)がいる。
2006年12月12日に実験サービスとしてプレオープンしサービスが開始、2007年1月15日にβバージョンに移行するとともに、初めて運営元がニワンゴであることが明かされた。実質的な開発や運営はドワンゴが行っていた。2007年6月1日にニコニコ普及委員会が発表した「ニコニコ宣言(仮)」において、基本理念が明らかにされている。
「ニコニコ動画」という独特の名称は、サービスの立ち上げ以前には動画サービスは著作権問題による訴訟が発生していたことから「カッコいい言葉ではなく、なるべく怒られにくい言いにくい気が抜ける名前」にすることが考えられ、ドワンゴ会長の川上量生の「明らかにブラックぽいのに、表面だけ取り繕ったようなふざけた名前があるじゃん。ニコニコローンとかニコニコ金融とか。だからニコニコ動画とかさ」という言葉に、西村博之が「それおもしろい! 絶対それ!」と同意したことから決定したという。
niconicoの収益の大部分は、2007年6月入会スタートし7月に課金がスタートしたプレミアム会員収入である(2018年3月期では、ポータル事業の売上の78%がプレミアム会員収入)。その他に2007年7月スタートしたウェブサイト上のバナーや動画上に表示される広告収入、2007年7月スタートした動画に関連する商品を貼り付けて購入ができる「ニコニコ市場」からのアフィリエイト広告収入、2008年10月15日スタートした「ニコニコポイント」からのポイント収入、ニコニコチャンネルの月額有料会員収入がある。
サービス開始初年度である2007年9月期(2006年10月から2007年9月末)のポータル事業は売上196百万円で営業損失は671百万円だった。
その後、プレミアム会員と呼ばれる有料会員の獲得や、広告の募集に注力した結果、2009年12月には単月での黒字化を達成した。2010年5月13日の決算発表会で取締役の夏野剛は、2010年1-3月期に初めて黒字化を達成したと発表した。夏野は、「ユーザー投稿型の動画サービスで黒字化というのは、世界でも聞いたことがない。世界初に近いのではと考えている」と語っている。ちなみに初の通期黒字化を達成した2010年9月期(2009年10月から2010年9月末)のポータル事業は売上6335百万円で営業利益は23百万円だった。2018年3月通期にポータル事業は、再び赤字となった。niconicoの運営会社を統括するカドカワは、プレミアム会員数に依存しない収益要素の強化を目指している。
一般会員登録者数が約5000万人(2015年8月現在)、モバイル会員は623万人(2011年3月31日現在)、プレミアム会員数は約194万人(2018年9月現在)、有料チャンネル総登録者数が70万人(2018年6月現在)。ただし、アカウントは登録するメールアドレスごとに発行されるため、登録メールアドレスを変えれば1人で一般会員用アカウントを複数持つことが可能である。又、アカウント毎に会員費を払えば、プレミアム会員用アカウントを複数持つことも可能であり、複数アカウント所持への制限はない。 サービス開始から1年に満たない2007年11月の時点で、すでに日本全体のトラフィックの約12分の1を占めていたといわれており、その急成長ぶりが窺える。 この急成長に対応するため、ユーザー登録制を導入した当初は、負荷対策のためにサイトに常時アクセスできるユーザー数をID番号によって制限し、サーバ増強に応じて少しずつその制限を緩和してきた。土日祝日のアクセス増などによる負荷対策など、場合によっては一時的に常時アクセス可能なID数を減らす対策がとられることもあった(規制中でも、ニワニュース読者限定で配布された特別なIDを持つ5000名に関しては、常時アクセスが可能となっていた)。現在では、全てのIDで常時ログイン・動画の視聴ができる。 しかし、一方では音楽・映像といったマルチメディアを共有するサイトの性質上、サーバーへの負担は尋常ではないことにより、時間帯によっては、動画の検索や閲覧はおろか、サイト内の移動すら困難な状態になってしまう障害が多発する時期もあった。サイトの増強が追いつかなかった原因は「赤字続きによる資金的な問題」という憶測もあったが、2009年4月の公式コラムによると、当時はデータセンターのサーバ設置スペースに限界があり、足りなかったのが原因としている。 2008年7月までに台湾(中国語)・スペイン語・ドイツ語版が公開された一方で、英語版は長らく公開されることがなかった。これは、トラフィックの急増を懸念してのものだったが、2011年4月17日から英語版の「Niconico β」が正式に稼働した。別サイトとして展開されていた台湾版、英語版は2012年10月19日時点で日本版と同一サイトに統一され、全てのページで日本、台湾、アメリカ合衆国の視聴地域、言語の切り替えに対応している。
株式会社ジャストシステムの2017年4月の月次定点調査結果によると、10代が現在利用しているSNSサービスについて「LINE」が88%と一番多く、2番目が「YouTube」で81%となっており「ニコニコ動画」は20.0%で8番目である。
2018年9月8日のビジネスコラムでは、2017年度の1年間で36万人のプレミアム会員の減少が見られている。その要因としてメジャー化が挙げられており、ニッチなサブカルチャー寄りであるために他動画メディアとの区別があった。しかし、メジャー化による運営供給とユーザー需要のすれ違いが大きくなったのが一因であるとあり、共通した趣味や嗜好のコミュニケーションの場として原点回帰すべきではないかと指摘している。
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