フジテレビ月曜9時枠の連続ドラマ(フジテレビげつようくじわくのれんぞくドラマ)は、フジテレビ(FNS)系列で毎週月曜日の21:00 - 21:54(JST)に放送されているテレビドラマ放送枠である。通称『月9』(げつく、ゲツキュン、げっく)。
1987年4月に創設された、フジテレビの看板ドラマ放送枠である。
30分ドラマとしては1962年9月、開局当初から始まった15分間のトーク番組『スター千一夜』との枠交換で、それまで月曜21:15 - 21:45で放送されていた『レッツ・ゴー三人娘』から始まり、その後単発ドラマ枠の『嫁ぐ日まで』、1964年1月に『気ンなるあいつ』と、4月に海外作品『歌って踊って恋をして(英語版)』を放送、その後は現在も放映されている『ミュージックフェア』を長期にわたって放送した。
1969年から1時間枠で『スパイ大作戦』と『ハワイ5-0』の海外ドラマ枠になり、1971年6月から国内ドラマ枠に転換。1972年初頭の4作品は、『四騎の会ドラマシリーズ』を放映。吉永小百合主演の『愛のはじまるとき』などの現代劇を放送、1974年度は『ふたりは夫婦』で上半期は『マチャアキ・幸代のふたりは夫婦』下半期は出演者が週替わりで『ふたりは夫婦』を放送させた。1975年10月から現代劇枠から勝プロダクション制作(『ご存知!女ねずみ小僧』を除く)の時代劇枠となり、勝新太郎主演の『新・座頭市』などを放送。
1978年7月から松竹制作の刑事ドラマ2作品を放送。鶴田浩二主演の『大空港』がヒットしたが、1980年10月6日をもって、土曜20時へ移動という形で、月曜21時台でのテレビドラマの放送は1987年3月まで6年半中断する。
1980年10月13日からフジテレビ月曜21時台はバラエティ番組の放送枠となり、土曜日の『欽ちゃんのドンとやってみよう』と交換する形で、萩本欽一司会の『欽ちゃんの9時テレビ』の放送後、続く『欽ドン!』シリーズが人気番組となった。1985年の休養からの復帰を境に一時は「視聴率100%男」とまで称された萩本の人気が次第に衰えを見せ始め、1987年3月をもって『欽ドン!』シリーズが終了する。
『オレたちひょうきん族』などバラエティ番組で強みを見せる一方でドラマで苦戦していたフジテレビで編成部長の重村一は、『平岩弓枝ドラマシリーズ』『北の国から』など高年齢の視聴者を対象に高クオリティの名作ドラマを制作していた第一制作部とは一線を画し、新たに創設する「月9ドラマ」枠で編成部主導により編成部企画班にいた亀山千広、前田和也ら20代の若手の発想で若者向けドラマを企画し番組制作会社への外注により制作していくことを思い立つ。こうして1987年4月に新枠第1作となるフジテレビを舞台とした業界ドラマ『アナウンサーぷっつん物語』が放送される。同年8月には、亀山の進言によりドラマでの実績の乏しかった田原俊彦を主演に抜擢して、ニッポン放送を舞台とする業界ドラマ『ラジオびんびん物語』を放送。第2話で同枠初の視聴率20%越えを記録するなど及第点の数字を残して新枠を軌道に乗せた同作は「びんびんシリーズ」としてシリーズ化され、翌年4月期放送の学園ドラマ『教師びんびん物語』は初回視聴率24.9%、平均視聴率22.1%を記録するなど「月9ドラマ」枠の草創期を牽引する人気シリーズとなる。
1987年4月から月曜21時台での連続テレビドラマの放送が6年半ぶりに再開したが、1987年の放送は業界ドラマシリーズ。その後は1クール(3か月)の放送となり、学園ドラマなどを製作する。
1988年より外注から第一制作部を中心とする制作に移行し、山田良明と大多亮が中心となり視聴者層を20代女性に絞って、1月期には山田が企画・プロデュースを手掛けて『男女7人夏物語』『男女7人秋物語』(TBS)を手本に警察を舞台とした定番の刑事ドラマとは異なる「集団恋愛モノ」の青春ラブコメディ『君の瞳をタイホする!』が制作される。同作は徐々に評判を呼んで最終回視聴率21.4%を記録するなど、のちに「トレンディドラマ」と称されることとなるフジテレビドラマの新たな潮流を生み出す契機となる。さらに山田は新たなドラマの潮流には「新しいドラマの書き手が必要不可欠」として「自称35歳以下」のみを応募資格とする公募制の「フジテレビヤングシナリオ大賞」を立ち上げ、第1回の坂元裕二(『東京ラブストーリー』)、第2回の野島伸司(『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』)を皮切りに後年のヒット作を手掛ける脚本家を輩出することとなる。
トレンディドラマなどを製作し、「トレンディ」ブームの火付け役となった。また、ステレオ放送は『101回目のプロポーズ』から(『素顔のままで』 - 『全開ガール』まで)、文字放送は『氷の世界』から(『二千年の恋』など2000年代初頭は例外あり)、データ放送は『西遊記』から(『のだめカンタービレ』を除いて)『鍵のかかった部屋』まで行われた。そして『ビギナー』からはハイビジョンでの撮影が行われている。
1989年の木曜劇場『ハートに火をつけて!』の視聴率が14〜15%と伸び悩んだことで、「もう時代が違ってきている」との山田と大多の共通認識から「イケイケの集団恋愛モノ」から「1対1の内に刺さる恋愛」へと路線転換を図り、1990年の『すてきな片想い』を皮切りに1991年の『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』へと続く「純愛三部作」が制作される。
月9ブームの火付け役となった1991年の『東京ラブストーリー』は、最終回視聴率32.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区。以下同じ)記録し、同年の『101回目のプロポーズ』でも35.7%を記録。また、1993年の『ひとつ屋根の下』は、フジテレビの連続ドラマ史上最高の37.8%を記録した。その後も『あすなろ白書』や『ロングバケーション』、『ラブジェネレーション』などの高視聴率ドラマを連発し、現在の「月9」ドラマの地位を確立した。
全盛期を迎えた1997年には『バージンロード』『ひとつ屋根の下2』『ビーチボーイズ』『ラブジェネレーション』の4作全てが平均視聴率が20%を越えて同年のベスト4を独占し、同年1月期の『バージンロード』第6話から、翌年1月期の『Days』第2話まで、延べ43回連続視聴率20%以上という記録を打ち立てた。
2000年10月期『やまとなでしこ』で、『ラブジェネレーション』以来3年ぶりに30%を突破、2001年1月期の『HERO』では、11話全てで30%以上を記録した。
業界全体がドラマ不況を迎える中で、「月9ドラマ」枠も2002年10月期放送の『ホーム&アウェイ』より視聴率で次第に苦戦を見せ始める。2003年10月期放送の『ビギナー』では、人気俳優・女優のスケジュールを2年先まで仮押さえしてトレンディなラブストーリーを基本に制作してきた方向性を一変し、同枠初の試みとしてヒロインの一般公募を実施して、約1万人の応募者の中から演技経験ゼロだったミムラを「フジテレビを背負って立つ女優」としてヒロイン役に、また特別賞として北村亜里沙と井上訓子を選出する。
2009年以降の視聴率は『HERO』や『ガリレオ』、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(すべて第2シリーズ)など過去の続編作品や前述の『HERO』に加え『PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜』など木村拓哉が主演する作品などは高視聴率を記録する反面、単回で初の一桁台を記録した『婚カツ!』(2009年4月期)や平均視聴率が初の一桁台を記録した『極悪がんぼ』(2014年4月期)以降は、単回や平均で一桁を記録する作品が増え始め、2016年1月期からの王道のラブストーリー3作(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『ラヴソング』『好きな人がいること』)から2017年4月期の『貴族探偵』に至るまでは平均視聴率が10%に満たない状況となった。「最低視聴率記録の更新」ばかりが話題となり、「月9ドラマ」の低迷はフジテレビ自体の業績不振とも相まって「フジテレビ凋落の象徴」とも目されるようになる。2018年1月期の『海月姫』が枠史上最低となる平均視聴率6.1%を記録したことで、同作を最後に王道のラブストーリー路線に一旦区切りをつけることとなる。
2015年1月期放送の『火9』作品『ゴーストライター』が終了し、『火9』が廃枠になった事で、本枠はフジテレビ唯一の21時枠ドラマとなった。フジテレビのドラマ枠の21時枠が月9だけになったのは22年半ぶりのことだった。また同時期には、半世紀以上に渡って放送されたTBS系列の月曜20時台ドラマ『ナショナルゴールデンアワー→ナショナル劇場→パナソニック ドラマシアター→月曜ミステリーシアター』が廃枠になった事で、本枠は在京キー局唯一の「月曜ゴールデン・プライム両枠での1時間連続ドラマ」となった。しかし1年後の2016年4月より、かつて『ドラマチック・サンデー』を編成した日曜21時枠にドラマを再開、1年振りにフジテレビ21時ドラマが2体制となったが、同年10月からは火曜22時のドラマ枠が枠交換の形で同21時からの放送となるため、制作局違いでフジテレビ21時ドラマが3体制となった。しかし、2017年9月を以て日曜21時枠ドラマが廃枠になったため、フジテレビ21時ドラマは2体制に戻る事になり、フジテレビ制作21時ドラマは1年半ぶりに本放送枠のみとなった。
2018年4月期『コンフィデンスマンJP』の企画段階から「今後月9はどういう番組を掲げていくか」を一から検討して組織から人員配置まで改革を実施し、視聴率復調の先駆けとなった同作は平均視聴率8.9%と伸び悩んだものの、映画化され観客動員200万人、興行収入29億円超を記録する大ヒット作品となる。プログレッシブカメラでの製作に完全移行した2018年7月期以降は、かつて「火9」枠で放送されていた刑事ドラマ『絶対零度』シリーズを移した『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』を皮切りに「脱ラブストーリー」路線を打ち出してミステリーや刑事・医療ドラマを中心とした社会派ドラマ枠へと転換を図り、視聴率も安定して2桁を記録するなど復権の兆しを見せている。
2020年は、東京オリンピック開催による編成の都合上、春クールに『SUITS/スーツ2』を7月まで放送し、夏・秋の2クールにかけて『監察医 朝顔2』を放送するという変則的なラインナップが予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による撮影スケジュール遅延のため、4月27日に予定していた『SUITS/スーツ2』第3話以降の放送が延期となり、同日と5月4日は『コンフィデンスマンJP 傑作選』、5月11日からは『鍵のかかった部屋 特別編』が放送された。
2020年4月現在、この改革期の最初の作品『コンフィデンスマンJP』を最後に、「オリジナルドラマ」は製作されていない(元々「火9」で放送されていた『絶対零度シリーズ』を除く)。
「月9」の主題歌に起用された曲の多くは大ヒットを記録、特にCDが爆発的に売れていた90年代は多数の曲がミリオンセラーとなっており、特に「ラブ・ストーリーは突然に」「SAY YES」「君がいるだけで」は250万枚以上(オリコン調べ)を売り上げたほか、「ラブ・ストーリーは突然に」(1991年)、「君がいるだけで」(1992年)、「名もなき詩」(1996年)、「CAN YOU CELEBRATE?」(1997年)、「Can You Keep A Secret?」(2001年)は発売年のオリコン年間シングルランキングで1位を獲得した。
主題歌を担当したことが最も多いアーティストは嵐の6作、次いでMr.Childrenの5作である。また、2012年1月期の『ラッキーセブン』、4月期の『鍵のかかった部屋』では、2クール連続で主題歌を嵐が担当し、この枠で初めて2クール連続で同一アーティストが主題歌を担当した。
現時点において、月9ドラマのレギュラー出演回数が一番多いのは木村拓哉の10回で、次いで中山美穂が7回、三上博史、福山雅治、山下智久がそれぞれ5回で続いている。脚本担当回数が最も多いのは野島伸司の10作で、1988年の『君が嘘をついた』以降2008年の『薔薇のない花屋』まで長きにわたって担当している。他にもこの枠の脚本を多く担当している人物に坂元裕二や北川悦吏子、岡田惠和などがいる。
1988年からは年4本放送、3か月毎にドラマを交替している。交替時期は1月、4月、7月、10月であるが、2008年4月期の『CHANGE』は1か月時期をずらし5月12日スタートとなったため、本来の交替時期である7月も引き続いて放送された。また、2010年4月期の『月の恋人〜Moon Lovers〜』も1か月時期をずらし5月10日スタートとなった。2020年は前述の編成の都合により、春クールに『SUITS/スーツ2』を7月まで放送し(開始は通常通り4月)、夏・秋の2クールにかけて『監察医 朝顔2』を放送するという変則的なラインナップが予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による撮影スケジュール遅延のため、当初の予定より大幅に変更される見通しとなっている。
2017年4月17日開始の『貴族探偵』以後、『月9』初回は、直前の『ネプリーグ』2時間SPの「スペシャルトロッコアドベンチャー」よりステブレレス接続で開始(20時台スポットニュースは内包)。その後2018年4月よりスポットニュースが廃枠になっても、引き続き初回のみステブレレス、以後はジャンクション・ステブレ入り(一部地域を除く)している。
ネット配信については、フジテレビオンデマンドで有料配信されている他、同サイト内の無料配信サービス「FOD見逃し無料」で放送後1週間限定で配信されている(ただし著作権・肖像権管理の都合上、対象外作品あり)。
2019年4月期の『ラジエーションハウス』から2020年1月期の『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』までは、最終話の1週間後に2時間の特別編を放送するのが恒例となっていた。
本節での視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
俳優
女優
俳優
女優
2017年10月期まで
作品名の後の記号で、▲は海外作品、△は時代劇、★は刑事ドラマ、☆は学園ドラマ、●は共同テレビ制作、〇はトレンディドラマ、■は四騎の会ドラマシリーズ、□は業界ドラマシリーズ、◎はのちに映画化された作品を表す。