ブームタウン・ラッツ(The Boomtown Rats)は、アイルランド出身のパンク/ニュー・ウェイヴ・バンド。
同国の代表的なパンク系グループの先駆けとして活動していたが、1980年代に解散。長い沈黙を経た2013年、約27年ぶりに活動を再開した。
メンバー6人全員がアイルランドのダン・レアリー出身。「ブームタウン・ラッツ」というバンド名はウディ・ガスリーの自伝『ギターをとって弦をはれ』(原題: Bound for Glory) に登場するギャングの名前に由来する。著名なバンドになりはしたものの、その業績は皮肉にもリードボーカリストであるボブ・ゲルドフのチャリティー活動の陰となってしまった。
1975年にボーカリストのボブ・ゲルドフを中心にアイルランドのダブリンで結成され、1977年にデビュー。1978年にシングル「Rat Trap」でアイルランド出身のバンドとしては初めて全英1位を獲得し、注目を浴びる。
1979年に全英1位となったシングル「I Don't Like Mondays(哀愁のマンデイ)」は、同年の1月29日にアメリカのサンディエゴの小学校で当時16歳の少女が起こしたライフル乱射事件を描いた曲。タイトルは彼女の犯行動機のひとつが「月曜日が嫌い」だったことによる。銃社会のアメリカで2億丁を越える銃が所有されているなか、頻繁に起こる乱射事件が起こるたびにこの曲がメッセージしている事柄が問われている。日本には1980年・1981年の2回来日公演を行っている。
6人編成であり、複数のリズムを集結させたポリリズムを持つバンドでもある。ゲルドフ曰く「ラッツはパンク感覚と共に抜群のメロデイーラインに恵まれたバンドさ。」とのこと。
ゲルドフは1984年にDo They Know It's Christmas?のリリースなどによる、アフリカの飢餓救済のためのチャリティー企画バンド・エイドを成功させ、さらに米国のUSA for Africa誕生のきっかけにもなり、後の1985年にはバンド・エイドやUSA for Africaを始めとする世界的チャリティーコンサートのライヴエイドも成功させた。こうしてゲルドフが名声を得る一方でバンド活動は停滞、1986年に解散した。
2008年、ギャリー・ロバーツとサイモン・クローらが「The Rats」という名で、ブームタウン・ラッツのクラシックナンバー演奏を主体としたライブ活動を始める。翌2009年以降からボブ・ゲルドフ、ピート・ブリケット、ゲリー・コットらとも断片的にギグを行った。
2013年、ゲルドフ、ロバーツ、ブリケット、クローの4名で正式に再結成を果たし、約27年ぶりに活動を再開した。
2017年、デビュー40周年に向け、33年ぶりにアルバム・リリースを公表。