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一票の格差とは?

この項目は他言語版のWikipediaは出典にならないため、修正・推敲を広く求めています。
(2019年1月)

一票の格差(いっぴょうのかくさ)とは、同一の選挙の選挙区間で有権者数あるいは人口数が異なっていることで1票の価値あるいは選挙区民一人ひとりの価値が異なっていることを指摘する言葉。有権者への権利侵害を指摘する言葉として用いられる。報道機関では「1票の価値」とも表現され、裁判所の判決文や総務省発表資料等では「投票価値の較差」「投票価値の不平等」とも表現されている。

法的根拠の未整備による問題点

一票の価値が小さい選挙区では、価値の大きい選挙区で当選した候補者以上の票を得ていても落選するような事態が、一票の格差の象徴的事例のように取り上げられることがある。一票の格差が大きいほどある選挙区で当選した候補者以上の得票をしても別選挙区では落選するような傾向が起こりやすいことは事実ではあるが、何票を取れば当選・落選するという観点はあくまで副次的・二次的な問題にすぎない。一票の格差がない状態(日本の衆議院小選挙区では一票の価値の差が2倍以内)でも、有権者数や投票率無効票による投票総数の違いや当落線上にいる候補者数の多寡によって当落選上の票数は変動するため、ある選挙区で落選した人より少ない獲得票でも別の選挙区では当選する事態が発生する可能性はある。

「一票の格差」における本質は、議会の裁量が選挙制度における一般的な合理性を有するものとは到底考えられない程度に達しているときや限界を超えている場合の、議会の権限と責任において解決すべき問題に対する不作為を指摘し、有権者への権利侵害を問題視するものである。政治家が、自分たち(の選出した人と)で選挙区を区分することに際して、そこに多数決の弊害による恣意が発生していないかが問題とされる。通常は、人口や有権者数は常に流動するものであるから、選挙区を区分する選挙で一票の価値の差が完全になくなることはまずない。多くの国では一定の年数ごとに区割りを見直すことが法制化され、その年限以内に発生した価値の差程度は容認するものとしているものの、その事務の煩雑さも含めて問題とされている。行政区から独立した選挙区の設定を認めると、区割りの自由度が格段に増大することで格差を劇的に縮小できる反面、恣意的にゲリマンダーを行ったり、その疑いを持たれることも多くなる。逆に、中華人民共和国では、1995年の選挙法改正まで、8倍にのぼる都市と農村との間の一票の格差は、法運用上は問題にならなかった。

このように、問題となる格差・ならない価値の差は各国の法運用によって異なり、格差自体は問題にならなくても、格差を測る基準を定める法運用が問題視されることがある。中華人民共和国では、格差自体は問題にならなかったが、格差問題の有無を判断する法運用の方が問題とされ、2010年に農村と都市の間の格差を是正する法運用に改められた。

区割りの指標

人口数
比較調査した60か国のうち53%が指標としている。選出議員および非有権者(子供など)を含む全ての住民(国民)の代表とする考え方に基づく。人口の格差の許容限度については、具体的な数値的基準を設けている国は25%であり、アメリカのように各選挙区で人口を等しくすることを求める国もある。韓国では各選挙区の人口が全国平均の上下50%を超えると違憲とする判例がある。
なお、日本では、衆議院議員(小選挙区、比例代表選挙区)は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の規定で、日本国民の人口を基準にして、いわゆるアダムズ方式でその均衡を図ることを規定しており、参議院議員(選挙区)及び地方公共団体の議員は、公職選挙法の規定により、人口(外国人を含む。)を基準としてその均衡を図ることとしている。
有権者数
60か国のうち34%が指標としている。選出議員を有権者の代表とする考え方に基づく。イギリスではこの説に基づき選挙区の区割りが行われる。オーストラリアでは、将来予測有権者数もふまえた区割りをしなければならない。シンガポールのように各選挙区の1議席当たり有権者数を全国平均の上下30%以内まで認める国もある。
日本では裁判においては有権者数によって判断されている。
投票者数
選出議員は実際に投票した有権者の代表とする考え方に基づく。ドイツでは、この説に基づき、州選挙区の投票数に応じて開票後に定数配分が行われる。
その他
行政区画や自然境界など地理的な要素を区割りに反映する国も多い。人口密度過疎の度合いに考慮する国も12か国ある。地理的な要素としては、隣接性(contiguity)と緊密性(compactness)が考慮の対象となる国が多い。

各国における一票の格差

日本

日本では、選挙制度の法制化の不十分さや税金の使途の不透明さなど、議員定数歳費にも関連して選挙そのものへの不信感が大きく、1972年12月の衆院選で1976年4月に違憲判決が出る以前より現在まで何度も国政選挙の違憲無効確認が提訴されている。衆議院参議院は、これまで人口(有権者数)が多い地域での議員選出数を増加させたり、人口(有権者数)が少ない地域での議員選出数を減少させたり、区割りを変更したりして一票の格差を是正することに取り組んできた。しかし、政党や議員の利害が絡む問題であり、選挙制度改革とも関連して調整は必ずしも容易ではないため、十分な調整がなされていないと指摘され、抜本的な対策をおこなうべきとする意見もある。

1976年4月30日の東京高裁判決では、一票の格差に絡む選挙訴訟について『「投票の価値」とは、選挙人の投票する権利の価値を選挙人の側から評価した概念であると解することができるところ、それは、畢竟、選挙人の投票が自己の選出しようとする候補者の当選をもたらす可能性の度合い(逆にいえば、死票とならない可能性の度合い)であるということができる』としており、いかにして死票を減らすかという政治的課題についても言及している。

2009年以前と以降とで、最高裁判所の判断に変化が見られる。2009年以前は著しい格差(衆議院で3倍、参議院で6倍ほど)のみを違憲ないし違憲状態としていたが、2009年以降は、一票の格差是正を積極的に促すような判決を下していて、その全てが違憲状態の判決である。ただし、定数配分を違憲ないし違憲状態とする判決においても、事情判決の法理によって選挙そのものは有効とされている。なお、投票価値の不平等が一般的に合理性を欠く状態が違憲状態であり、これが合理的な期間内に是正されない場合に違憲であるとされている。また、2009年以前は一票の格差を問題視する住民は最大格差となっている選挙区で一票の格差を訴訟を提起していたが、2009年以降は一票の格差を問題視する住民は最大格差となっている選挙区のみの訴訟だけではなく、各高等裁判所管内の選挙区でも一票の格差の訴訟を提起し、各高裁において違憲又は違憲状態判決の数を背景に最高裁に判断を迫るという手法を取ってきている。公職選挙法第33条の2第7項で一票の格差に関する無効訴訟中は補欠選挙が行えないが、訴訟対象の選挙区が多くなったため、補欠選挙が早期に実施できない事態を招きやすい結果となっている。

衆議院の「一票の格差」問題

1947年以降の中選挙区制時代の衆議院では格差を解消するために選挙制度審議会の答申等を受けて、議員定数等について1964年に「19増」、1975年に「20増」、1986年に「8増7減」、1992年に「9増10減」の是正が行われた。

1994年に小選挙区制が導入されて「300選挙区再編」されて以降は選挙区画定審議会を設置し格差が2倍以上にならないことを目標にしているが、これは達成されていない。都道府県にまず議席を配分する基礎配分方式(1人別枠方式)と最大剰余方式を組み合わせていることが障害となっており、現状の方式を続ける限り実現は難しいといわれる。1人別枠方式は、結果的に人口の少ない地域の一票の重みを増大させており、票の格差を巡る裁判の判決において格差の要因であると指摘されている。格差を解消するために2002年に「5増5減」の是正が実施された。

2000年国勢調査に基づく選挙区改定では、同審議会は(1)都道府県ごとの議席配分に増減が生じた場合、(2)都道府県ごとの議席配分に増減が生じなかった場合は選挙区の人口が議員1人当たりの人口(全国平均)の3分の4(1.333…)を上回った選挙区あるいは3分の2(0.666…)を下回った選挙区が存在した場合、(3)市町村合併があった場合で市町村ごとに選挙区の分断現象が生じた場合を対象に主な見直しを行った。その結果、改定時においても1人別枠方式の存在により都道府県ごとの議員1人当たりの人数が議員1人当たりの人口(全国平均)の3分の2を下回る県が生じてしまい、改定時から必然的に議員一人当たりの2倍以上の格差が生じることとなった。1人別枠方式について、2011年3月に最高裁判所大法廷は、導入当時(1994年)の激変緩和のための経過措置としては容認しうるものの、2009年総選挙の時点においてもはや合理性を有しておらず、憲法違反となっているとの判断を行った。なお、議員1人当たりの人口(全国平均)の3分の4を上回った選挙区あるいは3分の2を下回った選挙区という基準で選挙区の改定を行っているのは同枠内に仮にすべての選挙区の人口がおさまれば1票の格差が2倍以内にとどまることになるからである。

2011年3月の最高裁判決を受けて、選挙区是正が焦点となったが、各党が自党に有利な選挙制度にする思惑から様々な駆け引きが行われたため国会で法改正が進まなかった。最高裁判決から1年6ヶ月後の2012年11月16日に、小選挙区の1人別枠方式の規定削除と「0増5減」の選挙区見直しを定めた法案が国会で成立した。しかし、1人別枠方式は実質的に残されている。

2012年12月16日に投開票された第46回衆議院議員総選挙には、新たな選挙区の線引きが間に合わないため、2009年総選挙の違憲状態が解消されない状態で行われた。これにより、2013年3月25日に広島高裁に訴えのあった広島県第1区広島県第2区について、約半年の猶予期間を経てから選挙無効の効力生じる手法を用いて国選選挙において戦後初の選挙無効判決が出て(従来は全て「違憲状態又は違憲だが選挙は有効」という判決であった)、翌3月26日には広島高裁岡山支部に訴えのあった岡山県第2区について、猶予期間なしに選挙無効判決が出た。しかし、2013年11月20日に最高裁大法廷は「違憲状態」としながらも選挙自体は有効である判決を下した。

2017年6月9日、小選挙区数を6つ削減し、13都道府県でも1票の格差が2倍未満になるように「0増6減」の選挙区見直しを定めた法案が国会で成立した。

しかし、2018年12月27日総務省が発表した「平成30年9月登録日現在選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数」によれば、衆議院小選挙区別登録者数は、最多が東京都第13区476,662人、最少が鳥取県第1区237,823人となり、登録者数の最大格差が2.004倍となり、2倍を超えた。翌年発表の同統計においても、2倍を超えた状態となっている。

選挙人名簿登録者数及び在外選挙人名簿登録者数
(2019年9月登録日現在)
【位】
多い選挙区
【人数】
【位】
少ない選挙区
人数
1 | 東京都第13区 | 478,730 | 1 | 鳥取県第1区 | 234,957
2 | 東京都第10区 | 478,179 | 2 | 鳥取県第2区 | 237,285
3 | 東京都第8区 | 477,906 | 3 | 宮城県第4区 | 239,329
4 | 東京都第17区 | 476,195 | 4 | 長崎県第3区 | 240,248
5 | 東京都第9区 | 476,086 | 5 | 栃木県第3区 | 243,323
衆議院議員総選挙当日有権者数 最多選挙区及び最少選挙区
【年】
最多選挙区
【人数】
最少選挙区
【人数】
【2倍超区数】
最大格差
(大選挙区,議員1人あたり)
第22回衆議院議員総選挙(1946年) | 東京都第1区 | 133,730 | 愛媛県全県区 | 85,207 | 0 | 1.5694倍
(中選挙区,議員1人あたり)
第23回衆議院議員総選挙(1947年) | 東京都第1区 | 115,122 | 愛媛県第1区 | 70,103 | 0 | 1.6422倍
第24回衆議院議員総選挙(1949年) | 東京都第1区 | 146,585 | 群馬県第1区 | 70,135 | 1 | 2.0901倍
第25回衆議院議員総選挙(1952年) | 東京都第1区 | 188,162 | 群馬県第1区 | 73,578 | 43 | 2.5573倍
第26回衆議院議員総選挙(1953年) |  |  |  |  |  | 
第27回衆議院議員総選挙(1955年) |  |  |  |  |  | 
第28回衆議院議員総選挙(1958年) |  |  |  |  |  | 
第29回衆議院議員総選挙(1960年) |  |  |  |  |  | 
第30回衆議院議員総選挙(1963年) |  |  |  |  |  | 
第31回衆議院議員総選挙(1967年) |  |  |  |  |  | 
第32回衆議院議員総選挙(1969年) |  |  |  |  |  | 
第33回衆議院議員総選挙(1972年) | 千葉県第1区 | 394,950 | 兵庫県第5区 | 79,172 |  | 4.987倍
第34回衆議院議員総選挙(1976年) |  |  |  |  |  | 3.50
第35回衆議院議員総選挙(1979年) |  |  |  |  |  | 3.94
第36回衆議院議員総選挙(1980年) |  |  |  |  |  | 4.40
第37回衆議院議員総選挙(1983年) |  |  |  |  |  | 
第38回衆議院議員総選挙(1986年) |  |  |  |  |  | 
第39回衆議院議員総選挙(1990年) |  |  |  |  |  | 
第40回衆議院議員総選挙(1993年) |  |  |  |  |  | 
(小選挙区)
第41回衆議院議員総選挙(1996年) | 神奈川県第14区 | 446,970 | 島根県第3区 | 192,999 | 62選挙区 | 2.316倍
第42回衆議院議員総選挙(2000年) | 神奈川県第14区 | 471,445 | 島根県第3区 | 191,241 | 87選挙区 | 2.465倍
第43回衆議院議員総選挙(2003年) | 千葉県第4区 | 459,501 | 徳島県第1区 | 213,689 | 27選挙区 | 2.150倍
第44回衆議院議員総選挙(2005年) | 東京都第6区 | 465,181 | 徳島県第1区 | 214,235 | 33選挙区 | 2.171倍
第45回衆議院議員総選挙(2009年) | 千葉県第4区 | 487,837 | 高知県第3区 | 211,750 | 45選挙区 | 2.304倍
第46回衆議院議員総選挙(2012年) | 千葉県第4区 | 495,212 | 高知県第3区 | 204,196 | 72選挙区 | 2.425倍
第47回衆議院議員総選挙(2014年) | 東京都第1区 | 492,025 | 宮城県第5区 | 231,081 | 13選挙区 | 2.129倍
第48回衆議院議員総選挙(2017年) | 東京都第13区 | 472,423 | 鳥取県第1区 | 238,771 | 0選挙区 | 1.979倍


国勢調査人口 最多選挙区及び最少選挙区
【年】
最多選挙区
【人数】
最少選挙区
【人数】
【2倍超区数】
最大格差
1995年(平成7年) | 神奈川県第14区 | 570,597 | 島根県第3区 | 247,147 | 60選挙区 | 2.309倍
2000年(平成12年)
※2002年区割変更前 | 神奈川県第7区 | 607,520 | 島根県第3区 | 236,103 | 95選挙区 | 2.573倍
2000年(平成12年)
※2002年区割変更後 | 兵庫県第6区 | 558,958 | 高知県第1区 | 270,755 | 9選挙区 | 2.064倍
2005年(平成17年) | 千葉県第4区 | 569,835 | 高知県第3区 | 258,681 | 48選挙区 | 2.203倍
2010年(平成22年)
※2013年区割変更前 | 千葉県第4区 | 609,040 | 高知県第3区 | 241,265 | 97選挙区 | 2.524倍
2010年(平成22年)
※2013年区割変更後 | 東京都第16区 | 581,677 | 鳥取県第2区 | 291,103 | 0選挙区 | 1.998倍
2015年(平成27年) | 北海道第1区 | 589,501 | 宮城県第5区 | 270,871 | 31選挙区 | 2.176倍

参議院の「一票の格差」問題

参議院は改革協議会の下に専門委員会を設置し議論しているが、衆議院に比べて是正は遅れている。参議院の場合は都道府県単位の選挙区設定と選挙区選出議員の定数設定が偶数に限られる事情から一票の格差について構造的問題を抱えている。1947年の第1回参院選時における最大の一票の格差の事例は宮城県選挙区(定数2)と鳥取県選挙区(定数2)の格差が2.62倍であった。1994年に「8増8減」、2000年に「0増6減」、2006年と2012年に「4増4減」を実施した。2018年7月18日には「2増」する法案が国会で成立し、2019年の参議院議員選挙から適用された。

解決策として、例えば、大幅な定数増加によって選挙区定数配分の柔軟性を向上させ有権者数の多い都道府県選挙区に重点的に定数を増加させる案、有権者数が少ない県を中心に選挙区を合区する案、有権者数が多い都道府県を分区する案、さらに多くの都道府県選挙区を合区した上での地方ブロック単位大選挙区制案ないしは比例代表制案等のより大きな改革も検討されてきたが、各議員の事情や政党間の利害の対立もあって進展していない。

大幅な定数増加による挙区定数配分の柔軟性を向上させ有権者数の多い都道府県選挙区に重点的に定数を増加させると、最も有権数が少ない鳥取県選挙区の改選数1人に対し、最も有権者数が多い東京都選挙区は改選数が少なくとも20人を超えるなどして有権者数の多い都道府県選挙区で多数の改選数となるため、候補者数が乱立して有権者にわかりづらくなる懸念や議員定数増加で国庫財政危機の中での議員歳費増加批判が起こることもあり、積極的な案として盛り込まれていない。有権者数が多い都道府県を分区する案は候補者乱立懸念を減らすことができるものの、都道府県単位を基調とする選挙制度を崩すことになることや前述のように議員歳費増加批判が起こることもあり、積極的な案として盛り込まれていない。

都道府県単位の選挙区設定について有権者数の少ない選挙区を合区すると一票の格差が是正されるため、そうした合区もたびたび提唱されるが、これには賛否両論がある。過去には最高裁では1977年参院選に関する1983年判決では「都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し一つの政治的まとまりを有する単位としてとらえうることに照らし、これを構成する住民の意思を集約的に反映させるという意義ないし機能を加味しようとしたものである」とし、2001年参院選に関する2004年判決の法廷意見に付された5名の判事による補足意見では「(合区した場合には)地域社会の歴史的成り立ちや政治的、経済的、社会的な結び付き、地域住民の住民感情等からかけ離れた選挙区割りとなり、政治的にまとまりのある単位を構成する住民の意思を集約的に反映させることにより地方自治の本旨にかなうようにしていこうとする従来の都道府県単位の選挙区が果たしてきた意義ないし機能が果たされなくなるおそれがある」とそれぞれ述べられており、合区が行われない現状に理解を示していた。

しかし、2010年参院選に関する最高裁の2012年判決では「(都道府県を)参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、むしろ、都道府県を選挙区の単位として固定する結果、その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では、上記の仕組み自体を見直すことが必要になるものといわなければならない」「人口の都市部への集中による都道府県間の人口較差の拡大が続き、総定数を増やす方法を採ることにも制約がある中で、このような都道 府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の実現を図るという要求に応えていくことは、もはや著しく困難な状況に至っているものというべきである」「単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ、できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる前記の不平等状態を解消する必要がある」として、都道府県単位を選挙区とする選挙制度に否定的見解を述べた。

かつては定数2の選挙区が定数4の選挙区より有権者が多い逆転現象も存在していた。

参議院に関しては、アメリカ合衆国上院の制度のように、各都道府県から同人数の代表を選出する方式を採用すべきだという意見もある。これは1946年(昭和21年)12月に、地方区選挙制が盛り込まれた参議院選挙法案が貴族院に提出された時の趣旨説明で大村清一内務大臣は「参議院の地方選出議員は地域代表的性格を持つ」と明言していたことから、各都道府県の同価値性を強調することで一票の格差という問題概念を理念的に無視するものである。しかし、この制度を導入すると、国会議員が地域(都道府県)代表としての性質を有することを理由として国民個々のもつ投票価値に大きな差異を生じさせることになるため、憲法第14条の平等権規定と憲法第43条に定められた「国会議員は全国民の代表者」という規定に反するおそれが強いことを指摘されている。そのため、このような制度は憲法改正をしない限り導入しえないともいわれる。

2015年の法改正では2012年の最高裁判決を踏まえて、有権者数の少ない4つの選挙区を2つの合区とすることを含めた「10増10減」が成立し、参議院初の選挙区の合区が実施されたことで、参議院合同選挙区が創設された。

2018年の法改正では「2増0減」が成立した。その際に、2つの参議院合同選挙区が創設されたことにより、参議院に選出されない可能性がある県の代表者を参議院に確実に輩出することを意図した自民党の意向が国会で反映されたことにより、2019年7月第25回参議院選挙から参議院比例区で政党等の判断で拘束名簿式の「特定枠」として上位に設定することが可能となり(なお、特定枠に掲載された候補者は候補者名を冠した選挙運動を行うことができず、特定枠に掲載された候補者は政党票としてカウントされる)、参議院比例区では拘束名簿式非拘束名簿式の両方が混合することになり、参議院合同選挙区は参議院比例区の選挙制度にも影響を与えている。

選挙人名簿登録者数及び在外選挙人名簿登録者数 全選挙区(2019年9月登録日現在)
【選挙区】
【定数】
【登録者数】
一票の格差
北海道選挙区 | 6人 | 4,539,315人 | 2.34 倍
青森県選挙区 | 2人 | 1,103,601人 | 1.7 倍
岩手県選挙区 | 2人 | 1,060,883人 | 1.64 倍
宮城県選挙区 | 2人 | 1,937,662人 | 2.99 倍
秋田県選挙区 | 2人 | 864,922人 | 1.34 倍
山形県選挙区 | 2人 | 925,589人 | 1.43 倍
福島県選挙区 | 2人 | 1,602,316人 | 2.48 倍
茨城県選挙区 | 4人 | 2,436,429人 | 1.88 倍
栃木県選挙区 | 2人 | 1,637,670人 | 2.53 倍
群馬県選挙区 | 2人 | 1,631,895人 | 2.52 倍
埼玉県選挙区 | 8人 | 6,137,989人 | 2.37 倍
千葉県選挙区 | 6人 | 5,261,723人 | 2.71 倍
神奈川県選挙区 | 8人 | 7,673,349人 | 2.96 倍
山梨県選挙区 | 2人 | 694,850人 | 1.07 倍
東京都選挙区 | 12人 | 11,455,281人 | 2.95 倍
新潟県選挙区 | 2人 | 1,911,948人 | 2.95 倍
富山県選挙区 | 2人 | 892,060人 | 1.38 倍
石川県選挙区 | 2人 | 953,912人 | 1.47 倍
福井県選挙区 | 2人 | 647,328人 | 1 倍
長野県選挙区 | 2人 | 1,746,658人 | 2.7 倍
岐阜県選挙区 | 2人 | 1,676,040人 | 2.59 倍
静岡県選挙区 | 4人 | 3,077,274人 | 2.38 倍
愛知県選挙区 | 8人 | 6,128,828人 | 2.37 倍
三重県選挙区 | 2人 | 1,499,073人 | 2.32 倍
滋賀県選挙区 | 2人 | 1,153,448人 | 1.78 倍
京都府選挙区 | 4人 | 2,122,422人 | 1.64 倍
大阪府選挙区 | 8人 | 7,330,008人 | 2.83 倍
兵庫県選挙区 | 6人 | 4,612,732人 | 2.38 倍
奈良県選挙区 | 2人 | 1,147,656人 | 1.77 倍
和歌山県選挙区 | 2人 | 817,073人 | 1.26 倍
岡山県選挙区 | 2人 | 1,584,025人 | 2.45 倍
広島県選挙区 | 4人 | 2,343,306人 | 1.81 倍
山口県選挙区 | 2人 | 1,163,680人 | 1.8 倍
香川県選挙区 | 2人 | 822,634人 | 1.27 倍
愛媛県選挙区 | 2人 | 1,161,992人 | 1.8 倍
福岡県選挙区 | 6人 | 4,238,100人 | 2.18 倍
佐賀県選挙区 | 2人 | 683,313人 | 1.06 倍
長崎県選挙区 | 2人 | 1,137,790人 | 1.76 倍
熊本県選挙区 | 2人 | 1,473,567人 | 2.28 倍
大分県選挙区 | 2人 | 969,966人 | 1.5 倍
宮崎県選挙区 | 2人 | 914,814人 | 1.41 倍
鹿児島県選挙区 | 2人 | 1,360,164人 | 2.1 倍
沖縄県選挙区 | 2人 | 1,166,317人 | 1.8 倍
鳥取県・島根県選挙区 | 2人 | 1,043,327人 | 1.61 倍
徳島県・高知県選挙区 | 2人 | 1,245,897人 | 1.92 倍
参議院議員通常選挙当日有権者数(議員1人あたり) 最多選挙区及び最少選挙区
【年】
最多選挙区
【人数】
最少選挙区
【人数】
格差
第11回参議院議員通常選挙(1977年) | 神奈川県選挙区 | 1,113,463 | 鳥取県選挙区 | 211,507 | 5.264倍
第12回参議院議員通常選挙(1980年) | 神奈川県選挙区 | 1,171,382 | 鳥取県選挙区 | 217,992 | 5.374倍
第13回参議院議員通常選挙(1983年) | 神奈川県選挙区 | 1,238,208 | 鳥取県選挙区 | 222,848 | 5.556倍
第14回参議院議員通常選挙(1986年) | 神奈川県選挙区 | 1,320,491 | 鳥取県選挙区 | 225,601 | 5.853倍
第15回参議院議員通常選挙(1989年) | 神奈川県選挙区 | 1,431,227 | 鳥取県選挙区 | 229,034 | 6.249倍
第16回参議院議員通常選挙(1992年) | 神奈川県選挙区 | 1,527,439 | 鳥取県選挙区 | 231,933 | 6.586倍
第17回参議院議員通常選挙(1995年) | 東京都選挙区 | 1,177,394 | 鳥取県選挙区 | 236,919 | 4.970倍
第18回参議院議員通常選挙(1998年) | 東京都選挙区 | 1,197,651 | 鳥取県選挙区 | 240,722 | 4.975倍
第19回参議院議員通常選挙(2001年) | 東京都選挙区 | 1,233,477 | 鳥取県選挙区 | 244,913 | 5.036倍
第20回参議院議員通常選挙(2004年) | 東京都選挙区 | 1,264,178 | 鳥取県選挙区 | 246,218 | 5.134倍 <
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出典:wikipedia
2020/07/11 01:55

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