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不確定性原理とは?

不確定性原理

序論 · 数学的定式化
背景
古典力学
前期量子論
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量子状態 · 波動関数
重ね合わせ · 可観測量
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関連項目
散乱理論
相対論的量子力学
場の量子論
量子情報
量子カオス
科学者
ベルボームボーアボルンボースド・ブロイディラックエーレンフェストエヴェレットファインマンハイゼンベルクヨルダンクラマースフォン・ノイマンパウリプランクシュレーディンガーゾンマーフェルトヴィーンウィグナー


不確定性原理(ふかくていせいげんり、: Unschärferelation : Uncertainty principle)は、量子力学に従う物理量A^{\displaystyle {\hat {A}}}を観測したときの不確定性と、同じ系で別の物理量B^{\displaystyle {\hat {B}}}を観測したときの不確定性が適切な条件下では同時に0になる事はないとする一連の定理の総称である。特に重要なのはA^{\displaystyle {\hat {A}}}B^{\displaystyle {\hat {B}}}がそれぞれ位置と運動量のときであり、狭義にはこの場合のものを不確定性原理という。

このような限界が存在するはずだという元々の発見的議論がハイゼンベルクによって与えられたため、これはハイゼンベルクの原理という名前が付けられることもある。しかし後述するようにハイゼンベルグ自身による不確定性原理の物理的説明は、今日の量子力学の知識からは正しいものではない。

今日の量子力学において、不確定性原理でいう観測は日常語のそれとは意味が異なるテクニカル・タームであり、観測機のようなマクロな古典的物体とミクロな量子物体との間の任意の相互作用を意味する。したがって例えば、実験者が観測機に表示された観測値を実際に見たかどうかといった事とは無関係に定義される。また不確定性とは、物理量を観測した時に得られる観測値の標準偏差を表す。

不確定性原理が顕在化する現象の例としては、原子(格子)の零点振動(このためヘリウムは、常圧下では絶対零度まで冷却しても固化しない)、その他量子的なゆらぎ(例:遍歴電子系におけるスピン揺らぎ)などが挙げられる。

目次

  • 1 観察者効果との混同
  • 2 不確定性原理の概要
  • 3 厳密な定式化
    • 3.1 予備知識
    • 3.2 オブザーバブルの定義域
    • 3.3 不確定性の定義
    • 3.4 ロバートソンの不等式
    • 3.5 L(R) における位置と運動量に関する不確定性原理
    • 3.6 ロバートソンの不等式の証明
  • 4 反例
    • 4.1 反例となる作用素
    • 4.2 Q^′{\displaystyle {\hat {Q}}'}の定義域
    • 4.3 P^′{\displaystyle {\hat {P}}'}の定義域
    • 4.4 不等式の右辺
    • 4.5 不等式の左辺が0になる関数
    • 4.6 どの条件に反しているか
  • 5 小澤の関係式
  • 6 時間とエネルギーの不確定性関係
  • 7 歴史
  • 8 引用
  • 9 文献
    • 9.1 引用文献
    • 9.2 その他関連書籍
  • 10 関連項目
  • 11 外部リンク

観察者効果との混同

歴史的に、不確定性原理は観察者効果と呼ばれる物理学におけるいくらか似た効果と混同されてきた。観察者効果とは、系を測定する行為それ自身が系に影響を与えてしまうというものである。

量子力学が成立するミクロな世界が測定による観測者効果で「揺動」してしまうという説明は、ハイゼンベルグ自身が当初不確定性原理に対して与えたものであり、今日において(専門家向けの教科書にはともかく、素人向けの啓蒙書等では)繰り返し出てくるものの、根本的に誤解を招く恐れのあることが現在は知られている。

「不確定性原理は実際には量子系の基本的特性を述べており、現代のテクノロジーにおける測定精度の到達点ついて述べたものではない」。不確定性原理は全てののような系にもともと備わっている特性であること、不確定性は単純に全ての量子物体の物質波の性質によって現われることが今日の量子力学ではわかっている。

以上のように不確定性原理は量子状態そのものが持っている不確定性であり、測定器の誤差と測定による反作用との不確定性とは区別して考えなければならない。量子論での時間発展や測定についての基本的要請をすべてを使って展開できる量子測定理論を用いて、ハイゼンベルクの考察した「測定精度と反作用に関する不確定性原理」ははじめて導けるが、その結果得られる不等式の下限はケースバイケースで変わることが判っている。後述する小澤の不等式などがその1つである。

不確定性原理の概要

不確定性原理で特に重要になるのは、物理量A^である。なお本項ではH13に従い、不確定性をΔψQ^jにおいて(純粋)量子状態は状態空間H{\displaystyle {\mathcal {H}}}という複素内積ベクトル空間(ヒルベルト空間)における長さ1のベクトル(状態ベクトル)として記述され、物理量(オブザーバブルと呼ぶ)はH{\displaystyle {\mathcal {H}}}上の自己共役作用素として定式化される。

粒子がn個ある系の場合H{\displaystyle {\mathcal {H}}}は、3n次元空間R3n={(x1,,x3n)}{\displaystyle \mathbf {R} ^{3n}=\{(x_{1},\ldots ,x_{3n})\}}上の複素数値の自乗可積分函数全体の空間と同一視でき、このようにみなした場合、状態ベクトルのことを波動関数と呼ぶ。xj{\displaystyle x_{j}}軸方向の位置作用素Q^j{\displaystyle {\hat {Q}}_{j}}運動量作用素P^j{\displaystyle {\hat {P}}_{j}}はそれぞれ

Q^jψ(x)=xjψ(x){\displaystyle {\hat {Q}}_{j}\psi (x)=x_{j}\psi (x)}
P^jψ(x)=-ixjψ(x){\displaystyle {\hat {P}}_{j}\psi (x)=-i\hbar {\partial \over \partial x_{j}}\psi (x)}

により定義される。ここで{\displaystyle \hbar }換算プランク定数である。

オブザーバブルの定義域

詳細は「量子力学の数学的定式化」を参照

不確定性原理を定式化する準備として、オブザーバブルの定義域に関して述べる。後でみるように、不確定性原理を厳密に定式化する際、オブザーバブルの定義域に関して細心の注意を払わないと、反例がつくれてしまうからである。

まず運動量作用素と位置作用素の定義域に関して調べる。定義から分かるように、運動量作用素は波動関数が微分可能な場合しか定義できないが、自乗可積分関数の中には微分可能でないものもあるので、運動量作用素は状態空間H{\displaystyle {\mathcal {H}}}の全域では定義できず、H{\displaystyle {\mathcal {H}}}の部分空間でのみ定義された作用素である。また位置作用素に関しても、Q^jψ(x)=xjψ(x){\displaystyle {\hat {Q}}_{j}\psi (x)=x_{j}\psi (x)}が常に自乗可積分関数になるわけではないので、Q^jψ(x)=xjψ(x){\displaystyle {\hat {Q}}_{j}\psi (x)=x_{j}\psi (x)}が自乗可積分関数になるようなψ(x){\displaystyle \psi (x)}に対してしか位置作用素を定義できない(そうしないとQ^j{\displaystyle {\hat {Q}}_{j}}の値域がH{\displaystyle {\mathcal {H}}}からはみ出してしまうので、Q^j{\displaystyle {\hat {Q}}_{j}}H{\displaystyle {\mathcal {H}}}上の自己共役作用素にならない)。こうした事情から量子力学では、オブザーバブルA^{\displaystyle {\hat {A}}}H{\displaystyle {\mathcal {H}}}の部分空間でのみでしか定義されていないケースをも許容し、代わりに定義域Dom(A^)H{\displaystyle \mathrm {Dom} ({\hat {A}})\subset {\mathcal {H}}}H{\displaystyle {\mathcal {H}}}で稠密になる事を要請する

オブザーバブルA^{\displaystyle {\hat {A}}}H{\displaystyle {\mathcal {H}}}の部分空間でのみでしか定義されない事を許容した事が原因で、2つのオブザーバブルA^{\displaystyle {\hat {A}}}B^{\displaystyle {\hat {B}}}交換子

[A^,B^]ψ:=A^B^ψ-B^A^ψ{\displaystyle [{\hat {A}},{\hat {B}}]\psi :={\hat {A}}{\hat {B}}\psi -{\hat {B}}{\hat {A}}\psi }

も常に定義できるとは限らない。実際、積A^B^ψ{\displaystyle {\hat {A}}{\hat {B}}\psi }

ψDom(B^){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {B}})}でしかもB^ψDom(A^){\displaystyle {\hat {B}}\psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})}

のときしか意味を持たないし、B^A^ψ{\displaystyle {\hat {B}}{\hat {A}}\psi }にも同様の制約が課せられる。結局[A^,B^]ψ:=A^B^ψ-B^A^ψ{\displaystyle [{\hat {A}},{\hat {B}}]\psi :={\hat {A}}{\hat {B}}\psi -{\hat {B}}{\hat {A}}\psi }が意味を持つのは、

ψDom(A^)Dom(B^){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})\cap \mathrm {Dom} ({\hat {B}})}B^ψDom(A^){\displaystyle {\hat {B}}\psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})}A^ψDom(B^){\displaystyle {\hat {A}}\psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {B}})}

が全て成り立つときのみである。

不確定性の定義

状態空間H{\displaystyle {\mathcal {H}}}上2つの元ψχに対し、ψχの内積をψ,χ{\displaystyle \langle \psi ,\chi \rangle }と書き表し、さらに

ψ:=ψ,ψ{\displaystyle \|\psi \|:={\sqrt {\langle \psi ,\psi \rangle }}}

とする。オブザーバブルA^{\displaystyle {\hat {A}}}と状態ベクトルψDom(A^){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})}に対し、

A^ψ:=ψ,A^ψ{\displaystyle \langle {\hat {A}}\rangle _{\psi }:=\langle \psi ,{\hat {A}}\psi \rangle }

と定義し、さらにA^{\displaystyle {\hat {A}}}ψDom(A^){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})}に対する不確定性

ΔψA^:=(A^-A^ψI)ψ{\displaystyle \Delta _{\psi }{\hat {A}}:=\|({\hat {A}}-\langle {\hat {A}}\rangle _{\psi }I)\psi \|}

により定義する。ここでI単位行列である。A^ψ{\displaystyle \langle {\hat {A}}\rangle _{\psi }}ΔψA^{\displaystyle \Delta _{\psi }{\hat {A}}}は物理的にはそれぞれ、状態ψ{\displaystyle \psi }にある系でA^{\displaystyle {\hat {A}}}を観測した時に得られる観測値の平均値と標準偏差である。

ロバートソンの不等式

A^{\displaystyle {\hat {A}}}B^{\displaystyle {\hat {B}}}を状態空間H{\displaystyle {\mathcal {H}}}上のオブザーバブルとし、ψH{\displaystyle \psi \in {\mathcal {H}}}

ψDom(A^)Dom(B^){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})\cap \mathrm {Dom} ({\hat {B}})}B^ψDom(A^){\displaystyle {\hat {B}}\psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {A}})}A^ψDom(B^){\displaystyle {\hat {A}}\psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {B}})}

を満たしているとする。このとき、[A^,B^]ψ:=A^B^ψ-B^A^ψ{\displaystyle [{\hat {A}},{\hat {B}}]\psi :={\hat {A}}{\hat {B}}\psi -{\hat {B}}{\hat {A}}\psi }が定義可能であり、以下の不等式(ロバートソンの不等式)が成立する:

(ΔψA^)2(ΔψB^)214|[A^,B^]ψ|2{\displaystyle (\Delta _{\psi }{\hat {A}})^{2}(\Delta _{\psi }{\hat {B}})^{2}\geq {\frac {1}{4}}\left|\langle [{\hat {A}},{\hat {B}}]\rangle _{\psi }\right|^{2}}

証明は後述する。

L(R) における位置と運動量に関する不確定性原理

d次元空間R上の自乗可積分関数全体の空間L2(Rd){\displaystyle L^{2}(\mathbf {R} ^{d})}におけるj番目の位置作用素と運動量作用素

Q^jψ(x)=xjψ(x){\displaystyle {\hat {Q}}_{j}\psi (x)=x_{j}\psi (x)}
P^jψ(x)=-ixjψ(x){\displaystyle {\hat {P}}_{j}\psi (x)=-i\hbar {\partial \over \partial x_{j}}\psi (x)}

に関しては、ψの定義域に関する条件を弱めることができる事が知られている。

すなわち状態空間がH=L2(Rd){\displaystyle {\mathcal {H}}=L^{2}(\mathbf {R} ^{d})}であるとき、

ψDom(Q^j)Dom(P^j){\displaystyle \psi \in \mathrm {Dom} ({\hat {Q}}_{j})\cap \mathrm {Dom} ({\hat {P}}_{j})}

であれば、

(ΔψQ^j)2(ΔψP ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出典:wikipedia
2020/01/28 17:24

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