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健康保険とは?

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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本における健康保険(けんこうほけん、英語: Employee Health Insurance)とは、雇用者福利厚生を目的に社会保険方式で運営される医療保険(被用者保険、職域保険)のうち、健康保険法に基づくもの。医療保険事務上の略称は社保(しゃほ)と言われ、国保(こくほ)と呼ばれる地域保険と区別される。なお、公務員などの共済組合加入者の被用者保険については、健康保険法ではなく国家公務員共済組合法などに基づく共済組合でカバーされる。

日本の国民医療費(制度区別、2016年度)
公費負担医療給付 | 3兆1433億円 (7.5%)
後期高齢者医療給付 | 14兆1731億円 ({33.6%)
医療保険等給付
19兆5663億円
(45.7%) | 被用者保険
9兆7210億円
(022.2%) | 協会けんぽ | 5兆1171億円 (012.1%)
健康保険組合 | 3兆5254億円 (008.4%)
船員保険 | 195億円 (000.0%)
共済組合 | 1兆0583億円 (002.6%)
国民健康保険 | 9兆5404億円 (22.6%)
その他労災など | 3049億円 (000.7%)
患者等負担 | 5兆1435億円 (012.2%)
軽減特例措置 | 1119億円 (000.3%)
総額 | 42兆1381億円 (100.0%)
健康保険被保険者証(カード型)。いわゆる保険証。
当時の政府管掌健康保険のもの。同保険の後継である、全国健康保険協会各支部が発行する現行のカードは水色カードとなっている。
(上:表、下:裏)

目的

健康保険法については以下では条数のみ記す。

健康保険制度は、労働者又はその被扶養者業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする(第1条)。業務上の疾病等については労災保険の対象となる。業務上か業務外かはっきりしない場合は、一応業務上として取り扱い、最終的に業務外と判断された場合はさかのぼって健康保険を適用する(昭和28年4月9日保分発2014号)。健康保険と労災保険のどちらの給付も受けられないケースがあったことから、平成25年に第1条を改正し、広く医療を保障する観点から、労災保険の給付が受けられない場合には、原則として健康保険の給付が受けられることとするものである。 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない(第2条)。

日本の健康保険制度は、ドイツの疾病保険法をモデルとして、1926年(大正15年)(保険給付及び費用負担に関する規定は1927年(昭和2年))に施行された。当初は疾病保険と災害補償を兼ねた保険であり、工場法鉱業法の適用のある事業所への適用とされた。

管掌

健康保険法の規定上は厚生労働大臣が幅広い権限を有しているが、実際の事務(次にあげる事務)は日本年金機構(1,2)、地方厚生局長又は地方厚生支局長(3)に委任・委託されている。

  1. 被保険者の適用除外の承認、任意適用事業に係る認可、被保険者資格得喪の確認、標準報酬月額・標準賞与額の決定、滞納処分の事務
  2. 現物給与の価額の決定、保険料等の徴収・督促に係る事務について、その事前・事後の事務処理
  3. 保険医療機関等及び指定訪問看護事業者に係る指定・指定取り消し、保険医に係る登録等の権限

保険者

保険者(保険事業の経営主体として保険給付等の業務を行う者)は、全国健康保険協会及び健康保険組合とされる(第4条)。ただし、日雇特例被保険者については全国健康保険協会のみが保険者となり、健康保険組合が保険者となることはない。

健康保険法に基づく保険者 (平成25)
【保険者】
【加入者数】
組合数
【加入者計】
【本人(被保険者)】
家族(被扶養者)
全国健康保険協会 | 34877千人 | 19631千人 | 15246千人 | N/A
健康保険組合 | 29504千人 | 15533千人 | 13951千人 | 1443組合
日雇特例被保険者 | 18千人 | 12千人 | 6千人 | N/A

適用事業所

加入は原則として事業所単位(本社、支社、工場など)で行われる。健康保険が適用となる事業所は、加入が義務付けられている事業所(強制適用事業所)と、厚生労働大臣認可を受けて加入する事業所(任意適用事業所)がある。適用事業所は健康保険と厚生年金とで共通である。

強制適用事業所
任意適用事業所
特定適用事業所

「適用業種」とされるのは、以下の業種である。

  • 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
  • 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
  • 鉱物の採掘又は採取の事業
  • 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
  • 貨物又は旅客の運送の事業
  • 貨物積卸しの事業
  • 焼却、清掃又はとさつの事業
  • 物の販売又は配給の事業
  • 金融又は保険の事業
  • 物の保管又は賃貸の事業
  • 媒介周旋の事業
  • 集金、案内又は広告の事業
  • 教育、研究又は調査の事業
  • 疾病の治療、助産その他医療の事業
  • 通信又は報道の事業
  • 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業

労災保険雇用保険とは異なり、適用事業所でない事業所が、被保険者となるべき者からの希望があっても適用事業所とする義務はないし、任意適用事業所に使用される被保険者からの希望があっても、事業主は任意適用取消の申請を行う義務もない。

2以上の事業主が同一である場合は、厚生労働大臣の承認を受けて当該2以上の事業所を一の適用事業所とでき(一括適用事業所、第34条。一般的には法人一括の単位で適用されている)、承認にあたっては以下の要件をすべて満たすことが必要となる。

  1. 一の適用事業所にしようとする複数の事業所に使用されるすべての者の人事、労務及び給与に関する事務が電子計算組織により集中的に管理されており、適用事業所の事業主が行うべき事務が所定の期間内に適正に行われること。
  2. 一括適用の承認により指定を受けようとする事業所において、1. の管理が行われており、かつ、当該事業所が一括適用の承認申請を行う事業主の主たる事業所(本社)であること。
  3. 承認申請にかかる適用事業所について健康保険の保険者が同一であること。
  4. 協会けんぽの適用となる場合は、健康保険・厚生年金の一括適用の承認申請を合わせて行うこと。
  5. 一括適用の承認によって厚生年金保険事業及び健康保険事業の運営が著しく阻害されないこと。

もっとも中小の事業所では人事・設備等の面で一括適用事業所の承認を受けるための要件を満たせない場合も多いことから、人事や給与等の管理が本社で行われている被保険者については、その者が勤務する事業所にかかわらず、健康保険・厚生年金の手続きを本社において行う(本社における被保険者として取り扱う)ことが認められている(本社管理、平成18年3月15日庁保険発第0315002号)。これらの場合、被保険者が本社・支社間で転勤したとしても、その都度の被保険者資格の取得・喪失の手続きは不要となる。

事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日から2年間保存しなければならない(規則第34条)。初めて適用事業所となった事業主、事業の廃止等により適用事業所に該当しなくなった事業主、事業主の変更があった場合は、当該事実のあった日から5日以内に所定の届出をしなければならない。

被保険者

被保険者には、適用事業所に使用される者である「被保険者」(以下、「一般の被保険者」と表記)、及び「日雇特例被保険者」、適用事業所に使用されなくなった後に任意で加入する「任意継続被保険者」及び「特例退職被保険者」との4種類がある(第3条1項、2項、4項)。被保険者資格の取得・喪失は、原則として保険者等の確認によってその効力を生じ、事業主が資格取得の届出を行う前に生じた事故であっても、さかのぼって資格取得の確認が行われれば、保険事故となる。

一般の被保険者

一般の被保険者は、以下のいずれかに該当するに至った日から、被保険者の資格を取得する。事業主は、一般の被保険者資格を取得した者があるときは、5日以内に、保険者が全国健康保険協会の場合は日本年金機構に、健康保険組合の場合は当該健康保険組合に(以下、「機構又は組合に」と略す)被保険者資格取得届(当該被保険者が被扶養者を有する場合は被扶養者届も併せて)を提出しなければならない。平成29年1月より、健康保険組合に提出する資格取得届には被保険者の個人番号を、日本年金機構に提出する資格取得届については被保険者の基礎年金番号を記入しなければならない。

同時に2以上の事業所に使用される被保険者(日雇特例被保険者を除く)は、2以上の事業所に使用されるに至った日から10日以内に、その被保険者が、その保険者(いずれも協会けんぽで業務が2以上の年金事務所に分掌されているときは、その年金事務所)を選択する。

事業所が適用事業所となった場合、労災保険雇用保険とは異なり、法人から労働の対償として報酬を受け取っていれば、法人の代表者・役員も含むすべての被用者は原則として被保険者となる(昭和24年7月28日保発74号)。外国人であっても適法に就労していれば一般の被保険者となる。ただし個人事業主は「使用される者」とはみなされないので、被保険者とならない。また、被保険者・被扶養者が法人の役員(取締役、業務執行社員、執行役、ほか名称を問わずこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められるものを含む)である場合に、その業務上の負傷については、使用者側の責めに帰すべきものであるため、労使折半の健康保険から保険給付を行うことは適当でなく、原則として保険給付の対象外とされる(第53条の2、平成25年8月14日事務連絡)。

被保険者が5人未満である小規模な適用事業所に所属する法人の代表者であって一般の労働者と著しく異ならないような労務に従事している者については業務上の事由による疾病等であっても健康保険による保険給付の対象とする(第53条の2、規則第52条の2)。従来、当面の暫定措置とされていて(平成15年7月1日保発0701002号)、さらに傷病手当金は当措置の対象外とされてきたが、平成25年の改正により第53条の2が追加され前述の通知が廃止されたことで、傷病手当金も含めて措置が恒久化された。

休職者については、休職期間中に給与の支給がなされているか、一時的に給与の支払いが停止されているにすぎない場合は、被保険者資格を存続させる。しかし休職中に給与が全く支給されず、実質的に使用関係が消滅している場合は、被保険者資格を喪失させる(昭和6年2月4日保発59号)。雇用契約は存続しても、事実上の使用関係がないものについては、被保険者資格を喪失させる(昭和25年4月14日保発20号)。

被保険者が解雇された場合においてその解雇の効力を争う場合、解雇行為が明らかに労働法規や労働協約に違反している場合を除き、事業主から資格喪失届の提出があったときは、たとえ当該事件が係争中であったとしても一応資格を喪失したものとして受理する扱いになっている(昭和25年10月9日保発68号)。

労働組合専従者については、従前の事業主との関係では被保険者資格を喪失するが、労働組合に使用される者として一般の被保険者となる(昭和24年7月7日職発921号)。なお、共済組合の組合員については、一般の被保険者であっても原則として健康保険法による保険給付は行わず、保険料も徴収しない。

同一の事業所において雇用契約上いったん退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合には、事実上の使用関係は継続しているので、被保険者資格も継続する。有期の雇用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われる場合においても、雇用契約又は任用の終了時にあらかじめ、事業主と被保険者との間で次の雇用契約又は任用の予定が明らかであるような事実が認められるなど、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要がある(就労の実態に照らして個別具体的に判断する。平成26年1月17日保保発0117第2号)。ただし、60歳以上の者の再雇用については、使用関係をいったん中断したものとみなして取扱っても差し支えない(平成25年5月31日保発0531第1号)。そうすることで、再雇用に伴う給与の低下に即応して在職老齢年金の支給停止額を減額改定できる(特別支給の老齢厚生年金の受給額を多くできる)ため等である。

短時間労働者

日本の雇用者
(総務省統計局、2016年度労働力調査)
【雇用形態】
万人
役員 | 351
期間の定めのない労働契約 | 3,857
1年以上の有期契約 | 1,136
1か月~1年未満の有期契約(臨時雇) | 347
1か月未満の有期契約(日雇い) | 73

短時間労働者(パートタイム労働法第2条でいう「短時間労働者」)として使用される者の加入については、常用的雇用関係が認められるかにより判断される。具体的な取扱い基準については、就業規則や雇用契約書に基づき、次のいずれにも該当する場合、一般の被保険者となる。なお平成28年9月までは、これらの要件に加えて「就労形態や職務内容等を総合的に勘案して」被保険者資格の取得の可否を判断していたが、平成28年10月以降は単に所定労働時間数・所定労働日数のみで判断する。

「4分の3」要件を満たさない場合であっても、以下の要件をすべて満たす短時間労働者は、平成28年10月以降、一般の被保険者とする。

所定労働時間・所定労働日数が4分の3に満たない場合でも、業務の都合等により恒常的に4分の3基準を満たすこととなる場合、実際の労働時間・労働日数が連続する2月に4分の3基準を満たし、引き続き同様の状態が続くと見込まれるときは、4分の3基準を満たした3月目の初日に被保険者資格を取得する。ただし前記の5要件をすべて満たす場合は、そのときから被保険者資格を取得する。また平成28年9月以前に被保険者資格を取得していた者が平成28年10月以降に4分の3要件に該当しなくなる場合でも、引き続き被保険者資格を有する。

短時間正社員(フルタイムの正社員と比してその所定労働時間が短い正規型の労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結しているもの)については、次のいずれにも該当する場合、一般の被保険者となる。

派遣労働者

派遣労働者は、派遣元の事業所における被保険者となる。

登録型派遣労働者の就業と就業の間の待機期間が、1月を超えないと確実に見込まれる場合は、待機期間中も引き続き被保険者資格を存続させて差し支えない。1月以内に次回の雇用契約(1月以上のものに限る)が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1月が経過した日のいづれか早い日をもって使用関係が終了したものとして資格喪失する。

適用除外

以下のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合(原則として1〜4。詳細は、日雇健康保険を参照)を除いて、被保険者となることができない(適用除外、第3条1項但書)。1~6は厚生年金と共通である。

  1. 臨時に使用される者で、日々雇い入れられる者
    ただし、その者が1月を超えて引き続き使用されるに至ったときは、その超えた日から一般の被保険者となる。
  2. 臨時に使用される者で、2月以内の期間を定めて使用される者
    ただし、その者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至ったときは、その超えた日から一般の被保険者となる。
  3. 季節的業務に使用される者
    ただし、その者が当初から継続して4月を超えて使用される予定である場合は、その当初から(使用されるに至った日から)一般の被保険者となる。業務の都合等によりたまたま継続して4月を超えて使用されるに至ったとしても一般の被保険者とはならない。
    需要の関係で季節により繁閑の差がある事業は、「季節的事業」とはならないので、当該事業に使用される者は一般の被保険者となる。
  4. 臨時的事業の事業所に使用される者
    ただし、その者が当初から継続して6月を超えて使用される予定である場合は、その当初から(使用されるに至った日から)一般の被保険者となる。業務の都合等によりたまたま継続して6月を超えて使用されるに至ったとしても一般の被保険者とはならない。
  5. 事務所で所在地が一定しないものに使用される者
    この場合、その者はたとえその事業所に長期にわたって使用されたとしても被保険者とはならない。
  6. 特定適用事業所以外の適用事業所に使用される、4分の3要件を満たさない短時間労働者
    「当分の間」の措置とされる(附則第46条)
  7. 船員保険の強制被保険者
    この者は船員保険から給付を受けることができるため、健康保険の適用は除外される。船員保険の疾病任意継続被保険者(健康保険における任意継続被保険者に相当)については、健康保険の適用を除外されない(健康保険の適用事業所に使用されれば、健康保険の被保険者となり、疾病任意継続被保険者の資格を喪失する)。
  8. 国民健康保険組合の事業所に使用される者
    この者は国民健康保険から給付を受けることができるため、健康保険の適用は除外される。
  9. 後期高齢者医療の被保険者
    この者は後期高齢者医療から給付を受けることができるため、健康保険の適用は除外される。
  10. 厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者
    国民健康保険の事業運営上必要な人物については、当該承認により、国民健康保険の被保険者に移行することができる(国民健康保険の被保険者であるべき期間に限られる)。

被扶養者

被保険者によって生計を維持されている者で所定の要件を満たす者は、保険者の認定を受けることにより被扶養者としてその保険の適用を受けることができる。保険料免除の一類型(特約)であり、被扶養者に保険料の負担はなく、被扶養者の有無、増減で被保険者の保険料に変動はない。元来は収入を得られない子供や障害者、長期入院者、専業主婦、年老いた親などが想定されていたが、家族や社会環境の変化などにより、その態様は変化している(専業主夫、リストラされた夫、資格試験受験生、いわゆるフリーターなど)。20歳以上60歳未満の配偶者は、被扶養者認定があったときは国民年金第3号被保険者として取り扱うこととされる(昭和61年4月1日庁保険発18号)。事業主は、その使用する一般の被保険者が被扶養者を有するに至ったときは、5日以内に被扶養者異動届を機構又は組合に提出しなければならない。なお任意被保険者が被扶養者を有するに至った場合は、被保険者自らが提出する。

被扶養者として認定される要件としては、以下のように定められている(第3条7項)。ただし、日本国内に居住すること及び後期高齢者医療の被保険者等でないことが必要である。

  1. 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下同じ)の直系尊属配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの (いわゆる130万円の壁)
    • 「生計維持」が認定されるためには、認定対象者が被保険者と同一世帯の場合は、認定対象者の年収が130万円未満(認定対象者が60歳以上の者や障害者(障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害であること)である場合については年収180万円未満)で、かつ被保険者の年収の1/2未満であること(平成5年3月5日保発15号)。なお、この要件に該当しない場合であっても、認定対象者の年収が130万円未満であって、かつ被保険者の年収を上回らない場合においては、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められれば、被扶養者として認定される。
    • 「兄弟姉妹」について、平成28年9月までは「弟妹」のみであったが、平成28年10月以降は「兄姉」も加えられた。
    • 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合は、年収130万円未満、かつ年収が被保険者からの援助による収入額より少ないこと
      • 「年収」とは、給与、年金、失業等給付、恩給、不動産収入等、定期的な収入である。給与の場合は、勤労の対価として支払われているものすべてが対象であり、諸手当・交通費込み、税引前の額である(被保険者の保険料算定における報酬と同様)。預貯金、相続による一時的な収入、負債などは収入条件の判定から除外される。
      • 「同一世帯」に属する者とは、被保険者と住居及び家計を共同にする者をいう(昭和27年6月23日保文発3533号)。戸籍が同一であるか、また被保険者が世帯主であるかは問われない。また病気や就学等で一時的に別居している場合でも同一世帯と認められる。法所定の老人・障害者等の指定施設に入所している場合も「一時的別居」と考え、住居を共にしていることとして扱う(平成11年3月19日保険発24号)。
    • 夫婦共同扶養の場合(共働き夫婦など)、年間収入の多少を判断材料として、家計の実態、社会通念等を総合的に勘案して行う(昭和60年6月13日保険発66号・平成16年6月17日庁保険発第0617001号)。原則として年収の多いほうの被扶養者とする。夫婦双方の年収が同程度の場合は、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。同居する家族を夫婦が共同で扶養しているなら、夫婦として一つの家計の単位で、家族の生計を主として維持する者を決定すべきことであることから、被扶養者の人数にかかわらず、原則夫婦のどちらかを、家族の生計を主として維持する者として取り扱うことになり、したがって、それぞれの被扶養者(家族)が夫婦いずれかの一方の収入で生活を営み、明らかにその生計の基礎をいずれか一方に置いていると認められる場合を除き、夫婦双方に分けて被扶養者を認定することはできない。
  2. 被保険者の3親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
    • 「被保険者の父母」であれば同一世帯要件は不要であるが、「被保険者の配偶者の父母」であれば同一世帯要件が必要となる。
  3. 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
    • 届出上の配偶者の父母・子であれば「同一世帯」要件は不要であるが、届出ない配偶者の父母・子の場合は「同一世帯」要件が必要となるのである。
    • 届出上の配偶者とは異なり、届出ない配偶者の祖父母、孫、兄弟姉妹は、「同一世帯・生計維持」であっても被扶養者とは認定されない。
  4. 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

「日本国内に居住」については、令和2年4月の改正法施行により新たに要件に加えられ、その確認は原則として住民基本台帳の記載に基づいて行う。例外的に、「日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」については被扶養認定することとし、以下の者は「厚生労働省令で定めるもの」として認定される。

なお、以下の者は日本国内に住所を有しても被扶養認定しない。ただし、国内居住要件の導入により被扶養者でなくなる者であって、令和2年4月1日時点で保険医療機関に入院している者の被扶養者の資格について、入院期間中は継続させる経過措置が設けられている。

扶養状況を確認するために、保険者は被扶養者に係る確認(扶養現況調査)を行うことができるとされる(規則第50条)。調査票に回答と収入や居住状態の立証書類を添付して保険者に提出する。収入が多いなど上記法定の認定条件を満たさない場合、調査票の提出がない場合、勤務先の社会保険に加入していた場合は被扶養者資格がなくなる(国民健康保険などに加入する)。扶養現況調査は健康保険の適正な適用に関し重要な役割を果たしている(不当な社会保険料免除を防ぐ)が、膨大な数の被扶養者について確認を行うため、対応に苦慮している保険者も多い。厚生労働省は1年に1回以上(毎年一定の期日を定めて)実施するように保険者に指導している。

従来、被扶養者の認定、年収や同一世帯か否かの判定は、被保険者から要件に合致している旨の申し出があれば特に厳格な審査をすることなく認定していたが、平成30年10月より取り扱いが変更となり、新たな申請には公的な証明書(課税証明書戸籍謄本等)の添付が義務づけられるようになった(既に身分関係を認定するための情報を保険者又は事業主が取得している場合(個人番号を用いて確認する場合等)を除く。平成30年8月29日保保発0829第1号)。

任意継続被保険者

以下のすべての要件を満たす者は、保険者に申し出ることによって、被保険者資格喪失後も継続して当該保険者の被保険者となる(第37条。「任意継続被保険者」、「任意継続加入員」、「任意継続組合員」などと呼ばれるが、以下、本項では「任意継続被保険者」で統一する)。任意継続被保険者は一般の被保険者資格を喪失した日に、その資格を取得する。家族等も被扶養者として加入する事ができ、要件は基本的に在職中の被扶養者認定の場合と同様である。

任意継続被保険者は、以下のいずれかに該当するに至った日の翌日(太字文の場合は当日)にその資格を喪失する(第38条)。

任意継続の保険料については、事業主負担がなくなるため、被保険者の全額負担となり、自己の負担する保険料を納付する義務を負う。基本的に天引きの金額の約2倍から2.5倍になる(徴収する保険料の上限を設定している保険者もある)。各種の届出も事業主経由ではなく自ら行わなければならない

被扶養者として他の保険に加入したり、国民健康保険の保険料が安いからといって任意に切り替えることはできないが、実際のところは保険料の納付を故意に行わないことによって被保険者資格を喪失して国民健康保険に切り替える人も多い(特に4月)。なお、健康保険組合や共済組合によっては任意に資格喪失をすることが可能なところも存在する。将来の一定期間(6月又は1年)分の保険料を前納することもでき、この場合年4分の利率による利息相当額が割引される。

納付後、同月内に健康保険(協会けんぽ、共済組合、健康保険組合、国民健康保険組合(厚生年金適用事業所に限る))の被保険者となった場合には後日還付される(ただし資格取得月を除く)。

特例退職被保険者

厚生労働大臣の認可を受けて、「特例退職被保険者」制度を設けている健康保険組合(特定健康保険組合)がある(附則第3条)。厚生年金受給権がある者で、被保険者期間が20年以上または40歳以降10年以上ある者が継続加入できる(任意継続被保険者と異なり、「2年間」といった期間制限はない)。なろうとする者は、年金証書等が到達した日の翌日から起算して3月以内に申し出なければならない(健保組合が新たに特定健保組合の認可を受けた場合はこの限りではない。規則第168条4項)。申出が受理された日に特例退職被保険者の資格を取得する。任意継続被保険者である者は特例退職被保険者となることはできない。任意性の保険であるため、保険料納付や資格喪失等に関しては任意継続被保険者と共通している。但し、この制度を持つ健康保険組合は全国約1,500組合のうち70弱の比較的大規模な組合だけである。現役世代を圧迫するとして廃止や廃止の検討をしている組合が出てきている。

保険料

一般の被保険者に係る保険料は、厚生年金保険料と同様、事業主と被保険者とで保険料を折半して負担する。被保険者に支払うべき報酬がなくても、事業主は被保険者分も含めた全額の支払い義務を負う(第161条)。事業主は原則として被保険者の負担すべき前月分(月の末日に退職し、報酬もその月に支払われる場合については前月分及び当月分)の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除することができる(第167条)。支払期日は翌月末日(前納不可)である。

任意継続被保険者に係る保険料は、本人が全額負担しなければならず、支払期日はその月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)である(第164条)。なお、任意継続被保険者は将来の一定期間(1年又は6ヶ月)の保険料を前納することができる(第165条)。

健康保険組合は、規約で定めるところにより、一般保険料、介護保険料とも事業主の負担割合を増加させることができ(第162条)、協会けんぽに比べ保険料率が低い組合が多いが、中には協会けんぽの保険料率を超える財政基盤の脆弱な組合が存在する。なお事業主が負担割合を増加させた場合、その増加割合相当額は「報酬」には含まれない。

保険料は被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率を乗ずることにより計算される(第156条)。

一般保険料額 = 標準報酬月額 × 一般保険料率
(介護保険第2号被保険者については、これに介護保険料額(標準報酬月額 × 介護保険料率)が加算され、あわせて徴収される)

保険料率

2010Happy Mail