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債権とは?

債権(さいけん、: jus obligatio: (droit de) créance: Forderung(srecht))とは、大陸法系の私法上の概念で、ある者が特定の者に対して一定の行為を要求することを内容とする権利

目次

  • 1 債権の概念
  • 2 日本法
    • 2.1 債権の本質
    • 2.2 債権の分類
      • 2.2.1 発生原因による分類
      • 2.2.2 債権の目的による類型
      • 2.2.3 債権譲渡における分類
      • 2.2.4 倒産法制における分類
    • 2.3 債権の効力
      • 2.3.1 債権の一般的効力
      • 2.3.2 債権の効力と責任
      • 2.3.3 債権者代位権と詐害行為取消権
    • 2.4 債権債務の共同帰属
      • 2.4.1 共有的帰属・総有的帰属・合有的帰属
      • 2.4.2 多数当事者の債権債務
    • 2.5 債権の移転
    • 2.6 債権の消滅
  • 3 関連項目
  • 4 脚注
  • 5 参考文献

債権の概念

ある者(債権者)が特定の相手方(債務者)に対して一定の行為(給付)をするよう要求できる権利をいう。現代の日本語では一般的ではないが、「人に対する権利」という意味で「人権」ともいい、旧民法では主としてこの用語が用いられていた。

債務者の側から見た場合はこれは債権者に対する義務であり、債務(さいむ)と呼ばれる。また、債権者と債務者のこのような法律関係のことを、債権債務関係という。いずれも視点が異なるのみで、内容を異にするものではない。日本では「債権」という言い方が通常で、「債権債務関係」はあまり用いられないが、欧米では「債権債務関係」に相当する表現がむしろ通常である。

債権の概念そのものはローマ法に由来する。日本においては明治期においてヨーロッパ法(特にドイツ法フランス法)を継受した際にローマ法由来の債権概念が導入され、現在の解釈学においてもその影響は強い。

勿論、大陸法系以外の法域、例えば、明治期以前の日本にも債権・債務に相当するものは存在したが、室町時代後期(15世紀後期)以前の日本では強力な債務者保護の思想が働いていた。例えば、「質地に永領の法無し」という法格言が存在し、債務者から質物を預かった債権者は例え数十年後であっても債務者から返済を受けた場合にはその質物を返還する義務を負っており、債務者の同意の文書(放文)を得ない質流れは違法であった。また、債務者は債権者に対して本銭(元金)返済の義務を有していたが、利子が元金と同額(元利合計200%)以上の貸付は違法とされ、なおかつ徳政令によって本銭返済の義務すら減免されるなど、近代法の債権債務関係とは全く異なる関係が展開されていた。

日本法

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この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

※日本の民法について以下では、条数のみ記載する。

債権の本質

債権は物権と同じく財産権ではあるが、以下の点で物権とは異なる。

債権の対人性のコロラリーとして「売買は賃貸を破る」がある。すなわち、例えば、所有者によって目的物が譲渡された場合を比べると、地上権者は新所有者に対しても地上権を主張できる(継続して利用できる。)が、賃借人は新所有者に対して賃借権を主張できない(継続して利用できない。)。もっとも、不動産賃借権や船舶賃借権については民法商法及び借地借家法においてこの重大な例外が規定されており、一定の対抗要件を具備することにより新所有者にも対抗することができるようになっている。いわゆる「債権の物権化」と呼ばれる現象である。
例えば、同じ土地について建物所有目的の地上権を二重に設定することはできないが、建物所有目的の賃借権を二重に設定することは可能である(後者は債務不履行責任によって解決される。)。

債権の分類

発生原因による分類

現在の日本の民法においては、民法第3編債権において、その発生原因として、契約事務管理不当利得及び不法行為の4つを規定している。 当事者間の合意により発生する債権を約定債権といい、契約による債権がこれに属する。一方、法律の規定によって生じる債権を法定債権といい、事務管理、不当利得、不法行為による債権がこれに属する。

債権の目的による類型

債権の目的(対象)は債務者の特定の行為であり、これを「給付」という。民法第3編第1章総則第1節において、具体的には以下のものが規定されている。

特定物債権(400条)
特定物債権(とくていぶつさいけん)とは、物の個性を重視した特定物の給付を内容とする債権をいう。例えば土地の引渡し債務や中古品の引渡し債務などである。
種類債権(401条)
種類債権(しゅるいさいけん)とは、目的物(不特定物)を種類と数量だけで指示した債権をいう。なお、目的物の範囲に限定のある種類債権を制限種類債権(せいげんしゅるいさいけん)という。例えば特定タンク内のタール5000トンのうち2000トンの引渡債務などである。
金銭債権(402条以下)
金銭債権(きんせんさいけん)とは、金銭の支払を目的とする債権をいう。代金債権、貸金債権等、実際の取引における大部分の債権(金額債権)である。なお、特殊な金銭債権として金種債権と呼ばれるものがあり、これには特定の種類の金銭の一定量の給付を目的とする相対的金種債権と、骨董的あるいは記念的な貨幣の給付を目的とする絶対的金種債権があり、いずれも通常の金銭債権(金額債権)とは法的な扱いが異なる(金銭債権の項目参照)。
利息債権(404条以下)
選択債権(406条以下)
選択債権(せんたくさいけん)とは、数個の給付の中から選択によって定まる債権をいい、その選択権は、原則として債務者に属する(406条)。
詳細は「特定物債権」、「種類債権」、「金銭債権」、「利息債権」、および「選択債権」を参照

債権譲渡における分類

債権者が特定している一般の債権。証券的債権に対する。
例:預金通帳等。

倒産法制における分類

清算株式会社の債権者の債権で、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を除く債権をいう(b:会社法第515条)。
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債権の効力

債権の一般的効力

債権には一般に以下のような効力があるとされる。

債権者の履行による給付を保持しても不当利得とはならない効力。債権の必要最小限の効力とされる。
訴訟手続で債権を実体法上の権利として確認できる効力

債権の効力と責任

効力が不完全な債権、債務と責任とが分離される特殊な債権の形態も存在する。

給付保持力のみの債務。自然債務を参照。
給付保持力や訴求力はあるが執行力のない債権。例として強制執行はしないとの内容の特約を付した債権がこれにあたる(大判大15・2・24民集5巻235頁)。
債務はないが自らの財産が債務の引当てとなっている場合。例として物上保証人や抵当不動産の第三取得者がこの場合となる。
【債務の種類】
【給付保持力】
【訴求力】
執行力
通常の債務 | 有 | 有 | 有
責任なき債務 | 有 | 有 | 無
自然債務 | 有 | 無 | 無

債権者代位権と詐害行為取消権

債務者の責任財産を保全するため、民法は債権者代位権と詐害行為取消権を認めた。民法第3編第1章総則第2節で規定された制度である。

債権者は自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を自ら行使することができる(423条1項本文)。ただし、債務者の一身専属権については行使できない(423条但書)。
債権者は原則として債務者が債権者を害することを知ってした法律行為(詐害行為)の取消しを裁判所に請求することができる(424条1項)。

債権債務の共同帰属

債権者あるいは債務者は複数である場合もあり、物権における共同所有関係(共有・総有・合有)類似の関係に分析される。

共有的帰属・総有的帰属・合有的帰属

共同所有関係における共有としての形態をとるもので、一個の債権債務に準共有(264条)が成立する場合がこれにあたる。共有の規定について264条は「この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない」と定める。債権についても「所有権以外の財産権」に含まれるから準共有が成立しうる。本来、民法の多数当事者の債権債務はこれに属するが、民法第3編第1章総則第3節の多数当事者の債権債務の規定(427条以下)は264条の「法令に特別の定めがあるとき」にあたるため、427条以下の規定が264条に優先して適用されることになる。
共同所有関係における総有としての形態をとるもので、権利能力のない労働組合の財産関係がこれにあたる(最判昭32・11・14民集11巻12号1943頁)
共同所有関係における合有としての形態をとるもので、組合員の組合債権がこれにあたる(最判昭33・7・22民集12巻12号1805頁)

多数当事者の債権債務

既述のように準共有について定める264条本文は「この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する」とし、本来であれば債権も「所有権以外の財産権」として準共有が成立するが、金銭の給付などに共有物分割規定(256条以下)を準用するのは煩雑であることなどから、民法は多数当事者の債権債務関係については民法第3編第1章総則第3節の多数当事者の債権債務の規定(427条以下)を置いている(427条以下の規定は264条但書の「法令に特別の定めがあるとき」にあたり優先的に適用される)。

債権の移転

債権の移転原因には次のようなものがある。

なお、債権者を交替させるものとして、債権者の交替による更改があるがこの場合には債権の同一性が失われる。

債権の消滅

債権の消滅原因には次のようなものがある。

法律行為の取消し消滅時効終期の到来、解除条件の成就、契約の解除、合意解除(反対契約)など権利一般の消滅原因によっても債権は消滅する。

以上の消滅原因のうち弁済(代物弁済、供託)、相殺、更改、免除、混同については民法第3編第1章総則第5節で規定される。

なお、患者への投薬が債権債務の内容となっていた場合に、患者が偶然全快して投薬が必要でなくなったときなどのように、目的到達による債権の消滅とみるべきか目的到達不能による債権の消滅とみるべきか分類が難しい場合もある。

関連項目

脚注

  1. ^ 内田貴著 『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』 東京大学出版会、2005年9月、4頁
  2. ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、3頁
  3. ^ : obligeecreditor: créancier: Gläubiger
  4. ^ : obligordebtor: débiteur: Schuldner
  5. ^ : personal right: right in personam: droit personnel: Personliches Recht
  6. ^ : dette: SchuldVerbindlichkeit
  7. ^ : obligatio: obligation: obligationドイツ語: short(ドイツ法、オーストリア法)、Obligation(スイス法)
  8. ^ : obligation: Schuldverhältnis
  9. ^ 井原今朝男『日本中世債務史の研究』(東京大学出版会、2011年)P345-362
  10. ^ 内田貴著 『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』 東京大学出版会、2005年9月、113頁
  11. ^ 内田貴著 『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』 東京大学出版会、2005年9月、112頁-116頁
  12. ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、29頁
  13. ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、89頁以下
  14. ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、146頁
  15. ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、169頁
  16. ^ 於保不二雄著 『債権総論 新版』 有斐閣〈法律学全集〉、1972年1月、346-347頁
  17. ^ 於保不二雄著 『債権総論 新版』 有斐閣〈法律学全集〉、1972年1月、347頁

参考文献

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出典:wikipedia
2018/11/10 06:18

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