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公務の執行を妨害する罪とは?

この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
【公務の執行を妨害する罪】


【法律・条文】
刑法95条-96条の3
【保護法益】
公務の執行の適正
【主体】

【客体】
国家公務員地方公務員みなし公務員
【実行行為】
各類型による
【主観】
故意犯
【結果】
各類型による
【実行の着手】
-
【既遂時期】
各類型による
【法定刑】
各類型による
【未遂・予備】
-
日本の刑法


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公務の執行を妨害する罪(こうむのしっこうをぼうがいするつみ)は、刑法に定められた国家的法益に対するで、国家作用に対する罪のうち公務に対する罪の総称。

概説

公務の執行に対する罪には刑法第2編第5章に規定される、公務執行妨害罪(刑法95条1項)、職務強要罪(刑法95条2項)、封印等破棄罪(刑法96条)、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)、強制執行行為妨害等罪(刑法96条の3)、強制執行関係売却妨害罪(刑法96条の4)、加重封印等破棄等罪(刑法96条の5)、公契約関係競売等妨害罪(刑法96条の6第1項)、談合罪(刑法96条の6第2項)がある。

これらの類型は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)による刑法の一部改正に伴うもので、この刑法の一部改正以前は公務執行妨害罪(狭義の公務執行妨害罪、95条1項)、職務強要罪(95条2項)、封印等破棄罪(96条)、強制執行妨害罪(旧96条の2)、競売等妨害罪(旧96条の3第1項)、談合罪(旧96条の3第2項)に類型化されていた。

公務執行妨害罪

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する(刑法95条1項)。警察における集団語公妨(こうぼう)。罰金刑については、平成18年(2006年)改正(平成18年5月8日法律第36号)で導入された。

保護法益

本罪の保護法益は公務そのものであり、公務員の身体・精神ではない。判例も刑法95条の規定は公務員を特別に保護する趣旨の規定ではなく、公務員によって執行される公務そのものを保護するものであるから日本国憲法第14条に反するものではないとする。

行為

本罪の行為は暴行又は脅迫である。本罪の暴行が認められるためには、公務員に向けられて有形力が行使されればよく(広義の暴行)、また現実に公務の執行を妨害する必要はない。

本罪は公務員が職務を執行するに当たりなされることを要する。

「公務員」
刑法7条の定義による。法令により公務に従事する職員(みなし公務員)等も本罪の「公務員」に該当するとされる。
「職務を執行するに当たり」
職務を執行中のときだけでなく、これから職務の執行にとりかかろうとするとき、または今まさに職務の執行を終えようとするときが該当する。
職務行為の適法性
規範的構成要件要素。構成要件上明示されていないが、違法な公務を保護する必要はないため、当然に構成要件とされる(書かれざる構成要件要素)。ただし、軽微な手続違背があっただけでは本罪における公務の適法性の要件は損なわれない。適法性の判断基準時については争いがあり、以下のように分類される。
大きく分けて、公務を執行する者の主観による主観説、裁判所の認定による客観説、一般人を基準とする折衷説がある。客観説は更に、行為当時の状況を基に判断する行為時標準説と事後的な要素も全て考慮する裁判時標準説(純粋客観説)に分けられる。判例は、行為時標準説を採っている(最決昭和41年4月14日判時449号64頁)。

職務強要罪

公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする(刑法95条2項)。

封印等破棄罪

公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条)。

2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、法定刑が2年以下の懲役又は20万円以下の罰金から3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科に引き上げられた。

本罪の行為は公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にすることである。旧条文では単に「公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法で無効にした」ことを処罰対象としていたため、たとえ行為者が命令や処分を知っている場合であっても行為時に有効な封印や差押えの表示が存在しなければ本罪は成立しないとされていた(判例)。このような問題に対処するため、2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、その封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にする行為も処罰対象となった。

なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となる(組織的犯罪処罰法3条)。

強制執行妨害目的財産損壊等罪

強制執行を妨害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第三号に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も、同様とする(刑法96条の2)。

  1. 強制執行を受け、若しくは受けるべき財産を隠匿し、損壊し、若しくはその譲渡を仮装し、又は債務の負担を仮装する行為
  2. 強制執行を受け、又は受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損し、又は強制執行の費用を増大させる行為
  3. 金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で、譲渡をし、又は権利の設定をする行為

本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。

なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となる(組織的犯罪処罰法3条)。

強制執行行為妨害等罪

偽計又は威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の3第1項)。強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で、申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする(刑法96条の3第2項)。本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。

なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となる(組織的犯罪処罰法3条)。

強制執行関係売却妨害罪

偽計又は威力を用いて、強制執行において行われ、又は行われるべき売却の公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の4)。本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。

なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科となる(組織的犯罪処罰法3条)。

加重封印等破棄等罪

報酬を得、又は得させる目的で、人の債務に関して、第九十六条から前条までの罪を犯した者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の5)。本罪は2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により新設された。

公契約関係競売等妨害罪

偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(刑法96条の6第1項)。2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、法定刑が2年以下の懲役又は250万円以下の罰金から3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科に引き上げられた。

談合罪

公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする(刑法96条の6第2項)。談合行為が詐欺罪を構成するか否かについては争いがあり、大審院がこれを消極に解したことを受けて(大判大正8年2月27日刑録25輯252頁)、昭和16年刑法改正により新設されたものである。2011年6月に成立した情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成23年6月24日法律第74号)により、法定刑が2年以下の懲役又は250万円以下の罰金から3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はその併科に引き上げられた。

主体

本罪は必要的共犯である。公務の執行を妨害する危険のあるような談合であれば成立し、入札参加者の一部の者によって行われようと全部の者によって行われようと談合罪を構成する(判例)。

行為

本罪の「談合」とは、競売・入札の競争に加わる者が互いに通謀し、その中の特定の者を落札者ないし競落者たらしめるため、他の者は一定の価格以下または以上に入札または付値しないことを協定することである(判例)。本罪は抽象的危険犯であり、本罪が成立するためには公の競売または入札において公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で競争者が互に通謀してある特定の者をして契約者たらしめるため、他の者は一定の価格以下または以上に入札しないことを協定するだけで足りるのであり、現にその協定に従って行動したことを必要としない(判例)。

目的犯

本罪は公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的を要する目的犯である。

「公正な価格」とは、入札を離れて客観的に測定さるべき価格をいうのではなく、その入札において公正な自由競争が行われたならば成立したであろう落札価格をいう(判例)。

また、「不正な利益」とは競売・入札上の公正な価格を害することによって取得される利益をいう。談合による利益が社会通念上いわゆる「祝儀」の程度を越え不当に高額である場合でなければならない(判例)。

脚注

  1. ^ 林幹人 『刑法各論 第二版 』 東京大学出版会(1999年)426頁
  2. ^ 林幹人 『刑法各論 第二版 』 東京大学出版会(1999年)426頁
  3. ^ 最判昭和28・10・2刑集7巻10号1883頁
  4. ^ 最決昭和33年3月28日刑集12巻4号708頁
  5. ^ 林幹人 『刑法各論 第二版 』 東京大学出版会(1999年)437頁
  6. ^ 最高裁判所判決昭和32年12月13日刑集11巻13号3207頁
  7. ^ 最判昭和32年1月22日刑集11巻1号5頁
  8. ^ 最決昭和28年12月10日刑集7巻12号2418頁
  9. ^ 最判昭和32年1月22日刑集11巻1号5頁
  10. ^ 最判昭和32年1月22日刑集11巻1号5頁

関連項目

参考文献

日本の刑法犯罪
国家的法益
に対する罪

内乱罪 - 外患罪 - 国交に関する罪 - 公務の執行を妨害する罪 - 逃走の罪 - 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪 - 偽証の罪 - 虚偽告訴罪 - 汚職の罪(公務員職権濫用罪賄賂罪)


社会的法益
に対する罪

騒乱罪 - 放火及び失火の罪 - 出水及び水利に関する罪 - 往来を妨害する罪 - あへん煙に関する罪 - 飲料水に関する罪 - 通貨偽造の罪 - 文書偽造の罪 - 有価証券偽造罪(支払用カード電磁的記録に関する罪) - 印章偽造の罪 - 不正指令電磁的記録に関する罪 - わいせつ、強制性交等及び重婚の罪(公然わいせつ罪) - 賭博及び富くじに関する罪 - 礼拝所及び墳墓に関する罪


個人的法益
に対する罪
【生命・身体】

殺人罪 - 傷害の罪(傷害罪暴行罪凶器準備集合罪・結集罪) - 過失傷害の罪(過失致死傷罪業務上過失致死傷罪) - 堕胎罪 - 遺棄罪


【自由】

住居を侵す罪(住居侵入罪不退去罪) - 秘密を侵す罪 - わいせつ、強制性交等及び重婚の罪(強制わいせつ罪・強制性交等罪重婚罪) - 逮捕・監禁罪 - 脅迫罪強要罪 - 略取・誘拐罪


【名誉】

名誉毀損罪 - 侮辱罪


【信用・業務】

信用毀損罪・業務妨害罪


【財産】

窃盗及び強盗の罪(窃盗罪不動産侵奪罪強盗罪) - 詐欺及び恐喝の罪(詐欺罪背任罪恐喝罪)- 横領罪 - 盗品等関与罪 - 毀棄及び隠匿の罪(文書等毀棄罪建造物等損壊罪器物損壊罪信書隠匿罪)




嫌がらせ
暴力

私刑 - 体罰 - 校内暴力 - 家庭内暴力 - ジェンダーバイオレンス - デートDV - ドメスティックバイオレンス - 言葉の暴力(暴言)- 数の暴力 - ストーカー - アシッドアタック


虐待

児童虐待(兄弟姉妹間の虐待)- 高齢者虐待 - 障害者虐待 - 動物虐待 - 身体的虐待 - 心理的虐待(ガスライティング)- 過干渉 - ネグレクト - 性的虐待(児童性的虐待少年への性的虐待女性による性的虐待)- 経済的虐待


いじめ

職場いじめ - 性的いじめ - しかと - 村八分 - 共同絶交 - 吊し上げ - 悪口(誹謗中傷) - 自粛警察


差別

人種差別 - 身長差別 - 言語差別 - 年齢差別 - 性差別(男性差別女性差別)- 障害者差別 - 部落差別 - 職業差別(性風俗産業に対する差別) - 学歴差別 - 宗教的迫害 - えこひいき(ひいき) - ヘイトスピーチ(憎悪表現) - 排除アート - ルッキズム


ハラスメント

パワーハラスメント - モラルハラスメント -レイシャルハラスメント - セクシャルハラスメント - アルコールハラスメント - スモークハラスメント - アカデミックハラスメント - ドクターハラスメント - ブラッドタイプ・ハラスメント - エレクトロニック・ハラスメント - ソーシャルメディア・ハラスメント - マタニティハラスメント - スメルハラスメント - ヌードルハラスメント - オワハラ


ネット

ネットいじめ - サイバーストーカー - DoS攻撃 - サイバーテロ - サイバー暴力 - チェーンメール - スパム(迷惑メール) - 荒らし - 炎上 - いじめ動画 - ハッピー・スラッピング - リベンジポルノ - グーグル八分


【交通】

あおり運転 - 当たり屋 - 幅寄せ - 割り込み


【その他】

破壊活動 - 愉快犯 - 悪戯 - 落書き - 情報漏洩 - - やじ - 風説の流布 - デマ・噂 - ほめ殺し - 侮蔑 - ネガティブ・キャンペーン - 迷惑電話 - 電凸 - モラル・パニック - 逆ギレ - 報復 - コインテルプロ


【被害】

死亡 - 創傷 - 心的外傷(トラウマ) - 心的外傷後ストレス障害 (PTSD) - 急性ストレス障害 (ASD) - 複雑性PTSD - 適応障害 - 被虐待症候群 - 共依存 - ストックホルム症候群 - 報道被害 - 風評被害 - 片親引き離し症候群 - 冤罪 - 倒産廃業破産


【罪】

暴行罪 - 傷害罪 - 殺人罪 - 放火罪 - 脅迫罪 - 恐喝罪 - 強要罪 - 信用毀損罪・業務妨害罪 - 詐欺罪 - 名誉毀損罪 - 侮辱罪 - 器物損壊罪 - 共同危険行為 - 自殺教唆罪 - 性犯罪(強制性交等罪強制わいせつ罪) - 偽証罪 - 虚偽告訴罪 - 組織犯罪 - 憎悪犯罪(ヘイトクライム)- 少年犯罪 - 盗撮 - 盗聴


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条例

公安条例 - 迷惑防止条例 - 淫行条例 - 暴力団排除条例 - 暴走族追放条例 - 拡声機暴騒音規制条例 - いじめ防止条例


Category:暴力 | Category:人権侵害

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出典:wikipedia
2020/07/07 21:37

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