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労働安全衛生法とは?

この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
【労働安全衛生法】


日本の法令
【通称・略称】
安衛法・労安衛法
法令番号
昭和47年法律第57号
【効力】
現行法
【種類】
労働法
【主な内容】
労働環境の安全や衛生環境の維持など
【関連法令】
労働基準法
【条文リンク】
e-Gov法令検索

労働安全衛生法(ろうどうあんぜんえいせいほう、昭和47年法律第57号)は、労働者の安全と衛生についての基準を定めた日本の法律である。

目次

  • 1 構成
  • 2 目的等
  • 3 定義
  • 4 安全衛生管理体制
  • 5 国等の講ずべき措置
  • 6 事業者等の講ずべき措置
  • 7 機械等
    • 7.1 特定機械等
    • 7.2 42条機械等
  • 8 危険物及び有害物
  • 9 安全のための教育
    • 9.1 安全衛生教育
      • 9.1.1 雇い入れ時・作業内容変更時の教育
      • 9.1.2 特別教育
      • 9.1.3 職長教育
    • 9.2 技能講習
  • 10 労働者の就業に当たっての措置
    • 10.1 作業環境測定
    • 10.2 健康診断
  • 11 安全衛生計画
  • 12 計画の届出
  • 13 監督機関等
  • 14 報告
  • 15 適用除外
  • 16 関連文献・記事
  • 17 脚注
  • 18 関連項目
  • 19 外部リンク

構成

目的等

本法は、労働基準法と相まって労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成と促進を目的とする法律である(1条)。労働者の安全と衛生についてはかつては労働基準法に規定があったが、これらの規定を分離独立させて作られたのが本法である。したがって、本法と労働基準法とは一体としての関係に立ち、労働基準法の労働憲章的部分(労働基準法第1条~第3条)は労働安全衛生法の施行にあたっても当然その基本とされなければならない(昭和47年9月18日発基91号)。一方で、本法には労働基準法から修正・充実された点や新たに付加された特徴など、独自の内容も少なくない。

事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない(3条1項)。機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない(3条2項)。建設工事の注文者等仕事を他人に請負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない(3条3項)。事業者のみならず、設計者や注文者等についても一定の責務を課している。さらに、労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない(4条)。労働基準法が「最低基準の確保」を目的としているのに対し、本法は最低基準を確保するだけでなく、より進んで適切なレベルの職場環境を実現することを目指している。

2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請負った場合においては、当該届出に係る仕事の開始の日の14日前までに、そのうちの一人を代表者として定め(代表者の選定は、出資の割合その他工事施行に当たっての責任の程度を考慮して行なわなければならない)、これを(当該仕事が行なわれる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して)当該仕事が行われる場所を管轄する都道府県労働局に届け出なければならない(5条1項、施行規則第1条)。届出がないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する(5条2項)。共同事業体(ジョイントベンチャー)等、複数の事業者が関わる現場では責任の所在があいまいになりがちであるため、事業者のうち一人の代表者のみをその事業の事業者とみなして本法に基づく義務を負わせるためである。

なお、本法には労働契約を直接規制する効力を持つ規定は存在しない。しかし労働者の安全・衛生に関する事項は労働条件の明示事項(労働基準法第15条)、就業規則の記載事項(労働基準法第89条)となっていて、その解釈基準については当然に本法が機能する。

前述のような条文との関係上、関連する法律や規則を含めると条文数は1500条を超える。本法を主体に、労働安全衛生法施行令(施行令、令)で細かな部分を規定する。実際の仕様等は「労働安全衛生規則」(安衛則(あんえいそく))で決められる。参照の上確認が必要。

定義

労働災害
労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう(2条1項)。
労働者
労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう(2条2項)。
事業者
事業を行う者で、労働者を使用するものをいう(2条3項)。その事業における経営主体のことをいい、会社などの法人については、法人の代表者個人ではなく、法人そのものをいう。したがって、労働基準法第10条でいう「使用者」とは必ずしも一致しない。
事業場の区分については、その業態によって個別に決するものとし、経営や人事等の管理業務をもっぱら行っている本社、支店などは、その管理する系列の事業場の業種とは無関係に決定するものとする(昭和47年9月18日基発91号)。たとえば、製鉄所は製造業とされるが、当該製鉄所を管理する本社は製鉄業とはされない(「その他の業種」となる)。
化学物質
元素及び化合物をいう(2条3項の2)。
作業環境測定
作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む。)をいう(2条4項)。

安全衛生管理体制

詳細は各記事を参照のこと。

一般的な体制

総括安全衛生管理者(10条)、安全管理者(11条)、衛生管理者(12条)、安全衛生推進者衛生推進者(12条の2)、産業医(13条)、作業主任者(14条)、安全委員会(17条)、衛生委員会(18条)、安全衛生委員会(19条)

特定元方事業者が一の場所で作業を行う場合における体制

統括安全衛生責任者(15条)、元方安全衛生管理者(15条の2)、店社安全衛生管理者(15条の3)、安全衛生責任者(16条)

国等の講ずべき措置

厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならず(6条)、策定したとき、変更したときは遅滞なく、これを公表しなければならない(8条)。厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない(7条)。厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる(9条)。

現在、2018年(平成30年)4月からの5年間を計画期間とする「第13次労働災害防止計画」の期間中であり、「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」を目指し、以下の目標を掲げて各種取組が進んでいる。

  1. 死亡災害については、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少
  2. 死傷災害(休業4日以上の労働災害)については、死傷者数の増加が著しい業種、事故の型に着目した対策を講じることにより、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少
  3. 重点とする業種の目標
    • 建設業、製造業及び林業については、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少
    • 陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店については、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少
  4. 上記以外の目標
    • 仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上
    • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上
    • ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上
    • 化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)による分類の結果、危険性又は有害性等を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示と安全データシート(SDS)の交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上
    • 第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少
    • 職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少

事業者等の講ずべき措置

事業者の責務(業種を問わない)
元方事業者の責務
特定元方事業者の責務
注文者の責務
機械等貸与者の責務
建築物貸与者の責務

建築物で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者(建築物貸与者)は、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。ただし、当該建築物の全部を一の事業者に貸与するときは、この限りでない(34条)。「政令で定めるもの」とは、事務所又は工場の用に供される建築物とする(施行令第11条)。本条は、有償、無償に関係なく適用される。

重量表示

一の貨物で、重量1トン以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない(35条)。本条の「発送」には、事業場構内における荷の移動は含まない。「発送しようとする者」とは、最初に当該貨物を運送のルートにのせようとする者をいい、その途中における運送取扱者等は含まない。「その重量が一見して明らかであるもの」とは、丸太や石材、鉄骨材等、外観により重量が推定できるものを指す。コンテナ貨物についての本条の重量表示は、当該コンテナにその最大積載重量を表示されていれば足りる。

ガス工作物等設置者の義務

ガス工作物、電気工作物、熱供給施設、石油パイプラインを設けている者は、当該工作物の所在する場所又はその附近で工事その他の仕事を行なう事業者から、当該工作物による労働災害の発生を防止するためにとるべき措置についての教示を求められたときは、これを教示しなければならない(102条、施行令第25条)。

労働者の責務

機械等

特定機械等

特に危険な作業を必要とする機械等(特定機械等)を製造しようとする者は、あらかじめ都道府県労働局長の許可を受けなければならない(37条)。「特定機械等」とは、以下の物である(別表第一、施行令12条)。

太字の特定機械等については、製造・輸入・再設置・再使用時に登録製造時等検査機関による製造時等検査を受けなければならない(38条1項)。この検査に合格すると、移動式の物については検査証が交付される(39条1項)。

特定機械等を設置(移動式の物を除く)したとき、特定機械等の主要構造部分に変更を加えたとき、特定機械等(建設用リフトを除く)で使用を休止したものを再び使用しようとするときには、労働基準監督署長の検査を受けなければならない(38条3項)。この検査に合格した場合、検査証の交付又は既に交付されている検査証に裏書が行われる(39条2項、3項)。

検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、登録性能検査機関が行う性能検査を受けなければならない(41条2項)。なお、建設用リフトについては、検査証の有効期間が設置から廃止までとされるため、性能検査は行われない。

検査証を受けていない特定機械等は、使用してはならず、また検査証とともにするのでなければ譲渡・貸与してはならない(40条)。

42条機械等

特定機械等以外の機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもの(42条機械等)は、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置(規格等)を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない(42条)。「42条機械等」とは以下の物である(別表第二)。

太字の物を製造・輸入した者は、登録個別検定機関が行う個別検定(機械等を個々に検定する)を受けなければならない(44条)。この検定に合格した機械等には、その旨の表示(個別検定合格標章を付す、刻印を押す、刻印を押した銘板を取り付ける等)を付さなければならない。斜体の物を製造・輸入した者は、登録型式検定機関が行う型式検定(サンプル抽出したものを検定する)を受けなければならない(44条の2)。この検定に合格した機械等には、当該機械等の見やすい場所に型式検定合格標章を付さなければならない。

これらの表示が付されていない機械等は、使用してはならない。また、厚生労働大臣又は都道府県労働局長が、42条機械等を製造・輸入した者が、規格等を具備していない、検定に合格していない機械に合格した旨の表示がされている等と認められるものを譲渡・貸与した場合に、その者に対し当該機械等の回収・改善を図ることその他必要な措置を取るよう命ずることができる。

平成27年の改正により、外国に立地する機関も検査・検定機関として登録ができるようになった(外国登録製造時等検査機関等、52条の3)。

第38条の検査、性能検査、個別検定又は型式検定の結果についての処分については、審査請求をすることができない(111条)。

危険物及び有害物

黄リンマッチベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの(製造等禁止物質)は、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない(55条、施行令16条1項)。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、製造、輸入または使用について、あらかじめ所轄都道府県労働局長の許可を受け、厚生労働大臣が定める基準に従って製造、使用するときは、この限りでない(施行令16条2項)。

ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるもの(第1類特定化学物質)を製造しようとする者は、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。厚生労働大臣は、この許可の申請があった場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、この許可をしてはならない(56条、施行令別表第三)。

爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの(第2類特定化学物質)又は上記厚生労働大臣の許可を必要とする物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあっては、その容器)に、以下の事項を表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。容器又は包装を用いないで譲渡し、又は提供する者は、所定事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない(57条、施行令18条)。

労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第1類特定化学物質(通知対象物)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない(57条の2、施行令18条の2)。

化学物質による労働者の健康障害を防止するため、既存の化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質(新規化学物質)を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める基準に従って有害性の調査(当該新規化学物質が労働者の健康に与える影響についての調査)を行い、当該新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他の事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。有害性の調査を行った事業者は、その結果に基づいて、当該新規化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を速やかに講じなければならない。厚生労働大臣は、この届出があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聴き、当該届出に係る化学物質による労働者の健康障害を防止するため必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、施設又は設備の設置又は整備、保護具の備付けその他の措置を講ずべきことを勧告することができる。有害性の調査の結果について意見を求められた学識経験者は、当該有害性の調査の結果に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。ただし、労働者の健康障害を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。ただし以下の場合は届出は不要である(57条の4、施行令18条の4)。

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1類特定化学物質、第2類特定化学物質及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。事業者は、この調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない(57条の3)。事業者は、調査を行ったときは、次に掲げる事項を、調査対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない(施行規則34条の2の8)。調査は、調査対象物を原材料等として新規に採用し、または変更するときに行う。

安全のための教育

本法の精神を具体化するために、各事業活動において必要な資格を有する業務を免許や技能講習、安全衛生教育といった形で取得することを義務付けている。

安全衛生教育

以下の教育(安全衛生教育)時間は、労働基準法上の労働時間として扱われるので、教育が法定労働時間外に実施された場合は、事業者は割増賃金を当該労働者に支払わなければならない(昭和47年9月18日、旧労働省労働基準局長名通達602号)。なお、事業者は、教育科目・教育事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目・事項についての教育を省略することができる(施行規則35条2項・37条)。

事業者は、指定事業場又は所轄都道府県労働局長が労働災害の発生率等を考慮して指定する事業場について、雇い入れ時・作業内容変更時の教育、特別教育に関する具体的な計画を作成しなければならない。事業者は、4月1日から翌年3月31日までに行った雇い入れ時・作業内容変更時の教育、特別教育の実施結果を、毎年4月30日までに、様式第四号の五により、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない(施行規則40条の3)。

事業主は、外国人労働者に対し安全衛生教育を実施するに当たっては、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと。特に、外国人労働者に使用させる機械設備、安全装置又は保護具の使用方法等が確実に理解されるよう留意すること。また、事業主は、外国人労働者が労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努めること、とされる(「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号))。

雇い入れ時・作業内容変更時の教育

事業者は、労働者(常時・臨時・日雇を問わない)を雇い入れたとき・労働者の作業内容を変更したとき(軽易な変更を除く)は、当該労働者に対し、遅滞なく、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない(59条1項・2項、施行規則35条)。具体的には以下の項目である。ただし労働安全衛生法施行令第2条(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)において「その他の業種」とされている事業場の労働者については、1~4については省略することができる。派遣労働者については、雇い入れ時の教育は派遣元の事業者が、作業内容変更時の教育は派遣元及び派遣先の事業者が行わなければならない。

  1. 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
  2. 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
  3. 作業手順に関すること。
  4. 作業開始時の点検に関すること。
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
  6. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
  7. 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
  8. 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項。

特別教育

特別教育による資格一覧」も参照

事業者は、危険又は有害な業務(労働安全衛生規則第36条に定める57業務)に労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない(59条3項)。事業者は、特別教育を行なったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。特別教育を社外で行う場合の講習会費・講習旅費については、事業者が負担しなければならない。派遣労働者については、派遣先の事業者が行わなければならない。

職長教育

職長#職長教育を参照(60条)。

技能講習

労働安全衛生法による免許証
技能講習による資格一覧」も参照

事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるもの(施行令20条に定める16業務)については、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。この有資格者が当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない(61条)。

技能講習は、登録講習機関により、学科講習又は実技講習によって行い、当該技能講習を修了した者に対しては遅滞なく、技能講習修了証を交付しなければならない(76条)。

労働者の就業に当たっての措置

事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない(62条)。「特に配慮を必要とする者」とは、具体的には身体障害者や出稼ぎ労働者等が該当する。

事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない(65条の3)。

事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で定めるもの(高圧室内業務)に従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない(65条の4)。

事業者は、次のいずれかに該当する労働者については、あらかじめ産業医その他専門の医師の意見を聴いて、その就業を禁止しなければならない(病者の就業禁止、68条、規則第61条)。

  1. 病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病にかかった者(伝染予防の措置をした場合を除く)
  2. 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者
  3. 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者

事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする(68条の2)。「第12次労働災害防止計画」では、「2017(平成29)年までに職場で受動喫煙を受けている労働者の割合を15%以下とする」目標を掲げ、受動喫煙の健康への有害性に関する理解を得るための教育啓発や事業者に対する効果的な支援を実施することとしている。

事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない(69条)。

作業環境測定

詳細は「作業環境測定」を参照

事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従って、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない(65条)。都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医(労働衛生に関し学識経験を有する医師のうちから、厚生労働大臣が任命する非常勤の医師)の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施その他必要な事項を指示することができる。

健康診断

詳細は「労働安全衛生法による健康診断」を参照

安全衛生計画

特別安全衛生改善計画

厚生労働大臣は、重大な労働災害が発生した場合において、重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合、事業者に対し、その事業場の安全又は衛生に関する改善計画(特別安全衛生改善計画)を作成し、これを厚生労働大臣に提出すべきことを指示することができる(78条1項)。厚生労働大臣は、特別安全衛生改善計画が重大な労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該特別安全衛生改善計画を変更すべきことを指示することができる(78条4項)。なお「重大な労働災害」とは以下のいずれかに該当する災害をいう(規則84条1項)。

「重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合」とは、以下のいずれにも該当する場合をいう(規則84条2項)

事業者は、特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない(78条2項)。特別安全衛生改善計画の作成を指示された事業者は、指示書に記載された提出期限までに次に掲げる事項を記載した特別安全衛生改善計画を作成し、労働組合等の意見書を添付して厚生労働大臣に提出しなければならない(規則84条4項、5項)。

事業者及びその労働者は、特別安全衛生改善計画を守らなければならない(78条3項)。厚生労働大臣は、1項若しくは4項の規定による指示を受けた事業者がその指示に従わなかった場合又は特別安全衛生改善計画を作成した事業者が当該特別安全衛生改善計画を守っていないと認める場合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、重大な労働災害の再発の防止に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができる。この勧告を受けた事業者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる(78条5項、6項)。平成27年の改正により、重大な労働災害を繰り返す企業に対し、改善に取り組んでいない企業に対し、厚生労働大臣による指示・勧告・公表を行う制度が導入されることになった。

安全衛生改善計画

都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項につい

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出典:wikipedia
2019/08/18 17:58

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