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労働者派遣事業とは?

労働者派遣事業(ろうどうしゃはけんじぎょう)、人材派遣(じんざいはけん)、労働者派遣(ろうどうしゃはけん)、口入れ(くちいれ)は、雇用事業の一つ。派遣元となる人材派遣会社に登録している者を、派遣先(取引先)となる事業所へ派遣して、かつ派遣先担当者の指揮命令のもとで労働サービスを提供する雇用形態のことである。隣接する事業に、職業紹介事業がある。

目次

  • 1 日本
    • 1.1 業務請負契約との相違
    • 1.2 派遣事業の分類(2018年9月29日まで)
      • 1.2.1 特定労働者派遣事業
      • 1.2.2 一般労働者派遣事業
    • 1.3 紹介予定派遣
    • 1.4 派遣労働者の分類
      • 1.4.1 常用型派遣(正規雇用社員)
      • 1.4.2 登録型派遣(非正規雇用社員)
    • 1.5 法的規制
    • 1.6 派遣期間
    • 1.7 雇用安定措置
    • 1.8 キャリア形成支援制度
      • 1.8.1 段階的かつ体系的な教育訓練
    • 1.9 均等待遇の推進
    • 1.10 労働契約申込みみなし制度
    • 1.11 違法派遣の罰則
      • 1.11.1 派遣労働者特定の禁止
      • 1.11.2 再派遣・多重派遣
    • 1.12 歴史
      • 1.12.1 労働者派遣法制定に至るまで
      • 1.12.2 「人材派遣」への言い換え
    • 1.13 問題点
      • 1.13.1 労働市場の二極化
      • 1.13.2 産業の空洞化
      • 1.13.3 社会構造としての問題、格差の元凶としての問題
      • 1.13.4 事前面接の横行
      • 1.13.5 契約更新の問題点
      • 1.13.6 国際競争力低下の懸念
      • 1.13.7 健康保険組合
    • 1.14 労働者派遣肯定側からの反論
      • 1.14.1 マージンへの批判
      • 1.14.2 正社員が派遣で代替され、正社員としての雇用機会を奪っている
      • 1.14.3 派遣社員は低収入で、いわゆる格差やワーキングプアの原因になっている
      • 1.14.4 労働者派遣企業は本来労働者が全額を得るべき労働対価を収益源としている
      • 1.14.5 派遣先企業の誤った認識がトラブルの原因である場合も多い
      • 1.14.6 派遣制度は一部の労働者にはメリットのある制度
    • 1.15 学者の見解
  • 2 アメリカ
  • 3 中国
  • 4 韓国
  • 5 脚注
  • 6 関連作品
  • 7 参照文献
  • 8 関連項目
  • 9 外部リンク

日本

 | 
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

労働者派遣業を行う業者は、第1次オイルショック後の1975年頃から急速に増えた。これに対応し、1985年6月に、派遣労働者の保護を目的とした「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法、以下、「派遣法」と略す)が成立し、翌1986年7月に施行された。2012年(平成24年)の改正により、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」へ題名改正された。

派遣法第2条では、労働者派遣を以下のように定義している。

自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

— 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第2条1項

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係る派遣法の規定の運用に当たっては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない(派遣法第25条)。

業務請負契約との相違

アウトソーシング」および「業務請負」も参照

派遣法によって労働者派遣契約は従来の業務請負契約と明確に区別されることになったという。

業務請負では、請負労働者は自身が雇用関係を結ぶ企業(=請負業者)と注文主の企業との間で締結した請負契約にもとづいて労働を提供する。そのため、労働者の指揮命令権は注文主の企業ではなく、あくまでも請負業者にあると定義されている。

一方、労働者派遣では、派遣業者と派遣先の企業が派遣契約を結び、派遣業者と派遣労働者が雇用関係を結び、派遣先の企業と派遣労働者が使用関係を結ぶ、言うなれば三角形の関係にある。そのため、労働者の指揮命令権は派遣先の企業に認められている。

派遣事業の分類(2018年9月29日まで)

派遣労働者数(2011年6月時点)
【】
【一般派遣事業者】
特定派遣事業者
常用型派遣 55.4万人 | 30.2万人
登録型派遣 51.2万人 | N/A
業態 許可制 | 届出制
事業所数 19,832事業所 | 53,039事業所

特定労働者派遣事業

派遣元に常時雇用される労働者(自社の正規雇用社員・常用型派遣)を他社に派遣する形態。届出制(派遣法16条、いわゆる「16条派遣」)。

一般労働者派遣の業者に比べると、派遣先として対応する企業・職種の幅は狭いが、特定の事業所に対し技術者(主にコンピュータ・IT・エレクトロニクス機械系の設計関連)などを派遣するような業者(主にアウトソーシング業者と呼ばれる)が多い。

2015年(平成27年)の法改正により16条が削除され、すべての労働者派遣事業が許可制の労働者派遣事業に一本化された。なお経過措置により同年9月30日時点で特定労働者派遣事業を営んでいる事業者は、引き続き2018年(平成30年)9月29日まで特定労働者派遣事業を営むことができる。2015年9月30日以降は、新規の届出は受理されず、それまでに事業所を開設していても新設に係る変更届は受理されない。

一般労働者派遣事業

派遣元に常時雇用されない労働者(自社の非正規雇用社員・登録型派遣)を他社に派遣する形態。厚生労働大臣による許可。臨時・日雇い派遣もこれに該当する。なお、一般労働者派遣事業の許可を得れば、前項の特定労働者派遣事業も可能である。平成27年改正により常時雇用の有無を問わず許可制に一本化された。なお、改正前に一般労働者派遣事業を営んでいる場合は、その許可のままで引き続き労働者派遣事業を営むことができる。

一般的に「派遣会社」といえば、この形態の事業者が広く知られている。

平成27年改正後の労働者派遣事業は、許可を受けるためには以下の要件をすべて満たすことが必要となる。許可の有効期間は新規3年、更新後は5年となる。

紹介予定派遣

労働者派遣の内、派遣先企業での直接雇用を前提とする形態。

一定期間派遣社員として勤務し、期間内に派遣先企業と派遣社員が合意すれば、派遣先企業で直接雇用される。ただし必ずしも正社員になれるとは限らない。前提になっているのはあくまで「直接雇用」なので、契約社員アルバイトも含まれる。派遣事業者は労働者派遣事業と職業紹介事業の双方の許可が必要。派遣期間は6ヶ月以内。

派遣労働者の分類

セグメント別 派遣労働者数
(2011年6月時点)
【】
【常用型派遣】
登録型派遣
政令26業務 45.1万人 | 19.1万人
製造業務 16.2万人 | 9.8万人
その他業務 24.4万人 | 22.2万人

常用型派遣(正規雇用社員)

派遣先企業の仕事の依頼が有無にかかわらず、常に派遣労働者と派遣業者との間に雇用契約が結ばれている状態の派遣。定常型派遣、無期雇用派遣ともいう。

なお、いわゆる契約社員は有期直接雇用であり、正社員(無期直接雇用の被雇用者。つまり常時雇用される労働者)には当たらないため、常用型派遣され得ない。次節の登録型派遣を参照。

登録型派遣(非正規雇用社員)

派遣先企業の仕事の依頼が有るときのみに、派遣労働者と派遣業者との間に雇用契約の関係が生じる状態の派遣。有期雇用派遣ともいう。

法的規制

労働者派遣 政令ポジティブリスト
【業種】
【30日以内派遣
(日雇い)可能】
派遣期間制限なし
(平成27年改正前)
情報処理システム開発 | Yes | Yes
機械設計 | Yes | Yes
機器操作 | Yes | Yes
通訳、翻訳、速記 | Yes | Yes
秘書 | Yes | Yes
ファイリング | Yes | Yes
調査 | Yes | Yes
財務 | Yes | Yes
貿易 | Yes | Yes
デモンストレーション | Yes | Yes
添乗 | Yes | Yes
受付・案内 | Yes | Yes
研究開発 | Yes | Yes
事業の実施体制の企画、立案 | Yes | Yes
書籍等の制作・編集 | Yes | Yes
広告デザイン | Yes | Yes
OA インストラクション | Yes | Yes
セールスエンジニアの営業、金融商品の営業 | Yes | Yes
放送機器操作 |  | Yes
放送番組等の制作 |  | Yes
建築物清掃 |  | Yes
建築設備運転等 |  | Yes
駐車場管理等 |  | Yes
インテリアコーディネータ |  | Yes
アナウンサー |  | Yes
テレマーケティングの営業 |  | Yes
放送番組等における大道具・小道具 |  | Yes
水道施設等の設備運転等 |  | Yes
欠格要件
以下に該当する者は、労働者派遣事業の許可を受けることができない(派遣法第6条)。
  1. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定その他労働に関する法律の規定(次号に規定する規定を除く。)であつて政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第50条(第2号に係る部分に限る。)及び第52条の規定を除く。)により、若しくは刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪若しくは出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  2. 健康保険法第208条、第213条の2若しくは第214条第1項、船員保険法第156条、第159条若しくは第160条第1項、労働者災害補償保険法第51条前段若しくは第54条第1項(同法第51条前段の規定に係る部分に限る。)、厚生年金保険法第102条、第103条の2若しくは第104条第1項(同法第102条又は第103条の2の規定に係る部分に限る。)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第46条前段若しくは第48条第1項(同法第46条前段の規定に係る部分に限る。)又は雇用保険法第83条若しくは第86条(同法第83条の規定に係る部分に限る。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
  4. 第14条第1項(第1号を除く。)の規定により労働者派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
  5. 第14条第1項の規定により労働者派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合(同項第1号の規定により許可を取り消された場合については、当該法人が第1号又は第2号に規定する者に該当することとなったことによる場合に限る。)において、当該取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であった者で、当該取消しの日から起算して5年を経過しないもの
  6. 第14条第1項の規定による労働者派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第13条第1項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から起算して5年を経過しないもの
  7. 前号に規定する期間内に第13条第1項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、同号の通知の日前60日以内に当該法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から起算して5年を経過しないもの
  8. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下この条において「暴力団員等」という。)
  9. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの
  10. 法人であって、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
  11. 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  12. 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
業種の制限
建設業警備業、港湾運送業に労働者を派遣することはできない(派遣法第4条、特に警備はそれ自体が派遣同等になる)。
医療関係業については、紹介予定派遣産前産後休業育児休業介護休業をする労働者の代替要員、僻地(医業に限る)又は社会福祉施設への派遣を除いて禁止(2006年3月改正、派遣法施行令第2条)
再派遣の禁止
派遣労働者を派遣先からさらに派遣させること(再派遣)はできない。(派遣法第24条の2)
特定派遣先のみの派遣(専ら派遣、またそのための企業を設立すること)も禁止されている。
事前面接の禁止・差別的取り扱いの禁止
派遣先は、紹介予定派遣である場合を除き、事前面接(顔合わせ・職場見学等も含む)や履歴書・経歴書・スキルシートの提出など派遣労働者を「特定することを目的とする行為」をしてはならない(派遣法第26条6項)。
派遣先は、派遣労働者の国籍、信条、性別社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として、労働者派遣契約を解除してはならない(派遣法第27条)。
情報の提供
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、マージン率、教育訓練に関する事項、その他関係者に対して知らせることが適当であるとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。
雇入時、派遣開始時、派遣料金額の変更時には、派遣労働者の「労働者派遣に関する料金額(派遣料金)」を当該労働者に明示しなければならない(派遣法第34条の2)。
マージン率=(派遣先が派遣元に支払う料金の平均額-派遣労働者の賃金の平均額)/派遣料金の平均額
グループ企業派遣の8割規制
派遣会社と同じグループ企業への派遣は、その労働者の年間総労働時間の8割以下に留めなければならない(2012年改正、派遣法第23条の2)。
離職した労働者についての派遣受入れの禁止
派遣先は、自社で直接雇用した労働者が離職した際、その労働者(60歳以上の定年で退職した者で派遣元に雇用されていた者を除く)の離職後一年間は、その労働者を派遣として受け入れることができない(2012年改正、派遣法第40条の9)。派遣先は、派遣労働者がこの規定に抵触する場合、速やかにその旨を派遣元に書面で通知しなければならず、従わない場合、厚生労働大臣は派遣先に対し指導・助言・是正勧告・社名公表することができる(派遣法第49条の2)。
派遣元責任者の選任
派遣元は、派遣就業に関し、所定の事項を担当させるために当該事業所に専属の派遣元責任者を選任しなければならない(派遣法第36条)。派遣元責任者は、未成年者及び派遣法第6条1~8号に該当する者を除いた者の中から、派遣元責任者講習を修了した者を選任しなければならない(派遣法施行規則第29条の2)。
派遣元責任者は、当該事業所の派遣労働者の数が100人以下のときは1人以上の者を、100人を超え200人以下のときは2人以上の者を、200人を超えるときは、当該派遣労働者の数が100人を超える100人ごとに1人を2人に加えた数以上の者を選任すること(派遣法施行規則第29条)。
派遣元管理台帳
派遣元は、派遣就業に関し、派遣元管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに以下の事項を記載し、これを3年間保存しなければならない(派遣法第37条)。
  1. 無期雇用派遣労働者であるか有期雇用派遣労働者であるかの別(当該派遣労働者が有期雇用派遣労働者である場合にあっては、当該有期雇用派遣労働者に係る労働契約の期間)
  2. 60歳以上であるか否かの別
  3. 派遣先の氏名又は名称
  4. 事業所の所在地その他派遣就業の場所及び組織単位
  5. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
  6. 始業及び終業の時刻
  7. 従事する業務の種類
  8. 特定有期雇用派遣労働者に対して講じた雇用安定措置の内容
  9. 段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時及び内容
  10. 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
  11. 紹介予定派遣に係る派遣労働者については、当該紹介予定派遣に関する事項
  12. その他厚生労働省令で定める事項(派遣法施行規則第31条)
    • 派遣労働者の氏名
    • 事業所の名称
    • 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
    • 派遣法施行令第4条第1項各号に掲げる業務について労働者派遣をするときは、施行規則第21条第2項の規定により付することとされる号番号
    • 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されているものについて労働者派遣をするときは、その旨
    • その業務が一箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務について労働者派遣をするときは、その旨及び当該業務が一箇月間に行われる日数
    • 産前産後休業、育児休業、介護休業をする労働者の業務について労働者派遣をするときは、休業者の氏名・業務・休業期間
    • キャリア・コンサルティングを行った日及び当該援助の内容
    • 健康保険厚生年金保険雇用保険の被保険者資格取得届が提出されていない場合、派遣先に通知したその理由
事業報告書等
所定の事項を記した「労働者派遣事業報告書」を、「毎事業年度における事業年度の終了の日の属する月の翌月以後の最初の6月30日」までに、また「労働者派遣事業収支決算書」を、「毎事業年度経過後3ヶ月が経過する日」までに、厚生労働大臣に提出しなければならない(派遣法第23条1項)。

派遣期間

平成27年9月30日時点で既に締結されている労働者派遣契約については、その契約に基づく労働者派遣がいつ開始するかにかかわらず、改正前の法による期間制限がかかる。すなわち、期間は原則1年。延長は最長3年まで可能だが、その事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)の意見を聴取する義務がある(派遣法第40条の2)。ただし、派遣契約締結から派遣開始までにあまりにも期間が空いている場合は脱法行為と認定される可能性がある。

平成27年9月30日以降に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、全ての業務で次の2つの期間制限が適用される。

派遣先事業所単位の期間制限
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、上限3年となる。起算日は、新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行った日である。3年の間に派遣労働者が交代したり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣を始めた場合であっても、起算日は変わらない。延長しようとする場合、その事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要がある。延長期間も上限3年であり、また延長しても、個人単位の期間制限を超えて同一の有期雇用の派遣労働者を引き続き同一の組織単位に派遣することはできない。
ここでいう「事業所」とは、雇用保険の適用事業所と同一である。雇用保険の事業所非該当承認を受けている場合、原則、期間制限を受ける事業所単位の事業所としては認められない。こうした一の事業所としての独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱うこととなる。
派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされる(クーリング期間)。派遣先が延長手続を回避する目的でクーリング期間を空けて派遣受け入れを再開する行為は、法の趣旨に反し、行政指導等の対象となる。
過半数労働組合等からの意見聴取は、期間制限の抵触日の1ヶ月前(起算日から2年11か月後)までに、十分な考慮期間を設けたうえで行わなければならない。また派遣先は、過半数労働組合等が意見を述べる参考となる資料を提供しなければならず、意見の内容を書面に記載して3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければならない。意見を聴いた結果、過半数労働組合等から異議があった場合には、派遣先は対応方針等を説明しなければならず、またその意見を十分尊重するよう努めなければならない。
最初の受け入れの際には、派遣先は過半数労働組合等に受け入れの方針を説明することが望ましいとされる。
派遣労働者個人単位の期間制限
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、原則、上限3年となる。組織単位を変えれば、同一の事業所に引き続き同一の派遣労働者を派遣することができるが、3年を超える場合は事業所単位の期間制限を延長する必要がある。
ここでいう「組織単位」とは、業務としての類似性・関連性があり、組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断される(一般的な企業の「課」「グループ」に相当する)。派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合には、派遣期間は通算される。
派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者をふたたび派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされる(クーリング期間)。
期間制限を受けない場合
以下の場合は期間制限はかからない。
  • 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  • 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合(平成27年改正前は「3年以内の有期プロジェクト」とされていたが、改正後は終期が明確であれば3年を超えてよい)
  • 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
  • 産前産後休業育児休業介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合
かつて派遣法施行令第4条で定めていた業務(俗称26業務)については専門的な業務であるか、特別の雇用形態が必要とされることにより、派遣期間制限はないとされてきたが、平成27年改正により、26業務についても他の業務と同様の期間制限がかかることとなった。なお改正法の施行を理由に26業務に従事していた有期雇用者に雇い止めを行ってはならない(派遣労働者にも労働契約法第19条(雇い止め法理)が適用される)。
日雇い派遣の制限
登録型派遣のうち、その雇用する日雇労働者を派遣するものを特に「日雇い派遣」と呼ぶ。ここでいう「日雇労働者」とは、「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者」をいう。2012年の派遣法改正により、「派遣法施行令第4条で定める業務」「60歳以上」「雇用派遣の適用を受けない学生(いわゆる昼間学生)」「世帯収入が500万円以上」「主収入が500万円以上の者が副業として従事する場合」の例外を除いて原則的に禁止となった(派遣法第35条の4、派遣法施行令第4条)。日雇い#労働者派遣法も参照。

雇用安定措置

平成27年9月30日以降に締結された派遣契約に基づく派遣労働者に対しては、派遣元事業主は派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるための措置(雇用安定措置)を講じなければならない。具体的には以下のとおりである。義務は、派遣元事業主が適切に履行するか、派遣労働者が就業継続を希望しなくなるまで効力が存続する。たとえ労働契約が終了した場合であっても、義務の履行はしなければならない。雇用安定措置を講ずる際には、本人の意向を尊重し、本人が希望する措置を講じるよう努めなければならない。派遣元事業主は、個々の派遣労働者に対して実施した雇用安定措置の内容について派遣元管理台帳に記載しなければならない。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
    対象となる派遣労働者が現在就業している派遣先に対して、派遣終了後に、本人に直接雇用の申込をしてもらうよう依頼する。この依頼は、書面の交付等により行うことが望ましい。
    この措置を講じた結果、派遣先での直接雇用に結びつかなかった場合、派遣元事業主は他の措置を追加で講じる必要がある。
    派遣先が直接雇用しようとする際に、派遣元がこれを禁止したり妨害したりすることは、派遣法の趣旨に反し、行政指導の対象となる。
    派遣先が、受け入れている派遣労働者を直接雇用した場合、キャリアアップ助成金の支給対象となる。
  2. 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
    派遣労働者が派遣終了後も就業継続できるよう、新しい派遣先を確保し、派遣労働者に提供する。
    対象となる派遣労働者を派遣元事業主が無期雇用とした上で(期間制限の対象外となる)、これまでと同一の派遣先に派遣することもこの措置に該当する。
  3. 派遣元事業主による無期雇用
    派遣元事業主が、対象となる派遣労働者を無期雇用とし、自社で就業させる(派遣労働者以外の働き方をさせる)。
    派遣元が就業規則等により、一律に試験を課し、試験合格者のみを無期雇用労働者として雇用するということを定めていた場合、当該試験の不合格者に対して雇用安定措置を講じたとはいえず、別の措置を講ずる必要がある。
  4. その他雇用の安定を図るために必要な措置
    新たな就業の機会を提供するまでの間に行われる有給の教育訓練
    紹介予定派遣、等々

対象となる派遣労働者は、

派遣先は、組織単位ごとの同一の業務について派遣元から継続して1年以上同一の有期雇用派遣労働者(特定有期雇用派遣労働者)に係る労働者派遣を受けた場合において、引き続き当該業務に労働者を従事させるために労働者を雇い入れようとするときは、当該業務に従事した特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者に限る)を、遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない。

キャリア形成支援制度

平成27年改正により、派遣事業の許可を受けるためには、派遣労働者に対するキャリア形成支援制度の措置を定めることが義務化された。その許可基準は具体的には以下のとおりである。

段階的かつ体系的な教育訓練

段階的かつ体系的な教育訓練は、キャリア形成支援制度として策定した教育訓練計画に基づいて行う。

派遣元事業主は、個々の派遣労働者について適切なキャリアアップ計画を派遣労働者との相談に基づいて策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練を実施することが望まれる。またその教育訓練は必ず有給・無償のものでなければならず、その費用を派遣労働者の賃金の削減によって補うことは望ましくない。派遣元が実施を義務付けられた教育訓練に加えて更なる教育訓練を自主的に実施する場合、実質的に派遣労働者の参加が強制されるものである場合には派遣労働者がこれらの訓練に参加した時間は労働時間として計算し、有給とする必要がある。

均等待遇の推進

派遣元事業主は、派遣先で同種の業務に従事する労働者との均衡を考慮しながら、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生の実施を行うよう配慮しなければならない。また、派遣元事業主は、派遣労働者が希望する場合には、この待遇の確保のために考慮した事項を本人に説明しなければならず、派遣労働者が説明を求めたことを理由として不利益取り扱いをしてはならない。

派遣先事業主は、派遣元が派遣労働者の賃金を適切に決定できるよう、必要な情報を提供するよう配慮しなければならない。また、派遣先は、派遣先の労働者に対し業務と密接に関連した教育訓練を実施する場合、派遣元から求めがあったときは、派遣元で実施可能な場合を除き、派遣労働者に対してもこれを実施するよう配慮しなければならない。派遣先は、派遣先の労働者が利用する以下の施設については派遣労働者に対しても利用の機会を与えるよう配慮しなければならない。

労働契約申込みみなし制度

平成27年10月1日以降、派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込をしたものとみなされる(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除く)(派遣法第40条の6)。

派遣元は労働者派遣を行おうとする際にはあらかじめ、また派遣先から派遣可能期間の延長の通知を受けた際には速やかに、派遣労働者に対し、抵触日を明示しなければならず、併せて派遣先が抵触日を超えた(期間制限違反の)派遣の受け入れを行った場合には、労働契約申込みみなし制度の対象となることを明示しなければならない。

違法派遣の罰則

公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられる(派遣法第58条)。

派遣禁止業務への派遣、名義貸し、無許可の派遣事業・虚偽の更新・業務停止命令違反をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(派遣法第59条)。

業務改善命令違反、申告をした労働者に対する不利益取り扱いをした者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる(派遣法第60条)。

許可申請・変更・廃止届出の書類の虚偽記載、就業条件等の明示・派遣期間・派遣元責任者・派遣元管理台帳・派遣先責任者・派遣先管理台帳の規定違反、派遣先への所定事項の未通知・虚偽通知、厚生労働大臣への所定事項の未報告・虚偽報告、立入検査に対する検査拒否・虚偽陳述をした者は、30万円以下の罰金に処せられる(派遣法第61条)。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第58~61条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する(派遣法第62条)。

派遣労働者特定の禁止

詳細は「事前面接」を参照

偽装請負多重派遣と同様に、事前面接、履歴書(経歴書・スキルシート)の受領・提出をおこなうと「派遣労働者を特定する行為」にあたり派遣契約の実態が労働者供給業と見なされるため、職業安定法第44条の禁止規定違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる(職業安定法第64条)。罰則の適用には被害者による刑事告訴か関係諸局・内部関係者による刑事告発が必要となる。刑事罰則は派遣先企業担当者、役員、代表にも科される。

処罰は派遣先、派遣元の両者に科される。職業紹介を行う紹介予定派遣では例外として事前面接が認められている。

偽装請負#被害者の対応策」も参照

再派遣・多重派遣

詳細は「多重派遣」を参照

再派遣は労働基準法第6条の違反(中間搾取の禁止)となる。罰則の適用には被害者による刑事告訴か関係諸局・内部関係者による刑事告発が必要となる。

労働基準法第6条違反については両罰規定が設けられている。労働基準法第121条には「この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する」とあり、事業主(中間搾取行為をした事業者の経営担当者、労働者に関する事項について事業主の為に行為をするすべての者)と事業主の代理人についても処罰が科される。被害を受けた労働者は派遣先および派遣元の会社、従業員などに対して刑事告訴を行える。

歴史

日本では江戸時代に手配師あるいは口入屋と呼ばれる労働者派遣事業が存在していた。 現在の形での労働者派遣事業を採用したのは航空機業界である(添乗員#派遣添乗員)。

※このときに適正なセーフティーネットや「雇用者に対する派遣先

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出典:wikipedia
2019/08/06 15:40

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