大庇先端上投光器照明方式(サークルライン方式)
最大照度:投捕間 2500Lx
千葉マリンスタジアム(ちばマリンスタジアム)は、日本の千葉県千葉市美浜区の幕張海浜公園内にある多目的野球場。プロ野球・パシフィック・リーグ(パ・リーグ)の千葉ロッテマリーンズが専用球場(本拠地)として使用している。通称・略称は千葉マリン、マリスタ。ZOZOが施設命名権を取得しており、名称をZOZOマリンスタジアム(ゾゾマリンスタジアム、略称:ゾゾマリン)としている。
1992年(平成4年)3月3日に「千葉ロッテマリーンズ」は当球場で初の練習を行い、同月7日には初のオープン戦、同年4月4日には初公式戦を開催して本拠地としての活動を開始した。
移転初年度のロッテはチームの勝敗では6位と最下位に低迷したものの、観客動員では移転景気で約28万人増の約130万人と球団新記録を達成したが、2年目に大きく落ち込んだ。
その後は、チーム成績が好調だった1995年(平成7年)には観客動員が伸びたものの、チーム成績および観客動員共に低迷した。
1996年(平成8年)3月の千葉市議会で「千葉マリンのドーム化」についての質疑が行われるなど、県や市の政財界関係者の一部の間で、伸び悩むロッテの観客動員と強風など気象条件に左右されやすい環境を改善する打開策として「千葉マリンのドーム化」を求める動きが起こった。
1999年(平成11年)にロッテがシーズン序盤好調だった際に、千葉市の松井旭市長が「優勝した場合はドーム化を検討する」と表明した。この際には建設費は約80億円で民間資本を活用して行うことが構想されていた。
2004年(平成16年)6月に「ボールパーク化構想」の実現のために、千葉県議会が、当球場と隣接する千葉県立の海浜公園の一体的な活用が可能となる管理基準の改訂を行った。同月にロッテ球団はその一環として、球場周辺に物販施設を併設することなどを提案して、千葉市とも協力することになった。
2006年(平成18年)4月に一塁側にカクテルなどを味わいながら観戦可能な「バー」を、同年8月1日にスタジアム敷地内に「マリーンズ・ミュージアム」を開設するなど「ボールパーク化」が進められることになった。
こうした取り組みに伴って千葉ロッテマリーンズが指定管理者となった。
NPB12球団の本拠地球場では、唯一ホームチームのリーグ優勝・CS優勝・日本シリーズ優勝の胴上げが行われたことがない。ビジターチームでは、1993・2002・2019年西武、2003年ダイエーが該当する。
社会人野球公式戦のJABA千葉市長杯争奪野球大会の第1回大会を皮切りに高校野球や社会人野球などのアマチュア野球も行われるようになった。
高校野球では、夏の全国高等学校野球選手権千葉大会の開会式と準々決勝以降の試合(ロッテの日程の兼ね合いで5回戦以下の試合で使用される場合もある)などで使用されている。
他球場と同じく草野球場としての一般貸し出しも行っている。しかし、使用条件があり「1チームのメンバーが25名以内で、3分の2以上の方が『千葉県民あるいは千葉市内在勤・在学者』であること(対戦チームについても同様)」となっている。
2010年(平成22年)9月25日に国民体育大会(ゆめ半島千葉国体)の開会式会場となった。野球場で国体の開会式をするのは初めてであった。2010年にロッテがクライマックスシリーズに進出した際には、ファーストステージならびにファイナルステージ全試合のパブリックビューイングが元ロッテの立川隆史をゲストに行われ、最終戦には公式戦並みの約1万3千人の観客を集めた。
2018年、千葉県で開催された第16回世界女子ソフトボール選手権の決勝ラウンドの会場となった。
2019年、2019 WBSCプレミア12の2次ラウンド(スーパーラウンド)の会場となり、11月11日と11月12日の合計3試合を開催した。
球場開設時にその運営管理会社として、千葉市などによる第三セクター「株式会社千葉マリンスタジアム」が設立されている。2005年以前は基本的業務として千葉マリンスタジアムの管理運営を行っており、2006年に千葉ロッテマリーンズが指定管理者となって以降は利用者管理業務・施設管理業務等をマリーンズから受託して管理運営を行っている。
また、これ以外にも千葉市の指定管理者として京葉銀行文化プラザ、千葉市美浜区の高洲コミュニティセンターと真砂コミュニティセンター、蘇我スポーツ公園施設の管理運営を行っているほか、NASスポーツクラブより受託を受けて青葉の森スポーツプラザの管理運営を行っている。
全国屈指の多目的野球場を目指して「千葉球場(仮称)」として1988年(昭和63年)1月30日に起工式が行われた。
愛称の募集が行われ、同年4月15日に「千葉マリンスタジアム」に決定した。
球場施設は千葉市、駐車場などの土地部分は千葉県がそれぞれ所有であるが、建設時から民間のノウハウを活用して各種イベントなどの運営・管理を第三セクターが担うことを目指しており、地元企業など官民49社が共同出資して、1989年(平成元年)5月19日に「株式会社千葉マリンスタジアム」が設立された。
1990年(平成2年)3月24日に開場した。こけら落しはオープン戦巨人対ロッテ戦となり、市民1万人を無料で招待することになった。なお、当該試合の主催はロッテではなく巨人であった。
初のプロ野球公式戦は翌1991年(平成3年)5月25日のヤクルト対中日戦(ヤクルト主催)。なお、当球場の初安打は古田敦也(二塁打)、第一号本塁打は荒井幸雄(ランニングホームラン)であった(#ヤクルト主催の公式戦の項も参照)。
昭和末期に検討していたダイエーへの身売りを直前で取り止め、また老朽化しかつ狭隘な川崎球場を本拠地とし、観客動員が伸び悩んでいたロッテオリオンズは関東の他球場への本拠地移転を検討しているとされており、建設開始前後から当球場へ進出する構想がささやかれていた。また、「株式会社千葉マリンスタジアム」が運営会社として活動を開始した直後の1989年(平成元年)6月25日に「千葉にプロ野球を誘致する県民会議」が県民・市民や県内政財界関係者によって結成され、プロ野球誘致を求める署名運動が開始された。そのため、「株式会社千葉マリンスタジアム」がロッテ球団に対して招致を行って「公式戦」を1989年(平成元年)11月に開催するとの回答を得ると共に、同年11月24日には同球団の松井社長が来季からの移転に意欲を見せるなど本拠地移転に向けて進展が見られた。しかし、プロ野球の球団本拠地化に伴う補助金の返還が約5億円に上ることなどもあり、「公共性重視」を掲げて千葉県側が招致に慎重な姿勢を示したことから1991年(平成3年)の移転すら困難と見られるようになった。 こうした状況を受けて、千葉青年会議所が千葉県と千葉市にプロ野球誘致に向けて努力を要望したものの、状況は進展しなかった。ところが、開場後の1990年(平成2年)7月になっても千葉県当局は県議会でプロ野球の球団誘致に慎重な姿勢を変えなかった。同年9月に千葉青年会議所が千葉県議会に改めて請願書を提出し、同年10月に入ってようやく千葉県知事が誘致へ協力することを表明することになった。千葉県の姿勢の転換を受けて同月25日に千葉市と千葉県はプロ誘致について正式合意し、千葉県が千葉市に了承書を交付した。ところが、同月30日にロッテの松井静郎球団社長は1991年(平成3年)の移転断念を表明し、 1991年(平成3年)2月5日に「株式会社千葉マリンスタジアム」がパシフィック・リーグに招致への協力要請した後の3月31日に行われた千葉市長との会談でロッテ球団側はあくまで「白紙」状態であると表明するなど、今度はロッテ球団側が慎重な姿勢を見せた。その後、同年7月31日に日本プロ野球のオーナー会議で重光昭夫オーナー代行が正式に移転を表明し、同日開催されたロッテ主催による千葉マリン初のパ・リーグ公式戦(対西武戦)に花を添えた。そして同年9月4日の実行委員会でロッテの保護地域の千葉県への移転が承認され、同年10月31日のオーナー会議での承認を経て、1992年からロッテは千葉マリンに本拠地を移すことが決定した。
移転の際、従来からのファンからは球団名として「オリオンズ」の継続を望む声もあったが、低迷を脱出するためにイメージを一新したいとして変更することになった。同年11月19日に一般公募から選考して、新たな愛称は「千葉ロッテマリーンズ」に決定した。
2010年(平成22年)11月4日 - 千葉市が施設命名権売却先の募集要項を原則として「契約期間3年以上で年額2億円以上」と発表して公募に踏み切った。同年12月7日に施設命名権売却先の交渉先にQVCジャパンを交渉先に選定した。同社の契約は、年額2億7500万円の10年間契約で、総額27億5000万円というものであった。同年12月27日に千葉市およびロッテ球団は、QVCジャパンが基本合意して呼称を選定したと発表し、2011年(平成23年)3月から「QVCマリンフィールド」となることになった。
サッカーやアメリカンフットボールでの使用も視野に入れた真円形のスタンドを採用しているが、可動席(現在は廃止)には他の多くの円形兼用球場のようなスライド式ではなく取り外し式のものが採用されている。
内野は二層、外野は一層式。全体の形状は円形であるが、外形は内野席の比率が大きくなるようになっている。かつてはサッカーコートをフィールド内に収めるための取り外し式可動席がダッグアウト横にあったが、フィールドシート増設時に廃止され可動席部分もフィールドシートとなった。球場の管理権が球団に移った2006年以降には小規模な改装が繰り返されており、通常の座席がボックスシートに変更されている箇所がある。また内野下段スタンドの最上段には室内観覧席が設置されている他、バックストップ裏(バックネット裏下)1階部分の記者席一塁寄りを「マリーンズ・プレスシート」として観客席としている。
内野スタンドと外野スタンドは分かれた構造となっており、場内通路で繋がれている。ロッテ主催試合では外野席の入場者は内野部分に入れるが、逆に内野席の入場者は2006年から外野部分に入れなくなった。2005年までは、外野席が満員になった試合、優勝決定ゲームなど混雑が予想される試合のみでその方策を採っていた。
2005年のプレーオフ第1ステージ第1戦では、ライト側(ロッテ側)外野席が満員となり、レフト側(西武側)のエリアをロッテファン用に開放したものの、西武応援団がレフト側バックスクリーン横の席を陣取り、ロッテファンの進入を防いだ為、ロッテファンの一部がチケットを持っているにも関わらず入場できないという混乱が起きた。現在では、レフト側外野席のセンター寄り部分をあらかじめマリーンズ側として設定しており(一部対戦は除く)、ビジター、ホームの席の割合が3:7となっている。
紙テープや紙吹雪は許可が下りた場合のみ可。ダッグアウトに選手が入る際、ベンチにはテンピュール製のクッションが配備される。
近隣に居住地域が無いため試合時間が遅くなっても他球場と異なり鳴り物制限は一切無い。
サッカーコートが収まる大きさにしていたがスライド式可動席を採用しなかったため、同クラスのフェアグラウンドを持つ野球場よりかなりファウルグラウンドが大きくなっている。ロッテが本拠地としてからフィールドウイングシートが増設されるまで、NPBの球団が一軍本拠地とする球場の中でグラウンド面積が最も広かった(公式発表では阪神甲子園球場がより広かったが訂正されている)。フィールドウイングシート設置後のグラウンド面積は公表されていない。
アメリカンフットボールはフィールドシート増設後でも使用可能で、社会人リーグであるXリーグの公式戦も行われている(オービックシーガルズが本拠地のように表現している)。使われるのは外野部分で、その際にはライト側とレフト側にゴールポストが設置される。
グラウンドは全面人工芝で、2003年初めにアストロ製のショートパイル人工芝「ネクストターフ」(パイル長30mm)に張り替えられた。張替え当時はいわゆる「ハイテク人工芝」と称された高機能型であった。2009年頃からパイル硬化などの劣化が指摘され、ロッテは同年オフ、千葉市に対し人工芝の張替えを求める要望書を提出した。千葉市は慢性的な財政難のため、張替え費用を捻出することが困難としたため、約5億円の工費はロッテ球団が立て替え、市が2011年度から6か年かけて返済する形で費用を工面することが決定した。
2010年オフから張替えに着手し、同年末に着工して2011年2月下旬に竣工。アストロ製のショートパイル型「アストロステージMJ〔マリンヴァージョン〕」(パイル長32mm)が採用された。基本は西武ドームなどに敷設されているものと同品種だが、マリンスタジアムではロッテ選手会の要望などを踏まえ、芝の下に敷設するアンダーパッドの下部に緩衝材を敷き、足腰への衝撃を軽減する工夫が施されている。パイル一本一本には芯が入っており、より天然芝の感触に近付けて仕上げている。施工したアストロの関係者は「選手の要望にいかに応えられるかが醍醐味。選手が最高のプレーをして、勝ってくれるのが一番嬉しい」と話している。
市はこの人工芝張り替えに関する問題を契機に、築20年を経過して老朽化が進んでいる球場全体の施設改修などを計画的に進めるため、市民をはじめ全国のファンから寄せられた募金・寄付金や「ふるさと納税制度」を活用して広く協力を求める「千葉マリンスタジアム基金」を創設し、2010年9月1日から受付を開始している。2011年3月1日からスタジアムに施設命名権が導入され、売却益の一部は改修費用に充当される(基金の名称は命名権導入に伴い、同日より「マリン基金」に改称。命名権の導入経緯については後述)。
2018年にはミズノ社と積水樹脂社の共同開発による野球専用人工芝「MS Craft Baseball Turf」を採用。総工費は3億2000万円。張替え工事は2017年オフから開始され、2018年2月28日に完成、同年3月のオープン戦に使用開始された。
開場当初、スコア表示部は白色電光式で、ロッテの本拠地となった1992年に高輝度放電管の大型映像装置を増設した(松下電器産業製 アストロビジョン、H 7.844 × W 9.911 m)。老朽化のため2002年に全面改修を行った際は、スコア表示部にLEDを採用した。さらに2008年の改修において映像装置が従来よりやや大きな三菱電機製のLED式オーロラビジョンに更新された。
映像装置には1992年の設置当初から「マリンビジョン」の愛称が付いている。ライト側に風速表示、レフト側にサッカー用と思われる45分計とアメフト用と思われる経過時間計がある。風速表示の真上に風車型風速計が設けられている。
2011年からボールカウントの表示方式を、従来の「SBO(上からストライク・ボール・アウト)」順から、国際ルールに則った「BSO」順に変更している。また球場命名権の設置に伴い、マリンビジョン上部の電光表示広告を、前年までの「LOTTERIA」に代えて「QVCマリンフィールド」に電光表示を変更、下部の「JR東海」の看板広告に変えて、「CHIBA LOTTE MARINES」の看板を掲げた(2013年はサントリーの『ソウルマッコリ』、2014年からは三井住友銀行が掲示されている)。2012年から審判の上に投球数が表示されるようになった。
高校野球開催時にイニング得点に表示される校名部分は2文字しか表示できない(泉、土気、多古はそのまま。専大松戸=専松、市立船橋=市船、習志野=習志)。球速を表示する専用の欄があるにもかかわらず、字が小さいためか、試合中は球速を中央のオーロラビジョンに(広告とともに)表示する。
2014年8月19日のロッテ-オリックス戦において、スコアボードが故障。オリックスの選手の名は全員消え、ロッテは加藤、角中、岡田、益田の4人だけとなった。
2016年に約5億円をかけてスコアボード部分を改修、メインスクリーン(縦10.08m×横28.8m(1,201型))1面、外野スタンドサブスクリーン(縦5.76m×横20.16m(825型))2面およびバックネット裏サブスクリーン(スコアなどを表示する縦2.4m×横11.2m(451型)と、打率、投球スピード等を表示する縦2.4m×横2.88m(148型))2面の合わせて5面の三菱電機製オーロラビジョンが設置された。これは球団側がスコアボードの所有者の千葉市に改善を要望していたことに加え、市長へ「映像が見づらい」という市民からの投書や、上述の通り老朽化による故障がみられたためであった。整備事業費は約7億円で、千葉市とロッテ球団が2:1の割合で費用を負担する。外部サイトの図解にもあるが、在来のスコアボードの箇所に加え、レフト・ライト側のそれぞれポール際にあった回転式広告板の箇所にサブビジョンが設置される。大時計についてはサッカー用の45分タイマーは外され、代わりに球場のマークが入る。
メインボード(バックスクリーン)は、中央に明治神宮野球場と同じ要領で各イニングスのヒット数が表示できるようになった。またイニング表示は基本9イニングスのみ。延長についてはプロは12回(2016・2017年シーズンの日本シリーズを除く)までなので9回の隣に3イニングをつぎ足し。アマチュア及びソフトボールは10回まで表記し、11回から先は1からもう一度記入し直しとなる。なお、2016年9月24日のロッテ-オリックスにおいて機器の不調のせいかアマチュアタイプで表示された。
2008年の改修で、内野席1階席直上の庇部分に増設された。三菱電機製の「オーロラリボン」を採用している。ファンからの公募による「marines wing vision(マリーンズ・ウイング・ビジョン)」の愛称が付いている。ホームゲームの際、マリーンズの好プレイ(安打、本塁打、盗塁成功など)を称えるメッセージやリリーフ登板に「It's your time」「We believe」の文字を流したり、マリンビジョンでのCMに対応するメッセージ、他に球場側からの告知事項を表示する。 2019年の改修では、全長295.68m、高さ1.28mのものに更新し、国内の野球場では最長・最大のリボンビジョンとなった。
このリボンビジョンは里崎智也の提案によって導入された。
スタンド上部の庇にサーチライトを架設。照明塔を使わないため外観をスマートに保つ事ができる上、高い照明効果を得られるなどのメリットがある。球場の外周全面に高い壁を造る必要があるため日本国内の屋外野球場でこの方式を全面採用しているのは千葉マリンだけだが、内野スタンドの庇先端部にサーチライトを分散させる手法は後に岡山県倉敷スポーツ公園野球場(マスカットスタジアム)や松山中央公園野球場(坊っちゃんスタジアム)、秋田県立野球場(こまちスタジアム)、新潟県立野球場(HARD OFF ECOスタジアム新潟)、改修された阪神甲子園球場(改修前は集中的に設置)などでも取り入れられている。
2018年には総工費8億3000万円をかけ、グラウンド内の照明を全てLED化。現状のメタルハライドランプと高圧ナトリウムランプに替えて、高演色LED照明を採用することで、照度(グラウンドの明るさ)を維持したまま