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原子力空母とは?

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この記事には参考文献や外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注による参照が不十分であるため、情報源が依然不明確です。適切な位置に脚注を追加して、記事の信頼性向上にご協力ください。(2014年12月)

原子力空母(げんしりょくくうぼ)は、原子力を動力源とする航空母艦(空母)。艦内に原子炉を搭載し、原子核反応による反応熱を熱源とする蒸気タービンを動力機関に備えた戦闘用の大型艦船で、長大な航続力を誇る。

原子力空母は、通常英語では nuclear-powered aircraft carrier という。またアメリカ海軍の原子力空母に用いられている記号の CVN [2]は、「汎用航空母艦(原子力推進)」を意味する「multi-purpose aircraft carrier (nuclear-propulsion)」という船体分類法を略称化した Carrier Vessel Nuclear に由来する。

世界初の原子力空母であるアメリカ海軍の「エンタープライズ」(奥)と、アメリカ以外では世界で唯一の原子力空母であるフランス海軍の「シャルル・ド・ゴール」(手前)
ニミッツ級原子力空母の「ジョージ・H・W・ブッシュ

目次

  • 1 概要
  • 2 アメリカ合衆国の原子力空母外交
  • 3 空母の主機関を原子力化することによる利点・欠点
    • 3.1 利点
    • 3.2 欠点
  • 4 大型空母の長所・短所
    • 4.1 長所
    • 4.2 短所
  • 5 原子炉を使うコスト比較
  • 6 原子力空母の原子炉
  • 7 世界の原子力空母
    • 7.1 退役
    • 7.2 現役
    • 7.3 建造計画
    • 7.4 建造中止
  • 8 脚注
    • 8.1 注釈
    • 8.2 出典
  • 9 参考文献
  • 10 関連文献
  • 11 関連項目

概要

最初に建造されたのは1960年進水のアメリカ海軍の「エンタープライズ」である。移動できる兵器としては人類最大のものである。そのため、多くの映画・小説・テレビ番組にも登場し、アメリカ海軍の象徴的な存在である。

2017年現在、原子力空母を運用しているのはアメリカ海軍のニミッツ級10隻とフランス海軍の「シャルル・ド・ゴール」の合わせて11隻だけである。旧ソ連海軍も計画していたが、ソ連崩壊により中止された。

アメリカ海軍で90機、仏海軍のシャルル・ド・ゴールで40機ほどの各種航空機を艦内に収容して、海上戦闘航空戦闘、陸上への戦力投射、輸送、軍事活動支援、人道援助、外交などの各種活動に多角的に対応できる柔軟性を持つ。

アメリカ海軍では空母打撃群(Carrier Strike Group, CSG)の中核となり、空母の船としての指揮は艦長である大佐が行い、空母航空団(Carrier Air Wing, 略記号ではCVW)の指揮官はCAG(キャグ、Commander, Air Group)と呼ばれる別の大佐が行なう。空母打撃群を指揮する少将のもとに両大佐が直属する。なお、艦長を補佐する副長(XO)も、CAGを補佐する副CAG(DCAG)も共に大佐である。

1艦に2,000人から5,500人もの人員が乗り込み、何ヶ月もの長期(多くが6ヶ月間)に渡り本国を離れた遠い洋上で生活するため、艦内に診療室、床屋、郵便局、売店、教会などを備えた小さな街を形成している。

アメリカ合衆国の原子力空母外交

イージス巡洋艦(上)とイージス駆逐艦(下)に護衛される「ジョージ・ワシントン」(中央)

2017年現在の時点で原子力空母を語ることは、多くの点でアメリカ海軍の原子力空母を語ることになる。

米国の原子力空母を含む大型空母は通常は一隻の空母とミサイル巡洋艦ミサイル駆逐艦など複数の護衛艦艇および攻撃型原子力潜水艦高速戦闘支援艦・給油艦・戦闘給糧艦などよりなる空母打撃群(Carrier Strike Group, CSG)を構成して空母単艦では脆弱な海中や空中からの攻撃などにそなえている。

もともと空母という軍艦は、水上偵察機からはじまり、海上戦闘のための艦上戦闘機艦上攻撃機を海上で運用することを目的に開発が進められた。真珠湾攻撃で陸地への攻撃が有名になったように陸への攻撃が有効である場合もあるが、第二次世界大戦当時やその直後の段階では大型爆撃機無誘導爆弾が空から陸上への攻撃の主体であり、狭い空母の甲板では小型の爆撃機ですら運用が難しかった。

ベトナム戦争では、空母発進の戦闘攻撃機が内陸へ爆撃を加えることもあったが、爆撃の主力は地上から飛び立つ戦略爆撃機であった。やがて時代は進み、大陸間弾道ミサイルですらかなりの誘導精度を持つに至ったが、核弾道弾の恐怖からくる核戦争へのリスクが、安易なミサイルの使用を制限し、費用対効果の点でも飛行機による陸への攻撃という手段が徐々に大きな地位を占め始めた。やがて1992年にアメリカ海軍は新しい戦略のキーワードとして「From The Sea」を発表した。その中心は潜水艦による陸地へのミサイル攻撃と合わせて、空母打撃群による陸への「力の投射」戦略である。空母を海上戦闘に使うことより、積極的に陸地を攻撃することを目的とするこの戦略転換により冷戦終結後の軍縮の危機を米海軍は上手に生き延びた。

近年のアメリカの、武力によって世界に積極的に関わっていく政策下では、原子力空母の登場する機会が今まで以上に増しており、ここ数年は中東イランイラク東アジア北朝鮮中国を意識した態度表明として、ペルシャ湾内外と日本海東シナ海に空母打撃群を1-3個程度配備している。これがいわゆる空母のプレゼンスで、いつでも必要な時に、必要な種類の攻撃を、必要なだけの規模で行える事で敵性国家や敵性地域の近くの公海上から威嚇しながら、場合によっては情報収集を行うことを指している。この複数の空母打撃群による威嚇は強力で、国際社会におけるアメリカ大統領の力の根源の大きな柱の1つとなっている。

原子力空母の配置について、その第一義的な意義を第50機動艦隊(第5空母群)司令官リチャード・レン少将は、その地域の軍事的安定による紛争発生の抑止にあるとしている。

アメリカ海軍では空母の大量動員能力を「サージ能力」(surge capability)と呼び、艦隊即応計画(Fleet Response Plan)の中心となる概念である。世界各地の紛争や戦争に対応して、30日以内に6個、90日以内にさらに2個の空母打撃群をすばやく大量に派遣できる能力を確保する計画である。

アメリカ国内がテロ攻撃にさらされた後でも、その原子力空母に依存する「力の投射」戦略が今後のアメリカの平和を守り、アメリカ自身のプレゼンスを守りきれるのか、原子力空母外交の今後が注目される。

空母の主機関を原子力化することによる利点・欠点

利点

欠点

また空母自体は原子力化されても空母打撃群を構成する他の艦艇のほとんどは通常動力であり、その燃料や艦載機の航空燃料・搭載兵装、さらには乗員の糧食・休養等、兵站という原子力空母の「無限の航行力」とは異なる次元の問題があり、同盟国への寄港、また戦地における前方展開、空母打撃群に付随する戦闘補給艦の整備は必要であり、システムとしての維持費は依然高額なままである。

大型空母の長所・短所

原子力か通常動力かに関係なく大型の航空母艦であるがために存在する長所と短所を以下に示す。現状ではアメリカは原子力空母しか保有していない。

長所

短所

原子炉を使うコスト比較

通常動力空母と原子力動力空母のライフサイクルコスト比較
【費用種別】
【通常動力空母】
原子力空母
開発費(Investment cost) | 3,353.4億円
(29.16億ドル) | 7,407.15億円
(64.41億ドル)
-取得費 (Ship acquisition cost) | 2,357.5 (20.50) | 4,667.85 (40.59)
-中期近代化改修費 (Midlife modernization cost) | 995.9 (8.66) | 2,739.3 (23.82)
運用・維持費 (Operating and support cost) | 12,793.75 (111.25) | 17,114.3 (148.82)
-直接運用・維持費 (Direct operating and support cost) | 12,001.4 (104.36) | 13,428.55 (116.77)
-間接運用・維持費 (Indirect operating and support cost) | 791.2 (6.88) | 3,685.75 (32.05)
廃棄/処分費 (Inactivation/disposal cost) | 60.95 (0.53) | 1,033.85 (8.99)
-廃棄/処分費 (Inactivation/disposal cost) | 60.95 (0.53) | 1,020.05 (8.87)
-使用済み核燃料保管費(Spent nuclear fuel storage cost) | なし | 14.95 (0.13)
ライフサイクルコスト | 16,208.1億円(140.94億ドル) | 25,555.3億円(222.22億ドル)
比較 | 100% | 157.7%
63.4% | 100%

出典:アメリカ合衆国会計検査院1998年 通常動力と原子力の空母のコスト比較

原子力空母の原子炉

原子力空母に搭載されている原子炉も基本的な設計は、商用発電所の加圧水型原子炉とそうは違わない。核燃料の濃縮度が高い(後述)以外では、発電施設建屋がない分、小型の原子炉格納容器が高い強度の隔壁で密閉してある。また、燃料棒酸化ウランペレットジルコニウム合金製の燃料被覆管により被覆されているのではなく、ウランと混合した金属ウラン・ジルコニウム合金の燃料棒が使われている。

当然、核燃料の交換設備が空母には備わっていないので、アメリカ海軍原子力空母の核燃料の交換時期になるとバージニア州ニューポートニューズ市のドックに長期間収容されて、船体を切り開いて複雑な交換作業が行われる。アメリカ海軍で現在建造されている原子力空母は、従来は5年-20年間に1度程度は必要だった核燃料交換のサイクルを、原子炉技術の向上で40-50年程度かまたはそれ以上のものとし、実質は新世代の原子力空母が就役後は一度も核燃料の交換を必要としなくなる予定であるといわれている。核燃料交換のためには1.5年から3年以上もの間海へ出られなかったこれまでの原子力空母からすると、これは大きな進歩である。

原子力空母の搭載する原子炉数はすべて2基以上である。

これらの原子炉はすべて加圧水型であり、アメリカ海軍艦艇の核燃料の濃縮度(ウラン235の占める割合)は商業用原子炉(2%-5%程度)と比べてかなり高めである。また核燃料のウラン濃縮度を高めたため、炉心冷却水のホウ酸濃度も商業炉と比べてかなり高めだと推測できる。

ところで、近年のニミッツ級では95%以上の高濃縮度の核燃料を使用して燃料交換サイクルを20年に1度以上としている。原爆の濃縮度が90%以上とされることから、搭載された原子炉自体が核爆発を起こさないかとの不安感がある。しかし、原爆などの核分裂反応による「核爆発」は火種で温度や衝撃で爆発する火薬と違い、核物質が近接するだけでなく、その近接が一定以上の早さで行われることが必要となるので核爆発は考えづらい。そこで、ありえる災禍としては、被害により原子炉がスクラム(緊急停止)不能による暴走と炉の溶融、それにともなう水蒸気爆発や核物質の拡散による汚染である。もっとも、不確定ながら今では最新のニミッツ級では原子炉の改良により20-25%の濃縮度のウラン燃料を炉心に入れているという情報がある。またフランス海軍の「シャルル・ド・ゴール」は燃料交換予定の間隔が14-15年であることから、濃縮度25%-45%のウラン燃料を使っている予想されている。

まず外からの攻撃による原子炉の破壊であるが、通常兵器での攻撃では炉が直接破壊されることはなく、少なくとも制御棒によるスクラムを行う時間は沈没までに確保されているとされる。また、沈没しても原子炉自体が非常に頑丈に作られており、艦体が破壊されるような衝撃や深海の圧力にも炉自体は耐えうる設計とされている。冷却に関しては最悪の場合でも海水があるので放射能漏れを別にすれば問題はあまりない。なお海水の突如の侵入に備えて動力室には圧力を逃す多数の弁が設置されている。

つぎに、通常の事故としてチェルノブイリ原子力発電所事故のような原子炉の制御不能による冷却水の急激な膨張(爆発)による炉の破壊(部分的な核反応爆発とする説もあるが)であるが、何重にも安全装置がほどこされ、最悪の場合でも制御棒は下ろせる構造になっているとされる。つぎに冷却についての事故防止だが代表的な米海軍空母用の原子炉A4Wには、搭載されている2基の原子炉のそれぞれに4ループの冷却系があると推測されている。

幸いにも、今までに原子力空母での核にまつわる大きな事故は明らかになった範囲では存在しないという。1999年11月に座礁した「ジョン・C・ステニス」の事故では、原子炉の冷却水循環ポンプが故障し原子炉が2基ともにスクラムした。このときは予備電気系統に切り替えて無事に炉心の冷却に成功している。 ところで、原子炉の運転を緊急停止させ、炉心の核燃料の連鎖反応が止まった状態でも核物質は発熱を続ける。このとき出るエネルギーが自己崩壊熱で、これを逃がさないと炉心の溶融が起きる。しかし、空母の原子炉は高出力運転状態から突如緊急停止(スクラム)し、仮にポンプなどの動的機器が同時に停止したとしても、一次冷却材の自然循環で崩壊熱が除去されるので爆発の危険はないとされている。

日本などに寄港したときも、アメリカ海軍の原子力空母は原子炉を止めて出力をゼロにするのではなく、弱力運転により15%程度の出力を得ているのではないかと言われている。日本では普通、商用の原子力発電所では出力調整はほぼ行わず、動かすか止めるかのどちらかであるが、この点でもこれら原子炉の設計の違いが見える。なお、人体に影響のない程度の微弱な放射線漏れは原子力船ではある。これに対して、乗組員や来艦者はバッジにより放射線被曝線量の計測を受ける決まりである。

世界の原子力空母

退役

アメリカ合衆国

現役

アメリカ合衆国

フランス

建造計画

アメリカ合衆国

ロシア

インド

中国

建造中止

ソビエト連邦 -> ウクライナ

フランス

脚注

注釈

  1. ^ 日本の英語辞書によく見られる「nuclear aircraft carrier」(直訳:「核空母」)という表現はあまり用いられない。
  2. ^ 船体分類記号については英語版「Hull classification symbol」項を参照[1]
  3. ^ 7万トンの戦艦大和」の重油搭載量は約6,000トンであった。
  4. ^ (単位:億円 115円/ドル換算(カッコ内億ドル)) 小数点切り上げは行わない
  5. ^ 艦の寿命を50年とする。
  6. ^ 通常型動力空母の燃料には運搬と補給作業の経費も含まれる。
  7. ^ 原子力空母の開発費には核燃料の価格も含まれる。
  8. ^ ジルコニウムの皮膜は800度以上で水素爆発の原因となる

出典

  1. ^ CVN 表記の出典は『英和・和英 米軍用語辞典 第3次改訂版』(森沢亀鶴、学陽書房、ISBN 4-313-95007-9)
  2. ^ Cost-Effectiveness of Conventionally and Nuclear-Powered Aircraft Carriers, www.fas.org(英語)
  3. ^ 世界の傑作 別冊 世界の空母 坂本明

参考文献

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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2014年12月)

関連文献

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