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国家元首とは?

(国家元首から転送)

元首(げんしゅ)または国家元首(こっかげんしゅ、ラテン語: dux civitatisフランス語: chef d’État英語: head of state)とは、

を指す。

目次

  • 1 概要
  • 2 分類
    • 2.1 絶対君主制国家・専制君主制国家の元首
    • 2.2 立憲君主制国家の元首
      • 2.2.1 君主の政治的権限が強い立憲君主制国家の元首
      • 2.2.2 君主が儀礼上の存在となっている立憲君主制国家の元首
      • 2.2.3 象徴君主制
    • 2.3 共和制国家の国家元首
      • 2.3.1 大統領制国家の国家元首
      • 2.3.2 半大統領制国家の国家元首
      • 2.3.3 議会共和制国家の国家元首
      • 2.3.4 社会主義国の国家元首
    • 2.4 専制国家・軍事国家・独裁政治国家の国家元首
    • 2.5 特殊な政体を採る国家の元首
    • 2.6 日本国の元首
  • 3 国家元首に関する慣例
    • 3.1 外交特権
    • 3.2 兵は誰に忠誠を誓うか
    • 3.3 オリンピックの開会式の開催宣言は誰が行うか
  • 4 その他
    • 4.1 国家元首が宗教の首長を兼ねる例
    • 4.2 日本における「外国の元首」が関連する法規定
  • 5 脚注
  • 6 参考文献
  • 7 関連項目
    • 7.1 日本関連

概要

「国家元首」の概念は、国家有機体説に発しており、国家を人体になぞらえた場合に、君主をhead()になぞらえたものとして生まれている。この比喩から転じて、やがて、そうした国家有機体説の比喩を離れて、行政権の長として対外的代表権を持つ存在(人)を元首と呼ぶようになり、さらに転じて、(行政権の長であるかないかは問わず)対外的代表権を持っている存在(人)を指して「元首」と呼ぶようになった 。

社会契約説の国家観の下では社会的な委任契約における社会的人格の一つ。

君主制の国家では皇帝国王などの君主共和制の国家では大統領が元首とされることが通例である。社会主義国では大統領の他、中華人民共和国国家主席キューバ国家評議会議長、かつてのソ連最高会議幹部会議長東ドイツ国家評議会議長なども国家元首に該当する。

国家元首に関する規程を持たない国も少なくなく、そうした国での国家元首は慣習上のものである。各国の憲法により、国家元首が政治の実権を持つ場合も持たない場合もある。実権の有無、統治形態の違いにかかわらず、国家元首は国家の長としての特別な権威を持つべきだと考えられている。しかし同時に自由主義、および国民主権の立場からそうした権威は不要であるとする考えもある。

一般的に国家元首が置かれる場合、ひとつの国に一人とされるが、例外もいくつかある。

分類

以下の項目において国家元首の大まかな分類を行う。なお、これらはあくまで大まかな区分である。各国の憲法には差異があり、元首の機能も多種多様である。

絶対君主制国家・専制君主制国家の元首

皇帝や国王のような君主が、強大な政治的権限を有している。君主は世襲であることがほとんどである。憲法を制定していない場合(絶対君主制国家)や、憲法を制定していても実際的には君主の大権が憲法を超越している場合(専制君主制国家)などがある。このような国家では、君主が富裕で国家から歳費を支給されていないことが多い。そのため、政府や議会が歳費の支給を停止して、君主の権限である大権を制限させることができない。さらに、宣伝や教育によって君主による統治の正当化が行われている。

リヒテンシュタイン(侯) は形式的には立憲君主制の君主であるが、実際的には強大な権限を握っており、絶対君主制または専制君主制の典型であるといわれる。

アラビア半島所在の諸国(サウジアラビアアラブ首長国連邦を構成する7首長国オマーンカタールクウェート)のスルターンは、絶対君主制の君主の典型である。君主の下に行政の実務を担当する首相が置かれる場合もあるが、君主が首相を兼任していたり、君主の一族(皇太子など)が首相となっている場合も多く、こうした事例では事実上、首相の権限は君主大権の中に包括されている。

アラブ首長国連邦の国家元首は大統領である。これは国家の最高意志決定機関である連邦最高評議会(FSC)で互選されるため、形の上では君主ではない。しかし、連邦最高評議会は絶対君主制を採る7首長国の首長から構成されるとともに、実際には大統領はアブダビ首長、副大統領兼首相はドバイ首長が世襲により継ぐのが慣例化している。さらに、アブダビは連邦の最大国家であるとともに連邦の中心国家である ため、アブダビ首長が兼ねる連邦の大統領は事実上、絶対君主制国家の君主に比肩する強大な権限を行使している。

立憲君主制国家の元首

君主の政治的権限が強い立憲君主制国家の元首

議院内閣制を採用する立憲君主国であり、行政を担当する首相が存在するが、国家元首である君主が国政の実権を握っている例。

ヨルダン・ハシミテ王国の国王などが、これに分類される。

君主が儀礼上の存在となっている立憲君主制国家の元首

議院内閣制を採用する立憲君主国の君主(国王など)がこれにあたる。行政は議会に指名される首相に委ねられ、国家元首である君主は国政の実権を有さない。イギリスオランダノルウェーデンマークスペインカンボジアタイなどの国王が、これに分類される。日本天皇も(天皇を君主とすれば)一般的にこれに分類されることが多い。

憲法上、国家元首に期待される役割は、内閣の助言と承認に基づく首相を始めとする官吏の任免や、外国元首・大公使の接受といった儀礼的なものである。これらの国の中には、イギリスの国王のように法律上は強力な権限を与えられているケースもあるが、そうした権限は長年の不行使により形骸化しており、実際には行使されないのが通例である。上記のような理由から政治的発言の自制が求められる。

上記の通り、このタイプの国家の君主は儀礼的役割のみを果たすことが通例であるが、政争やクーデターによる国政の混乱時には、仲裁者としての役割を期待され、権限を行使する場合もある。

君主は世襲によって継承されることが一般的であるが、例外もある。

象徴君主制

立憲君主制のひとつではあるが、君主の政治的権限を排除した場合には、国家元首の役割は象徴的なものに限定される。こうした事例に対しては、象徴君主制という新たな区分で説明されることがある。

スウェーデンの国王は、首相の任命や議会の招集・解散の権限を形式的にも失っており、国家元首と行政府を完全に分離している。そのため、世界で最も象徴的な立憲君主制とされており、これを象徴君主制の典型とみなす説がある。

イギリスの国王(女王)もこれに分類されることがある。イギリスの国王は形式的には強力な権限を持っているが、実際にはそれを行使しないのが通例となっているからである。

日本の天皇もこれに分類されることがある。日本国憲法第4条に「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と規定されているからである(象徴天皇制)。

共和制国家の国家元首

共和制国家では国家元首の権限は各国の政治体系によりまちまちであり、大統領が議会から独立した政府の長として強大な権限を握っている場合(大統領制)、大統領は行政に関して権限を有するが、議会による一定の制限を受ける場合(半大統領制)、大統領は形式的な権限を行使する象徴的なものである場合(議院内閣制)、などがある。社会主義国は君主制でない点において共和制国家に分類されるが、国家元首の地位は形式的・象徴的であり、実権は共産党の書記長・総書記が握っていることが多い。また、国家元首の地位は独任の機関ではなく、合議体の長(ソ連最高会議幹部会議長東ドイツなど旧東欧圏やキューバ国家評議会議長など)であることが多い。東アジアの共産圏では、大統領に相当する職位がある場合でも、中国ベトナム北朝鮮のように国家主席と称する。

大統領制国家の国家元首

大統領は有権者の選挙により選出され(代議員制の場合もある)、一般に政府の長として強大な権限を有する。大統領は議会とは独立した地位にあり、議会の勢力と関係なく一定の任期が保証される。一般に大統領は議会の法案への拒否権を持つが、法案の提出権はない。また閣僚の任免権を有する。閣僚は一般的に、国会議員との兼任はできない。議会の勢力が、大統領派の与党で占められている場合には強大なリーダーシップを発揮できるが、野党が多数派になった場合には厳しい議会運営が強いられる。

半大統領制国家の国家元首

国家元首たる大統領は有権者による選挙で選出される。行政権の主体は大統領と首相(内閣)にあることが多く、内閣の首班たる首相は議会の承認を得て大統領に任命される。大統領は議会と独立した存在でその任期中は地位、身分を保障され、首相の任免権を通じて実質的に法案提出権を行使する。このように内閣は議会に責任を持ち、議院内閣制の枠組みが取り入れられているが、同時に大統領に対しても責任を負っている。大統領は議会解散権や法案拒否権、大統領令の発布など議院内閣制と比べより強大な権限を有することが多い。

議会で大統領側の勢力が多数を占めれば、大統領は内閣を自由に組織し、内政でも強大なリーダーシップを発揮できるが、反対勢力が多数派を占めた場合は、反対勢力の党首に組閣を命じざるをえず、外交・国防は大統領、内政は反対勢力の首相が分担することとなる。このような状態をフランスではコアビタシオンと呼ぶ。

フランスロシア連邦の大統領が、半大統領制に分類される。

議会共和制国家の国家元首

議院内閣制を採用する共和国の大統領がこれにあたる。行政は議会に指名される首相に委ねられ、国家元首である大統領は国政の実権を有さない。憲法上、国家元首に期待される役割は、内閣の助言と承認に基づく首相を始めとする官吏の任免や、外国元首・外交官の接受といった儀礼的なものである。大統領は直接選挙で選出される場合と、それによらずに議会の投票により功績のある長老政治家が選出される場合などがある。これらの国の中には、オーストリア連邦大統領のように法律上は強力な権限を与えられているケースもあるが、そうした権限は長年の不行使により形骸化しており、実際には行使されないのが通例である。

インドイタリアアイルランドアイスランドギリシアの大統領、ドイツ連邦大統領オーストリア連邦大統領などが、これに分類される。

スイス連邦では、合議体である連邦参事会(内閣)が国家元首かつ政府の長とされているが、その7人の閣僚の中の1人が輪番制で就任する連邦大統領(任期1年)は、他国において通常、国家元首が果たす儀礼的な機能を果たしている。

スイスに類する例として、かつてのイングランド共和国においても、元首として護国卿が設置されるまでは、合議体である国務院(Council of State)が元首とされた。なお、国務院の議長は(枢密院議長と同じく)Lord President of the Councilと呼ばれたが、ここでいうpresidentは単に議長の意味である。

社会主義国の国家元首

社会主義国の国家元首の権能は国によりまちまちであるが、通常は議会共和制国家における国家元首に相当する権能を有する。元首自体は儀礼的な存在であり、実質的な最高指導者である共産党の党首(書記長総書記第一書記など)が兼任したり、長老幹部を礼遇するための名誉職として用いられたりするケースが多いが、元首の職権に実質的権限が付与されるケースとして、毛沢東劉少奇が就任した時代の中華人民共和国主席金日成時代の朝鮮民主主義人民共和国主席ミハイル・ゴルバチョフが就任したソビエト連邦大統領がある。ベトナムでは、最高指導者であるベトナム共産党書記長と元首であるベトナム社会主義共和国主席が分離しているものの、同国の国家主席は憲法上は軍の統帥権を持っているため、全く無力な存在という訳ではない。なお、党中央が動揺する非常時に、儀礼的な国家元首が自らの判断で重要な権限を行使する例 がある。

他に社会主義国の特徴としては、正式には国家の最高決議機関の常設委員会に国家元首の権能が与えられ、その議長が代表して国家元首の権限を執行するケースが見られる。

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国家元首に関する規定は特異である。

キューバでは、国家元首は国家評議会議長であり、これは単に儀礼的地位にとどまらず強大な権限を有している。さらに、内閣に相当するのは閣僚評議会であり、閣僚評議会議長が行政権の担当者としての首相に相当する。機構上ではその両者は分離されているが、1976年制定の新憲法では国家評議会議長は閣僚評議会議長が兼任すると規定されており、国家元首と行政権の首長の権能は統合されている。したがってキューバでは国家評議会議長兼閣僚評議会議長に国家の最高指導権が集中することになる。

専制国家・軍事国家・独裁政治国家の国家元首

形式的には共和制などの政体を採っているものの、実際には終身大統領のような独任制の元首が強大な政治的権限を有している。軍部・宗教団体・部族・外部勢力といった特定の集団が権力を掌握し、その代表者が元首に就任していることが多い。これらの場合、形式的に議会は存在していても、それは国家元首や特定集団の追認機関に過ぎない。民主的で公正な選挙が行なわれていないこともよく見られる。北朝鮮、アフリカの多くの諸国や、いわゆる「開発独裁」制を敷く国家、かつての南米の多くが、これに分類される。

軍事国家では、軍部出身の大統領が国家元首となる場合や、軍事政権が樹立した「○○評議会」(革命評議会、救国評議会、国家評議会など)議長が国家元首の役割を果たす場合、などがある。

かつてのナチス・ドイツでは、1934年8月2日に発効した「国家元首に関する法律」によって、それまで国家元首であった大統領首相の職務が統合され、指導者および首相であるアドルフ・ヒトラー(Der Führer und Reichskanzler Adolf Hitler)個人に大統領権限が委譲された。これはヒトラーが民族共同体の指導者であるという指導者原理に基づくものであり、法律や命令を必要とせず、発言すべてが「法」となる存在となった(総統を参照)。

ナチス・ドイツの支配下にあったクロアチア独立国(1941年 - 1945年)では、建国当初の国家元首は国王(トミスラヴ2世)であった。しかしこの地位はまったく形式上のもの(トミスラヴ2世は終始イタリアに居住し、クロアチアには足を踏み入れることがなかった)であり、国家の最高指導者はポグラヴニク(国家指導者または総統と訳される)の称号を名乗るアンテ・パヴェリッチであった。さらに、1943年のイタリア敗戦にともなってトミスラヴ2世国王が退位したため、パヴェリッチはポグラヴニクの称号のもとで名実ともに国家元首となった。

特殊な政体を採る国家の元首

ムアンマル・アル=カッザーフィー(カダフィ大佐)が支配していた時代のリビアジャマーヒリーヤ(直接民主制)という特異な政体を標榜しており、法的には国家元首は存在しなかった。通常は国家元首の職務とされている権能の一部は、全国人民会議書記が担っており、同書記が事務的には元首代行ともいえる。事実上の最高指導者は革命指導者のカッザーフィーであり、1979年までは革命評議会議長全国人民会議書記長という役職に就いていた名実ともに国家元首であった。カッザーフィーは1979年に一切の公職を退いているが、それ以降も革命指導者という肩書で他国元首と親書のやり取りをするなど、対外的に国家元首と受け取れる役割を担っていた。その一方でカッザーフィーは1988年に勃発したパンアメリカン航空103便爆破事件の容疑者引き渡し問題で国連のコフィ・アナン事務総長と会談した際には「私は国家元首でも首相でもないので、容疑者を引き渡す権限を持っていません」と語ったことがある。

イランイスラム共和制を採っており、国家元首に相当するのはイスラーム聖職者である最高指導者である。それとは別に、直接選挙によって選ばれる大統領は存在するが行政権の首長にすぎず、最高指導者から解任される規定がある。ただ、対外的にはイランの大統領も元首に準ずる存在として扱われている。

バチカン市国の国家元首はローマ教皇である。ローマ教皇はバチカンという独立国の国家元首であるとともに、全世界のローマ・カトリック教会の統治者であり、イエス・キリストの代理人とされている。教皇の選出はローマ・カトリック教会の高位聖職者である枢機卿による互選(コンクラーヴェ)であるから、大統領制のような国家元首公選制と見ることもできる。ただ、教皇は任期が定められていない上に本人の意に反する退位が認められておらず、事実上終身の地位である。また教皇の地位には特別な権威(聖座)が認められている。そうした点ではバチカン市国の国家元首としてのローマ教皇の地位は大統領制の大統領と同等とはいえず、むしろ選挙君主制のもとでの君主に近い。

チベット(1959年以降は亡命政権)の国家元首は、チベット仏教ダライ・ラマ法王であった。ダライ・ラマ法王の地位は世襲でも選挙制でもなく「転生」という特異な方式により継承されていた。1959年のチベット動乱によってダライ・ラマ14世チベット政府(ガンデンポタン)はインドに移って亡命政府を樹立した。1961年、将来の独立チベット国家の体制の指針であるとともに亡命チベット人社会を統治するため

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出典:wikipedia
2019/10/23 09:27

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