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国際法とは?

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国際法(こくさいほう、: International Law, Law of Nations: Droit international, Droit des gens西: Derecho Internacional)とは、国際社会(「国際共同体」: the international community: la communauté internationale西: la comunidad internacional)を規律するをいう。国際私法と対比させて国際公法(: Public International Law: Droit international public西: Derecho Internacional Público)ともいわれるが、国内法制度における私法公法の関係のように両者が対立的な関係にあるわけではない。条約慣習国際法法の一般原則が国際法の存在形式(形式的法源)とされる。かつては国家間の関係のみを規律する法と考えられてきたが、現代では国際組織や個人の関係や、これらと国家との関係を規律する法と考えられている。

目次

  • 1 概説
  • 2 用語
  • 3 発達史
    • 3.1 実定国際法の成立
    • 3.2 近代国際法の発展
    • 3.3 現代国際法への移行
  • 4 法源
    • 4.1 条約
    • 4.2 慣習国際法
    • 4.3 法の一般原則
  • 5 基本原理
  • 6 条約法
  • 7 国家機関
  • 8 国家管轄権
  • 9 国家領域
  • 10 国際機構法
  • 11 海洋法
  • 12 国際化領域
  • 13 個人管轄
  • 14 国際人権法
  • 15 国際経済法
  • 16 国際環境法
  • 17 紛争解決
  • 18 武力紛争法
  • 19 国内法との関係
  • 20 国際法は「法」であるか
  • 21 脚注
  • 22 参考文献
  • 23 関連項目
  • 24 外部リンク

概説

国際法は、オッペンハイムが定義する文明諸国家相互間の関係で、国家行為を拘束する規則または原則の一体である、といわれる。そして国際法は成文化されたもの(条約)と慣習によって成り立つ不文のもの(慣習法)、法の一般原則によって成り立っており、国家および国際機構の行動、そして今日ではこれに加えて、個人の行動(特に、国際人道法国際刑事法)や多国籍企業の行動(特に、国際投資法)も、これによって法的に規律される。

用語

「国際法」という言葉は、1873年箕作麟祥が「International Law」の訳語として考え出し、1881年東京大学学科改正により正式採用されたものである。それ以前の幕末当時には、タウンゼント・ハリスが初代駐日公使となり、日米修好通商条約締結を求めた際に国際法は「万国普通之法」と訳されている。その後隣国清朝でヘンリー・ホイートンの Elements of International Law が『万国公法』と訳されるとそれが国境を越えて流布し、以後しばらく中国や日本では「万国公法」という訳語が「International Law」の訳語として使用された。また、他にも「列国交際法」、「宇内の公法」とも呼ばれていた。また、「Law of Nations」は一応、「国際法」と訳される場合が多いが、厳密には「諸国民の法」あるいは「諸国家の法」と訳すべきであろう。

フランス語では、「国際法」として、"Droit international public"(国際公法)と"Droit des gens"(万民法)という二つの用語がある。今日では前者が一般に用いられるが、後者は古典的な用語法で、現代では特に個人の保護を念頭においたときに用いられる(例えば、ジェノサイドを"un crime de droit des gens"と表現するものとして、「ジェノサイド条約に対する留保」国際司法裁判所勧告的意見、C.I.J.Recueil 1951, p.23)。ヨーロッパの大学における国際法の講義の名称として、"Droit des gens"を今日でも続けて用いている大学もある。

発達史

実定国際法の成立

国際法は国家主権の確立によって発展するが、それまでの国際法は「君主間の法」とも呼ばれ、国家を人格的に代表する君主は人間であるために自然法により規制されるという考えによる法体系となっていた。

国際法は16世紀から17世紀のヨーロッパにおける宗教戦争の混乱を経て、オランダの法学者グローティウスや、スペインの神学者であり法学者であったスアレス(Francisco Suárez)、ビトリア(Francisco de Vitoria)らが創始したと考えられている。スアレスによれば、万民法(jus gentium)は慣習法として成立し、それが実定法として国際社会全体を拘束すると考えた。また、グローティウスの『自由海論』は当時の国際法的思考に大きな影響を与えたといわれる。ウェストファリア条約以降、国家間の紛争、通商および外交関係を規律する法として成立、発展していった。

近代国際法の発展

伝統的な「国際社会」(: la société internationale)は、主権国家の並列状態のみが想定されており、したがって国際法の主体となりうるものは国家のみであった。この基本的な構造はそのため従来的な国際法とは、国家間の合意もしくは不文律のことのみを意味していた。会社などの法人個人は国際法の主体となりえず、せいぜい国家が国際法に関する権利を行使する過程で影響を受ける存在でしかなかった。これはそもそもかつての国際法で紛争を抑制するために定められた国内管轄権に関する事項を規定しない内政不干渉の原則がウェストファリア体制で確立されたことに起因している。

現代国際法への移行

しかし現代では、国際人権法、国際人道法に見られるように、個人も国際法上の権利、義務の主体として位置づけられるようになった。また、国際環境法における「人類の共通の関心事」(common concern of humankind)あるいは「人類の共通利益」(common interests of humankind)概念のように、「人類」(: l'humanité)概念も登場するに至った。このように、今日では、従来の「国際社会」とは異なる、諸国家の相互依存性から自然発生的に形成された国際共同体」(: the international community: la communauté internationale)という概念が、学説においてもまた実定法においても、徐々に浸透してきている。特に、フランスの国際法学者であるルネ=ジャン・デュピュイからは、「国際共同体」とは「国際社会」と「人類」の弁証法(la dialectique)であるとの主張がなされている。様々なとらえ方のある概念ではあるが、現代国際法は、そのような「国際共同体」を規律する法であると今日では言うことができる(cf.「核兵器の威嚇または使用の合法性」国際司法裁判所勧告的意見ベジャウィ裁判長宣言、C.I.J.Recueil 1996 (I), pp.270-271, par.13)。

法源

「国際法の法源」には、一般的に二つの意味がある。第一に、「形式的法源」(les sources formelles)であり、これは、国際法という法の存在のあり方をいう。「国際法の法源」と言った場合、通常、この意味が当てはまる。すなわち、国際法は、「条約」及び「慣習法」という形で存在し、後述するように現代では「法の一般原則」も国際法の法源に含まれるとされている。また、「判例」や「学説」は、これら条約、慣習法、法の一般原則の内容を確定させるための補助的法源とされている。これらのことは、以下のように国際司法裁判所規程38条1項に規定されている。

(a)一般又は特別の国際条約で係争国が明らかに認めた規則を確立しているもの
(b)法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習
(c)文明国が認めた法の一般原則
(d)法則決定の補助手段としての裁判上の判例及び諸国の最も優秀な国際法学者の学説
— 国際司法裁判所規程38条1項

さらに国際組織による決議などの国際法上の法源性についても論じられることがある。

最新の議論によれば、大沼保昭明治大学特任教授によって、「裁判規範」と「行為規範」の区別が主張されている。すなわち、国際司法裁判所規程38条に列挙された、条約、慣習法、法の一般原則は、あくまで裁判を行う時に適用される法源であり、国家が国際社会で行動するときに拘束される国際法は、これらに加えて他にもあり、例えば、全会一致またはコンセンサスで決められた国連総会決議も行為規範として、国家を拘束すると主張される。国際司法裁判所の確立した判例によれば、国連総会決議は、たとえ拘束的ではなくとも、法的確信(opinio juris)の発現を立証する重要な証拠を提供する、とされる(「核兵器の威嚇または使用の合法性」勧告的意見I.C.J.Reports 1996, Vol.I, pp.254-255, para.70. 「ニカラグアにおける及びニカラグアに対する軍事的、準軍事的行動事件」判決、I.C.J.Reports 1986, pp.100-104.)。

第二に、「実質的法源」(les sources matérielles)を指す場合がある。これは、上記、「形式的法源」(特に、条約と慣習法)が成立するに至った原因である、歴史的、政治的、道徳的要素や事実を指す。このように、「実質的法源」は、法的拘束力を有する法そのものではなく、国際法成立の要因であり、特に、法社会学の対象分野であるといえる。国家による一方的行為/一方的措置は、慣習国際法を形成する要因として、実質的法源になりうる。

条約

詳細は「条約」を参照

条約とは、一定の国際法主体(国家、国際組織等)がその同意をもとに形成する、加盟当事者間において拘束力を有する規範をいう。二国間条約と多数国間条約があり、ともに当事者の合意によって成立するが、後者はその成立に批准手続が取られることが多く、また特に多数の国が参加する場合には条約を管理する機関が置かれる場合がある。条約そのものの規律を対象とする国際法については1969年に国連国際法委員会によって法典化された条約法に関するウィーン条約がある。(条約法の項を参照。)

慣習国際法

詳細は「慣習国際法」を参照

慣習国際法は、不文ではあるが、条約と同等の効力を有する法源である。もっとも、不文であるため、それぞれの慣習国際法がいつ成立したのかを一般的にいうことは難しいが、もはや慣習国際法として成立したとされれば、国際法として国家を拘束する。

その成立には、「法的確信(: opinio juris)」を伴う「一般慣行」が必要である。「一般慣行」が必要とされるため、長い年月をかけて多くの国が実践するようになったことによって成立したものがある一方、「大陸棚への国家の権利」のように発表からわずか20年足らずで成立したとされるものなど、その成立は様々である。国際司法裁判所は1969年の「北海大陸棚事件判決において、ある条約の規則が一般法になっているための必要な要素について、「たとえ相当な期間の経過がなくとも」(even without the passage of any considerable period of time)、「非常に広範で代表的な参加」(a very widespread and representative participation)があれば十分であるとし、また、「たとえ短くとも、当該期間内において、特別の影響を受ける利害関係をもつ国々を含む、国家の慣行(State practice)が、広範でかつ実質上一様で(both extensive and virtually uniform)あったこと」を挙げた(I.C.J.Reports 1969, pp.42-43, paras.73-74; 皆川洸『国際法判例集』391頁)。

一貫した反対国」(persistent objector) 、すなわち、ある慣習法が生成過程にあるときに常にそれに反対していた国家、への当該慣習法の拘束力については、学説上、議論がある。国際司法裁判所は、1951年の「漁業事件」(イギリス対ノルウェー)判決において、領海10マイル規則に対して、ノルウェーがその沿岸においてその規則を適用するあらゆる試みに反対の表明を常に行っていた([la Norvège] s'étant toujours élevée contre toute tentative de l'appliquer)ので、10マイル規則はノルウェーに対抗できない (inopposable) と判示した (C.J.I.Recueil 1951, p.131) 。

慣習法のみが一般国際法 (general international law) を形成する、という従来の理論に関して、小森光夫は疑問を提示し、慣習法の一般国際法化の際のその形成と適用について、それぞれ問題点を示している。すなわち、形成に関しては、慣習の一般化において、全ての国家の参加が必要とされずに、欧米諸国など影響力のある限られた数の国家の事実上の慣行のみでそれが認定されてきた点を挙げる。また、適用に関して、すでに一般化したとされる慣習法に、新独立国が自動的に拘束されるとする理論について、それが一貫した反対国と比べて差別的である点を挙げる。そうして、一般国際法の存在を慣習法に集約させて論じることを止め、別個に一般法秩序の条件の理論化を確立すべきだと主張する。

法の一般原則

法の一般原則とは、国際司法裁判所規程第38条第1項(c)にあるように「文明国が認めた法の一般原則」であり、主要法系に属する世界の国々の国内法に共通して認められる原則の中で、国際法秩序にも適用可能と判断できるものを指す。19世紀には国際法の法源は条約と慣習国際法であるとされてきたが、これらに加えて1921年の常設国際司法裁判所規程法の一般原則を裁判基準として認め、国際司法裁判所規程も上記国際司法裁判所規程38条1項(c)のようにこの立場を踏襲した。さらに現代では二国間の仲裁裁判条約や、多数国間条約に定められた裁判条項においても裁判基準として挙げられていることから、法の一般原則は国際司法裁判所の裁判基準であることを超えて「法の一般原則」も国際法秩序における独立した法源であるとする考えが、今日では広く認められている。

基本原理

国際法秩序は、その根底に、一般原則(general principles; les principes généraux)を有する。これら一般原則を基盤として、またその内容を具現するために、各種条約及び慣習法規が存在しているといえる。それは、国際司法裁判所規程38条(c)の「文明国が認めた法の一般原則」(les principes généraux de droit reconnus par les nations civilisées; general principles of law recognized by civilized nations)として発現していると考えることができる。「法の一般原則」は、各国の国内法に共通に見られる法原則のうち国際関係に適用可能なもの、あるいは、あらゆる法体系に固有の法原則として、一般的にとらえられている。

国際裁判において適用された「法の一般原則」の例としては、信義誠実の原則(1974年「核実験事件(本案)」(オーストラリア対フランス、ニュージーランド対フランス)国際司法裁判所判決I.C.J.Reports 1974, p.268, para.46)、衡平原則(1986年「国境紛争事件」(ブルキナファソ/マリ)国際司法裁判所判決、C.I.J.Recueil 1986, p.567, par.27; 1984年「メイン湾における海洋境界画定事件」(カナダ/米国)国際司法裁判所・小法廷判決、C.I.J.Recueil 1984, p.292, par.89; 前記「北海大陸棚事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1969, p.46, para.83ほか)、義務違反は責任を伴うの原則(1928年「ホルジョウ工場事件(本案)」常設国際司法裁判所判決)、「既判力」の法理(1954年「賠償を与える国連行政裁判所の判決の効力」国際司法裁判所勧告的意見、C.I.J.Recueil 1954, p.53)などが挙げられ、禁反言の法理(estoppel)のような英米法の概念も適用されるとされた場合もある(前記「北海大陸棚事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1969, p.26, para.30)。ただ、裁判所が、明示的に「法の一般原則」として援用することはまれである(一方が他方の義務履行を妨げた場合に、その義務違反を主張することはできないということを、「国際仲裁判例によって、また国内諸裁判所によって、一般的に認められる原則」とした例として、「ホルジョウ工場事件(管轄権)」常設国際司法裁判所判決、C.P.J.I., série A, 1927, n°9, p.31)。なお、法の不遡及(non-rétroactivité; non-retroactivity)原則も、国際法、国内法共通の原則であり、特に刑事法の分野で確立している(「世界人権宣言」11条2項、市民的及び政治的権利に関する国際規約15条1項、欧州人権条約7条1項ほか)。しかし、「国際法上の犯罪」(les crimes du droit des gens) において、第二次大戦中当時、「平和に対する罪」が必ずしも明確に犯罪行為として定まっていなかったにもかかわらず、「極東国際軍事裁判所」(極東国際軍事裁判)において、それが適用され、処罰された事例がある。

これらのうち、「信義誠実原則(原理)」(principle of good faith) と「衡平原則(原理)」(principle of equity) は、国際法の解釈及び適用の際に、常に働く。

信義誠実原則は、正直、という主体的(subjective)な意味と、相手側を尊重する、という客体的(objective)な意味に分かれる。それは主として、国際法の解釈において作用する。ウィーン条約法条約31条は、条約は誠実に解釈されなければならないと規定する。これは、自国の表明した意思に正直、忠実に、かつ相手国の利益や立場を合理的に考慮して条文を解釈しなければならない、という意味と解される。また、履行についても、国際義務は誠実に履行しなければならないとされている(国連憲章2条1項、条約法条約26条)。これも、自国が表明した意思に正直、忠実に、かつ相手国の利益や立場を合理的に考慮して義務を履行しなければならない、という意味と解される。

衡平原則は、関連するあらゆる事情を考慮して、法を適用することを意味する(cf.「北海大陸棚事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1969, p.47.)。それは三つに分解される。「実定法規内の衡平」(equity infra legem)、「実定法規に反する衡平」(equity contra legem) 、「実定法規の外にある衡平」(equity praeter legem) である(「北海大陸棚事件」国際司法裁判所判決アムーン判事個別意見、C.I.J.Recueil 1969, p.138; 「国境紛争事件」(ブルキナファソ/マリ)国際司法裁判所判決、C.I.J.Recueil 1986, pp.567-568, pars.27-28)。すなわち、「実定法規内の衡平」とは、適用可能な複数の法原則、法規則のうちから(「チュニジア・リビア大陸棚事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1982, p.59, para.70)あるいは可能な複数の法解釈のうちから各当事国が納得がいく(当事国の利益の釣り合いによる; balancing of the interests of the parties)結果を導き出す選択をする、ということであり、「実定法規に反する衡平」は、国際司法裁判所規程38条2項にいう「衡平と善」(ex aequo et bono) もこの一種で、実定法規の適用が衡平な結果をもたらさない場合、関係当事国の合意の下、それらを除外してでも釣り合いのとれた解決を目指すものであり、「実定法規の外にある衡平」とは、法の論理的欠缺を埋める補助的なものであり、一般原則を用いてその欠缺を埋め(「コルフ海峡事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1949, p.22.)、具体的な解決をもたらすものである。

1968年「北海大陸棚事件」(ドイツ連邦共和国/デンマーク、ドイツ連邦共和国/オランダ)において、小田滋ドイツ連邦共和国弁護人は、本件では適用可能な慣習法規が存在しないので、法の一般諸原則が適用されるとし、そして、実在的正義(substantial justice)とは、紛争の各当事者が、あるちょうどよく衡平な分け前(a just and equitable share)を受け入れる状況を意味すると主張した。そしてそれゆえ、等距離線のような抽象的に思いついた技術的境界画定ではなく、石油資源の分配や「沿岸地帯」(façade)で表される基線の考えに基づく、善意(goodwill)と弾力性(flexibility)のある真に衡平な解決を提示した。

最も基礎的な原理として、「人道の基本的考慮(人道の初等的諸考慮)」(elementary considerations of humanity; les considérations élémentaires d'humanité)が法の欠缺を埋めるために援用されるときがある(1949年「コルフ海峡事件(本案)」国際司法裁判所判決、C.I.J.Recueil 1949, p.22; 2000年1月14日「クプレスキッチ他事件」旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所第一審判決、IT-95-16-T, para.524ほか)。この原則は、人間という存在のための根源的な自然の欲求あるいは欠乏から生じる必要(les besoins fondamentaux)(例えば、生命、身体、心の安寧)の保護を目指した諸評価要素の総体をいう(1966年「南西アフリカ事件(第二段階)」国際司法裁判所判決では、単なる「人道的考慮」(humanitarian considerations)は直ちには法的利益性を持ちえないとされた。I.C.J.Reports 1966, p.34, paras.50-51)。

例えば、1907年ハーグ陸戦規則第三款(42~56条、例えば43条の占領地の法律の尊重)は、人道の原理(the principle of humanity)に基づいているがゆえに、交戦状態においてのみならず、全般的休戦(general armistice)から平和条約の締結までの間においても適用されると解される。

これとは別に、国際法の一般原則(les principes généraux du droit international; general principles of international law)がある。これは、条約や慣習法の諸規則を通じて実定国際法に浸透した慣習国際法上の原則である。

友好関係原則宣言」(Declaration of Principles of International Law concerning Friendly Relations and Cooperation among States with the Charter of the United Nations)(国連総会決議2625 (XXV) 、1970年10月24日)に従えば、以下の原則が国際法の一般原則として確立しているといえる。

(1)国際関係における武力の威嚇と行使の禁止の原則(第一原則)
(2)国際紛争の平和的解決の義務の原則(第二原則)
(3)国内管轄事項への不干渉義務の原則(第三原則)
(4)国々が相互に協力する義務(第四原則)
(5)人民自決の原則(第五原則)
(6)国の主権平等の原則(第六原則)
(7)国連憲章の義務の誠実な履行の原則(第七原則)

条約法

条約法は、国連国際法委員会 (ILC; International Law Commission) によって慣習法を漸進的発展とともに法典化した、1969年の「条約法に関するウィーン条約」(Vienna Convention on the Law of Treaties; VCLT)が主として機能する。しかし、同条約の批准国は100あまりにすぎず、米国やフランスなど有力な国も批准していないことから、ときおり、特定の条項について、その一般的効力が争われる。

条約法条約は、条約の締結 (conclusion) 、解釈 (interpretation) 、適用 (application) について定める。

同条約は、「国の間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意」を対象としている(2条)。しかし、一般国際法上、文書によらない国家間の合意も拘束力があり、そのことを同条約は害しないとする(3条)。

条約の締結は、国家間の交渉(全権委任状、7条)、条約文の採択(9条)、国の同意の表明(署名 (signiture) 、批准 (ratification) 、加入 (admission) 、11条)により成る。最後の国家の同意については、単なる技術的、事務的な行政取極の場合は、署名だけで効力を発するが、通常の条約は、国内での承認(approbation、日本では国会の承認)を経ての認証である批准が必要とされる。

条約の締結について、今日、最も議論があるのが、留保である。留保とは、国家が、条約に署名、批准、加盟する際に、特定の条項の全部又は一部の適用を除外する旨の一方的宣言をいう。留保は、当該条約が禁止していない限り許される(19条)。当該条約で特別な定めがある場合はそれに従うが、特に規定されていない場合には、留保は、それに対して異議を表明しない国家に対して効力を有するが、留保の表明から12か月以内に異議を表明した国家に対しては、それを主張できない(20条)。なお、留保は、その条約の趣旨、目的に反しない限りにおいて、有効である(1951年「ジェノサイド条約に対する留保」国際司法裁判所勧告的意見、C.I.J.Recueil 1951, p.24)。これに従って、現在、特に人権条約において留保が許されるかという問題が議論されている。ILCは、留保に関する慣習法の法典化作業を進めている(特別報告者、Alain Pellet)。2007年の第59会期ではガイドライン案3.1.5から3.1.13が採択され、3.1.12によれば、人権条約に対する留保の条約の趣旨目的との合致性は、条約で定められた権利の「不可分性」(indivisibility) 、「相互依存性」(interdependence) 、「相互関連性」(interrelatedness) を考慮に入れなければならないとされた(A/62/10)。

解釈に関しては、条約法条約31条が定めている。まず、「条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。」そして、「文脈」とは、前文、付属書に加えて、当事国の後に生じた慣行や当時国間に適用される国際法の規則までも含む(31条3項)。近年、この規定に基づき、条約締結時の当事国の意思を離れて、現存する関係国際法規を考慮する「発展的解釈」(l'interprétation évolutive)が、特に環境法の分野において、さかんに行われている(例えば、1997年「ガブチコヴォ・ナジュマロシュ計画事件」国際司法裁判所判決、I.C.J.Reports 1997, pp.77-78, para.140)。

適用に関しては、特に、条約の第三国に対する効力が問題となる。条約法条約は、条約が第三国に権利または義務を設定する場合には、その第三国の同意が必要であるとし(34条)、義務を課す場合は、明示の同意が必要(35条)、権利を付与する場合は同意が推定される(36条)と規定する。しかし、これらの規定の例外として、「客観的制度」(objective régime) の理論が学説上、主張されることがある。その例として、南極条約体制は、人類全体の利益に資するとして、締約国以外の第三国にも対抗できる(特に、南極における海洋資源保護)と主張される場合がある(国際化領域の項目も参照)。また、「相前後する条約の効力」として、条約法条約は、「後法は前法を廃す」の原則を置いているが(30条)、例えば、1989年の「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」よりも後にできた、1994年の世界貿易機関 (WTO) を創設する「マラケッシュ協定」が定める自由貿易制度が優越するのか、といった疑問が提示されうる。

最後に、条約法条約は、強行法規(ユス・コーゲンス; jus cogens)に反する条約を無効とする(53条)。これまで、古典的学説の立場から、ユス・コーゲンスの存在に対して懐疑的な立場も根強く見られたが、2006年の「コンゴ領における武力行動事件(2002年新提訴)」(管轄権)(コンゴ民主共和国対ルワンダ)で国際司法裁判所としては初めて明示的にユス・コーゲンスの存在を認定し(arrêt, par.64)、この問題に決着がついたといえる(2007年の「ジェノサイド条約の適用に関する事件」(ボスニア・ヘルツェゴビナ対セルビア及びモンテネグロ)判決でもユス・コーゲンスの存在を認定、Judgment, para.185)。

国家機関

一般的に、国家機関は、立法機関行政機関司法機関に分類される。

立法機関、すなわち日本でいうところの国会は、自国の国内法秩序において、法を制定する機能を有する。国際法上の観点から見れば、立法機関は、国際法規範の国内的実施のために、法律を制定する役割を有する。特に、人権の分野においては、今日では、国際、国内の両秩序の透明性、浸透性の現象が見られ、国際法によって確立された人権を国内で実施したり、あるいは逆に、国内法で定められた人権規範が国際法に影響を与える、といった面が見られる。また、ときおり、立法機関による、域外適用を目指した国内法が制定されることがある。これは、人権、環境、経済の分野で顕著である。立法管轄権も、他の管轄権と同様に、他国の主権を害さない範囲で行われなければならない。米国が従来、主張していた「効果主義」(effect doctrine) に基づく域外管轄権の行使は、ECの対抗立法などに遭い、批判されている。

行政機関、すなわち政府/行政府は、条約の作成・締結の主体として重要である。また、国際平面において、国際法を履行する直接の主体である。行政機関の行動が、明らかにその国の憲法に反する場合を除いて、その国家の行動とみなされる。とくに、国家元首政府の長外務大臣の行動は、その国家を代表しての行動と見なされ、ときとして、国家自体を拘束する(「東部グリーンランドの地位事件」常設国際司法裁判所判決; P.C.I.J., Ser.A/B, 1933, No.53, pp.68-69)。

国家元首、政府の長、外務大臣に加えて、外交官は、他国と円滑な交流をすることを「外交関係法」によって保障されている。外交関係法は、1961年の「外交関係に関するウィーン条約」および1963年の「領事関係に関するウィーン条約」で構成される。これらの者は、他国との円滑な交流という共通利益を基礎として、「特権免除」を有する。公館の不可侵(「外交関係条約」22条)、身体の不可侵(同29条)、租税の免除(同34条)、そして「裁判権の免除」(31条)である。最後の裁判権の免除については、「2000年4月11日の逮捕状事件」において、国際司法裁判所は、たとえ外務大臣が国際法上の犯罪を犯したとしても、国家実行により、外務大臣はその職にある間は免除(immunity ratione personae; 「人的免除」の意味)を享受する、と判示した (C.I.J.Recueil 2002, pp.24-30, pars.58-71) 。ただし、外務大臣がその職を解かれた場合で、国家の公の行為ではない行為については、免除は認められなくなる(「事項的免除」immunity ratione materiaeの機能的性質、1999年4月24日「ピノチェト事件」英貴族院 (House of Lords) 判決、38 I.L.M.581 (1999) )。なお、免除は「免責」を意味しない。また、免除は外国の国内裁判所において認められるものであり、国際裁判所では通常、免除の適用が除外されている(旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所規程7条2項、ルワンダ国際刑事裁判所規程6条2項、国際刑事裁判所規程27条)。

近年、領事関係条約36条1項が焦点となっている。同条(b)は、「接受国の権限ある当局は…派遣国の国民が逮捕された場合、留置された場合、裁判に付されるため拘留された場合…において、当該国民の要請があるときは、その旨を遅滞なく当該領事機関に通報する。…当該当局は、その者がこの(b)の規定に基づき有する権利について遅滞なくその者に告げる」と規定する。米国政府は、以前より、外国人を逮捕したときにこの「権利」を容疑者に告げないように通達していた。そして、そのことで、外国人の容疑者が、逮捕された後、領事館に通達されることなく裁判に付され、死刑判決を受けたことについて、1998年の「領事関係条約に関する事件」(「ブレアール事件」)(パラグアイ対米国)、1999-2001年の「ラグラン事件」(ドイツ対米国)、2003年から継続中の「アベナとその他のメキシコ人事件」(メキシコ対米国)に発展した。「ブレアール事件」と「ラグラン事件」では、それぞれ1998年、1999年に国際司法裁判所から、死刑執行を止めるように米国に仮保全措置命令が下されたが、米国はそれを破って死刑執行を行った。特に「ラグラン事件」(本案)判決においては、初めて国際司法裁判所の仮保全措置の法的拘束力が認められ、米国の義務違反と再発防止措置を命じる判決が下された。「アベナ事件」は、2004年に本案判決が出されたが、2008年6月にメキシコから緊急に同判決の解釈に関する新たな訴訟がなされ、予断を許さない状況となっている。2008年3月に、米最高裁判所は「メデジン事件」(Medellín v. Texas) において、ICJの「アベナ事件」判決が米国内において自動執行力(self-executing)がないという判決を下している(A.J.I.L., Vol.102, 2008, pp.635-638)。ICJは、2009年1月19日の判決で、アベナ判決は米国に判決の義務の履行手段を委ねており、ゆえにメキシコの請求はICJ規程60条にいう「判決の意義又は範囲」には当たらないとし、メキシコの解釈請求を退けた(Judgment, paras.43-46)。

司法機関、すなわち裁判所は、一般に国内法の履行を確保する機関であるが、同時に、国内法秩序に直接適用される国際法規範の履行確保としても、重要である。特に、人権の分野で、国際法の国内的実施に関する国内裁判所の役割は大きい。しかし、国際法上、確立している「免除規則」(immunity、「国家免除」あるいは「主権免除」)によれば、一国の国内裁判所が、他国や他国を代表する人物に対して裁判を行うことはできない。ただし、国家免除について、長らく「絶対免除主義」が妥当していたが、今日では、「制限免除主義」が確立しており、国家の「主権的行為」(acta jure imperii) と「業務管理的行為」(acta jure gestionis) を区別し、後者には国家免除は適用されないとされる。日本も、長らく「絶対免除主義」の立場がとられてきたが、2006年7月21日の最高裁判決によって、「制限免除主義」へと判例変更がなされた。

このように、国家機関は、第一に国内法秩序における機関として存在するが、同時に、国際機関として、国際法の実施や履行確保を行う側面を有するのであり、これを学説は、国家の「二重機能」(le dédoublement fonctionnel)として説明することがある。しかし、この理論は、大国の一方的行為/一方的措置を安易に正当化してしまう、という理由で、反対する学者も少なくない。

国家管轄権

国家管轄権」(les compétences de l'État; State jurisdiction) とは、国家が自然人、法人、物、活動に対して行使することができる、国際法によって与えられあるいは認められている権限をいう。これについては、国家管轄権が、国際法の存在以前からあるものなのか、あるいは国際法によって付与されたものなのか、という問題がある。いいかえれば、「ロチュース原則」すなわち、国際法で禁じられていない限り国家は自由に行動できる(「ロチュース号事件」常設司法裁判所判決; C.P.J.I., série A, n°10, 1927, p.19)という命題が今日でも妥当するのか、という問題である。学説上、いまだに見解は一致していないが、今日の「協力の国際法」(International Law of Co-operation)の分野においてはもはや同原則は認められない、とする見解も有力である(cf.「2000年4月11日の逮捕状に関する事件」国際司法裁判所判決ギヨーム裁判長個別意見、C.I.J. Recueil 2002, p.43, par.15)。

国家管轄権は、「属地主義」、「属人主義」、「保護主義」、「普遍主義」に分類される。

属地主義 (territorial principle; la compétence territoriale) とは、国家はその領域内(及び国際法によってそのようにみなされる場所。例えば、自国籍の船舶・航空機)にある人、物、活動に対して排他的に行使できる権限をいう。領域は、領土領海領空で構成される。ただし「領域使用の管理責任」といった国際法に服する。国家は、その領域内で私人により行われる違法行為から、他国、外国人、他国の領域を保護しなければならない(例えば、環境保護について、「トレイル溶鉱所事件」(米国/カナダ)仲裁裁判所判決)。

属人主義 (nationality principle; la compétence personnelle) とは、その領域外においてなされた行為(特に犯罪)に関して、その行為者の国籍国という連結により(「能動的属人主義」; la compétence personnelle active)またはその被害者の国籍国という連結により(「受動的属人主義」; la compétence personnelle passive)、その行為を自国の法秩序に置きあるいは処罰する権限をいう。日本の刑法では、能動的属人主義として刑法3条が、日本国民の国外犯に対して日本の刑法が適用される犯罪を列挙している。また、受動的属人主義としては、刑法4条の二が、条約により日本国外において犯された犯罪でも罰すべきとするものについて、日本の刑法を適用する旨、規定している(「人質にとる行為に関する条約」5条ほか)。

保護主義 (protective principle; la compétence réelle) とは、外国で行われた犯罪行為で、特に自国の重大な国家法益を侵害するものを自国の法秩序の下に置く権限である。日本の刑法では、2条が保護主義を規定しており、内乱、外患誘致、通貨偽造等に日本の刑法が適用される旨、規定する。

普遍主義 (universality principle; la compétence universelle) あるいは世界主義(Weltrechtsprinzip)は、国際共同体全体の法益を害する犯罪について、それが行われた場所、犯罪の容疑者の国籍、被害者の国籍にかかわらず、いかなる国もこれを処罰する権限をいう。古くからは、海賊は「人類全体の敵」(hostis humani generis)としていかなる国も処罰できるとされてきた。近年は、多数国間条約によって、普遍主義に基づく処罰を義務づける場合が増えてきている(「航空機の不法な奪取の防止に関するハーグ条約」4条、「民間航空機の安全に対する不法な行為の防止に関するモントリオール条約」5条、「アパルトヘイト罪の撤廃と処罰に関する条約」4条ほか)。

今日、この分野で最も議論が行われているのが、「国際法上の犯罪」(les crimes du droit des gens) である、「ジェノサイド罪」(集団殺害罪)(crime of genocide; le crime de génocide) 、「人道に対する罪」(crimes against humanity, les crimes contre l'humanité)」、「戦争犯罪」(war crimes; les crimes de guerre)(ジュネーブ諸条約の「重大な違反行為」)に対する普遍主義の行使である。このうち、1949年のジュネーブ諸条約の「重大な違反行為」については、同条約が普遍主義に基づく国内法の整備を締約国に義務づけている(それぞれ、49条/50条/129条/146条)。ジェノサイド罪については、1948年の「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」(「ジェノサイド条約」)6条が、犯罪行為地国と国際刑事裁判所のみに裁判権を付与しているが、その起草過程から、その他の場合の裁判権の行使も禁止しないと解されている(1961年「アイヒマン事件」イェルサレム地方裁判所判決、I.L.R., Vol.36, p.39; 「ピノチェト事件」スペイン全国管区裁判所(Audiencia nacional)判決、I.L.R., Vol.119, pp.335-336)。人道に対する罪については、国連総会決議3074(XXVIII)(「戦争犯罪及び人道に対する罪の容疑者の抑留、逮捕、引き渡し及び処罰における国際協力の原則」)に従えば、普遍主義の行使は認められる。ただし、普遍主義の行使は、予審と引き渡し要求の場合を除いて、容疑者が自国領域内にいることを条件とする(2005年万国国際法学会決議)。

国家領域

国家領域」(le territoire national)は、領土領海 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

出典:wikipedia
2018/02/18 15:29

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