国際連合事務総長(こくさいれんごうじむそうちょう、英: Secretary-General of the United Nations、仏: Secrétaire général des Nations unies)は、国際連合の主要機関の一つである国際連合事務局の代表である。
任務は国際連合内部の組織運営をめぐるものと国際連合加盟国における紛争などに際しての調停や国際連合が扱う諸問題についての発言などの両方が含まれる。
その多忙さから、「世界で最も困難な仕事」と形容される。初代事務総長のトリグブ・リーは、1953年4月9日に次期事務総長となるダグ・ハマーショルドをアイドルワイルド空港(現・ジョン・F・ケネディ国際空港)で迎えた際に、ハマーショルドに事務総長の職を「世界で最も困難な仕事」と紹介している。
国際連合憲章の規定するところにより、事務総長は国際連合安全保障理事会の推薦を受けて国際連合総会によって任命される。
国際連合憲章には任期の規定はない。ただし、慣例としては、事務総長の任期は1期につき5年で、8代目までの事務総長は最長でも2期10年で全員がその職を退任している。
特定の国や地域に権力が集中することを防止するためとして、事務総長は国際連合安全保障理事会(国連安保理)の常任理事国(アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ロシア、中華人民共和国)からは選出されないこと(非常任理事国ながら、主要国首脳会議参加国である日本、ドイツ、イタリア、カナダも事実上候補から除外されている)、また世界の各地域から順に大陸ごとに選出されることが慣例化している。前任の事務総長と同じ出身地域から選出された例は、第2代のダグ・ハマーショルドと第7代のコフィー・アナンのみである。
その任命手続きであるが、形式上は安保理が候補者を推挙し、総会で承認を得る形が取られる。ただ第8代の潘基文までは安保理の非公開会合のみで候補者が推挙されてきた経緯があり、批判も少なからずあった。このため2016年末で任期切れとなって退任する潘の後継を決定するにあたっては、安保理が最終候補者を推挙する事そのものは変わらないものの、事前に立候補者を公募し、2016年4月に候補者全員が出席して行われる公聴会を開催することで、手続きの透明性が高められた。安保理のメンバーはこの公聴会での各候補者の言動を参考にしつつ、最終候補者を絞ることになる。こうして選ばれた最初の人物が、第9代で現任のアントニオ・グテーレスである。
注釈
出典