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地域活性化とは?

(地域活性化から転送)

この記事では、地域興し(ちいきおこし)、地域活性化(ちいきかっせいか)、地域振興(ちいきしんこう)、地域づくりなどと呼ばれるものについて解説する。

目次

  • 1 概要
  • 2 沿革
  • 3 現状
  • 4 主体
  • 5 手法
    • 5.1 産業の振興
    • 5.2 人口の維持・増加策
    • 5.3 箱物行政
    • 5.4 観光
    • 5.5 その他
  • 6 「成功例」について
  • 7 地域振興論
    • 7.1 藻谷浩介
    • 7.2 市川虎彦
  • 8 地域おこしを扱った作品
  • 9 地域振興の例
    • 9.1 日本全国規模のもの
    • 9.2 一部自治体で行われたもの
  • 10 脚注
  • 11 関連項目
  • 12 外部リンク

概要

「地域おこし」や「地域活性化」とは、地域(地方)が、経済力や人々の意欲を(再び)向上させたり、人口を維持したり(再び)増やしたりするために行う諸活動のことである。

「地域興し」と表現する場合は、地域の住民や団体(商工会農協漁協など)の主体性が強調される傾向がある。「地域づくり」も同様である。いずれも語感の固さを避けるため、「地域おこし」のように「地域」以外はひらがな表記されることが比較的多い。なお、住みよい地域を形成するための諸活動は「まちづくり」と呼ばれることがあるが、「地域おこし」「地域活性化」などとは若干異なったニュアンスで使われることが多い。

(街)の場合は特に「町おこし」、「街おこし」、「まちおこし」とも呼ばれ、の場合は「村おこし」とも呼ばれる。

英語圏では「vitalization」や「revitalization」などの用語を用いて表現されることが一般的である。

沿革

日本では1960年代以降の重化学工業を主軸とした工業化に成功した一部の地域を除き、地方では人口流出が起き、労働力を必要とした大都市圏(特に東京23区政令指定都市都道府県庁所在地および近接する市・郡)に産業人口が集中し、地方の郡部中山間地域離島などで、以下のような過疎化の悪循環が深刻になった。

  1. 地方の雇用の絶対数が少ない。あるいは減っている。
  2. 地方の若年層・労働力人口が大都市圏県庁所在地などへ移動する
  3. 若者や労働人口が流出した地域では地元産業の衰退や高齢化が進む
  4. さらに人口流出が加速し、地方がいっそう過疎化する

農村山村漁村では、戦後の過剰人口の状態が原因で、都市部へ労働力人口が流出した。山村では燃料革命とも呼ばれる需要の激減、品質が悪いが安い外国産材の流入により急速に衰退した。

しかし、1973年石油危機によって重化学工業中心の高度経済成長路線、それにともなう首都圏近畿圏中京圏への人口集中は変化を余儀なくされる。日本経済は安定成長へ転換し、三大都市圏へ の人口流入も収まった。こうした中、玉野井芳郎地域主義を提唱し、それに続いて杉岡碩夫清成忠男らも地域主義に関する書籍を出版した。この地域主義は、現在までつながる「地域おこし」「まちづくり」の源流であるとされる。その後、地域主義は、清成忠男ら地域の経済振興を説くグループと中村尚司らエコロジーを重視するグループに分かれていった。前者は主に地方都市で受け入れられ、後者は発展途上国における「もう一つの発展」を探究する内発的発展論と結びついた。

地域経済の振興を説く地域主義は行政の政策にも影響を与え、国政では第三次全国総合開発計画(1977年開始)、首相大平正芳が提唱した田園都市構想(1978年提唱)、地方では大分県知事平松守彦(1979年)が掲げた一村一品運動などに結実した。1985年には、佐々木信夫が「都市間競争」・「自治体間競争」という概念を提唱し、各都市・各自治体が政策を切磋琢磨させていくことで、地域の活性化が実現できるとした。この頃から、国が地方自治体に指図するやり方が改められるようになり、首相竹下登が掲げたふるさと創生事業(1988年 - 1989年)では、初めて各地方自治体に用途の使途を定めない交付金が与えられた。

現状

多くの地方都市では、モータリゼーションの進展やショッピングモールの郊外への進出によって、中心部の都市機能が衰退(郊外化ドーナツ化)し、「大規模小売店」や周辺地域の小売店が経営の危機を迎えた。その結果、商店街が寂れて「シャッター通り」となり、その寂れた雰囲気が余計に客足を遠ざける悪循環にはまっている。

かつて工業化に成功した地域でも、2度の石油危機、急速な円高の結果、製造原価を下げるために工場が日本国外に移転させられることが増えた。その結果、製造ノウハウが現地の外国人技術者などに流出し、アジア諸国が追い上げたことにより、日本の地域では空洞化現象がみられ、雇用の喪失や低賃金化に見舞われた。

こうした人口減少により、産業や地域活動の担い手が不足した。さらには、地元に伝わる伝統工芸伝統芸能踊りといった伝統的な文化活動の担い手や後継者不足も顕著になり、中には後継者不足から、文献すら満足に保存継承されず消失してしまう地方文化もある。

問題のまとめと対策の目的

次のような問題が複合的に起きている。

よって次のようなことのいずれか、あるいは複数、全部を目的としているのが地域おこしである。

主体

地域おこしの主体(企画者、実行者)は次のようなものがある。

なお、2011年7月9日に大分県佐伯市で開催された「国道326号・10号沿線活性化シンポジウム」において、「観光カリスマ」の山田桂一郎は「行政に頼ってはダメ」としたうえで、観光客には新たに開発し売り出した「商品」などではなく、地域のライフスタイル(地域の人々の暮らし)からえり抜いたものに価値を認めてもらう必要性があることを述べている。

手法

以下のようなさまざまな試みが地方自治体や各種団体・組織で行われているが、どこにでも有効な決定的な策というものがあるわけではない。その地域ごとの特色や立地、人口や産業の状況を判断し、独自性のある地域おこし施策の計画・実施が望まれる。他の地域の真似をすればするほど地域ごとの独自の特色がなくなり、同じようなものが増えた分、相対的に魅力が減ってゆく。したがって、他の地域と比較した場合の、自地域の特色、本当の強みを見抜く必要がある。

産業の振興

人口の維持・増加策

地域振興のためには、人口を維持、または増加させる必要がある。そのためには、他の地域から人を呼び込むことと、他地域への人口流出を防ぐことが必要である。主な人口の維持増加策として、次のようなものが挙げられる(一部は他の節のものと重複している)

  1. 移住(UターンJターンIターン)の推進・支援
  2. インターネットCMキャラクターなどを使った自治体PR
  3. 空き家公営住宅の提供、家賃補助など居住支援
  4. 企業誘致・新産業創出・6次産業化など雇用の確保
  5. 若者の出会い、仲人サービスなど結婚支援
  6. 出産一時金の上乗せなど育児世帯への経済支援
  7. 保育所整備など子育て環境の充実
  8. 小中一貫校など教育環境の充実
  9. 道路公共交通下水道などインフラストラクチャー整備
  10. 施設・住居を集約するコンパクトシティの推進

人口減少が激しい自治体ほど、家賃補助のような経済支援による応急処置的な移住策を選択し、子育て環境の充実といった定住促進策を行うのが難しい状況にある。経済的支援は、若い世代の誘引策としては効果が一時的で持続的な定住策としては未知数である。過度に経済支援を行った場合、自治体の財政を悪化させ、かえって地域の弱体化に拍車をかける恐れがある。また、移住の呼びかけが過熱して自治体が人口を奪い合うようになれば、小規模自治体がさらに疲弊することが懸念される。そのため様々な側面から費用対効果を検証し、実態にあった施策をとることが必要であるとされる。

箱物行政

かつての「新産業都市」「リゾート開発」「ニューメディア」など、中央省庁の推進策に乗って特定の分野・領域に飛びつくと、ほとんどが失敗する。成功したケースにおいては、立地、時代背景、推進したリーダー、関係団体の協力、組織化などに恵まれたケースが多く、そうした要因を考慮せず、成功事例をそのまま真似しただけでは、地域色が出しきれず失敗に終わる。

観光

観光によって観光業(宿泊業など)が盛んになると、小売業卸売業などにも経済効果が波及し、域内の経済が活発になる。そのため、観光振興は地域経済の活性化につながる。

地元住民にとって「当たり前」で「何でもないこと」(山・水・星空・田園風景・自然環境・海など)が、観光資源になることもある。例えば、北海道のニセコは上質の雪が大量に降るという特徴があり、地元の人にとってはそんなことは当たり前だったが、他地域の人々にとってはその雪が魅力で、オーストラリアのスキーヤーなどまで、わざわざ飛行機に乗ってニセコにやってくるようになった。

また、以前の旅行客は有名な歴史的建造物や特徴的な景色などを(あくまで外部の無関係な人として)眺めるだけでも喜んでいたが、近年では表面的な訪れ方では満足せず、旅行先で人々と交流したり、現地独特の人々の生活様式をじっくり見たり体験することで、「人生の一部」になるような旅を好む人々の割合が次第に増えてきている。そこで「農業体験コース」「漁業体験コース」などを設けるという方法もある

地元の人が子供のころから何気なく食べている料理(地元の日常食・家庭料理郷土料理)が、商業ベースに乗ることもある。地域おこしを目的として「B級グルメ」などの名物を作り、イベントを行う手法もある。手法と結果も様々である。

上手くいけばメディアで話題となるが、他の地域が模倣することで埋もれてしまい、長期的には効果が薄くなってしまうことがある(ご当地キャラクターなど)。地域振興のためには、その地域の本当の強みを見出すことが必要である。

獣害が深刻な地域では、シカイノシシの肉(いわゆるジビエ)として売り出している例がある(和歌山県など)。また、風の吹き抜ける地域では、風力発電機(大規模な風力発電所ウィンドファーム)で売電を行うという方法もある。例えば、北海道のオロロン街道(稚内市から留萌市あたりまで、日本海側に面した数百kmの街道)、えりも町(襟裳岬)、千葉県の銚子市の海岸の丘の上などでは、風が強い場所に風力発電機が立ち並び、電力を生みだしている。また、風力発電機自体が観光資源になることもある。

その他

特区
2002年には行政改革により、従来の法規制の一部を緩和できる構造改革特別区域が制定できるようになったことから、全国各地で様々な「特区」が生まれつつあり、これらの特区内における様々な活動に、地域振興の期待が寄せられている。
詳細は構造改革特別区域を参照のこと。
地域ブランド
地域団体商標(地域ブランド)が2006年4月の改正商標法によって要件が緩和されたことで、地域ブランドによる「地域おこし」が注目されている。これらでは従来地場産品の一般名称として利用されていた呼称を「商標」とすることで、他の地域で製造された類似品に同名称を用いられないですむ排他性もあり、類似品を廃することで地場産業の育成にも期待がもたれている。
ウィキペディアタウン
2012年以降では、自治体や住民・ボランティアが街の名所・施設などを積極的にWikipedia上で記事化・充実化することで、地域振興を図る動きもある。

「成功例」について

地域振興の成功例として取り上げられているものの中に、実は成功していないものがあるという指摘がある。久繁哲之介は、「専門家が推奨する成功事例のほとんどが、実は成功していない」「稀にある『本当の成功』は、異国や昔の古い話であり、しかも模倣がきわめて難しい」としている。長谷川計は、一度成功例とされた自治体には、全国的に注目されたため後に引けなくなり、実際は活性化してないにもかかわらず公的資金を投入して振興している所もあると指摘した。市川虎彦はこれらの議論を基に、人口・雇用の観点から地域活性化を再考した(後述)。

まちビジネス事業家の木下斉も、「成功事例」とされるものの中に事実上失敗した(自治体の財政支援に頼っている)ものがあるという立場をとっている。また、失敗例を成功だと思い込んで複数の地域が模倣することで「全国レベルでの失敗の連鎖」が生じてしまうとしている。

地域振興論

藻谷浩介

藻谷浩介は『ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版、2007年9月)において次のような主張をしている。

以下は、地域おこしを語る際によく言われる言葉であり、条件に恵まれて成功したケースもある。しかし、実情を把握せずに成功事例を表面上真似ただけで、固定観念にとらわれて地域おこしを行うと、政策を誤りかえって地域が衰退する場合もある

市川虎彦

社会学者市川虎彦は、人口減少が激しい愛媛県南予地方の自治体における1960年から2010年にかけての人口推移や産業の盛衰を検証した。その結果から、地域おこしに成功したとされる市町村でも人口が減少しており、逆に地域おこしの成功例として名前が上がらない大洲市南宇和郡が人口維持に一時成功していたと主張した。後者に共通することは工場誘致や漁業振興によって雇用を増やしたことであり、地域振興には新しい産業の勃興が不可欠だとしている。また、大洲市などではなく、人口減少が激しい他の自治体が地域振興の成功例とされた理由として、宮本憲一外来型開発批判や、コンサルタントらが介入(助言・指導)する余地のある領域での事例が積極的に取り上げられたことが原因ではないかと推測した。

地域おこしを扱った作品

地域振興の例

日本全国規模のもの

一部自治体で行われたもの

脚注

  1. ^ 一般概念としては、一応「community vitalization」などということになりはするが、各コミュニティ(自治体、街、村)がその名を掲げて「~ vitalization」「~ town vitalization」「~ village vitalization」のように使うことが多い。なお、アメリカでは(日本と状況がいささか異なる面があり)都市部での部分的な荒廃が起きて様々な問題が起きがちで、「downtown vitalization [[ダウンタウン (曖昧さ回避)|]]の活性化」がしばしば話題になる。
  1. ^ 市川虎彦まちづくり論の陥穽 : 地域自立の論理から自治体間競争の論理へ(松山大学2001年)
  2. ^ 遠いが価値、巡れば納得 過疎地で輝く新観光名所 日本経済新聞 「地方都市の中心市街地は地盤沈下が止まらない」
  3. ^ 街が変わり、共同体が減る 「過疎化、少子高齢化、そして都市のドーナツ化現象」
  4. ^ インバウンド業界トップインタビュー 観光カリスマ 山田桂一郎
  5. ^ 「国道326号・10号沿線活性化シンポジウム」0982.tv記事(2011年12月13日閲覧)
  6. ^ なお、特定地域についての言及だが、あくまで山田は(同シンポジウムにおいて東九州自動車道が開通し、国道326号国道10号沿線の佐伯市豊後大野市延岡市で地域住民が何もしなければ観光客が吸い取られるだけになる危惧があるとし)、「同地域にはすでに十分な素材・価値(観光資源)があり、住民がその価値を認めて客を細分化し取り込んでいくことが重要である」旨を述べた(出典:「活性化連携が鍵-東九州道開通後見据えシンポジウム」夕刊デイリーWebヘッドラインニュース)
  7. ^ 星貴子地方創生―政府戦略に対する首長の判断③』(日本総研2015年)
  8. ^ 観光産業の地域経済への波及効果分析手法の検討及び地域ストーリーづくりに関する調査(日本交通公社2015年)
  9. ^ 東京都八王子市 「食」によるまちおこしの必要性(八王子ラーメンが利用されている)
  10. ^ [pref.wakayama.lg.jp/prefg/070400/zibiedetiikiokoshi.html] [1]
  11. ^ 各国の地方政府の体系”. 15周年を迎えたウィキペディアが、地域振興の主役になるかもしれない. 2016年10月8日閲覧。
  12. ^ 市川虎彦「地域活性化」再考 : 人口と雇用の観点から(松山大学2013年)
  13. ^ 各国の地方政府の体系”. 偽物の官製成功事例を見抜く5つのポイント. 2016年10月14日閲覧。
  14. ^ 「ベストセラーの内側」日本経済新聞2014年2月5日夕刊11面

関連項目

外部リンク

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出典:wikipedia
2018/07/18 00:01

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