坂道シリーズ(さかみちシリーズ)は、乃木坂46、欅坂46の両グループをまとめて同時に指し示す際に使用される呼称である。なお一部では「46グループ」「坂道グループ」と称される場合がある。
2011年にAKB48の公式ライバルとしてソニー・ミュージックエンタテインメントと秋元康プロデュースによる乃木坂46が結成された。乃木坂46はデビュー後、AKB48グループとは一線を画して独自の活動を展開していたが、2015年に「乃木坂46 新プロジェクト」として新たなグループ欅坂46が結成されると、名前に「坂」がつく両グループの総称として公式に「坂道シリーズ」という表現が登場した。
2018年4月1日 現在
【グループ】乃木坂46はデビュー当初、作品の方向性やグループのカラーでAKB48グループとの明確な差別化を徹底しており、現在でも受け継がれている部分がある。これは欅坂46も同様で、特に作品性においてはAKB48グループのみならず、乃木坂46とも大きく異なる。
選抜、兼任などグループ間での人事交流がさかんなAKB48グループに対し、坂道シリーズ内のグループをまたいだ選抜や兼任はない。AKB48グループで頻繁に開催されるような合同でのイベントもなく、メディア等での共演すらも数えるほどしかない。また、「AKB48選抜総選挙」への坂道シリーズの参加や、坂道シリーズとして類似のイベントの開催はせず、これは上述のAKB48グループとのグループカラーの差別化にも大きく繋がっている。2014年から2015年にかけて交換留学生として乃木坂46の生駒里奈のAKB48チームBへの兼任およびSKE48チームEの松井玲奈の乃木坂46への兼任が実施されたが、兼任の発表当初はメンバー、ファンから反対意見が噴出し、公式ライバルとしてのグループの存在意義が問われる事態となった。このように坂道シリーズはそれぞれがファンも含めて強いアイデンティティを持ち、坂道シリーズ内のグループ間のつながりもAKB48グループのそれと比べると非常に薄いものであったが、2018年夏に乃木坂46・欅坂46・けやき坂46の3グループが初の合同オーディションを開催することが同年3月に発表された。
両者の大きな差異のひとつとしては自身の公演を行うための常設の専用劇場の有無が挙げられ、専用劇場で定期的に公演を行っているAKB48グループに対して、坂道シリーズは劇場を持たずに『乃木坂工事中』(テレビ愛知)、『欅って、書けない?』(テレビ東京)などのそれぞれの冠テレビ番組がグループのホームの役割を担っている。そのこともあり、坂道シリーズには「チームA」や「チームK」などのような劇場公演を開催するためのチーム単位のくくりもない。
乃木坂46は1st「ぐるぐるカーテン」から全てのシングルで、AKB48グループと同様の「選抜メンバー」制がとられているが、欅坂46はこれまでのシングルは基本的に「漢字欅メンバーが全員選抜され、各シングルごとにメンバーのポジションが決められている」スタイルとなっている。坂道シリーズ共通の特徴としては選抜メンバー、ポジションが両グループの冠番組内で発表される点が挙げられる。メンバーは番組の収録で選抜メンバーが発表された際に自身の選抜入りやポジションを知り、その模様が番組でオンエアされたタイミングでファンは選抜メンバーの陣容を知ることとなる。また、両グループとも非選抜メンバーが各シングルのカップリング曲を担当するのはAKB48グループと同じだが、乃木坂46の非選抜メンバー「アンダーメンバー」や3期生メンバー、欅坂46のけやき坂46(ひらがなけやき)は、それぞれ日本武道館などの大規模会場での単独ライブや全国ライブツアーを成功させ、独自のCD作品を発表するなど、選抜メンバーとは違ったアプローチで支持を拡大している。
乃木坂46には選抜メンバーの中でも特に前列に位置するメンバーを指す「福神」制度がある。2011年10月の制定当初は、AKB48グループの「神7」に対して「日本の七福神」になぞらえた「(乃木坂)七福神」と称して7名が選ばれていたが、4thシングル「制服のマネキン」で一人増えて「八福神」となって以降、最少は5、最多は14と各シングルごとに人数が変動し、数字はつけずに単に「福神(メンバー)」と称されることが多くなった。「神7」はファンの中から自然発生的に誕生した言葉であるのに対し、「福神」は選抜メンバー同様、乃木坂46運営が公式に選出するため、毎シングルごとに入れ替わる。なお、欅坂46には「福神」や類似の制度は現時点では存在していない。