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外国人研修制度とは?

(外国人研修制度から転送)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど)および外国人研修制度(がいこくじんけんしゅうせいど)とは、1993年(平成5年)に導入され、「技能実習」や「研修」の在留資格で日本に在留する外国人が報酬を伴う技能実習、或いは研修を行う制度である。ただ中身について、劣悪な労働環境に置かれるなど人権上の問題が指摘されている。

目次

  • 1 概要
  • 2 理念と基本枠組み
  • 3 歴史
  • 4 沿革
    • 4.1 技能実習制度創設以前
    • 4.2 技能実習制度創設から在留資格「技能実習」の設定まで
    • 4.3 在留資格「技能実習」の設定以降
      • 4.3.1 改正までの経緯
      • 4.3.2 入管法改正
    • 4.4 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律
      • 4.4.1 立法の背景及び経緯
  • 5 技能実習制度に関する調査
  • 6 制度の問題点
  • 7 批判
    • 7.1 アメリカ国務省の人身売買報告書
    • 7.2 国連機関からの批判
    • 7.3 日本弁護士連合会による勧告
  • 8 日本以外の国における類似制度
  • 9 関連統計
  • 10 書籍
  • 11 関連図書
  • 12 報道
  • 13 脚注
  • 14 関連項目
  • 15 外部リンク

概要

技能実習制度は、出入国管理及び難民認定法別表第一の二に定める「技能実習」の在留資格により日本に在留する外国人が報酬を伴う実習を行う制度である。企業等の実習実施機関が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する企業単独型と、商工会等の営利を目的としない監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の実習実施機関で技能実習を実施する団体監理型に大別することができる。

また、いずれの型についても、入国後1年目の技能等を修得する活動と、2・3年目の修得した技能等に習熟するための活動とに分けられており、技能実習の1年目を「技能実習1号」、2・3年目を「技能実習2号」、4・5年目を「技能実習3号」企業単独型の1年目を「技能実習1号イ」、団体監理型の1年目を「技能実習1号ロ」、企業単独型の2・3年目を「技能実習2号イ」、団体監理型の2・3年目を「技能実習2号ロ」、企業単独型の4・5年目を「技能実習3号イ」、管理団体型の4・5年目を「技能実習3号ロ」と表記される。

理念と基本枠組み

「外国人研修生」は、民営または国公営の送出し機関から送出されて来日し、日本側の受入れ機関において研修する。研修生の滞在期間は、基本的には1年以内である。開発途上国への技術移転を確実に行うため研修計画が作成され、研修生はこれにそって研修する。その後、日本の技能検定基礎2級相当に合格する等、所定の要件を満たした場合には、同一機関(会社)で実践的な技術習得のために雇用関係の下で更に2年間滞在することが可能となる。これを技能実習といい、研修・技能実習と合わせると最長3年間の滞在期間となる。

受入れ方式は大きく二種類に分かれ、事業協同組合や商工会議所等がそのメンバーである企業等と協力して行う研修生を受入れる形態を「団体監理型」といい、受入れ機関の合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等から企業単独で受入れる形態を「企業単独型」という。受入れが可能な研修生数は、原則として、受入れ企業の常勤職員20名に付き、研修生1名である。ただし、「団体監理型」では、受入れ可能な人員の枠が緩和されている。近年、「団体監理型」による研修生の受入れが拡大しているが、問題点も多い。

歴史

1960年代後半に、海外進出した日本企業が現地法人から現地社員を招聘し、技術や知識を習得した現地社員が、帰国後、その技術を母国(開発途上国)で発揮させたことから、国際貢献と国際協力の一環として1981年(昭和56年)に在留資格が創設された。

外国人研修制度の推進団体である財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、研修生・技能実習生の受入れを行おうとする、あるいは行っている民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行っている。また、研修生・技能実習生に対し、その悩みや相談に応えるとともに入管法令・労働法令等の法的権利を保障し、研修・技能実習の成果向上、研修生・技能実習生の受入れ機関と送出し機関等を支援している。

1993年(平成5年)には、「学ぶ活動」である研修に加えて、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度が導入された。2010年(平成22年)7月1日に出入国管理及び難民認定法が改正され、生産活動などの実務が伴う技能習得活動は技能実習制度に一本化された。ただし、在留資格としての「研修」は廃止されず、座学など実務が伴わない形での技能習得のみが認められる資格として存続する。

沿革

技能実習制度創設以前

1981年(昭和56年)に出入国管理令の一部を改正する法律(昭和56年6月12日法律85号)により、出入国管理令に「本邦の公私の機関により受け入れられて産業上の技術又は技能を習得しようとする者」の文言が追加され、外国人研修制度が創設された。

1990年(平成2年)6月に出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成元年12月15日法律79号)により、別表第一の四に「研修」の在留資格が定められた。1990年(平成2年)8月に「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の研修の在留資格に係る基準の六号の特例を定める件(平成2年法務省告示第247号)」により、団体監理型の研修が設定された。

技能実習制度創設から在留資格「技能実習」の設定まで

1993年に、「技能実習制度に係る出入国管理上の取扱いに関する指針」(平成5年法務省告示第141号)により、在留資格「特定活動」の一類型として技能実習制度が創設された。この制度は、外国人研修制度により一定水準以上の技術等を修得した外国人について、研修終了後、企業と雇用関係を締結した上で生産活動に従事し、研修で修得した技術等をよりスキルアップできるようにするとしている。 当初は研修・技能実習の期間は合計で最長2年間だったが、1997年4月には最長3年間に延長された。

研修から技能実習へ移行するためには技能検定基礎2級か、財団法人国際研修協力機構(JITCO)の認定した技能評価システムの技能検定基礎2級相当試験に合格することが要件の一つとなっていたため、技能検定の基礎級が設定されていなかったり、JITCOの認定した技能評価システムがない職種については技能実習へ移行することができなかった。2005年4月1日現在、技能実習への移行が可能なのは、農業関係、漁業関係、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係等合計62職種114作業であった。

技能実習に移行するための他の条件として、研修期間中の研修状況・生活状況が良好であると認められることが必要で、技能実習移行申請を行なうと同時に、地方入国管理局の委託によりJITCOの調査が行なわれる。また、技能実習計画を提出し、研修成果を踏まえた適切なものかどうかが求められるとされていた。

研修から技能実習への移行申請者数は、2002年度は22,997名、2003年度は27,233名、そして2004年度が34,816名と年々大幅に増加している。

在留資格「技能実習」の設定以降

2010年7月に出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成21年7月15日法律第79号)により在留資格「技能実習」が設けられ、従来は研修とされた期間を技能実習1号、特定活動(技能実習)とされた期間を技能実習2号とし、技能習得期間のうち実務に従事する期間はすべて労働者として扱われることとなった。

この改正は、受入れ企業では労働者と同様に扱われることが多いにもかかわらず、従来の制度では労働関係法令が適用されないため、結果として賃金時間外労働等に関するトラブルが多発したことなどに対処することを目的としている。

日本での滞在が1号・2号の期間を合わせて最長3年とされていること、技能実習1号から2号への移行には技能検定基礎2級相当の試験に合格することが要件となっているなど、労働法令の適用以外は基本的に従来の制度と同様の枠組みとなっている。

日本に居住して12ヶ月を過ぎると国際連合統計委員会で用いられる「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」に該当し、統計上で移民に含まれるようになる。

改正までの経緯

高まる批判を背景に2006年12月には規制改革・民間開放推進会議が答申において、2009年の通常国会までに研修生保護に関する法案を国会に提出するように求め、改革への取り組みが本格化した。

厚生労働省は省内に研究会を設け、改正案として、団体監理型の研修の代わりに技能実習を3年として労働法令による保護を強化することなどを盛り込んだ中間報告書を2007年5月に公表した。

経済産業省も研究会を設置し、最初の1年の研修期間はそのままとする一方、研修生の相談窓口などの保護制度の強化、また技能実習終了時に技能評価試験を課し、合格者にはより高度な実習を受けるために再来日する機会を認めるとした改正案を2007年5月に公表した。

また自民党は外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直し、移民庁の設置を含む外国人定住を推進する法律について検討を行っており、上記の規制改革・民間開放推進会議の答申通り、2009年の通常国会への提出を目指している。ここでいう移民とは永住者ではなく「一定期間の間、日本で働く外国人」を指しており、実質的には厚生労働省の改正案の骨子である「研修廃止・技能実習3年化」に近い。また移民庁設置は、外国人研修・技能実習制度の所管官庁が法務省や厚生労働省・経済産業省など複数にまたがってしまい、研修生の権利保護や失踪防止などの措置が十分に行えなかった反省を反映したものと思われる。

入管法改正

2009年3月6日、以下の内容を含む出入国管理及び難民認定法改正案が閣議決定され、4月24日より衆議院法務委員会にて審議入りした。自民党・民主党などの与野党多数の賛成により、6月18日に衆院本会議、7月8日に参院本会議で可決されて成立した。2010年7月1日には、技能実習制度関連の改正が施行された。

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律

第192回国会外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号、略称:技能実習法)が成立し、2016年(平成28年)11月28日に公布された。この法律に基づき、外国人技能実習機構が設立された。

法律の外国人技能実習機構に関する条文などの法律公布の日より施行される一部の条文を除いた条文(本体部分)は、法律公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることになっており、2017年4月7日に公布された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の施行期日を定める政令(平成29年政令第135号)により、2017年(平成29年)11月1日に施行された。

立法の背景及び経緯

在日ブラジル人の数は32万人近くに達した2007年(平成19年)にピークをむかえ、2017(平成29年)は26万人台と減少している。企業は在日ブラジル人が減少したため、技能実習制度を利用するなどの対応をとっている。経済連携協定で来日した看護士介護士も試験合格率、定着率共に低くなっている。

日本経済団体連合会は2016年度経団連規制改革要望で、

  1. 職種・作業多様化への対応
  2. 同一実習実施機関内における複数勤務事業所の事前登録
  3. 技能実習生受入れ特例人数枠の拡大
  4. 企業単独型の申請手続きの簡便化

などを要望している。

2015年(平成27年)3月6日に、第3次安倍内閣は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」(法務省・財務省・厚生労働省・国土交通省)を閣議決定。技能実習の受け入れ期間を現行の最長3年から5年に延ばすほか、外国人を低賃金で酷使するなどの不正を防ぐため、受け入れ団体や企業を監視する監督機関「外国人技能実習機構」を新設する。 第189回国会で成立すれば2015年度中の施行を目指す。技能実習生を保護するため、実習生の意思に反した実習の強制や私生活の制限を禁じ、罰則規定を設けた。法施行後5年をめどに状況を確認し、必要があれば法の規定を見直す。同日、出入国管理及び難民認定法改正案(法務省)も閣議決定。外国人の在留資格を介護にも広げ、国内で介護に従事できるようにする。

2017年(平成29年)12月6日現在、技能実習の対象となるのは、農業関係、漁業関係、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係、その他の合計77職種139作業で、増加する傾向にある。

2017年11月1日「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行され4・5年目の実習を行う在留資格「技能実習3号イ,ロ」が設けられた。技能実習2号から3号への変更には所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格することが必要とされる。

技能実習制度に関する調査

日本政策金融公庫の調査によると中小企業での外国人労働者は賃金が安くて安価な労働法ではない、ただし技能実習生の賃金は低いものが多い。

労働政策研究・研修機構が行った2014年の帰国技能実習生フォローアップ調査「技能実習修了者に関する基礎的調査」では技能実習2号を修了し、2014年10月10日から11月30日までの間に帰国(予定を含む。)した6,274名を対象とし、技能実習生全体の99%以上を占める上位5カ国である中国、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム国籍の技能実習生を調査した。578件の回答を得、2015年3月31日時点での回答状況は有効回答数が578 票(9.2%)。

  1. 調査対象者の属性(1) 技能実習タイプ別回答状況、技能実習タイプ別の回答者数は、「企業単独型」が9.2%、「団体監理型」が90.1%で、「団体監理型」が多い。
  2. 来日前の技能実習生の状況
    1. 来日前の仕事(有効回答数578)来日前の仕事を尋ねたところ、「雇用されて働いていた」が83.6%で最も多く、以下、「仕事はしていなかった」(8.7%)、「起業していた」(2.6%)などが多かった。
    2. 来日の目的、技能実習生として来日した目的を複数回答で尋ねたところ、「お金を稼ぐため」が74.2%で最も多く、以下、「技能の修得のため」(69.2%)、「日本での生活を経験するため」(48.6%)などが多かった。
  3. 技能実習の効果
    1. 日本での技能実習は役立っているか、日本での技能実習が役立ったかどうかを尋ねたところ、「役に立った」という回答が98.4%、「役に立たなかった」が1.0%であった。
    2. 具体的にどのようなことが役に立ったのか具体的にどのようなことが役に立ったのか、複数回答で尋ねたところ、「修得した技能」が69.1%で最も多く、以下、「日本での生活経験」(62.2%)、「日本語能力の修得」(60.8%)、「日本で貯めたお金」(59.4%)などとなっている。
  4. 技能実習の具体的状況
    1. 実習期間中の賃金支払い状況技能実習中の賃金支払い状況を尋ねたところ、「契約どおり(又は契約より多く)支払われた」が94.1%で、「契約とは異なり賃金は少なかった」は2.8%であった。
    2. 実習期間中禁止されていたこと、技能実習期間中に禁止されていた事項の有無を尋ねたところ、「なかった」という回答が92.2%、無回答が3.5%であった。禁止されていた事項を見ると、「携帯電話の使用を禁止された」(3.3%)、「技能実習生だけで外出することを禁止された」(1.0%)、「インターネットの使用を禁止された」(0.7%)などとなっている。

制度の問題点

近年では研修生の急増に比例するように、人権蹂躙や事件が多発している。

典型的な事例は、パスポート取上げ、強制貯金、研修生の時間外労働、権利主張に対する強制帰国、非実務研修の未実施、保証金・違約金による身柄拘束、強制帰国を脅し文句に使って性行為を迫るような性暴力などで、2006年にはトヨタ自動車の下請け企業23社での最低賃金法違反、また岐阜県内の複数の縫製工場では時給300円で残業させていたことなどが報道された。ただし、来日前の契約では研修生本人たちが進んでこの金額での労働に同意していた事実も数多く存在する。

また、制度の趣旨と実態の乖離も指摘されている。いわゆる3K職種など日本人労働者を確保できなかったり、中華人民共和国などの外国製品との価格競争にさらされている中小企業が、本来の目的である国際貢献ではなく、低賃金の労働力確保のために本制度を利用するケースが目立ち、研修生の中にも技能修得ではなく「出稼ぎ」として来日する者がいる。

このほか、1997年(平成9年)、技能実習期間を1年から2年に延長するときの国会論議を契機にKSD中小企業経営者福祉事業団(当時)と自民党議員の贈収賄事件が発生した(KSD事件)。

また、愛媛県今治市の杉野綿業(タオル製造会社)で、経営者が、中国人研修生3人に対し、未払い賃金を支払うよう労働基準監督署から是正勧告を受けたが、支払いを免れるため、研修生3人を騙して中国へ連れて行き、置き去りにするという事態も発生している。2013年4月3日には、実習先の長崎県長与町の企業から給与が10万円しか支払われず、また寮の居住費や仲介業者への支払いなどを天引きされたことで事実上1万円程度しか支払いを受けられなかったなどとして、バングラデシュ国籍の女性が、当該の企業と仲介業者などを相手取り京都地裁に訴訟を起こしている。2015年6月には、技能実習で来日し茨城県行方市内のシソ農家で働いていた中国人女性が、セクシャルハラスメントを受けた上、残業代も一部のみにとどまっているなどとして、水戸地方裁判所に当該のシソ農家およびその農家が加盟する受け入れ団体『協同組合つばさ』に対する訴訟を提起。また、この女性を助けようとして受け入れ団体を解雇されたとして、団体の元職員も訴えを起こしている。また2018年3月には、制度により来日したベトナム人男性が、岩手県の建設会社によって、福島第一原子力発電所事故除染作業に従事させられたことを明らかにした。法務省入国管理局などは「除染は実習の趣旨にそぐわない」としている。 アメリカ合衆国国務省の国別『人身売買に関する年次報告書』では、2006年版の日本報告書からこの制度(Foreign Trainee)の問題を取り上げ、非人権的な状況に置かれている研修生の状況把握や問題解決などを指摘。2010年には技能実習制度(Technical Intern)を追加し、指摘は続いている。

同じく人身売買に関する2007年版報告書からの制度(Foreign Trainee)の問題を取り上げ、非人権的な状況に置かれている研修生の状況把握や問題解決などを指摘、同年7月1日には米国務省マーク・レーゴン人身売買監視・対策室長が来日して、日本国政府に制度の廃止を提案した。2010年には技能実習制度(Technical Intern)を追加し、2013年に(Foreign Trainee)は言及されなくなったもの、指定は続いている。

元法務副大臣の河野太郎議員(自民党)は自身のブログにて、本制度も含めた日本の外国人労働者受け入れ政策を「ほとんどイカサマ」と発言するなど、問題認識は広がりつつある。しかしながら、政府の審議会・研究会やプロジェクトチームでは、存続・拡大路線が主流であり、研修・技能実習の期間を最大5年に拡大することや再研修が議論されている。確かに円満な研修・技能実習を実施している企業もあり、受け入れ企業のみならず研修生からも期間延長や再入国を求める声がしばしば聞かれるが、制度拡大と同時に、上記のような人権蹂躙の防止も必須の課題である。

こうした問題事例の多発を受け、法務省は2007年12月26日に「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」を改訂した。上記問題点でも挙げられている受け入れ機関による研修生のパスポートの保管について、研修生本人の要望があったとしても認めないとするなど、従来よりも厳しい内容となっている。本指針に違反する行為があれば、3年間の研修生受け入れ停止などの処分を受けることとなる。

しかしながら、2011年6月27日に米国務省は、世界各国の『人身売買に関する年次報告書』を発表したが、この中で日本の外国人研修制度に関し、人身売買という状態の一因となる借金による束縛、移動の制限、賃金残業代の未払い、詐欺、研修生を他の雇用主の下で働かせるなどの悪用事例が報告されているとし、2001年の年次報告書から続くTier 2「人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しく努力している」国に分類した。

技能実習生受け入れ監理団体「AHM共同組合」(群馬県高崎市)が労働組合「神奈川シティユニオン」にファクシミリを送り、2016年12月に労働組合加入したフィリピン人技能実習生を脱退させるよう求めていた。技能実習生にも労働組合加入の権利はある。ファクスには公益財団法人「国際研修協力機構](JITCO)などがAHM共同組合に対し、労働組合加入者は実習先が見つからないとの見解を示したと記載。技能実習生を保護する監理団体などが役割を果たしていない形。労働組合は不当労働行為として神奈川県労働委員会に救済を申し立てた。

横浜市の水産加工会社で働いていた、ベトナム人男性の技能実習生(27歳)が男性の受け入れ窓口となった監理団体「房総振興協同組合」に有給休暇を取りたいと伝えたところ、房総組合職員が2018年2月、事前通告もなく男性宅に押し掛け、ベトナムに強制帰国させていたことが関係者への取材で分かった。契約書では勤務開始から半年すれば10日間、年次有給休暇が取得できるとなっており、男性は2017年3月から勤務していた。本来、実習生を保護すべき監理団体が労働者の基本的権利を無視した格好だ。実習制度に詳しい弁護士は営利目的略取誘拐住居侵入の罪に当たる可能性もある重大な犯罪だと指摘。男性を支援している全統一労働組合は、この問題で房総組合と水産加工会社「丸愛」に団体交渉を要求。両社は係争中を理由に取材を拒否した。男性は房総組合に休みを日曜日に変えてほしい、結婚のため有給休暇で一時帰国したいと申し入れていた。強制帰国を受け男性の交際女性が抗議すると、房総組合のベトナム人通訳は「有給休暇を取りたいという態度は実習生にふさわしくない。帰国した方が良い」と通信アプリで回答した。監理団体は2017年11月の技能実習適正化法施行により、法相、厚生労働相による許可制になった。法務省によると、2017年には27団体で偽造文書の行使などの不正行為が発覚。

三菱自動車工業岡崎製作所(愛知県岡崎市)においては、フィリピン人の技能実習生が技能実習にあたっているが、同製作所が本来の計画と異なり車両の組立作業を行わせていたことが、2018年5月に明らかになった。

日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)では、フィリピン出身の技能実習生の一部を、目的の技能を学ぶことができない職場で勤務させていたことが2018年8月に判明し、同社は法務省から検査を受けた。

批判

日本弁護士連合会2011年4月実習制度の早急な廃止を求める意見書を政府に提出するなどしている。愛知県弁護士会は抜本的改正を求める意見書を提出している。外国人研修生問題弁護士連絡会は法改正に対する意見書を提出している。外国人技能実習生問題弁護士連絡会(共同代表指宿昭一)は2017年1月27日「技能実習法に対する声明」を提出している 。

日本労働組合総連合会はその制度の本旨に合致する形で運用され、権利保護が適切にはかられるよう対応をはかるよう求めた。日本国家公務員労働組合連合会は技能実習制度の抜本見直しと外国人労働政策の転換を求める意見書を政府に提出している。全国労働組合総連合2016年7月28日、東京都霞ヶ関の厚生労働記者会で記者会見を開き、「外国人技能実習制度に関する提言」を発表した。

技能実習生として来日しても、非熟練労働に従事しており日本にまで来る意味が薄い、気候風土や文化の違いなどで技術の転用が難しい、需要が無いか既に供給過剰な技術である、など開発途上国等の経済発展に役立つとは言い難い事もある。

送り出し国の中華人民共和国では、裁縫業など安い労働力を武器にした労働集約型産業が限界を迎え、工場がカンボジアなどアジアの国々へ次々と移転。工場用地の賃貸や誘致の紹介業など、第三次産業に向かう経営者も現れるなど、地場産業空洞化に直面している。送り出し国のバングラデシュにある縫製工場では2012年頃からドイツ制の機会を導入し手作業を減らし、2017年には従業員がたまに機械を掃除し、デザインプログラムを入力するだけで海外向け商品を生産できるようにするなどロボット化が進んでいる。人件費の安い発展途上国にシェアを取られたりデフレーション不当廉売により人件費が抑圧された日本において技能実習生が低賃金労働力として機能していた面もあるが、発展途上国の賃金上昇と円安に加え発展途上国同士の人材獲得競争やファクトリーオートメーションにより日本に実習しに行く意義は薄れつつある。

技能実習制度には転職の自由が無い、割増賃金の不払いや賃金が最低賃金を下回るなど賃金不払い、保証金の支払い、住環境の不備や高額な家賃や家具家電レンタル料、人権蹂躙が絶えず、過労死を疑われる突然死失踪も相次いでいる。

技能実習生(1号)の行方不明者は、管理団体・実習実施機関がJITCOに報告する仕組みになっていないので把握できない。現行制度では公益財団法人国際研修協力機構が国の委託事業として巡回指導を実施するが、法的拘束力が無く実効性が無い。

厚生労働省は、2017年度の監督指導を行った5,699事業所の内4,266事業所に労働基準関係法令違反を確認と発表4年連続で過去最多を記録した。法定労働時間超過1,566事業所、労働安全衛生法違反1176件、時間外労働割増賃金不払い945事業所(以上複数法令違反事業所を含む)。法令違反悪質として労働基準監督署送検したのは34件、法令違反として労基署に実習生が申し立てたケース125件。

送検事案には、経営者らが逮捕される事案までも発生している。

法務省によると、2017年に「不正行為」を通知した機関は213機関で企業単独型による受け入れ3機関、団体監理型による受入れ209期間、類型別の合計件数は299件。賃金の不払いが139件(46.5%)と最も多く、次いで,「不正行為」を隠蔽する目的での偽変造文書等を行使又は提出、講習や技能実習を計画どおりに行わないことに関する「不正行為」73件(24.4%)。

アメリカ国務省の人身売買報告書

アメリカ合衆国国務省2010年人身売買に関する年次報告書から毎年、(Technical Intern)は劣悪な強制労働の温床になっていると批判し、2001年の人身売買年次報告書から続くTier 2「人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しく努力している」国家に分類した。国別人権報告書でも同様に指摘している。

国連機関からの批判

国際連合人権理事会の専門家による訪日調査では制度を廃止し、雇用制度に変更すべきと報告された。

国際労働機関フィラデルフィア宣言や総会で採択されている184条約に反している部分がある。アムネスティ・インターナショナル日本支部は技能実習制度を労働力補充の「入口」として、労働者の普遍的権利あるいは基本的人権さえをも制限した使い勝手のいい労働者を受け入れるシステムとして固定化するものとした。

日本弁護士連合会による勧告

日本弁護士連合会は、2012年10月に東京弁護士会に送付を受けた投書を契機として調査を行い、2014年11月に、長野県南佐久郡川上村で農業技能実習の監理業務をおこなっていた、川上村農林業振興事業協同組合・厚生労働大臣法務大臣に対して、技能実習生に対する人権侵害があったとして、改善を求める勧告書を提出している。

川上村農林業振興事業協同組合は、勧告が出される以前の2014年9月に、東京入国管理局から5年間の受け入れ停止処分を受け、2014年11月に解散している。

日本以外の国における類似制度

ドイツにはガストアルバイター大韓民国には외국인산업기술연수생(外国人産業技術研修生)、ko:외국인_고용허가제(外国人雇用許可制)がある。

関連統計

「法務省出入国管理関連統計」によると、在留資格「技能実習1号」の新規入国者数は2013年68,814人、2014年84,087人、2015年99,157人、2016年106,118人、2017年127,671人と年々増加している。2017年の入国者のうち、ベトナムが58,690人、中国34,072人となっており、両国からの入国者で技能実習生の入国者全体の約7割を占める。かつては中国からの入国者だけで7割以上を占めたが、近年は中国国内の賃金上昇により技能実習生としての来日希望者が減少し、一方でベトナムからの入国者が急増している。両国以外ではフィリピンから12,923人、インドネシアから9,581人、タイから4,449人、ミャンマー3,233人、カンボジア2,978人を受けいれている。

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