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後期高齢者医療制度とは?

この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

後期高齢者医療制度(こうきこうれいしゃいりょうせいど)とは、2008年(平成20年)施行の高齢者の医療の確保に関する法律を根拠法とする日本の医療保険制度である。2008年(平成20年)の制度発足時には1300万人が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行しており、将来的には更に増加することが見込まれている。

なお、一定の障害者を除く65〜74歳の前期高齢者は、現役世代(0〜64歳)と同じ医療保険に加入したまま、保険者間にてリスク構造調整が行われる制度となっている。日本国民1人あたりの生涯医療費は、男性で2,600万円、女性で2,800万円であり、その50%は70歳以上のステージで発生している(2016年推計)。

日本の国民医療費(制度区別、2016年度)
公費負担医療給付 | 3兆1433億円 (7.5%)
後期高齢者医療給付 | 14兆1731億円 ({33.6%)
医療保険等給付
19兆5663億円
(45.7%) | 被用者保険
9兆7210億円
(022.2%) | 協会けんぽ | 5兆1171億円 (012.1%)
健保組合 | 3兆5254億円 (008.4%)
船員保険 | 195億円 (000.0%)
共済組合 | 1兆0583億円 (002.6%)
国民健康保険 | 9兆5404億円 (22.6%)
その他労災など | 3049億円 (000.7%)
患者等負担 | 5兆1435億円 (012.2%)
軽減特例措置 | 1119億円 (000.3%)
総額 | 42兆1381億円 (100.0%)
日本の人口ピラミッド

目次

  • 1 目的・管掌
    • 1.1 老人保健法との違い
  • 2 保険者
  • 3 被保険者
    • 3.1 被保険者資格の取得
    • 3.2 住所地特例
  • 4 保険給付
    • 4.1 絶対的必要給付
    • 4.2 相対的必要給付
    • 4.3 任意給付
  • 5 財政
    • 5.1 現役世代への負担増
  • 6 保険料
    • 6.1 徴収方法
    • 6.2 保険料の軽減措置
  • 7 不服申立て
  • 8 時効
  • 9 特徴的な診療報酬
    • 9.1 後に廃止された診療報酬
  • 10 歴史
    • 10.1 成立までの経緯
    • 10.2 制度創設の目的についての政府の説明
    • 10.3 成立後
    • 10.4 経過
  • 11 制度に対する評価
    • 11.1 保険者の要望
    • 11.2 医療関係者の要望
    • 11.3 政治家の要望
  • 12 脚注
  • 13 参考文献
  • 14 関連項目
  • 15 外部リンク

目的・管掌

日本の年齢別医療費(国民健康保険後期高齢者医療制度。障害者は除く)。
青は入院、赤は外来、緑は歯科の医療費(万円)。紫は100人あたり年間受診回数。

本制度は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする(第1条)。そしてその理念として、国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとし、又、国民は、年齢、心身の状況等に応じ、職域若しくは地域又は家庭において、高齢期における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会を与えられるものとする(第2条)。この目的に基づき、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うものとする(第47条)。

厚生労働大臣は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療費適正化を総合的かつ計画的に推進するため、医療費適正化に関する施策についての基本方針(医療費適正化基本方針)を定めるとともに、6年ごとに、6年を1期とする全国医療費適正化計画を定め、これを公表する。都道府県は、この医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期とする医療費適正化を推進するための計画(都道府県医療費適正化計画)を定め、厚生労働大臣に提出するとともに、これを公表するよう努める。これらの年度の終了翌年度には、当該計画の実績に関する評価を行い、公表する。

厚生労働大臣は、特定健康診査及び特定保健指導の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(特定健康診査等基本指針)を定め、これを公表する。医療保険各法の規定による保険者(全国健康保険協会健康保険組合、市町村等)は、特定健康診査等基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期とする特定健康診査等実施計画を定め、これを公表するとともに(第19条)、当該計画に基づいて40歳以上の加入者に対し特定健康診査等を行う(第20条)。ただし、保険者は、加入者が、労働安全衛生法等に基づき行われる特定健康診査に相当する健康診断を受けた場合又は受けることができる場合は、この特定健康診査の全部又は一部を行ったものとされる(第21条)。保険者は特定健康診査を行ったときは、当該特定健康診査に関する記録を保存しなければならず(第22条)、加入者に対し、当該特定健康診査の結果を通知しなければならない(第23条)。後期高齢者医療制度にこのような特定健康診査が設けられているのは、生活習慣病を予防することにより、将来の医療費を抑制する狙いがあるためである。

老人保健法との違い

これまでの「老人保健法」による老人医療制度と大きく異なる点としては、従来は他の健康保険等の被保険者資格を有したまま老人医療を適用していたのに対し、後期高齢者医療制度では適用年齢(75歳以上)になると、現在加入している国保や健保から移行となり、後期高齢者だけの独立した医療制度に組み入れられるという点や、徴収方法が年金からの特別徴収(天引き)が基本となっている点、プライマリケアに対して診療報酬が支払われること(包括払い制度)なども挙げられる。

保険者

都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合(その都道府県の区域内の全市町村が加入する広域連合。以下、特に断らない限り「広域連合」と略す)が置かれ、保険者となる(第48条)。いわゆる「委譲事務」ではないため、政令指定都市も独立した運営ではなく、その市がある都道府県の広域連合に参加する。なお、保険料の徴収事務や申請・届出の受け付け、窓口業務については市町村が処理する事務とされる。

広域連合及び市町村は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について特別会計を設けなければならない(第49条)。

広域連合は、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない(第125条)。

被保険者

後期高齢者医療事業状況報告
【年】
【被保険者数
(千人)】
うち現役並み
所得者(千人) 一人あたり
医療費(円)
2008年(平成20年) | 13,210 | 1,073 | 785,904
2009年 | 13,615 | 1,033 | 882,118
2010年 | 14,059 | 1,012 | 904,795
2011年 | 14,483 | 1,013 | 918,206
2012年 | 14,904 | 1,016 | 919,529
2013年 | 15,266 | 1,021 | 929,573
2014年 | 15,545 | 1,038 | 932,290

対象となる被保険者は以下のとおり(第50条)。ただし、生活保護法による生活保護を受けている世帯に属する者その他適用除外とすべき特別の理由がある者を除く(第51条)。

被保険者証の保険者番号は、39から始まる8桁の番号となる。
75歳(障害の状態にある場合は65~74歳)に達しても、海外在住により広域連合の区域内に住所を有さない場合は被保険者とならない。

被保険者の人数が最も多いのは東京都の約143万人。最も少ないのが鳥取県の約9万人である(平成28年12月現在)。

被保険者資格の取得

75歳到達による資格取得日は、75歳の誕生日当日である(第52条1項)。この場合、14日以内に所定の届出を広域連合にしなければならない(施行規則第10条)。したがって、1日生まれの人は、当月から保険料が課されることになる。また、2月29日生まれの者の平年における資格取得日は3月1日となる。

障害認定による資格取得日は、広域連合が障害認定した日となる(第52条3項)。認定を受けようとする場合、所定の申請書に障害の状態を明らかにする書類を添えて、広域連合に申請しなければならない(施行規則第8条)

住所地特例

保険者である広域連合の区域外にある住所地特例対象の施設に住所を移した場合に引き続き従前の保険者の被保険者となる仕組み(第55条)。

住所地特例の判断は保険者単位となるため、同一都道府県内の他の市区町村の住所地特例の対象施設等に住所を移しても住所地特例とならない。

国民健康保険法第116条の2の規定により住所地特例の適用を受けて従前の住所地の市町村の国民健康保険被保険者とされている者が75歳到達等により後期高齢者医療に加入した場合には、特例を引き継ぎ、従前の住所地の後期高齢者医療広域連合の被保険者とする(平成27年5月29日保発0527第1号)。

保険給付

国民健康保険と同じく、加入者全員が「被保険者」となる(「被扶養者」という概念はない)ため、被用者保険(健康保険、船員保険、共済組合等)に定める「家族給付」は存在しない。

絶対的必要給付

法律により広域連合に実施が義務付けられる給付である。

以上については、それぞれ当該記事を参照のこと。

相対的必要給付

広域連合の条例の定めるところにより行うものとされるが、特別の理由があるときにはその全部又は一部を行わないことができる(第86条1項)。

任意給付

広域連合の条例の定めるところにより行うことができる(第86条2項)。

財政

後期高齢者医療に要する費用は、50%が公費(一般税収)で、50%が社会保険料で賄われる。

公費の内訳は(国:都道府県:市町村=4:1:1)で、それぞれ広域連合に交付される。

社会保険料については、約1割(負担率は平成20,21年度は10%とし、平成22年度以降は10%を基準に2年ごとで政令で定める(第100条2項、3項)。平成30,31年度については11.18%)を後期高齢者医療制度の被保険者が直接納付する保険料で負担し、残りの約4割(平成30,31年度は38.82%)は各医療保険者(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村等)が後期高齢者支援金・後期高齢者関係事務費拠出金を社会保険診療報酬支払基金に納付し、基金は後期高齢者交付金を広域連合に交付するように設定されている(第100条、算定政令第11条の2)。

財政負担ルール
公費(5割)
現役世代支援金(4割) 自己負担(1割)

(6分の4) | 都道府県
(6分の1) | 市町村
(6分の1) | 各医療保険者からの
後期高齢者制度支援金 | 受給者負担

なお、一部負担金が3割とされる者に係る療養の給付等に要する費用については、公費負担はなく、保険料と後期高齢者交付金のみにより賄われる。

現役世代への負担増

医療費亡国論」も参照

マスメディア報道では、高齢者が直接負担する保険料についてクローズアップされる傾向にあるが、実際には現役世代が負担させられる支援金が非常に重いことが指摘されており、平成24年度には拠出金負担によって、74%の健保組合が赤字決算に転落、4割の組合が保険料率を引き上げた。

また、義務的経費(保険給付費+納付金・支援金)さえ保険料収入で賄えていない健康保険組合は、全組合の45.4%(649組合)を占めるようになり、健保組合の破綻・解散により、全国健康保険協会(協会けんぽ)に移行する組合が続出している。協会けんぽに移行する健保組合が多くなると、厚生労働省の協会けんぽ負担金が増えてしまう悪影響がある。

詳細は「健康保険組合#財政問題」を参照

後期高齢者支援金は、原則として各医療保険者が加入者数に応じて負担することとされているが、被用者保険者間の財政力にばらつきがあることから、加入者数に応じた負担では、財政力が弱い保険者の負担が相対的に重くなる。このため、負担能力に応じた費用負担とする観点から、平成22年度から24年度までの支援金について、被用者保険者間の按分方法を3分の1を総報酬割、3分の2を加入者割とする負担方法を導入した(国保と被用者保険の間では、加入者割を維持)。

2015年5月27日の参議院本会議で成立した「医療保険制度改革関連法」による医療保険制度改革等の一環として、被用者保険者の後期高齢者支援金について、より負担能力に応じた負担とする観点から、総報酬割部分を2015年(平成27年)度に2分の1、2016年(平成28年)度に3分の2に引き上げ、2017年(平成29年)度から全面総報酬割を実施することとなった。あわせて、全面総報酬割の実施時に、前期財政調整における前期高齢者に係る後期高齢者支援金について、前期高齢者加入率を加味した調整方法に見直すこととされ、前期高齢者負担金の負担軽減を図ることとなった。

高齢者の医療の確保に関する法律では、特定健康診査の制度を設けて健康づくり・疾病の予防の取組みを高齢者となる前から進め、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)では「2020年までに国民の健康寿命を1割以上延伸」という数値目標を掲げているが、目標達成のためには健康づくりに取り組みインセンティブが弱いことが課題として挙げられている。

医療保険者に対するインセンティブの強化については、各保険者の特定健診・特定保健指導の実施状況に応じ、実施状況が著しく高い保険者においては、後期高齢者支援金が減算され(負担金が軽くなる)、実施率が0%の場合には加算される(負担金が重くなる)仕組みが2013年度より開始され、さらに2018年度からは保険者種別ごとに共通の目標を設定し、その実施状況なども指標として追加するなど、複数の指標により評価する仕組みとすることとされ、例えば協会けんぽでは、各支部の取組が各都道府県ごとの保険料率に反映されることになる。

保険料

保険料は、広域連合が被保険者に対し、広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他政令で定める基準に従い広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定する。ただし、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に該当するものに住所を有する被保険者の保険料については、政令で定める基準に従い別に広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課することができる(第104条2項)。同じ都道府県で同じ所得であれば原則として同じ保険料になる。賦課額は、応益負担(加入者全員が等しく負担する)である「均等割」と応能負担(所得に応じて負担する)「所得割」の2種類で構成され、その合計額である。

保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金及び特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるための拠出金の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、保健事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない(第104条3項)。

広域連合が被保険者に課す保険料の賦課額は、平成30年4月以降、62万円を超えることができない(施行令第18条1項6号)。

保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする(第159条)。

徴収方法

保険料は市町村が徴収し、広域連合に納付する(第107条)。徴収方法は、公的年金額が年額18万円(月1万5千円)以上で、かつ保険料(介護保険料との合算額)が年金額の2分の1を超えない者については、原則として特別徴収(年金からの天引き)となる。ここでいう「公的年金」とは、老齢基礎年金のみならず障害基礎年金障害厚生年金遺族基礎年金遺族厚生年金も含むが、老齢厚生年金は含まない(老齢厚生年金から天引きされることは無い)。この方法は、国民健康保険と共通している。

特別徴収されない者については、納入の通知が行われ、金融機関の窓口などで支払う(普通徴収)。この場合、被保険者本人のみならず、世帯主配偶者連帯して納付する義務を負う。また市町村の条例で定めるところにより、特別徴収から口座振替へ変更できる。

保険料の軽減措置

市町村は、所得の低い者に対し、保険料の均等割額が世帯の所得水準にあわせて軽減・徴収猶予することができる(第111条)。軽減割合は以下のとおりである。

【軽減割合】
被保険者及び世帯主の総所得金額
9割軽減 | 33万円 以下かつ被保険者全員が年金収入80万円以下で他の所得がない
7割軽減 | 33万円 以下
5割軽減 | 33万円+(24.5万円×世帯主を除く被保険者数) 以下
2割軽減 | 33万円+(35万円×被保険者数) 以下

※ここでいう所得とは、収入額から必要経費(公的年金等控除額や給与所得控除額など)を差し引いた金額である。また、65歳以上の公的年金の場合は、さらに15万円減額した金額が軽減判定の際の所得となる。

また、政府・与党決定(2008年(平成20年)6月12日)により、2008年(平成20年)度のみの特別対策として以下のような軽減割合の拡大措置がとられた。なお、8.5割軽減については、2009年度も継続されることとなった。

  1. 保険料の均等割額が7割軽減されている人は均等割額が8.5割軽減となる。
  2. 賦課のもととなる所得金額が58万円以下の人は所得割額が5割軽減となる。

職場で加入する被用者保険(健康保険組合、協会けんぽ、公務員共済組合、私立学校教職員共済組合、船員保険など)に加入している者の被扶養者であった者(勤めている家族に扶養されていた者)は新たに保険料を負担することになるため、以下の激変緩和措置がある。

不服申立て

後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む)又は保険料その他後期高齢者医療に係る徴収金(市町村及び後期高齢者医療広域連合が徴収するものに限る)に関する処分に不服がある者は、処分があった日の翌日から起算して3ヶ月以内に各都道府県に置かれる後期高齢者医療審査会審査請求をすることができる(一審制、第128条1項)。徴収金以外の処分については二審制をとる被用者保険との差異である。処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない(審査請求前置主義、第130条)。この審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす(第128条2項)。

後期高齢者医療審査会は各都道府県に置かれ、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員各3人をもって組織する。委員の任期は、3年(補欠の委員の任期は、前任者の残任期間)とする(第130条)。

時効

保険料その他の徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び後期高齢者医療給付を受ける権利は、2年を経過したときは時効によって消滅する(第160条)。保険料その他この法律の規定による徴収金の徴収の告知又は督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を生ずる。

特徴的な診療報酬

後に廃止された診療報酬

当初導入時に存在していた以下の2報酬は、2010年に廃止となった。この後継としてプライマリケアに対しての地域包括診療料、および地域包括加算が2014年に制定されている。

後期高齢者診療料(廃止)
患者本人が選んだ「高齢者担当医(主治医)」が患者の慢性疾患等に対する継続的な管理(プライマリケア)を行うことに対しての診療報酬で、月600点を算定できる。対象施設は診療所(半径4km以内に診療所が存在しない場合は病院)。
具体的には医者が患者の心身の全体を診て、治療計画の作成を通じ、外来から入院先の紹介、在宅医療まで継続して関わる(チーム医療)。専門的な治療が必要な場合については他の専門的な医師への紹介してもらうことができる。病状が急に悪化したときに実施した検査や処置のうちの一定額以上のものについては別に算る定することができる。対象疾患は、結核甲状腺疾患糖尿病脂質異常症高血圧性疾患不整脈心不全脳血管疾患喘息気管支拡張症胃潰瘍アルコール性慢性膵炎認知症
後期高齢者終末期相談支援料(廃止)
後期高齢者である患者に対し、保険医が一般的な医学的見識に基づいて回復が難しいと判断した場合、患者本人の同意を得て、医師と看護師等が共同して、患者とその家族に対し、終末期における診療方針等(ターミナルケア)を十分に話し合い、その内容を文章により提供した場合、患者一人につき、一回に限り200点を算定できるもの。意思決定にあたっては「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」「終末期医療に関するガイドライン」を参考とする。
患者の理解が得られない場合、患者の意思が確認できない場合は、算定の対象にはならない。入院中の患者に対しては退院時、または死亡時。それ以外の患者については、死亡時に算定する。

歴史

高齢者の医療の確保に関する法律#歴史」も参照

成立までの経緯

かつて日本の高齢者医療は、1973年(昭和48年)施行の老人福祉法に基づいており、この制度では老人医療費は全額公費負担となり、自己負担はゼロで無料だった。しかし無償化に伴って、病院のサロン化や過剰診療の問題が指摘され、さらに高齢化の進展と医療の高度化により、国民健康保険の財政悪化が問題となった。

そのため、1982年(昭和57年)には「老人保健法」が制定された。同法に基づく老人保健制度は市町村の事業とされ、その原資は日本国政府および市町村3割、各保険者からの基金供出金が7割であり、受給者本人にも自己負担(外来で一ヶ月400円、入院で一日300円を上限)が設けられた。ところが高齢者医療費の伸びは収まらず、日本国政府は数年おきに自己負担上限額の引き上げを行ってきた。

医療費亡国論」も参照

しかし、その後も高齢者医療費は伸び続け、1999年(平成11年)には、97%の健康保険組合が参加する『老人保健拠出金不払い運動』に発展した。そのため1999年(平成11年)10月、自由民主党自由党公明党による小渕内閣連立政権発足当時では、政策課題についての協議が行われ、「2005年を目途に、年金・介護・後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築する」ことが合意され、翌11月から国会で後期高齢者医療についての論議が始まった。

検討では、以下の4方式が提案された。

議論の結果、独立型(75歳〜)とリスク構造調整(65〜74歳)の組み合わせで合意となる。

これを受け、2006年2月の第3次小泉改造内閣にて「健康保険法等の一部を改正する法律」案が提出された。この中で、財政運営の責任主体を明確化するとともに、高齢者の保険料と支え手である現役世代(0歳から64歳まで)の負担の明確化、公平化を図ることを目的として、75歳以上の中・後期高齢者を対象に独立した「後期高齢者医療制度」を平成20年(2008年)度に創設することが謳われた。

法案に対しては、野党与党から反対の声が上がった。 現役世代が費用の多くを負担しているにもかかわらず、マスコミを中心に後期高齢者に冷たい制度だという指摘が起きた。「(現代の)姥捨て山」という 的外れな批判 が与野党から出たが、2006年5月17日、与党(自民党公明党)の賛成多数により成立した。

2006年6月21日公布により、法律名を従来の「老人保健法」から「高齢者の医療の確保に関する法律」に変更。その内容を全面改正すると共に、制度名を「老人保健制度」から「後期高齢者医療制度」に改めた。

制度創設の目的についての政府の説明

  1. 働き盛りと比べ老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患、特に慢性疾患が見られる。
  2. 多くの高齢者に症状の軽重は別として認知症の問題が見られる。
  3. 後期高齢者は、この制度の中でいずれ死を迎える。

2002年の政府答弁では「老人保健法」では65歳以上としていた対象年齢をこの制度で75歳に引き上げる理由として「老人保健制度創設後約20年間の間に平均寿命や健康寿命の伸展や経済的な地位や高齢者自身の高齢者像の変化があったこと」に加え、70歳以上を対象と想定していた当時から今日までの間に財政的な事情が変化したこと」を挙げている。

成立後

2008年4月1日の制度施行を目前に控え、「後期高齢者」という名称に対して多くの批判が集まったため制度施行初日の閣議の席上で福田康夫首相(当時)は「長寿医療制度」という通称を使うように指示した。しかし、現在では厚生労働省の公式ウェブサイトにおける後期高齢者医療制度の記載においても、「長寿医療制度」という表現は全く使われていない。

2008年5月23日に民主党共産党社民党国民新党の野党4党が参議院に後期高齢者医療制度廃止法案を提出、6月6日に参議院本会議の賛成多数で可決。衆議院では継続審議となった。

2009年8月30日の第45回衆議院議員総選挙では、民主党は制度廃止をマニフェストに掲げた。しかし政権交代後、長妻昭厚生労働相は廃止の前提となる老人保健制度の復活は、全国の自治体や医療関係者の反対が強いため現実的でないとして断念。新制度を創設する方針を固めた。また2010年の第22回参議院議員通常選挙では2013年の制度廃止をマニフェストに掲げたが、2012年の提出予定法案では自民・公明両党の主張に歩み寄った一部修正にとどまった。2012年6月15日、民主・自民・公明3党は、廃止問題を事実上棚上げし、有識者や国会議員による「国民会議」で議論することに合意した(社会保障国民会議)。

経過

10月4日 自由民主党・自由党・公明党の、自自公連立政権である小渕第2次改造内閣における三党合意により、2005年を目途に、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築すること、それに必要な財源の概ね二分の一を公費負担とすることを決定。
11月 国会で後期高齢者医療についての論議が始まる。
2月10日 内閣提出の「健康保険法等の一部を改正する法律案」が第164回国会に提出される。
5月17日 衆議院の厚生労働委員会で法案が可決。18日には衆議院で法案可決。
6月14日 参議院で可決。
6月21日 公布。
3月末 全国の自治体での議決を経て全都道府県で広域連合を設立。
7月29日 第21回参議院議員通常選挙自公連立政権が惨敗。ねじれ国会となる。
9月12日 内閣総理大臣安倍晋三が辞任、第1次安倍内閣が内閣総辞職で退陣。
10月5日 参議院議員通常選挙で自公連立政権が惨敗した事を受け、日本国政府が70〜74歳の窓口負担の1割から2割への引き上げを1年間凍結させる方針を固める。75歳以上で被扶養者であった人からの新たな保険料徴収は、9カ月間凍結する。
12月 保険料についての条例を制定。
3月30日 「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(平成19年3月30日付)と題する厚生労働省保険局医療課長通知が出される。
4月1日 「高齢者の医療の確保に関する法律」を施行。
4月11日 厚生労働省が市町村及び広域連合からの照会のためのホットラインを設置。
4月 139の市区町村で保険料の徴収金額の間違え、保険料の免除者から誤って徴収したことが報道される。
4月25日 厚生労働省が制度に関する国民の質問等を土曜日及び日曜日においても受け付ける専用ホットラインを設置。
5月23日 民主・共産・社民・国民新の野党4党が参院厚生労働委員会に「後期高齢者医療制度廃止法案」を提出。趣旨説明が行われ、実質審議入り。
5月27日 元自民党衆議院議員浜田幸一を起用した後期高齢者医療制度への理解を求めるCMを沖縄県議選に向けてオンエア。
6月3日 『毎日新聞』が保険料を負担している人の約7割は負担が軽減されたとの厚生労働省の調査結果を報じる
6月4日 後期高齢者医療制度への移行に伴う保険料増減の厚生労働省の実態調査において所得の低い世帯ほど保険料負担が増えていたことが判明。
6月5日 町村信孝内閣官房長官が記者会見で、与党がまとめた保険料軽減策を実施する場合、国民健康保険から移った高齢者世帯で保険料が下がる割合は現行の69%から75%に上がるとの見通しを示す。
6月5日 参議院の厚生労働委員会において「後期高齢者医療制度廃止法案」が可決。
6月6日 「後期高齢者医療制度廃止法案」が参議院において可決。
6月12日 厚生労働省が改善策を公表 (#保険料の軽減措置)。
6月15日 自民、公明の連絡会議で後期高齢者医療制度の運用改善策が決定。
9月 後期高齢者医療制度検討会設置決定。
3月17日 検討会の最終報告書。「後期高齢者」「終末期相談支援料」の名称の見直し程度だった。
4月、65〜69歳の医療費負担額を3割から2割に下げる計画とともに、現役世代は3割、65〜74歳は2割、75歳以上を1割とする案が発表される。
8月30日、第45回衆議院議員総選挙で政権交代。

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出典:wikipedia
2020/02/16 15:49

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