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心電図とは?

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【心電図】

治療法
正常洞調律の心臓の心電図

ICD-9-CM
89.52
MeSH
D004562
MedlinePlus
003868

心電図(しんでんず、: Electrocardiogram, ECG: Elektrokardiogramm, EKG)は、心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てるものである。心臓のみの筋電図とも言える。電気生理学検査の代表的なものであり、日常診療で広く利用されている。

心電図は1903年にオランダの生理学者ウィレム・アイントホーフェンによって検流計で測定された。彼はこの業績によって1924年ノーベル生理学・医学賞を授与されている。日本には内科学者呉建により導入された。

標準化

相互運用性を進めるにあたりMFERを用いて継続的な心電図波形利用および医療施設間情報連携の実現に向けて国際標準規格(ISO)への標準化作業も進めてきた。SO/TS 11073 - 92001:2007 Health informatics - Medical waveform format - Part 92001: Encoding rulesなどの文書になっている。

記録方法

26歳の男性の12誘導心電図、不完全性右脚ブロックがあります

心電図の記録法は、電極を生体のどこに取り付けるかによって分類することができる。

12誘導心電図
最も一般的な心電図で、四肢に取り付ける肢誘導4本と、胸部に取り付ける胸部誘導6本からなる。肢誘導から6種の波形を導出し、また肢誘導全体を不関電極として胸部誘導それぞれから1種ずつの波形を導出するため、計12種の波形が記録される。詳細は後述する。
食道内心電図
体外に電極を取り付ける場合、心臓の背側にある心房洞結節の電気的活動は捉えにくい。そこで、心臓の背側を通る食道に胃カメラの要領で電極プローブを挿入して記録したものが食道内心電図である。徐脈性不整脈の診断に威力を発揮する。
心室内心電図
心カテーテル検査の際には、心室や心房の内側に電極をあてて活動を記録することができる。電気信号の伝導路は心臓の内側を走るため伝達の様子を詳細に調べられるほか、電気刺激を与えてその影響を直接観察することも可能である。不正な伝導路を焼灼するカテーテルアブレーション療法では、焼灼部位の決定にも治療効果の確認にもこの心電図が欠かせない。
心電図モニタ
後述。

検査方法

心臓の働きは全身のエネルギー消費や生活リズム等とともに変化する。このため、診断時の必要性に応じて様々な条件の下で心電図を記録することが臨床上有効である。

安静時心電図
落ち着いた状態で臥床して記録する心電図。通常は12誘導である。体を動かしているときは筋肉の電気的活動(筋電図)が混入してしまうため、力を抜いて純粋な心電波形を記録することが望まれる。
負荷心電図
運動することで心臓に負荷を与え、その直後の心電図を記録する検査である。狭心症、特に労作時狭心症の診断に有効である。どの程度の運動負荷を与えるかは標準化された計算方式があり、その何倍の負荷を与えるかでマスターシングルマスターダブルなどと表現する。運動負荷のほか、薬物負荷で代用することもできる。
ホルター心電図
時折しか出現しない不整脈を捉えるため、携帯式の心電計を24時間装着して記録したもの。解析はある程度自動化されている。
胎児心電図
産科領域では、母体の腹壁に電極をつけ得られた波形からデジタル解析によって胎児心電図を描出する技術が開発され、先天性心疾患の診断や、産科医療に役立てられている。

検査の手順

12誘導心電図の電極装着点

全体
胸部
電極装着点

単極肢誘導

単極胸部誘導

12誘導心電図

12誘導の考え方とその所見について概説する。

デカルトは著作の中で、の中心をO(オー)として、円周上の点をP、Q、R、S、T、……と順に図示した。アイントーベンもこれに習い、心電図においてP波~T波と名づけたとされる。

四肢誘導

心臓を伝わる電気信号を、体の前面と水平な面(前額面)にプロットするために、四肢に電極を取り付ける。右手、左手、両足の付け根はそれぞれ心臓をほぼ正三角形に取り囲んでいると考え、この三角形はアイントーベン(開発者アイントーフェンの英語読み)の三角形と呼ばれる。通常、下肢は左足が直接心電図をとるための電極として使用され、右足は中性電極とされる。両上肢のあいだで起きた電位差(I誘導)、右上肢と下肢のあいだの電位差(II誘導)、左上肢と下肢のあいだの電位差(III誘導)をそれぞれ三角形の上にプロットすると、電位の2次元的な向きが浮かび上がることになる。通常この向きは体の左下方向であるのが正常で、左上方向に偏っているのは左軸偏位、右方向に偏っているのは右軸偏位という所見である。

また、肢誘導すべてを不関電極として、個々の電極から導出された波形それぞれも記録される。 右上肢からのもの(VR誘導)は心臓の右側壁~後面、左上肢からのもの(VL誘導)は左側壁、下肢からのもの(VF誘導)は後面の心筋の電気的興奮を反映すると言われる。 それぞれ、不関電極を「肢誘導すべて」ではなく「導出電極以外の電極すべて」とすることで増幅ができ、こうして増幅されたaVR、aVL、aVFが一般的に用いられる。

胸部誘導

前胸部から左胸壁にかけて6個の電極を貼り付けることで、心臓を水平に切った断面での電気信号の方向を観察するほか、心臓前面での心筋の興奮状態を捉える。 不関電極は、肢誘導すべてである。

貼り付ける位置は、V1誘導(赤)が第4肋間胸骨右縁、V2誘導(黄)が第4肋間胸骨左縁、V3誘導(緑)がV2とV4の中間地点、V4誘導(茶)が第5肋間鎖骨中線上、V5誘導(黒)が第5肋間前腋窩線上、V6誘導(紫)が第5肋間中腋窩線上である。(赤黄緑茶黒紫という順の覚え方で「アキミちゃん国試」という語呂合わせは有名)

なお、右胸心の場合や、右心室の心筋梗塞(右心梗塞)の診断を行う場合には、右側の同位置に貼り付け、それぞれV3R~V6Rなどと表現する。

最も大きな波(後述するQRS波)の向きは、V1では下向きのS波、V6では上向きのR波が大きくなっており、V1~V6のあいだで段階的に高さが変化して移行していく。ちょうどR波とS波の大きさが等しくなるのがV3からV4のあたりであり、移行帯という。移行帯の変化は心室中隔付近の向きが変わっていることを意味する。V1側に偏っていれば左回転(反時計方向回転)、V6側に偏っていれば右回転(時計方向回転)という。

12誘導心電図

心電図モニタ

病院に収容中の患者に対して1チャネルあるいはそれ以上の心電図を持続的に監視する。対象は心疾患に限らず、呼吸器疾患、絶対安静の患者、その他急変の可能性が無視できないすべての患者に用いられる。全身状態の不安定な患者が入院しているときや手術中などは、脈拍など最低限のバイタルサインを監視するためにも簡易な心電図モニタを利用する。通常、電極は胸部に貼付し、この誘導法はモニタ誘導と呼ばれる。心筋梗塞高カリウム血症の波形をいち早く捉えることができるケースもあるが、通常は心拍頻度を監視する程度であってモニタの示す波形そのものは診断の参考として用いられる。

通常はII誘導(心臓内の大まかな興奮の流れに沿ったベクトル)のみの監視で良いが、冠動脈疾患の場合はすべての肢誘導と前胸壁誘導1個を装着し、責任病変が判明していればそれによって心電図変化が最も出やすい誘導を監視する。

心電図モニタは、患者に小型の送信機を装着して、無線テレメトリー方式でモニタ本体まで送信する装置が普及している。歩行可能な患者であれば、移動中の心電図もモニタできることなどのメリットがある。また、心電図のスクリーニング用として24時間の心電図を電子メモリーに記憶できるホルタ心電計がある。通常の心電図モニタでは検知しにくい不整脈の検出などに役立つ。

心電図モニタとかハートモニタとも呼ばれており、測定項目は心電図、血圧、脈拍、呼吸などが重要であるが、なんといっても心電図が生体情報モニタリングの中心である。 患者の心電図を長時間にわたり連続モニタするため、ブラウン管などの表示装置に、心電図、心拍数などを表示し、必要によっては警報を発することを主な機能とする最も基本的な生体情報モニタである。

最近の心電図モニタは、ME 技術の急速な進歩により、

などが図られ、その使用場所も一般病棟をはじめ ICU.CCU.手術室などに広がってきている。 心電図モニタには、有線式と無線式があるが基本的な構成は次の通りである。 心電図モニタの基本的構成 1)電極部 心電図信号を検出する電極は、長時間にわたり患者に装着するので、患者の負担が少なく取扱い が簡単で、かつ安定に動作するモニタ用の電極が用いられる、電極の装着異常を電気的に検出し、 その旨を表示する機能を持つものもある。以下のような場合には、心電図が正しく測定できない。

  1. 患者の発汗
  2. 皮膚前処理の不足
  3. 使い捨て電極の乾燥
  4. 異種電極の混用
  5. 誘導コード(リード線)の断線
  6. 接続コネクタの接触不良

モニタで心電図を監視する上で、しばしばおこる問題として電極の装着異常がある、モニタは、 一般に電極の装着状態を電極間のインピーダンス(抵抗)や電極の分極電圧でモニタリングしているので、これらに影響を及ぼすような状態になれば電極の装着異常の表示を行う。従って、装着異常が表示され続けているときは、装置の故障以外の原因についても検討が必要である。 確実にモニタするにはアルコールによる清拭など皮膚の前処理を必ず行うこと,および目的とする。 誘導部位に電極を正しく装着することが重要である。誘導方式には、誘導切換できる方式とモニタとして一つの固定した誘導で行う方式がある。

ホルター心電図

ホルター心電計は、24時間以上に亘る日常生活中の心電図を間歓あるいは連続的に記録し、それを数分から10数分という高速で再生して心電図を得る装置で、通常の安静時心電図には現れない一過性不整脈の検出、狭心症の診断、人工ペースメーカーの機能の判定などに利用している。最新の装置ではp-R間隔が測定出来るため房室ブロックの発見、そして心電図波形から呼吸が分かるため睡眠時の無呼吸などを発見しやすくなった。また最近では心電図のほかに血圧、Sp02、呼吸波形、気管音、体位など記録できるものも開発され、臓器障害の発症の予測、睡眠時無呼吸症の検査などにも利用されるようになった。

短時間の記録である標準12誘導心電図では検出できない一過性または、間欠性の不整脈、あるいは排便時、労作時、食事中など日常生活の 一定の動作中に発生する不整脈を診断する。
動悸、息切れ、めまい、失神、痙攣、胸痛などの自覚症状が不整脈によるものかどうか、不整脈によるとすれば、その種類、頻度、開始、終了、持続などの出現状況を分析する。
労作性狭心症、不安定狭心症、異型狭心症などの診断。
薬剤使用の前後で記録し、抗不整脈薬の効果の有無を判定する。

ホルタ心電計の構成

ホルタ心電計は、心電図を長時間計測し、これを高速で再生・解析する。記録器は、3~5本の誘導コードと最近では磁気テープ式メンテナンスなどに優れたICで記録する「心電図長時間再生・解析装置」で構成される。本体と記録媒体として小型・軽量な磁気テープまたはICメモリに代わって、記録波形の品質・保存性、装置の小型化、再生・小メモリ(デジタルホルタ記録器)が主流となった。

ホルタ心電計の誘導

ホルター心電図は通常の心電図のように12誘導を用いて行う機種も存在するがCM5とNASAというふたつの誘導を用いる場合が多い。Ch1をCM5とし、Ch2をNASAとする場合が多い。CM5はV5、II誘導に相当し、おもにST変化など虚血性病変をみるための誘導である。NASAはV1誘導やaVF誘導に相当しP波も見つけやすく不整脈の解析を得意としている。

X軸
【誘導名】
【+極】
【-極】
【類似誘導】
【長所】
短所
CM5 | V5 | 胸骨上端 | V5またはII | P波が見つけやすい | 偽性ST低下が認めやすい
mCM5 | V5 | 右鎖骨下外側1/3 | V5 | CM5よりR波が大きくなる | 体位の影響を受けやすい
CC5 | V5 | V5R | V5 | V5との類似性が極めて高い | 呼吸による基線変導が大きい
Y軸
【誘導名】
【+極】
【-極】
【類似誘導】
【長所】
短所
双極aVF | 左前腋窩線上第9肋間 | 左鎖骨下外側1/3 | aVFまたはIII | 下壁の虚血検出力が高い | 体動、筋電図混入が多い
CMf | V5 | 左前腋窩線最下肋骨との交点 | 胸骨上端 | 下壁の虚血検出力が高い | 筋電図混入が多い
Z軸
【誘導名】
【+極】
【-極】
【類似誘導】
【長所】
短所
NASA | 胸骨下端 | 胸骨上端 | V1またはaVF | P波が見つけやすい。 | 体位の影響、個人差が大きい
mV1 | V1 | 右鎖骨下外側1/3 | V1 | P波が見つけやすい。 | 振幅が小さい
CM2 | V2 | 胸骨上端 | V2 | アーチファクトが少ない | 波形が小さい
CB2 | V2 | V9 | V2 | 波形大きく安定している | 背部に電極があり、不快感が強い
双極V3 | V2 | 左鎖骨下外側1/3 | V3 | 前下行枝のST上昇の検出に優れる | 

ホルタ心電図の自動解析と圧縮波形

自動解析では不整脈発生数、不整脈ヒストグラム、モフォロジー一覧表、モフォロジー登録波形、STトレンド、ST発生数、RRヒストグラム、RRレシオ、登録波形一覧表、登録波形拡大波形実記録、圧縮波形記録(エピソード波形、重ね合わせ波形)などが行われる。今まではP波認識が困難であったためQRS波形の解析が基本となってくる。P波認識が出来る装置が開発されたため、将来P波を含めた解析に期待が出来る。基本調律時と同様のQRSをもつ頻脈を上室性不整脈、異なるQRSを心室性不整脈としている。また正常心拍をN、上室性期外収縮をS、心室性期外収縮をVとして記載する。またペースメーカーモードではペーシング数やFusion心拍の解析も行われる。

上室性不整脈

上室性不整脈の内容、洞頻脈、上室頻脈、心房頻拍、心房細動、心房粗動といった診断名までは自動解析で診断することはできない。但し、RR間隔の変動率が10%以上でありP波が認識できない場合を心房細動とし、解析できる機種も存在する。

徐脈性不整脈

RR間隔の延長と心拍数の低下で徐脈を診断する。P波の自動認識の精度が高まれば今後自動解析が期待できる。

pauseの臨床的意義

徐脈性不整脈ではpauseの有無と最大停止時間が重要となる。3.0秒以上の心停止が覚醒時に認められる場合はアダムストークス発作が生じる可能性があると考えられている。心房細動の患者では夜間睡眠時に5秒以上の心停止がしばしば認められるが平均心拍数が正常ならば臨床的な意義は殆どない。若年者では昼間は徐脈性の所見が全くないにも関わらず夜間のみに洞徐脈や房室ブロックが認められることがある。これも病的所見としないことが多い。

心電図の大まかな読み方

正常の心電図の概略図

大まかな考え方

心電図の所見のとり方から診断のプロセスは記載すると膨大になるので、財団法人心臓血管研究所の山下武志による分類をここで記す。どんな心電図をみたにしろそれによって行うことは「放置する」、「自分の力で片付ける」、「緊急に他人の力を借りる」の3つに分けることができる。緊急性の評価には心電図よりもバイタルサインの方がはっきりとする。モニター心電図をみてVTのような波形があって循環動態が悪く意識障害などを起こしていれば緊急に処置をする必要があるが、声をかけて「何ですか?」と言われるようだったらそれはあくまで心電図上だけの問題であり、循環動態は全く悪くなっていない。

開き直った考え方

医療行為において、医療者が行うことは次の3つのパターンしかない。第一に放置する、第二に自分の力で片付ける、第三に他人の力をかりるということである。心電図を見るときも同じである。特に重要なのは他人の力を借りるかという判断である。これはバイタルサインなど他の情報が大いに参考になる。この判断は大抵、心電図以前の不整脈の知識で解決ができる。不整脈かどうかの判断は主に心電図によって行われる。あくまで不整脈のスクリーニングをしたいだけならば12誘導のうちII誘導とV1誘導のみで十分である。特にII誘導はP波が読みやすく重宝する。このやり方は不整脈以外を見落とすことがある。ST変化の見落としを避けるためにあらかじめST変化だけ12誘導で除外することもある。モニター心電図などにはSTの情報はないと認識しておくことが大切である。経験的に心拍数が正常でQRS幅が狭ければ大抵の場合は血行動態は安定している。頻脈でQRS幅が広ければ患者の状態を確認する必要がある。不整脈の場合は放っておいたら悪くなるのではという不安が常に付きまとう。しかし、まず必要なのは今治療が必要なのかという問題であり、将来のことは後回しの考えるのが通常である。悪くなる場合は基礎心疾患があることが多く、心電図だけをみても何もできないことが多いからである。

まずは12誘導で洞調律であるのか?異常なQRSやST変化がないのかを調べる。特に肢誘導ではI、II誘導、胸部誘導ではV5を中心にみる。
次にII誘導とV1誘導で不整脈のスクリーニングをする。特に重要なのは患者の様子、心拍数QRS幅である。

徐脈の考え方

心拍数の正常値は60~100/minであり、60/minを下回ると徐脈といわれる。脈拍は日内変動があり夜は遅くなる傾向がある。即ち、夜の脈拍に関しては多少正常値を下回っても気にしなくてよい。気にするべきところは不整脈となるのかという点であり、これは急に遅くなった、2秒以上脈が止まったらといったエピソードや心電図所見から考えていけばよい。徐脈性不整脈の診断は非常に簡単である。P波が正常に存在していれば房室ブロックであり、P波が存在しなければ洞機能不全症候群である。このふたつの違いは非常に重要である。房室ブロックは心室の障害であり突然死のリスクにあるからである。これをみたら心疾患のスクリーニングをし、原因がわからなければ命を守るためペースメーカーの適応となる。洞機能不全症候群の場合は、症状がなければ放置であり、症状があった場合も治療をしたとしても予後に変化がないのでQOL向上目的の治療となる。

頻脈の考え方

心拍数の正常値は60~100/minであり、100/minを上回ると頻脈といわれる。頻脈でも洞性頻脈というものがあり、運動で徐々に頻脈がおこるのは極めて正常な反応であるので不整脈をみるという観点からは突然早くなるというエピソードや心電図所見が重要である。不整脈としての頻脈の場合はQRS幅が非常に重要である。QRS幅が0.12秒、即ち3mm未満なら上室性(大抵は心房性)の不整脈であり、0.12秒、即ち3mm以上であれば心室性の不整脈である。心室性の不整脈の場合は緊急事態であり、即急な対応が求められる。QRS幅によって不整脈の部位を特定できるというのは、正常な特殊心筋を刺激が伝導した場合は0.12s以内に伝導が終了するであろうという経験則である。重要な例外として変行伝導という言葉がある。これはQRS幅が広いのに上室性の不整脈である。しかし、QRS幅が狭いのに心室性の不整脈という現象はほとんど知られていないのでまずはQRS幅が広ければ緊急事態と考えておけばミスは少ない。心室性か上室性かの判断ができたら、上室性ならPP間隔で心房拍数を心室性ならRR間隔で心室拍数を調べ、それによって不整脈の名前をつける。それとは別に触診法で有効な脈拍数を別に数えておくのが重要である。これは患者の状態を把握するもので不整脈の診断にはそれほど重要ではない。頻脈性不整脈の場合はどれがP波かなど波形をひとつずつ定義するのは難しい場合が多々ある。その場合はイメージで行うのだが経験がないと難しい。基本的には電気的な拍数が100~250/minなら頻拍で250~350/minならば粗動であり、350/minをこえれば細動という。但し、心室粗動という言葉は臨床上は存在しない。たまに速い脈が出る程度なら期外収縮という。

変行伝導

脚ブロックが発生すると上室性期外収縮でもQRS幅が広くなる。脚ブロックは器質性のものでもよいしただの不応期によるものでもよい。こういった場合、心室性頻拍との鑑別が重要となる。経験則として次の手順で診断すると便利である。右脚ブロック(V1でM型)の場合はV6誘導をみる。心室性頻拍であればrS型(S波が大きい)であり、変行伝導であればRs型(R波が大きい)となる。左脚ブロック(V6でM型)ならばV1やV2誘導のS波をみる。心室性頻拍ならばS波にノッチが見られるのに対して、変行伝導ではノッチはみられない。

不整脈以外の情報のとり方

心電図は不整脈の診断以外の診断も行うことができる。特にモニター心電図ではなく12誘導の場合はST変化やQRSの異常を読み取ることが重要である。特に見逃してはならないのが虚血性心疾患である。12個の誘導を見る場合に個々の誘導に正常といわれる像があると考えてはならない。特に胸部誘導は所見の連続性に注意をすれば大抵の重要な所見は拾うことができる。

心拍数 50~100/分
QRS波
幅 0.12s(3mm以内)
肢誘導 第I、II誘導に幅の広い(1mm以上)のQ波がない。
胸部誘導 V1~V6誘導に連続性がある。即ちV5誘導でR波が最も大きく、それから徐々に小さくなっている。
ST部分 全ての誘導で基線上にある。尚心電図において基線とは心室の収縮終わりから心房の収縮が始まるところである。
T波 QRS波の大きな波の方向を向いている。
P波 不整脈の情報以外は専門的になるので専門家に相談する。

QRS波の診かた

QRS波の異常としては、上記の正常所見を満たさないものである。具体的にいうと形の異常と大きさの異常に分けることができる。形の異常としては肢誘導、第I、II誘導において下向きのQRSや胸部誘導においてR波の連続性が保たれていないものまたは、3mm以上という幅の広いQRS波などが考えられる。特に重要な所見は虚血性心疾患を示唆する異常Q波であるが、この定義は誘導によって異なり非常に難しい。異常Q波の定義を用いずに異常Q波を診断するには

肢誘導 第I、II誘導に幅の広い(1mm以上)のQ波がない。かつR波が上向きである。
胸部誘導 V1~V6誘導に連続性がある。即ちV5誘導でR波が最も大きく、それから徐々に小さくなっている。

という正常の定義から離れたものは異常Q波がある可能性が高いと考える。心臓と誘導の位置関係は個々人でずれがある。そのため理解しがたい心電図は数多くある。そのためPoor R Progressionという言葉もある。これは胸部誘導におけるR波の増高不良であり、連続性が保たれていないように見えるが異常Q波とまではいえないという所見であり、こういった場合は症状や病歴が決め手となる。心電図はそこまで万能ではないのである。

ST部分の診かた

日本では異型狭心症(冠攣縮型狭心症)なども多く一概には言えないがSTが上昇していれば心筋梗塞、STが低下していれば狭心症を疑うのが原則である。(非貫壁性や心内膜下病変などによる非定型的変化もありうる。) 異常Q波と同様にどの部位でその所見があるのかである程度は梗塞、虚血部位を特定することができる。明らかな所見は見落とすことはまずないが、他の所見と同様、微妙な所見というものが存在する。基本的にはST上昇ならば緊急的に対処し、ST低下であったら患者の状態を確認するのが重要である。ST低下の場合は狭心症ではなくただの心肥大で出現することもある。気をつけなければならないのは無痛性狭心症というものもあることである。リスクファクターの聴取などは行うべきである。統計学的に狭心症で心電図に異常があるのは70%といわれておりその診断は難しい。

T波の診かた

陰性T波は心筋梗塞、狭心症を疑う所見であるが、心肥大でも起こりえる。高いT波は高カリウム血症や心筋梗塞で見られる所見である。しかしT波で疾患を想定する機会は非常に少ない。T波の増高では左右対称なテント状T波は高カリウム血症、左右非対称なT波の増高は心筋梗塞を疑う。

電解質代謝異常の診かた

高カリウム血症のテント状T波や高カルシウム血症のQT短縮という所見は非常に有名である。心電図は血液検査に比べて結果が速くわかるので経過をみるのに非常に便利である。

小児心電図

子供は大人のミニチュアではないとは小児科における格言のひとつであるが、小児の心電図は成人のそれとは全く異なる。まず、子供は脈拍数が早いので100/分をこえても正常である。また新生児は右軸偏位が著明である。逆に新生児の心電図で左軸変位が認められたら先天性心疾患を疑う。もしチアノーゼを認めれば三尖弁閉鎖症、認めなければ心内膜症欠損症を強く疑う所見である。

心電図の読み方

心電図の模式図
興奮伝導と心電図

基本的な所見をとる手順

  1. 調律・心拍数に関して
    • P波とP波の間隔、R波とR波の間隔を計測し、その逆数から心房拍数、心室拍数を求める。間隔は3心拍を平均する。心房細動などP波がないときはPP間隔は記載しない。
    • PP間隔(秒)、RR間隔、心房拍数(60~100)、心室拍数(60~100)を記載する。
    • 調律の判定をする。これは整脈か時に不整脈か、絶対的不整脈かを判定する。
  2. QRS平均電気軸と移行帯を測定する
    • 電気軸は-30から100が正常で、移行帯はV3あたりならOK。
  3. 基本測定
  4. 波形
    • P波電位(0.25以下)と振幅(0.10以下)
    • Q波異常Q波は幅が0.04以上か振幅がR波の1/4以上である。
    • QRS波、特にRV5+SV1が3.5をこえる、またはRaVLが1.2を超える場合は心肥大を疑う。また低電位がないかも調べる。
    • ST、ST上昇、ST下降がないか?
    • T波は高くないか(12mV以上、これは高カリウム血症を疑う)、陰性T波はないか?これは心筋症や心筋虚血を疑う。
    • U波はないか?U波は低カリウム血症を、陰性U波は心室負荷、心筋虚血を疑う。
    • 不整脈はないか?徐脈頻脈心室性期外収縮上室性期外収縮心房細動心房粗動、その他。
  5. 総合所見を述べる。
    • J波の有無は? 早期再分極によるJ波は低体温時などでもみられるほか、特発性心室頻拍症例の31%に早期再分極異常であるJ波が認められたと報告がある。。J波は健常者でも5%に認められる。

調律と心拍数に関して

調律の正常は正常洞調律である。正しくP波とQRSが対応しており、P波が一貫して同じ形であることを確認する。これだけで正常洞調律ということはできない。最低限確認しなければならないことはI誘導とII誘導でP波が陽性であることである。洞調律のP波はI、II、aVFで陽性であり、aVRで陰性であるといわれている(電気軸が0度から90度)よく知られている、洞調律ではないP波としては左房調律が知られており、この場合はI誘導でP波が陰性となる。また異所性心房調律、房室接合部調律である場合はII、III、aVFでP波が陰性となることが知られている。

心拍数はPP間隔とRR間隔にて測定を行う。不整脈がなさそうならばQRSと次のQRSまでが5mmごとに300,150,100,75,60,50と数えれば大まかには知ることができる。R-R間隔が一定の場合、60/R-R(秒)で心拍数が割り出される。R-R間隔が1秒(心拍数60/分↓)以上の場合を徐脈と呼び、R-R間隔が0.6秒(心拍数100/分↑)以下の場合を頻脈という。またR-R間隔が一定でない場合は不整脈の疑いがある。調律が異常と判定された場合は後述される不整脈の診断を行うこととなる。

基本的な測定値に関して

典型的な正常波形を右に示す。心拍一回ごとに心電図に現れる波形は、大きくP、Q、R、S、T波の5つの波で構成され、中でも目立つQ、R、S波は一括してQRS波と呼ばれる。図にはないが、これ以外にもU波という波が存在する。横軸は、1mmの1目盛が 0.04秒であり、1秒は25目盛りにあたる。縦軸は電圧で、1mVのキャリブレーションの波が記録されているが、一般的には1目盛0.1mVが使用される。

(注)各波の正常値は教科書によって多少の相違がある。
P波

P波とは心房の興奮を示す波形と考えられている。P波が存在するのか、QRS波との対応がおかしくはないのか、P波自体に異常はないのかを調べる。正常では右心房・左心房ともほぼ同時に収縮するため単一の波として記録される。心房の興奮は洞房結節から始まる。洞房結節は解剖学的には上大静脈が右心房に開口する付近にあることが多いので、心房の興奮は右上から左下に向かうことになる。したがって、その進行方向に当たる誘導(四肢誘導ではI,II,aVF、胸部誘導では一般にV3-V6)ではP波は上向きに、進行方向と反対の誘導(aVR)では下向きとなる。実際的には洞調律のP波であるのかはI、II誘導で陽性であれば十分である。それ以外のP波の異常としては右房拡大と左房拡大が存在する。肺動脈圧が高まって右心房の負荷が高まっているときなど、均一な収縮ができないときはP波がいびつな形に変形する。右房拡大があるときはII、III、aVF誘導でP波の高さが2.5mm以上の肺性P波となったり、V1, V2誘導で先鋭が増高した2mm以上の右心性P波が見られたりすることがある。左房拡大のときはP波の幅がI、II誘導のいずれかで3mm以上の僧帽性P波となりV1誘導で前半陽性、後半陰性の二相性となる。よって正常のP波ではI、II誘導で陽性であり、II誘導で幅3mm未満、高さ2.5mm未満、V1で高さ2mm未満、P terminal force(morris指数)の絶対値が0.04mm・秒未満であればよい。

PQ時間

PQ時間の正常値は3mm(120msec)以上5mm(200msec)未満である。200msec以上の場合は1度の房室ブロックの可能性がある。PQ時間はP波の初めからQ波のはじめまでであり、房室伝導時間と考えられている。

QRS波

QRS波とは心室の電気的興奮を反映する波と考えられている。心室内の電気伝導は心室中隔に沿って左下方向に進むため、その進行方向に当たる下肢からの誘導(aVF)では上向きに、進行方向と反対の右上肢(aVR)などからの誘導では下向きになる。この向きが異なっているとき(軸偏位があるとき)は心室内での電気伝導路が正常ではないことを示唆する。心室内で電気的興奮が均一に伝わらなかったときには、すべての心筋が興奮し終わるまで時間がかかるため幅が広くなる。

QRS波の各々の波形は定義に従って命名される。最初の陰性波をQ波という。最初の陽性波をR波という。陽性波の後の陰性波をS波という。それ以上の陽性波や陰性波があった場合はR'波、S'波という。大きい波は大文字で小さい波は小文字で表す。II誘導でqRSというのが正常パターンである。陽性波がない場合のQSパターン、脚ブロックのrSR'パターンなど数多くの波形が定義されている。QRS波の以上には様々なパラメータを用いる。電気軸、移行帯、R progression、異常Q波などはQRS波のパラメータである。QRS波が正常であるとは肢誘導においてQRS平均電気軸が正常で、III、aVL以外に異常Q波が存在せず、QRS時間が2.5mm未満であること。かつ胸部誘導でR波の増高(r progression)が正常であり、V1誘導以外に異常Q波がなく、QRS電位が正常(SV1+RV5<35mm、SV1+RV6<35mm、RV5<26mm、RV6<26mm)であり低電位がなければ正常である。

QRS波形は下記で示すQRS時間とともに心室内伝導障害(右脚ブロック左脚ブロック・左脚前枝ブロック・左脚後枝ブロック・両脚ブロック三束ブロックなどがある)の診断で重要である。

QRS時間

QRS時間とは心室内伝導時間を示す。II誘導で計測するのがわかりやすい。正常値は1.5mm(60msec)以上3mm(120msec)未満である。延長している場合は脚ブロックを心室内伝導時間が延長している可能性がある。特に頻脈性不整脈の場合は重要な所見である。

STセグメント

STセグメント(ST部分)とは心筋細胞の活動電位第二相、即ち心筋の再分極に相当する。等電位となるのが正常である。水平部分が正常よりも上がっていたり下がっていたりする状態をST変化と呼ぶ。これは虚血性心疾患の代表的な心電図所見である。一般的に狭心症ではSTが低下、心筋梗塞ではSTが上昇すると言われるが、ST上昇を示す異型狭心症、ST低下を示す非貫壁性心筋梗塞などといった病態もあり得る。このほか、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

出典:wikipedia
2020/04/07 03:13

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