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日本の財政問題とは?

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日本の財政 > 日本の財政問題

日本一般政府歳出(%, 2015年)

一般公共サービス (10.44%)
防衛 (2.34%)
公共秩序・安全 (3.21%)
経済業務 (9.48%)
環境保護 (2.93%)
住宅・地域アメニティ (1.74%)
保健 (19.45%)
地域・文化・宗教 (0.94%)
教育 (8.72%)
社会的保護 (40.74%)
日本の人口統計。2009年現在(1872-2009)と将来予測(2010-)
OECD各国の老人(65-歳)一人あたり、生産年齢(20-64歳)人口。
橙は2012年時点、茶は2050年の予想
日本の社会的支出(兆円)。緑は医療、赤は年金、紫はその他

日本の財政問題は、日本政府や行政機関が抱える財政上の問題のことである。2014年現在、日本政府の予算は、歳出(支出)が大きく歳入の約半分を国債発行による収入で占めている。2009年度すでに、国債の利払いだけでも税収の2割以上となっており、社会保障費の抑制など歳出削減が急務となっている。公債残高は1994年度で200兆円、2004年度で500兆円であったが、2013年度で750兆円に達した。利払い費は、1990年代に10兆円以上で推移していたのが、長期金利の抑えこみに伴い2005-2006年度に7兆円という底を打った。しかし、世界金融危機を経て漸増し、2012年度に8兆円となり、2013年度には10兆円寸前まで反発した。2018年度までの国債残高総額は約149兆円で2013年から減少させているが国債だけで国民1人約700万円である。

目次

  • 1 経緯
    • 1.1 高齢者医療費無償化の影響
  • 2 債務の推移
    • 2.1 ラインハート=ロゴフ仮説
  • 3 国債の国内消化率と長期金利
  • 4 国全体の正味資産・対外純資産の推移
    • 4.1 対外純資産
  • 5 国債格付けの変化
  • 6 増税問題と減税問題
  • 7 日本の財政問題に関する議論
    • 7.1 財政悪化の原因
      • 7.1.1 景気対策のための財政出動
      • 7.1.2 構造的要因
      • 7.1.3 社会保障費の増加
      • 7.1.4 地方財政
    • 7.2 財務省の見解
    • 7.3 アメリカ政府の見解
    • 7.4 財政危機説に対する認識
      • 7.4.1 累積赤字国債額
      • 7.4.2 貸借対照表
      • 7.4.3 対GDP比
      • 7.4.4 金利
      • 7.4.5 経常収支の赤字
      • 7.4.6 国債依存度
      • 7.4.7 通貨建・国内消化
      • 7.4.8 ギリシャとの比較
      • 7.4.9 CDS
      • 7.4.10 経済成長・デフレーション
      • 7.4.11 家計との比喩について
    • 7.5 財政再建に関する提言・議論
      • 7.5.1 国債の買いオペレーション
      • 7.5.2 増税(税収の増加)に関する意見
      • 7.5.3 経済成長
      • 7.5.4 デフレーション脱却
      • 7.5.5 国有資産の売却
      • 7.5.6 歳出・社会保障費の抑制
    • 7.6 格付けについて
  • 8 脚注
  • 9 参考文献
  • 10 関連項目
  • 11 外部リンク

経緯

日本は明治維新後から戦後復興まで、第一次世界大戦の戦争特需の一時期を除き、一貫して債務国であった。日清戦争後の軍拡、日露戦争によって外債などの借金が累積したが、第一次世界大戦に伴った輸出の増大(バブル)によって累積債務は一時的に解消した。1942年(昭和17年)当時の増税問題として、社会保障費以上に戦費を取り上げて増税が進められたが、「平時の論理から云えば、現行租税が財界に適応するに至るまで増税を暫く見合はすのが常道であるかも知れない」点が指摘され、国家財政のみならず地方財政をも併せ考慮に入れて解決に当たらなければならない点も指摘されていた。第二次世界大戦当時の1944年度末において国の債務残高は国内所得の260%を超える水準であった。経済学者伊藤修は、戦後直後の債務の対GDP比は、250%を超えていたと推測している。日本銀行の調査によれば、1934-1936年の消費者物価指数を1とした場合、1954年は301.8と8年間で物価が約300倍となった。このインフレーションの原因は、戦前から戦中にかけての戦時国債、終戦後の軍人への退職金支払いなどの費用を賄うために政府が発行した国債の日本銀行の直接引き受けとされている。第二次世界大戦中に発行した戦時国債は、デフォルトはしなかったが、その後対戦前比で3倍ともなるハイパーインフレーション(4年間で東京の小売物価は終戦時の80倍)によってほとんど紙屑となった。この反省から、1947年に財政法が誕生した。

高齢者医療費無償化の影響

1982年4月以降の日本の国債残高。日本銀行保有分を除く。 凡例 赤 - 内国債 黄 - 短期証券 青 - 借入金 紫- 過去12ヶ月の平均

1967年の都知事選に共産党、社会党など左派政党や市民団体は増税など負担を求めずに低負担高福祉や高収入都事業廃止などフアン・ペロンのような左派ポピュリズム都政をすること東京都を赤字自治体にすることになる美濃部亮吉を都知事に当選させた。美濃部は1969年12月21日から高齢者の医療費無償を行うなどしてポピュリズム政策で支持を増やしていたため、東京都に続いて他のいくつか地方自治体も日本共産党と日本社会党が支援した候補が当選して老人医療費の無料化が導入された。老人医療費無料化された自治体の病院は高齢者のサロン化し、病院に無償のために来るような健康な高齢者で溢れるなったのとで他の患者の診察に支障が頻発するようになった。高齢者の医療無料化は実施した地方自治体の財政を圧迫していたため、国の負担への要求もあったが実施した自治体の責任だとして当初は相手にしなかった。自民党や厚生省は高齢者医療費無償化など社会保障支出増加させる高福祉には国民負担の増加させる幅広い増税によって賄われないと継続不可で財政赤字を招くと反対していたが、地方選挙で敗北が続くというポピュリズム政策によって世論に押さされていた。世論に将来の財政の現実路線を訴えても理解されず 、自治体の財政赤字を招いている左派政党と革新首長が支持を伸ばしている現状を危惧した田中角栄政権の主導で、1973年1月1日から70歳以上の老人医療費の無料化が全国で実施された。高齢者の医療費無償のために国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担することになった。1973年7月から美濃部都知事は国の無償制度の対象外だった都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度や高齢者の都営交通無料化というバラマキ政策や多額の税収を産んでいた公営ギャンブルに廃止を行ったため、東京都の財政は膨大な赤字を抱えるようになっていた。当時はそれでも高齢者は現役世代より圧倒的に少なく高度経済成長の只中だったが、1973年10月の第1次石油危機で高度経済成長が終了した。翌1974年には戦後初のマイナス成長と増税なしの高福祉の社会保障支出で大幅な歳入不足の財政赤字になった。戦後初の「赤字国債」と呼ばれる特例国債が1975年で初めて発行されたのは、高齢者医療費無償など毎年増加し続ける社会保障費用がオイルショックによる不況で確保出来なくなったのが最大の要因であった。以後日本政府は無償対象を減らしたりしたが、高齢者殺しと政争をしかける野党の強い批判にならない定期的に負担額は少しずつ上げられたもの平成初期まで高齢者は医療費は数百円の負担など緩やかにされていた。高齢者税収で足りない社会保障支出を赤字国債を発行していたが、昭和後期から「赤字国債脱却」が財政問題として挙げられるようになった。佐藤優は他国が左派政党が消費税を再分配の財源にしている中で、社会民主的な政策である消費税増税に反対した日本の左派への批判している。

その後バブル景気により1990年までは歳出・税収とも上昇の一途を辿り、バブル経済の絶頂期と前後して1990年には一時的に赤字国債脱却を達成するも、バブル期の終焉を境に税収が下降に転じ、一方でバブル崩壊以降、景気対策として多額の財政支出や赤字国債の発行などが度々行われるようになり、歳出は依然として上昇を続けていった。また、景気対策として行われた大規模な所得税・法人税の減税が、税収の一段の落ち込みをもたらした。

1995年村山内閣で、武村正義大蔵大臣は、「財政危機宣言」をしている。

橋本龍太郎内閣は、1985年のアメリカのグラム・ラドマン法にならって財政構造改革法を制定し、期限を設けて消費税率2%引き上げ・所得税の特別減税の打ち切り・医療費の自己負担の引き上げを行い(総額9兆円程度の国民負担の増加)、財政赤字を縮小させようとした(不況の深刻化によって後に停止する)。1980年代には概ね対GDP比60%超の水準にあった政府の債務残高はバブル崩壊を機に急激に上昇し、1997年頃には対GDP比が100%を突破。度重なる資金注入でも日本経済は低迷を続けたため、2001年頃には150%を超える水準にまで到達した。

2000年代半ばにはいざなみ景気骨太の方針により債務残高は微減したものの、2007年に起こった世界金融危機や2008年のリーマン・ショックなどの影響から巨額の財政出動を余儀なくされ、債務残高は再び上昇に転じた。その後政権交代が発生するも、民主党が公約実現目的で財政的裏付けの乏しい中で支持率に影響がでる消費税増税せずに批判していた赤字国債を過去最高額で子ども手当高速道路無料化をはじめとする政策が実施行われたため依然として債務は膨れ続け、2009年には新規国債が52兆円と、60年ぶりに新規国債の発行額が税収以上となった。加えて2011年には東日本大震災が発生し、その復興のための復興債が発行され、この年は新規国債が過去最高の55.8兆円となった。

2014年10月16日麻生太郎財務相は参院財政金融委員会で「今(2014年)の日本で、ハイパーインフレになるはずがない」「財政破綻は考えられない」と述べた。

2015年2月2日、NHKニュースにて「国の債務超過490兆余、10年間で倍に」と報道された。2015年2月16日、NHKの報道番組「ニュースウオッチ9」にて「『預金封鎖』もうひとつのねらい」が放送された。社会保障への支出が多くて、高福祉低負担が問題になっている。。

債務の推移

債務残高の対GDP比は、日露戦争時で70%、1920年頃までで約20%、第二次世界大戦時の1944年で200%以上、1965年頃までで約5%付近となっている。

バブル崩壊後は、景気低迷による税収減や景気対策の減税、高齢社会による社会保障費の増大のため公債残高は爆発的に増加していった。2012年度末時点の残高は税収17年分の709兆円になる見込みである。日本国債を買い支えてきたのは主に日本国民による貯蓄であるが、日本の累積赤字国債は増え続けている。日本の総債務は、中央政府の債務だけで、2000年9月末には511兆円余りであったが、2010年9月末時点では908兆円余りに増加している(財務省HPの統計による)。

2014年5月9日、財務省は、国債や借入金を合わせた「国の借金」が2013年度末で過去最大の1024兆9568億円となったと発表した。「国の借金」のうち、国債は853兆7636億円、借入金は6454億円増の55兆5047億円、政府短期証券は4208億円増の115兆6884億円となった。

内閣府の『国民経済計算確報(2010年2月)』による政府部門のバランスシート(国・地方・社会保障基金の合計)では、金融資産(現金・有価証券など)が約504.2兆円、非金融資産(道路・土地など)が約491.2兆円、負債が約983.6兆円、正味資産が約11.8兆円となっている(2008年末時点)。

2012年3月末現在の国のバランスシートでは、負債総額は1088兆円、資産総額は626兆円となっている。 政府が、来年度(平成30年度)に発行する国債の総額は149兆円余りで、満期までの期間が長い国債を増やしてきた結果、借り換えのための発行が減り、4年連続で減少します。

日本政府の2018年度予算案の国債発行計画では国債の新規発行額33兆6922億円で、2017年度より6776億円減らしている。日本政府は日本の低金利を背景に、満期までの期間が長い国債を短期国債よりも選んでいる。

詳細は「日本国債#歴史」および「日本国債#発行残高と対GDP比」を参照

ラインハート=ロゴフ仮説

ハーバード大学の経済学者のカーメン・ラインハートケネス・ロゴフは共著『国家は破綻する-金融危機の800年』(原題:This Time Is Different)で、国家債務の対GDP比率が少なくとも90%に達すれば、GDP伸び率が減速し始めるとの研究を発表している。この研究は、公的債務へ取り組みを正当化するため、アメリカや欧州連合 (EU) などの当局者が頻繁に言及している。

一方でマサチューセッツ大学アマースト校の研究者トーマス・ハーンドン、マイケル・アッシュ、ロバート・ポリンらは論文の中で、ラインハートとロゴフが発表した公的債務に関する研究について、集計表におけるコーディングに誤りなどがあった可能性があるとの研究結果を発表している。

ノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマンは公的債務対GDP比が増えると経済成長が低下するのではなく、経済成長が低下したから公的債務対GDP比が増えたことや、イタリアと日本を除くとG7の国の公的債務残高対GDP比と成長率には相関関係がないと指摘している。

ケネス・ロゴフ#ロゴフ=ラインハート論文」も参照

国債の国内消化率と長期金利

長期金利」および「日本国債#金利」も参照

2002年時点で日本国債の95%は国内貯蓄でまかなわれており、2012年現在長期金利も0.8%前後で安定している。

2014年12月12日、国債市場で、長期金利の指標である新発10年債の終値利回りが0.039%と、終値として過去最低を更新した。

2015年1月20日、東京債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時0.195%と、初めて0.1%台となった。

国全体の正味資産・対外純資産の推移

日本政府と地方自治体を合わせた正味資産(資産-債務)は、2000年頃には150兆円を超えていたが、2009年末には債務が資産を約49兆円上回る、債務超過の状態に陥っていることが、内閣府の統計で2011年1月に判明した。これは同種の統計を取り始めた1969年以来初めてのことである。

2014年1月31日、財務省が発表した2012年度末の「国の財務書類」によると、債務超過の金額は、これまで最悪だった2011年度からさらに17.7兆円増えて477.0兆円となった。

民間と異なり、国の場合は簿外に課税権があるので、その価値が債務超過額を上回っていれば破綻状態とはならない。また、通貨発行権があるので資金繰りによるデフォルトは、自国通貨建て債務であるは限り考えにくい。

対外純資産

プラザ合意の1985年には日本は世界最大の債権国となっている。

2012年末の日本の対外純資産は296兆3150億円となり、2009年に記録した過去最高を更新し、対外資産残高は661兆9020億円となった。日本の対外純資産は、1991年以降、22年連続で世界一となり、2位の中国に比べて2倍近くに上っている。

2014年5月27日、財務省が発表した2013年末の対外資産負債残高によると、日本の対外純資産は325兆70億円で、前年に続き過去最大となっており、1991年以来、23年連続で「世界一の債権国」となっている。

2014年6月18日、日本銀行が発表した2014年1-3月期の資金循環統計(速報)によると、2014年3月末時点の家計部門が保有する金融資産残高は1630兆円となった。

対外資産負債残高」も参照
【】
【資産】
【負債・純資産】

政府 | 481.9 | 1,001.8
金融機関 | 2,755.0 | 2,744.4
非金融法人企業 | 847.6 | 1,183.7
家計 | 1,452.8 | 373.5
民間非営利団体 | 52.3 | 19.1
純資産 |  | 268.1

日本銀行「資産循環統計」2010年6月速報値より(単位:兆円)。なお、「資産循環統計」は金融資産のみであり、不動産などの非金融資産は含まれていない。

国債格付けの変化

日本政府発行の国債は、長年、高い信用度を背景に高位に格付けされてきた。財務省は、平成14年(2002年)4月30日に「日・米など先進国の自国通貨建て国債デフォルトは考えられない」と発表した。

ムーディーズが「日本の政府債務が『未踏の領域』に入る」と主張したことについて日本の財務省は、平成14年(2002年)7月25日付で巨額の日本国内の貯蓄の存在ならびに過去の米英両国に巨額の債務があったことを示唆して、抗議する旨のコメントを発表した。ムーディーズ、スタンダード&プアーズフィッチ・レーティングスの格付け会社三社が日本国債の格付けを引き下げた際に、当時の財務省の黒田東彦財務官は、この三社に意見書を送っている。

2011年1月27日、米国の投資情報会社で債権・証券類の信用格付けを行っているスタンダード&プアーズ社が日本の国債の格付けを2007年以来3年ぶりに「AA」から「AA-」へ格下げしたと公表した。発表直後、日本円米ドルに対して約1円、下落した。

2011年8月24日、ムーディーズは日本国債の格付けを1段階引き下げ「Aa3」とした。

2012年5月22日、フィッチは日本の財政再建への取り組みが遅れているためとして日本国債の格付けを1段階引き下げ「A+」とした。

2014年12月1日、ムーディーズは財政赤字の中期的な削減目標の達成可能性などについて、不確実性が高まったためとして日本国債の格付けを1段階引き下げ「A1とした。

2015年4月27日、フィッチは日本政府が消費増税を先送りしたが、穴埋め策を今年度予算で講じなかったとして1段階引き下げ「A」とした。

2015年9月16日、米スタンダード&プアーズ(S&P)は日本経済がソブリンの信用力を支える効果が過去3 - 4年間低下しており、この傾向を今後2 - 3年で好転させる可能性は低い、として1段階引き下げ「A+」とした。

詳細は「日本国債#格付け」を参照

増税問題と減税問題

元来、政府は、通貨の価値の保証をした上で通貨による税収を算定するものである。政府が税収の増加を図る際に、直接税間接税をどのように組み合わせるかという点については、経済学者・財政学者の間で意見が分かれており、その対立は効率性と公平性の組み合わせをどのように考えるかの問題にもかかわっている。

法人税#法人税率に関する見解」も参照

累進課税に基づく所得税や企業収益に課税する法人税は、好景気の時には豊かな税収をもたらすもので、ビルト・イン・スタビライザーとして富の再分配の観点に立って社会福祉の向上を実現させる機能をもつ。しかし、経済学者の井手英策も日本では1990年代に景気対策の観点から所得税の累進性が弱められ、法人税も国際競争力強化を名目に税率は引き下げられた結果、景気回復局面では税収が伸びない租税構造となり、OECDの対日経済審査報告書でも指摘されたように課税を通じた所得格差の是正効果もきわめて乏しい税制となってしまったと述べている。

経済学者の田中秀臣も「消費税を上げるより、高額所得者の所得税率を60-70%に戻したほうがよい」と指摘している。

経済学者の栗林隆も「どの程度の所得再分配を行うべきかは累進税率構造によるため、価値判断の世界である。所得税そのものは公平な良税であるが、現行(2009年)の日本の所得税には多くの欠点がある。日本の所得税は非常に複雑な税制となっている」と指摘している。

1993年(平成5年)度当時の予算審議において、長期にわたった不況からの脱却の方途として、消費税の引き上げにより所得税減税を期待する向きが強くなった。社公民各党は共同修正案にて4兆円を超える所得税減税を赤字国債の発行によって行うことを主張し論戦が行われた。この結果、住宅減税や設備投資減税が補正予算として計上された。この一連の動きが所得税減税問題といわれる。

財政再建#ドーマー条件」も参照

伝統的な経済学は、法人所得に課税するよりも、個人に対する所得・消費に課税する方が望ましいとされている。

経済学者の竹中平蔵もかつては、累進税は不公平であるとして、人頭税の導入を主張していた。竹中は「法人税は企業の国際競争力を削ぐため引き上げられず、所得税もフロンティアの時代であり引き上げられない、つまり消費税を上げるしかない」と指摘している。

経済学者の松原聡も「国民負担率が4割を超えると労働者は労働意欲を失うと言われている。現在(2000年)の日本の国民負担率は4割であり、法人税率・個人所得税率をこれ以上引き上げることは現実的ではない」と指摘している。

経済学者の原田泰も「所得の累進課税の強化は、労働意欲・起業意欲を衰えさせ、経済全体を委縮させるかもしれない。また、株式などの税を重くすれば、日本の富裕層は海外へ資産を移してしまう」と指摘している。

経済学者の伊藤元重は「多くの場合、税を課すことが資源配分に追加的な歪みを生じさせる(例:過度な累進課税)。政府に必要な税収を確保する制約の下、できる限り税による資源配分の歪みを小さくすることが求められる」と指摘している。

国際競争が厳しくなる中、日本の法人税の実効税率がアジア諸国に比較して高く国際競争力の上で不利だとの見方から、法人税率の引き下げを要望する声が経済界から強い。2007年11月の政府税制調査会答申において、法人課税の負担軽減と課税ベースの拡大、また法人の社会保障負担を検討すべきだとする一連の指摘等が法人税減税問題といわれる。

明治大学国際総合研究所フェローの岡部直明は「税の増収のためには、法人税率の引き下げを中心とした企業税制の改革と、社会保障を目的とした消費税率の引き上げを目指すべきである」と指摘している。

経済学者の大竹文雄は、「法人税減税を行うと同時に『中小企業者等の法人税率の特例』『試験研究を行った場合の法人税額の特別控除』などのような租税特別措置を廃止すれば、ある程度、法人税の減収分を補える可能性がある」「法人税の減税と所得税・消費税の増税という組み合わせが、日本人の生活の豊かさにつながる条件として整備されることが急務である」と指摘している。

その後、介護保険制度や支援費制度の開始もあって常に税収不足が指摘されていた中、2011年3月の東日本大震災を経て、2012年に当時の野田内閣が5%である消費税を増税させる法案を成立させた一連の動きが消費税増税問題といわれる。2014年11月、安倍首相は消費税率の10%への引き上げ時期を1年半延期することを決め、社会保障関連の支出や連動する税制の見直しが必要となり大きな影響を与えている。

経済学者のトマ・ピケティも、「国民の労働所得は停滞している一方で、不動産・資産の高度な資本化が進んでいる。労働所得に対し減税し、資本に対して増税するのが自然な解決策である」と指摘している。ピケティによれば「消費税率を上げても良い結果を生んでいない。日本の財政再建は、高所得層に重い税を課す、若者・中低所得層の所得税を減税したりする取り組みを優先するべきである」と指摘した。

伊藤は「消費税と法人税の問題はまったく別のものであり、消費税か法人税かという二項対立的な議論をするのは建設的ではない。『消費税率の引き上げは消費者に多くの負担を求めることであり、法人税率の引き下げは企業の税負担を軽減するものである』」というような単純な議論はするべきではない。消費税や法人税だけでなく、地方所得税、配当課税、固定資産税など、幅広い税制のあるべき姿についての議論が必要である。」と指摘している。

経済学者の高橋洋一は「税制はあるべき社会像に対する価値判断が根底となる。あくまで個人の価値観による。どちらが優れているという結論は、理論・実証はない」と指摘している。

日本の財政問題に関する議論

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この節は学術上に論争のある記事を扱っています。

2011年現在国が進めている財政再建路線は毎年40兆円の公的債務が増大し、方針とは裏腹に財政は年々悪化している。

財政悪化の原因

経済学者の小塩隆士は「日本の財政赤字が増えたのは、バブル崩壊後の景気の長期低迷で税収が伸びなかったことと、政府が景気をよくするために公共投資を続けたからである」と指摘している。

エコノミストの安達誠司は「日本の財政赤字は、経済停滞の原因ではなく、経済失政の結果として引き起こされている」と指摘している。伊藤も「財政・年金・医療の危機と、政府(橋本内閣)が先頭に立って危機を煽った結果、国民の消費を萎縮させてしまった」と指摘している。

UFJ総合研究所調査部は「日本の財政赤字の拡大は、社会保障費の拡大という歳出側の要因もあるが、税収そのものが減少してきたことも影響している」と指摘している。エコノミストの村上尚己も「財政赤字の増大の主たる要因は、デフレと低成長による税収の落ち込みである」と指摘している。

三菱総合研究所は「税収が減少したのは、景気対策として各種の減税が実施された影響が大きい」と指摘している。UFJ総合研究所調査部は「所得税では大規模の減税が何度も実施されており税収を押し下げている。また法人税では、バブル景気の後始末としての不良資産の処分が続き、特別損失・繰越欠損金の計上が増加した結果、国の課税所得が押し下げられた」と指摘している。

経済学者の飯田泰之は「税収が減少した主な要因は、富裕層への減税(所得税)と不景気である」と指摘している。

原田は「金融政策が効かないという思い込みが、日本経済を長期の停滞に追い込み、巨額の財政赤字を作り、財政規律を破壊している」と指摘している。

景気対策のための財政出動

1970年代初頭から1980年代中頃にかけて、オイルショックによる設備投資などの削減を受けて政府部門の赤字幅が拡大した。その後、バブル崩壊後の一時期、不良債権の発生によるバランスシートの悪化により、企業部門が設備投資を大幅に削減したことを受けて、当時政権を担当していた自民党が積極的に推進した巨額の公共事業によって景気を下支えしようとした事情がある。日本の財政赤字の大半は、バブル崩壊後、税収が減少する中で累計100兆円を越える景気対策が実施されたことにより発生した。

これはケインズ経済学に基づいた積極的な財政支出によって雇用需要などを生み出すことで、企業部門が回復するまで景気を下支えしようとすることである。

宮沢内閣下での1992年の景気対策「総合経済対策」を皮切りに、毎年10兆円を上回る大規模な景気対策を講じ、公共投資などの支出を増やした。こうした流れは2000年代初めの森内閣まで続いた。事業規模は総額で100兆円を超え、財政支出を伴った真水の部分だけで50兆円を超えた。度重なる国債発行の結果、日本政府の純負債は500兆円増えた。

しかしマンデルフレミング効果が働いたことや、巨額の政府支出が将来の増税を予想させたことによる消費の低迷、企業のバランスシート改善を目的とした設備投資の抑制が強かったこともあり、それらに相殺され大きな効果は得られなかった。一方、この積極的な財政支出によって国・地方とも財政は危機的状況に陥っている。

経済学者の岩田規久男の話によれば、「1992年以降、財政支出が増えると景気が回復するが、その増加を止めたり減らすと、再び景気が悪化するといったことを繰り返してきた。結果、国債残高だけが増加するという状況となった。財政支出の増加自体では、民間消費・民間投資という民需を持続的に拡大させることができないからである。」と指摘している。

竹中平蔵は「不況だからと政府に頼ると結果、財政赤字は巨大化していく。日本をはじめとする先進諸国が当面している問題である」と指摘している。竹中は「バブルが崩壊すればGDPが下がるのは当然であるが、日本は国民の無いものねだりに政府が安易に応じ、膨大な国債を発行して景気対策を行い、無理に経済成長させた。つまり、借金でGDPを上げたが、もうそれもできない」と指摘している。

田中秀臣は「日本が1990年以降、急速に財政赤字が悪化していった原因は、度重なる財政出動よりも、デフレーションの影響や人口構造による社会保険料の増加の影響などの方が大きい」と指摘している。

構造的要因

財政悪化の原因が、一時的ないし循環的なものかという問題がある。この点、日本の財政赤字の相当の部分が構造的なものであるとの見方をする論者がいる。

大和総研は「日本の財政赤字は、景気悪化による循環的財政赤字は僅かであり、経済対策・社会保障費の増加による構造的財政赤字が大半となっていると推計されている」と指摘している。

中島将隆は「赤字国債には発行限度がない。赤字国債償還方法の変更こそが、国債膨張の元凶である」と指摘している。

社会保障費の増加

日本の社会保障基金拠出負担の推移。
青はGDPに占める比率(%)、橙は総税収に占める比率(%)。

日本社会は高齢化が進んでおり、2013年の高齢化率は24.1%まで上昇し、高齢社会白書では「我が国は世界のどの国も経験したことのない高齢社会を迎えている」と述べられた。GDPにおける医療費割合の増加スピードも激しく、また同時に少子化も進行し、2030年の将来にはGDP比+3%増加すると推定され、医療財政の構造は困難に直面している。

2011年現在の日本は、財源の手当てなしに社会保障支出を増大させており、社会保障支出は高齢化とともに増大していくため、一旦、高齢者1人当たりの支出を増大させてしまえば、将来の支出は等比級数的に増大していくとされている。

松原聡は「社会の高齢化によって生産年齢人口が減少していること、高齢者向けの医療費・福祉施設建設に多くの費用がかかっていることなどが、財政赤字の大きな要因となっている」と指摘している。

高橋洋一は「日本のように社会保障に税金が半分近く投入されている国は、世界ではあまり見当たらず、税の投入が多いと給付と負担が不明確となることになり、国民の要求レベルが高まり社会保障費が膨らむ」と指摘している。

原田は2013年の時点で、「現役世代の平均給与が年409万円なのに対し、高齢者夫婦2人への社会保障給付費506万円を支払うことはできないのは当然である」と指摘している。

2007年度の国民医療費は34兆円となり、2025年度にはその費用は70兆円に達するとされている。

2012年度の社会保障給付費109.5兆円の内訳は、年金53.8兆円、医療35.1兆円、介護等その他20.6兆円となっている。

2014年10月27日、財務省は財政制度等審議会で2015年度予算編成で生活保護費を引き下げる案を示した。

詳細は「日本の福祉#財政」および「日本の福祉#財源の確保」を参照

地方財政

日本の財政が抱える問題の一つに、中央政府に依存し自立できない地方財政の問題、特に地方交付税制度の問題がある。日本の地方財政は「受益者負担の原則」が成り立っていないため、歳出の増加を抑制できなくなっている。

地方公共団体の財政は、少子高齢化都市への人口流出と相まってきわめて深刻な情況を呈している。こうした地方公共団体の財政悪化の原因は、基本的にはその自治体の過去の首長議会に帰属するべきものであるが、国が積極的な財政支出を奨励したことも事実であり、そのことから国にも一定の責任があるものとする見解もある。

財務省の見解

#国債格付けの変化も参照。

日本の財務省は日本の累積赤字国債額は巨額であるので、日本の財政は主要先進国中で最悪であるとみなしている。各国の総債務残高と純債務残高を対GDP比で比較した場合(総債務残高219.1%、純債務残高134.8%)、日本の数値は両方とも米国の倍以上であるとしている(OECD「Economic Outlook 90」2011年12月における2012年の推定値)。

2013年3月6日、財務省は国債の残高が10年後の2022年度末に1000兆円を超えるという試算を発表した。

2014年2月10日、財務省は、国債や借入金などの残高を合計した「国の借金」が2013年末時点で1017兆9459億円となったと発表し、2014年1月1日時点の推計人口(1億2722万人)で割ると、国民1人当たりの借金は約800万円になるとしている。

2014年4月28日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、政府が2014年現在の財政健全化目標を達成できたとしても(実質GDP2%・名目GDP3%の経済成長率、名目長期金利3.7%、インフレ率1%などが続くとの前提)、その後に更なる収支改善策を実行しなければ、国と地方を合わせた債務残高は、2060年度には2014年現在の6倍を超える8157兆円余り(対GDP比で2014年現在の1.6倍の397%)にまで膨らむとの試算を初めて示した。また、財政再建に取り組まず、基礎的財政収支の黒字化も達成できなかった場合、国の借金はGDP比約5.6倍の1京1422兆円に膨らむとの試算を示した。

なお2012年時点では日本が財政破綻した場合でも国債は政府が責任を持って償還するとしている。

アメリカ政府の見解

2014年10月10日、アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は、IMFの諮問機関である国際通貨金融委員会 (IMFC) が開かれるのを前に声明を発表し、日本経済について「財政再建のペースを慎重に調整し、成長を促す構造改革を実行する必要がある」と主張した。

2014年10月15日、アメリカの財務省は為替報告書で、日本に対して「財政再建ペースは慎重に策定することが重要である」と指摘し、金融政策は「行き過ぎた財政再建を穴埋めできず、構造改革の代替にならない」と公表した。

財政危機説に対する認識

いくつかの考えがあるが、大まかに2つの両極端の議論があり、第1の議論は、国債は債務なのでこれは増税であれ経費削減であれ、なんとしても解消しなければならないという議論である。

第2の議論は、国債は政府の借金であるが、それを購入した国民にとっては資産である。国債は将来の世代に対する借金だと言われるが、将来の世代は現在の世代から相続した国債という資産を持っている。国債の元利返済は将来の世代の政府と国民の間でのやり取りに過ぎず、国債発行で得た資金は、現在世代が未来から得たものではない。

人口が減少している日本では、2011年現在のペースで減少していくと、約950年後に最後の日本人が生まれる。この最後の日本人は1人で政府と国民の両方の役割を担うことになるが、政府としては国債という債務を背負わなければならない一方、国民としては国債という資産を相続する。とすると、負債としての国債と資産としての国債は相殺され、最後の日本人には負債も資産もないことになるという議論である。

経済学者の小黒一正は「日本は超高齢化社会をすでに迎えており、財政は15年もてばいいほうである。20年以内にクラッシュが起きる可能性は高く、実務的には残された時間は少ないと思って政策を立案するべきである」と指摘している。

井手は「『何をどうすれば人々は幸せに、そして善く生きることができるのか。』という大事な問いが財政論議から消えて、望ましい社会の姿ではなく何をやってはいけないかという視点」によって、財政収支の健全化を求める動きが政治問題化している様子に触れている。

伊藤は「財政危機を国民に正確に伝えることは必要であるが、いたずらに危機を煽ると経済を萎縮させる。国民を操縦しようという考えは慎むべきである」と指摘している。

トマ・ピケティは「日本政府のバランスシートは悪化したが、日本は公的資本の減少分よりも、民間資本の増加分が大きい」と指摘している。

経済学者の浜田宏一も日本が民間・政府が世界最大の対外資産を保有しているとしており、政府債務は累増を続けているが、「実現可能なネズミ講システムであり、普通のネズミ講はいつかは終わり破綻するが、どの国の政府でも次の納税者は必ずあらわれる」と述べている。

高橋は「長期で見れば、円・国債は他の

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出典:wikipedia
2018/05/21 00:43

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