東京都(とうきょうと、英: Tokyo Metropolis)は、日本の首都。関東地方に位置する都。都庁所在地は新宿区。最大の都市は世田谷区。
区部(23区)、多摩地域(26市と西多摩郡3町1村)および島嶼部(2町7村)からなる。関東南西部にあって東西に細長い都域を有し、東部は東京湾に面する。西部は雲取山を最高峰とする関東山地となる。
行政機関、金融機関や大企業などが集中し、新聞・放送・出版などの文化面、大学・研究機関などの教育・学術面においても日本の中枢をなす。交通面でも鉄道網、道路網、航空路の一大中心。世界最大級の人口を有する国際的大都市である。
東京都と周辺7県で首都圏を構成し、特に東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の総人口は約3500万人に達し、日本の人口の約30%を占める。
管轄する領域は東京都区部(東京23区)、多摩地域(26市と西多摩郡3町1村)および東京都島嶼部(大島、三宅、八丈、小笠原)の4支庁(2町7村)からなっている。都区部は一つの都市として「東京」とも呼ばれる。沖ノ鳥島、南鳥島を含む小笠原諸島を含むため、日本最南端および最東端に位置する都道府県でもある。都公認の「東京都」の英語表記はTokyo Metropolis(Tokyo Met.)。他には Tokyo Prefecture と Tokyo Metropolitan Prefecture がある。
人口は13,952,915人(2021年2月1日現在)。これは日本の都道府県の中では人口が最も多く、現在日本の人口の10%以上を占めている。人口密度も都道府県の中で最も高い。東京都を中心とする首都圏は人口3700万を超える世界最大の都市圏である。日本の人口の34%が首都圏に集中し、首都圏人口だけで、ポーランド、アルジェリア、カナダのそれぞれの国全体の人口に匹敵する。第2位のムンバイ都市圏に1000万以上もの差を付けている。将来的にはインドの都市圏に人口においては追い抜かれるものと見られている。
東京は、江戸幕府が置かれたかつての江戸であり、徳川家康の都市計画によって大いに発展した。幕末の動乱を経て明治元年の文書から「東京」と表記されるようになった。1869年2月11日(明治2年1月1日)に平安京(京都)から遷都され(東京奠都、かつての首都の一覧も参照)、1878年(明治11年)に府制が施行されて東京府となった。第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)7月1日、首都の行政機能を強化する目的から東京都制が施行された。これにより東京府と東京市が廃止され、これらを統合する形で東京都が設置された。終戦後の1947年(昭和22年)の地方自治法施行に伴い、1943年以来の東京都制は廃止されたが、「東京都」の名称と行政区域は変更していない。すなわち、東京都制によって都の直轄とされた、旧東京市内に設置された区は、地方自治法施行によって特別地方公共団体たる特別区となって市に準ずる権限を付与されたものの、一部の事務や徴税権は引き続き都に留保された。このため東京都庁は、今なお「23区を包括する市役所としての機能」と「県庁としての機能」とを併せ持っている。
東京都の議決機関として東京都議会が設置される。東京都の首長は東京都知事である。その権能は地方自治法によって定められており、選挙によって選出される。任期は4年。知事の補佐職として東京都副知事4名が置かれる。2017年(平成29年)4月時点で都庁の職員数(いわゆる「都の職員」)は、知事部局等の一般行政職員が約2万5千人、公営企業部門(交通・上水道・下水道)が約1万3千人。これに東京消防庁および警視庁の職員、東京都内の公立学校の教職員を加えると総計約16万8千人となる。
東京都庁舎(本庁舎)は長らく千代田区有楽町にあったが、1991年(平成3年)4月1日に新宿区西新宿へ移転した。移転に伴って地方自治法に従い条例が改正され、これ以降、都庁所在地は東京都新宿区西新宿二丁目となっている。しかし、地図等の都庁所在地の表記は、便宜上「東京」が使用される。国土地理院によると、東京以外の道府県庁所在地は市の名称を用いるのに対し、東京の場合は実際の所在地である新宿区を含めた23区をまとめて「東京」と表記する。教科書でも国土地理院と同じく「東京」としているものが多い。特別区が市町村でないことに加え、市町村が持つ業務の権限の一部を有しないこと、区部がかつて東京市という1つの市であったことなどが原因とされる。
日本の民間研究所が2016年に発表した「世界の都市総合力ランキング」では、ロンドンとニューヨークに次ぐ世界3位と評価された。グローバル情報誌の「MONOCLE」による「世界で最も住みやすい25の都市ランキング」では、デンマークのコペンハーゲンに次いで2位に選ばれている。 また、世界で最も大きな経済圏を持つ都市であり、しかも第2位のニューヨーク大都市圏の1.4倍の経済規模をもつ。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが発表している2017年度の「安全な都市指数」では、100点満点の89.80点となり、世界トップとなった。
東京都心は、かつての江戸にあたり、江戸幕府成立以来、日本の政治・行政の実質的な中心地であった。1868年に平安京から江戸に皇居や太政官などの首都機能が移動したとされ(東京奠都)、その後江戸を東京府と改称、名目的にも首都となった。大日本帝国期には帝都とも呼ばれる。太平洋戦争中の1943年に東京府と東京市が統合されて、改めて東京都が首都となった。戦後の1950年に東京都を日本の首都として、十分にその機能を発揮し得るよう首都建設法が施行されたが、同法は1956年に首都圏整備法の施行に伴い廃止された。このように首都建設法の廃止により東京都は、法的には日本の首都である根拠を欠くが、日本国政府の公式見解や公文書上は首都とされており、東京都に日本の中枢機能が存在している。2018年2月には衆議院議員逢坂誠二の質問に対し、「首都を東京都であると直接規定した法令はないが、東京都が日本の首都であることは、広く社会一般に受け入れられているものと考えている」との政府見解が示された。
また、首都圏整備法では、東京都は首都圏の一部とされており、東京都の公式英語表記「Tokyo Metropolis」の metropolis には「大都市、大都市圏」の他に「首都」の意味合いもある。
前述の通り、東京都を首都と直接規定するものは日本国憲法および日本の法律にはないものの、首都としてその中心部(特に東京23区)に、日本国政府の国会議事堂、内閣総理大臣官邸と主要省庁、最高裁判所を始めとした三権の中枢機関が置かれる。この他にも、法律によってその機関を東京都に置くと定められているものもある。
東京都の主要部分は、関東平野に位置し、東京湾に面している。このほかに、伊豆諸島・小笠原諸島の島嶼部も行政区域とする。この島嶼部には日本の最南端である沖ノ鳥島と、日本の最東端である南鳥島も含まれる。日本の最南端と最東端を行政区域に含むという意味では、日本最南端・日本最東端の都道府県となっている。
国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調によると、東京都の面積は2193.96平方キロメートルである。
東京都の東西南北それぞれの端は以下の位置である。北端は大平山 (埼玉県秩父地方)の西、東端は南鳥島、南端および西端は沖ノ鳥島にある。沖ノ鳥島を考慮せずに県境未確定地域に仮の境界線を入れて求めた重心も併記する。また統計局の平成22年国勢調査によると、人口重心は杉並区成田東1丁目付近にある。
重心区部の東部には、隅田川、荒川、江戸川、中川などの河口部に沖積平野が広がっている。地盤は軟弱であり、海抜ゼロメートル地帯も少なくない。南部の多摩川沿いの地域も低地となっている。区部の西部は武蔵野台地の末端部であり、いくつもの舌状台地が伸び、台地と低地が入り組んだ高低差のある地形となっている。臨海部は埋立地となっている。埋立は徳川家康の時代から始まったもので、現在は主に新海面処分場において廃棄物や建設残土の埋め立てが行われている。
多摩地域では、多摩川沿いの低地を中心として、北側は武蔵野台地、南側は多摩丘陵となっている。多摩西部には関東山地に含まれる山地がある。埼玉県の入間郡から青梅市、立川市、府中市の方向には立川断層の存在が確認されている。立川断層は日本の活断層の中でも地震の発生確率が比較的高いと見られている。これ以外にも江戸~東京は相模トラフ巨大地震など度々の大地震(元禄地震や安政江戸地震、関東大震災)で被害を受けている。
島嶼部には伊豆諸島と小笠原諸島が含まれる。いずれも火山活動によって形成された火山島である。伊豆諸島には活火山が多く、三宅島の雄山は2000年以降火山活動中である。また伊豆大島の三原山でも1986年に大規模な噴火活動が見られた。小笠原諸島の西之島も火山噴出物により島の面積が拡大している。
小笠原諸島は特有の生態系を持ち、「東洋のガラパゴス」と呼ばれる程貴重な動植物が多く、世界自然遺産に登録されている。
日本国内における気候区分では23区〜多摩東部および伊豆諸島は太平洋側気候、多摩西部などは中央高地式気候に属する。小笠原諸島は南日本気候である。特徴としては、四季の変化が明瞭であり、天気が日によって変化しやすい。夏季は高温・多雨となり、冬季は晴れて乾燥する日が多い。ケッペンの気候区分では東京都全体が温暖湿潤気候(Cfa)として分類されるが、あくまで世界基準の分類であるため、東京都の多様な気候を十分に説明できていない。
春は、天気は周期変化で、晴れる日が多いが、発達した低気圧が通過して天気が崩れることもある。寒冷渦の影響で雷雨になる時もある。梅雨の時季には梅雨前線に覆われ雨の降りやすい天気が続く。前半は弱い雨が中心だが、後半は強い雨が降りやすい。まれに空梅雨の年もある。夏は、太平洋高気圧に覆われて、晴れて湿度が高く暑い日が多く、雷雨も発生しやすい。ただし年によってはオホーツク海高気圧の影響で曇りや雨のぐずついた天気になる場合もある。
秋は、前半は秋雨前線の影響で雨が降りやすくなる。また台風が通過して暴風雨となることもある。後半は天気は周期変化となり、晴れる日が多い。冬は、西高東低の冬型の気圧配置になりやすく、晴れて空気が乾燥する日が多い。2月から3月にかけては南岸低気圧が通過しやすくなり、都心では数センチメートル程度の積雪となることがある。ただし、多摩地方では20センチメートル以上の積雪となることもある。雪が積もると交通機関の運行が乱れることもある。