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白馬岳とは?

標高
2,932.24 m
【所在地】
日本
長野県北安曇郡白馬村
富山県黒部市下新川郡朝日町
位置
北緯36度45分31秒
東経137度45分31秒
座標: 北緯36度45分31秒 東経137度45分31秒
【山系】
飛騨山脈(後立山連峰)
種類
褶曲隆起
【初登頂】
1883年(北安曇郡長ら)
白馬岳の位置

OpenStreetMap

プロジェクト 山
白馬岳(右)と高山植物 (小蓮華山方面より)

白馬岳(しろうまだけ)は、飛騨山脈(北アルプス)北部の後立山連峰にある標高2,932 m長野県富山県とにまたがり、中部山岳国立公園内にある。

概要

南に続く後立山連峰の山々とともに、南北に伸びる稜線の両側の傾斜が著しく異なる非対称山稜が発達している特徴的な山容を持つ。山頂を含む南北700 mの地帯は県境が設定されていない。山頂には一等三角点があり、一等三角点百名山に選定されている。 東側の谷筋には冬季の膨大な積雪と周囲の山塊からの雪崩が集積した日本最大の雪渓である白馬大雪渓がある。雪渓の上部は夏期には日本有数の高山植物のお花畑が広がる。日本百名山新日本百名山花の百名山及び新・花の百名山に選定されている。 鑓ヶ岳中腹の標高2,100 m地点には、日本有数の高所にある温泉である白馬鑓温泉があり、白馬大池の北麓には蓮華温泉がある。雪渓、お花畑、岩場、山の温泉と様々に楽しめる要素があり、交通の便も比較的良いことから、夏季にはたくさんの登山者が訪れて混雑する。なお、山頂直下に位置する白馬山荘日本最大の収容人員を誇る山小屋である。夏期の登山者の大半は大雪渓を経由して登るため、夏休みの時期には大雪渓上は長蛇の列となることが多い。しかし、雪渓上は数年ごとに落石事故によって死傷者が出ているので、注意が必要である。

人類史

山名の由来と読み

山名の由来となった6月頃に現れる代掻き馬の黒い岩肌

江戸時代の中期頃までは信州側では「西岳」や「西山」と呼ばれ、越中越後では白馬岳・小蓮華山白馬乗鞍岳の花に見えることから「大蓮華岳(山)」と呼ばれていた。今でも北に連なり新潟県の最高峰である小蓮華山や蓮華温泉にその名残が見られる。また西側の越中では上駒ヶ嶽と呼んでいた。これに対する下駒ヶ嶽が北に存在している。 「しろうま岳」の名前の由来は春になると雪解けで岩が露出し黒い「代掻き馬」の雪形が現れることから、「代掻き馬」→「代馬」→「しろうま」となったものである。つまり本来の表記は黒い「代馬岳」であったわけである。

1883年(明治16年)に北安曇野郡長と大町小学校長渡辺敏ら登頂の際に、「白馬登山記」の表記を残している。 1915年(大正4年)には陸地測量部による五万分の一の地形図に「代馬岳」ではなく「白馬岳」と記された。地元で「しろうま岳」が早くから「白馬岳」と記述されていたことによる表記の変更であることをうかがわせる。

「しろうま」か「はくば」か

「白馬」は「しろうま」の当て字であるから「はくば」と読むのは本来は誤りだが、地元で「白馬」を「はくば」と読むことは古くから行われており、白馬山荘をはじめとする白馬連峰一帯の山小屋を経営している株式会社白馬館は、1890年に現在の白馬駅前にあたる場所に登山者向けの旅館「山木旅館」を建設し、1916年(大正5年)には「白馬館」と改名した。また、1907年(明治40年)には現在の白馬山荘の位置に山小屋「頂上小屋」を設置し、1915年(大正4年)には「白馬山頂小屋」と改名している。また、1908年(明治41年)には白馬尻小屋を設置しているが、これらは「白馬」を称した当初からすでに「はくば」と読ませており、その他の「白馬」がつく山小屋名もすべて「はくば」と読むのが正式である。

その後も1956年(昭和31年)9月30日に合併で発足した白馬村は「はくばむら」と呼ばれ、1932年(昭和7年)11月20日に開業した大糸線信濃四ツ谷駅1968年(昭和43年)10月1日白馬駅と改名され「はくばえき」と呼ばれている。

現在では山や雪渓の名称と高山植物の名称以外のほとんどが「はくば」と読む。すべての「白馬」のつくスキー場もすべて「はくば」が正式の読みとなっており、スキーヤーも「はくば」読みが主流である。地元村民も山の名も含めて「はくば」読みをする人が多いが、登山ガイドブック・登山雑誌に一時期「はくばの読みはおかしい」という主張が掲載された影響か、登山者は「しろうま」派が主流である。また放送局、新聞などのメディアでも「しろうまだけ」と呼ばれている。

最初にこの山で発見された高山植物の和名には、「シロウマ」を冠するものは多数あるが、「ハクバ」を冠するものは全くない。学術的な名称には山の正式名称が採用される傾向にあるからである。ただ、動物ではハクバサンショウウオが存在する。これは白馬岳ではなく白馬村から名付けられたからである。

白馬連山高山植物帯

タカネリンドウ
(シロウマリンドウ)

山域では高山植物の固有種や希少種も多く、高山植物群落の規模も大きいため、日本を代表する高山植物帯・特殊岩石地(蛇紋岩、石灰岩)植物群落として、特別天然記念物「白馬連山高山植物帯」に指定されている。「高山植物の宝庫」と言われ、明治から植物学者による研究が行われ、昭和になって高橋秀男が345種あることを報告した。作家田中澄江は2度この山に登り、その著書で代表する花としてイワイチョウ、シロウマアサツキ、コマクサ、リンネソウなどを紹介した。山の上部は森林限界ハイマツ帯でライチョウの生息地となっている。

「シロウマ」を冠する和名の種

10種以上のシロウマを冠する種が自生している。シロウマアカバナ、シロウマイタチシダ、シロウマスゲ、シロウマチドリ、シロウマヒメスゲ、タカネリンドウ(シロウマリンドウ)は、白馬岳の固有種である。 一部の種は長野県、富山県、新潟県レッドリスト準絶滅危惧 絶滅危惧IA類(Critically Endangered, CR)、絶滅危惧IB類(Endangered, EN)、準絶滅危惧(Near Threatened, NT)に指定されている。

※ 「シロウマ」を冠する和名の種一覧を表示するには、右の [表示] をクリックしてください
和名 学名 属 科 絶滅危惧分類
シロウマアカバナ・白馬赤花 | Epilobium hornemannii var.shiroumense | アカバナ属Epilobium | アカバナ科Onagraceae | NT・長野県
シロウマアサツキ・白馬浅葱 | Allium schoenoprasum var. orientale | ネギ属Allium | ユリ科Liliaceae | EN・長野県
シロウマアザミ・白馬薊 | Cirsium nipponicum var. shiroumense | アザミ属Cirsium | キク科Asteraceae | CR・長野県
シロウマイタチシダ | Dryopteris shiroumensis | オシダ属Dryopteris | オシダ科Dryopteridaceae | EN・長野県
シロウマウスユキソウ・白馬薄雪草 |  | ウスユキソウ属Leontopodium | キク科・Asteraceae | 
シロウマエビラフジ・白馬箙藤 | Vicia venosa ssp. cuspidata var. glabristyla | ソラマメ属Vicia | マメ科Fabaceae | EN・長野県
シロウマオウギ・白馬黄耆 | Astragalus shiroumensis | ゲンゲ属Astragalus | マメ科・Fabaceae | 
シロウマオトギリ・白馬弟切 | Hypericum asahinae Makino var. siroumense | オトギリソウ属Hypericum | オトギリソウ科Clusiaceae | 
シロウマスゲ(アシボソスゲ)・白馬菅 | Carex scita var. brevisquamata | スゲ属Carex | カヤツリグサ科Cyperaceae | NT・長野県
シロウマゼキショウ(タカネイ)・白馬石菖 | Juncus triglumis | イグサ属Juncus | イグサ科Juncaceae | CR・長野県
シロウマタンポポ・白馬蒲公英 | Taraxacum alpicola var. shiroumense Kitam | タンポポ属Taraxacum | キク科・Asteraceae | 
シロウマチドリ・白馬千鳥 | Platanthera hyperborea | ツレサギソウ属Platanthera | ラン科Orchidaceae | EN・長野県
シロウマツガザクラ・白馬栂桜 | Phyllodoce hybrida | ツガザクラ属Phyllodoce | ツツジ科Ericaceae | 
シロウマナズナ・白馬薺 | Draba shiroumana | イヌナズナ属Draba | アブラナ科Brassicaceae | EN・長野県
シロウマノガリヤス・白馬野刈安 | Calamagrostis fauriei var. intermedia | ノガリヤス属Calamagrostis | イネ科Poaceae | 
シロウマヒメスゲ(ヌイオスゲ)・白馬姫菅 | Carex vanheurckii | スゲ属・Carex | カヤツリグサ科・Cyperaceae | 
シロウマフウロ・白馬風露(白山風露) | Geranium yesoemse var. nipponicum | フウロソウ属Geranium | フウロソウ科Geraniaceae | 
シロウマヨモギ・白馬蓬(高嶺蓬) | Artemisia sinanensis | ヨモギ属Artemisia | キク科・Asteraceae | 
シロウマリンドウ・白馬竜胆 | Calamagrostis fauriei var. intermedia | リンドウ属Gentiana | リンドウ科Gentianaceae | CR・長野県
シロウマレイジンソウ・白馬伶人草 |  | トリカブト属Aconitum | キンポウゲ科Ranunculaceae | 

主な高山植物

ウルップソウとミヤマシオガマ

雪解け後順次、以下の非常に多くの高山植物が見られ、白馬大雪渓上部の葱平(ねぶかっぴら)ではシロウマアサツキが多く見られる。

登山

登山ルート

大雪渓を行く登山者

各方面からの以下の登山道がある。

周辺の山小屋

2大チェーンによる大規模な山小屋経営が行われている。白馬山荘をはじめとする白馬連峰一帯の山小屋を経営している株式会社白馬館は、1890年(明治23年)に現在の白馬駅前にあたる場所に登山者向けの旅館「山木旅館」を建設し、1916年(大正5年)には「白馬館」と改名した。また、1906年(明治39年)には現在の白馬山荘の位置に山小屋「頂上小屋」を設置し、1915年(大正4年)には「白馬山頂小屋」と改名している。1908年(明治41年)には白馬尻小屋を設置した。この小屋は降雪地帯の白馬大雪渓の下部に位置するため、阿曽原温泉小屋白馬鑓温泉小屋などと同様に毎年登山シーズン終了時の秋に小屋を解体し、夏季のシーズン前に除雪し再組立てを行っている。

  • 株式会社 白馬館系
白馬山荘(日本最大の山小屋、収容人数1,200人)、白馬大池山荘、白馬尻小屋、栂池ヒュッテ、白馬鑓温泉小屋、五竜山荘、キレット小屋
  • 村営系
白馬岳頂上宿舎(日本で3番目の規模の山小屋・シーズン中は白馬山頂簡易郵便局が設置される)、猿倉荘、天狗山荘、八方池山荘(白馬尻荘は2007年から休業)
  • その他
祖母谷温泉小屋(黒部峡谷側登山口)、不帰岳避難小屋、雪倉岳避難小屋、朝日小屋、白馬岳蓮華温泉ロッジ、唐松岳頂上山荘

交通・アクセス

  • 大雪渓・白馬鑓温泉
JR東日本大糸線白馬駅からアルピコ交通の路線バスで猿倉へ
  • 白馬大池
JR東日本大糸線の白馬駅・信濃森上駅・JR東日本白馬大池駅から路線バスで栂池高原、更にロープウェー栂池まで
JR西日本大糸線平岩駅から糸魚川バスの路線バスで蓮華温泉
  • 欅平
黒部峡谷鉄道本線欅平駅より
長野県道322号白馬岳線
長野県道325号白馬岳大町線

地理

黒部川源流部と白馬岳(右上)

飛騨山脈(北アルプス)主稜線の北部に位置し、後立山連峰の最高峰である。

周辺の山

白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳を併せて「白馬三山」という。

源流の河川

以下が主な源流の河川日本海へ流れる。

白馬岳の風景と眺望

白馬岳からの眺望

※ 白馬岳からの眺望を表示するには、右の [表示] をクリックしてください

白馬岳の風景

テレビ番組

脚注

  1. ^ 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年3月17日閲覧。
  2. ^ 日本の主な山岳標高(富山県)”. 国土地理院. 2012年3月17日閲覧。
  3. ^ 『日本の山1000 山と溪谷社、1992年、ISBN 4-635-09025-6、pp.378-379
  4. ^ 中部山岳国立公園区域の概要 環境省、2010年12月16日閲覧。
  5. ^ 富山県側がなだらかな斜面であるのに対して、長野県側はフォッサマグナ糸魚川静岡構造線に面した急峻な斜面となっている
  6. ^ 『一等三角点百名山』 山と溪谷社、1988年、ISBN 4635170306
  7. ^ 『日本百名山』 深田久弥(著)、朝日新聞社、1982年、ISBN 4-02-260871-4、pp.174-178
  8. ^ 『新日本百名山登山ガイド・下』、』 岩崎元郎(著)、山と溪谷社、2006年、ISBN ISBN 4-635-53047-7、pp.18-21
  9. ^ 『花の百名山』 田中澄江(著)、文春文庫、1997年、ISBN 4-16-352790-7、pp.213-216
  10. ^ 『新・花の百名山』 田中澄江(著)、文春文庫、1995年、ISBN 4-16-731304-9、pp.245-248
  11. ^ 『新日本山岳誌』 日本山岳会(著)、ナカニシヤ出版、2005年、ISBN 4-7795-0000-1、pp877-879
  12. ^ 『日本アルプスの登山と探検』 ウォルター・ウェストン(著)、青木枝朗(訳)、岩波文庫、1997年、ISBN 4-00-334741-2、第11章、pp.372-373
  13. ^ 『日本アルプス再訪』 ウォルター・ウェストン(著)、水野勉(訳)、平凡社、1996年、ISBN 4-582-76161-5、p45
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    出典:wikipedia
    2020/08/11 07:12

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