皇室(こうしつ)は、日本の天皇および皇族の総称。 狭義には内廷皇族、広義には天皇とその近親である皇族を意味するが、皇族の範囲は時期によって異なる。 近代(明治維新)以降は、天皇と内廷皇族を家族とする内廷と皇太子以外の皇族男子及びその家族で構成される宮家を意味する。
皇室典範第五条に定める、天皇の配偶者である皇后、先代の天皇の未亡人である皇太后、先々代の天皇の未亡人である太皇太后、また、皇太子(皇太孫)、皇太子妃(皇太孫妃)、皇族男子たる親王、王、さらには生まれながらの皇族女子である内親王、女王がある。親王妃、王妃は親王、王の配偶者となることをもって、皇族とされる。戦前(大日本帝国憲法下、日本国憲法施行まで)においては、帝室(ていしつ)とも呼ばれていた。
一般人(皇室に嫁ぐのに国籍条項はない。外国籍の女性と結婚した場合日本国籍を有しない皇族が誕生する可能性あり)の女性は、皇族男子との婚姻により皇族になることができる。また、15歳以上の内親王、王、女王はその意思により、皇太子、皇太孫を除く親王、内親王、王、女王は、その意思によるほかにやむをえない特別の事由があるとき、皇室会議の議決を経て皇族の身分を離脱できる(臣籍降下)。なお、皇族女子は天皇、皇族以外の男性と婚姻したとき皇族の身分を離れる(臣籍降嫁)。
南北朝の合一以来、現在まで続く皇統は北朝の流れを汲んでいる。
712年に完成した日本最古の史書『古事記』及び、720年に完成した日本最古の官撰書『日本書紀』では、「高天原」より日向の高千穂山に下った(天孫降臨)太陽の女神天照大御神の孫邇邇芸命(天孫)の曾孫の神武天皇を初代とする一つの皇統が、一貫して日本列島を統治し続けてきたとされる。
王家の始祖が神(神々)や神話と結びつく事例(現人神)は、歴史上、世界各地で多数の事例が存在するが、現存する国連加盟国の君主制国家の中では、2019年(平成31年)現在、唯一の事例となっている。
ギネス世界記録においても、エチオピア帝国の皇統(紀元前10世紀のメネリク1世を始祖とする)に続いては世界第2位の古い皇統として記録されている。なお、エチオピア帝国の皇統は1974年、軍事クーデターにより廃絶している。
2019年(平成31年)現在まで続いている皇統としては世界最古である。
天皇は皇居内に御所を構える。宮内庁には同庁の内部部局として侍従職が天皇・皇后とその未婚の子女に関する事務を扱う機関として置かれている。
皇太子および皇太子妃、その子女は内廷皇族でありながら、天皇とは独立した生活を営む。また、皇太子は、東宮(とうぐう)または春宮(はるのみや)とも呼ばれ、皇太子妃は、東宮妃(とうぐうひ)または春宮妃(はるのみやひ)。また宮内庁には内部部局である東宮職が皇太子一家(東宮一家)の事務を扱う機関として置かれている。宮邸は東京都港区元赤坂二丁目の赤坂御用地内の東宮御所。
今上天皇所生の直宮家、筆頭宮家。宮邸は東京都港区元赤坂二丁目の赤坂御用地内に所在。1997年(平成9年)3月からは旧秩父宮・宮邸を使用している。
昭和天皇所生の直宮家。宮邸は東京都渋谷区東(旧・常磐松町)の常盤松御用邸。
大正天皇所生の直宮家。寛仁親王妃信子とその子女は寛仁親王家として皇室経済法で宮家としての扱いを受けていたが、寛仁親王の薨去に伴い合流となった。当主であった崇仁親王はすでに薨去している。宮邸は東京都港区元赤坂二丁目の赤坂御用地内の三笠宮・宮邸。
三笠宮崇仁親王の第三王子の高円宮憲仁親王が創設した宮家。憲仁親王は既に薨去しており、男子の後継者がいないため、妃の憲仁親王妃久子が宮家の当主を務める。2014年(平成26年)に典子女王が婚姻により皇籍を離脱し、2018年(平成30年)に絢子女王が婚姻により皇籍を離脱した。宮邸は東京都港区元赤坂二丁目の赤坂御用地内の高松宮・宮邸。
戦後の連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)による占領下での11宮家の皇籍離脱後(=旧皇族)、大正天皇の男系子孫とその家族のみが皇族として残った。このうち、秩父宮、高松宮、桂宮の三家は、宮家成員の全員が薨去したことにより断絶し、消滅した。
宮家(みやけ)とは、日本において、宮号を賜った皇族の一家のことである。親王および諸王の家を指すこともある。
宮(みや)とは、元々、天皇および皇族の邸の事を指し、転じて住んでいる皇族のことを指すに至った。さらに、親王の身位とともに「○○宮」との称号(宮号)を世襲することが認められる例が生じ、これが「宮家」と呼ばれるものであり、個別には宮号に応じて「○○宮家」と呼ばれることがある。ただし、現行法上はいずれも法的な根拠を持つものではない。「○○宮」の称号は宮家の当主たる(あるいは生前当主であった)親王個人の称号であり、その家族は用いない。
当今の天皇との血統の遠近にかかわらず、代々親王宣下を受けることで親王の身位を保持し続けた宮家を世襲親王家という。