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直通運転とは?

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JR東日本の路線へ直通運転する東武鉄道「100系特急電車スペーシア」(右)。直通運転によってJR東日本253系電車成田エクスプレス」(左)を始めとした列車と並ぶ光景が見られるようになった。 なお、現在は、写真左の、JR東日本253系電車も東武鉄道へ直通運転している。但し、写真は、JR東日本253系電車の東武鉄道への直通運転開始以前のもの。
詳細は、JR東日本253系電車を参照
阪神電気鉄道尼崎駅での3社の鉄道車両が並ぶ光景。左から山陽5000系近鉄9020系阪神8000系が並んでいる。

鉄道における直通運転(ちょくつううんてん)とは、複数の路線・区間や鉄道事業者にまたがって旅客列車運転することである。列車の乗り入れと表現されることもある。英語ではtrackage rightsまたはthrough trainと表現する(en:Through trainを参照)。

目次

  • 1 概要
  • 2 効果
  • 3 利点と問題点
    • 3.1 利点
    • 3.2 問題点
  • 4 直通運転の要件
    • 4.1 地上設備
    • 4.2 車両
    • 4.3 業務の取り扱い
  • 5 車両使用料・線路使用料
    • 5.1 線路使用権
  • 6 日本における直通運転
    • 6.1 日本における直通運転の歴史
      • 6.1.1 日本における直通運転の年表
    • 6.2 日本における直通運転の事例
      • 6.2.1 JR同士
      • 6.2.2 JRと私鉄・第三セクター
      • 6.2.3 私鉄・第三セクター同士
      • 6.2.4 地下鉄とJR・私鉄
  • 7 アメリカにおける直通運転
  • 8 韓国における直通運転
    • 8.1 韓国における直通運転の事例
  • 9 香港における直通運転
  • 10 中国における直通運転
  • 11 脚注
    • 11.1 注釈
    • 11.2 出典
  • 12 関連項目

概要

日本では、大都市の地下鉄が郊外への私鉄路線と直通運転するものや、JR国鉄から経営分離された第三セクターがJRと直通運転するものなどが代表的である。その形態は一様でなく、事実上一体的に運行されているが運営事業者が異なるために直通運転と表現されるものから、特急などの限られた列車のみが乗り入れているものまでさまざまである。

ヨーロッパやアジアにおいては複数の国にまたがって国際列車が運行されている。一方で、日本で見られるような地下鉄と郊外鉄道との直通運転は行われていない都市も多く、あるいは地下鉄と郊外鉄道が一体的に運営されている例もある。

貨物列車に対して使われることもあるが、貨物列車は通常複数の路線にまたがって広域的に運行されることから、旅客列車の場合と比較すると一般的な用法ではない。なお、1960年代までの車扱貨物による鉄道貨物輸送が主流の時代、私鉄が所有する貨車が国鉄の貨物列車に連結されて、国鉄線上を運行したケースも多く、「直通貨車」と呼ばれた。→貨車#所有者別の分類を参照

また、同一路線内であっても通常乗り換えが必要な区間を通して運転することを指して使われる例もある。

日本においては、ほとんどの鉄道事業者が施設・車両の保有と列車の運行の両方を担っていることから、事業者間の直通運転で用いられる車両を保有する事業者の違いを区別して表現することがあり、相互の事業者の車両を用いるものを相互乗り入れ(相互直通運転および双方向直通運転)、片方の事業者の車両が一方的に他方の事業者の路線へ乗り入れて運行するもの、自社の路線の車両は乗り入れないが、他社の車両が自社の路線に乗り入れることを片乗り入れ(片方向直通運転および一方向直通運転)という。

効果

例として2013年3月16日に開始された東急東横線東京メトロ副都心線の直通運転を挙げる。この直通運転では、従前より行われていた直通運転とあわせ、横浜高速鉄道みなとみらい線東武東上線西武有楽町線西武池袋線の各線が結ばれた。東武東上線沿線の川越市を訪れた観光客は630万人を超え、これは川越を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「つばさ」が放送された2009年を上回る過去最高のものである。川越市の観光課によると、2013年4月から12月は神奈川県からの観光客が全体の約13%を占め、前年比で約6ポイント増えたという。一方で横浜市への観光客も増加し、横浜高速鉄道によると、2013年4月から2014年2月までのみなとみらい線内の6駅の利用者数は前年比で約9.4%増加の約6370万人となり、沿線に大型商業施設を抱えるみなとみらい駅は約20%、元町・中華街駅は約7.6%増加した。みなとみらい線沿線のホテル宿泊者や横浜駅周辺の百貨店利用者も増加した。これに加え、沿線の私立学校の受験者の増加や、比較的割安だった東上線沿線の不動産価格の上昇も伴い、埼玉西部や神奈川で沿線の商業面にプラスの効果を生み出した。

利点と問題点

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利点

問題点

直通運転の要件

直通運転にあたっては、単に線路を接続させるだけでなく、地上設備や車両などの規格の統一や、運転業務・営業の取り扱いにおける事業者間の取り決めが必要となる。

地上設備

直通運転にあたっては、実施する両路線の軌間電化方式などの規格を揃えるのが通常である。しかし、現に営業している路線においてこれらを変更するには多大なコストがかかるため、車両の側で複数の方式に対応できるようにすることで、地上設備の大規模な改修を避ける例も多く見られる。

直通運転を実施する路線の軌間が異なる場合は、軌間をどちらか一方に合わせて改軌する(京成電鉄など)か、両方の車両が走行できるように三線軌化(箱根登山線など)が行われる。車両側で対応する例としては、スペインフランス国境のタルゴのように軌間可変車両を導入したり、中国ロシアモンゴルの国境のように台車の交換により直通を実施するものがある。この場合、接続部にはそのための地上設備が設けられる。

電化方式が異なる場合には、電化方式を一方に合わせて変更するか、複数の異なる電化方式でも走行できる設備を備えた車両(複電圧車交流直流両用車両等)を導入して対応する。また、非電化区間へは電車はそのままでは乗り入れられないが、電車を機関車で牽引することによって直通運転を実施する例がある。この場合、車内照明や空調等のサービス電源をまかなうため、発電機の搭載や電源車の連結が行われる。

また、直通運転する区間では案内表示の交換・新設がなされるほか、直通路線間の接続駅では、線路配線や信号設備の変更、ホームの新設などが行われる。直通運転により乗り入れてくる車両の規格に対応させるために路線全体の地上設備(直々セクションの設置など)を改修する場合もある。運用の変更に伴い車両基地の改修・新設・移転などを実施する場合もある。

車両

直通運転に使用される車両は、乗り入れ先路線の設備や運行形態に対応したものが必要である。具体的には、車両限界の要請による車両の大きさや、扉の数や位置、加減速度や最高速度など車両の性能などが挙げられるほか、軌間や電化方式の違いを車両側で対応するための装置などもある。また、当該の事業者間の取り決めにより、車両の操作方法など、これら以外のさまざまな点についても一定の定めを設ける。

しかし、車両規格については相手の路線へ乗り入れられることが最低限の条件であって、完全な統一が必須というわけではなく、異なる車両規格で相互乗り入れを行うこともあり、日本では阪神電気鉄道と近畿日本鉄道との間、福井鉄道とえちぜん鉄道との間での事例が挙げられる。

また、信号方式や保安装置(ATSATC等)、列車無線の通信方式などが異なる場合、すべての事業者に対応できるよう同じ機能を異なる方式で複数搭載する必要が発生する。場合によっては、これらの設備を直通事業者間で統一した上で直通運転を行うこともある。

非常時の救援に備え、連結器も各者で共通化することが理想ではあるが、困難な場合は異なる連結器同士をつなぐための中間連結器を車両側および地上側に常備するが、あるいは専用の牽引用車両を用意することもある。

なお、一部の車両のみを直通運転に対応させ、残りの車両は直通運転させず自社線内のみを運行させるという方法も採られている。

業務の取り扱い

直通運転においては、乗務員や駅員などの係員の業務の取り扱いも定める必要がある。

乗務員(運転士車掌等)の列車への乗務は大きく2つの方法に分けられ、具体的には、それぞれの事業者の乗務員が自事業者の管轄する区間のみを乗務し境界駅で交代する方式と、それぞれの事業者の乗務員が自事業者の車両に乗務し、相手方の路線まで通して運行する方式とである。前者の方式では、各乗務員が相手の事業者の車両の操作に習熟することと、境界駅での乗務の引き継ぎの方式を定めることとが必要となる。後者の方式では、各乗務員が相手の事業者の区間の路線の特徴や取り扱い方式などに習熟することが必要となる。日本においては、両方の方式が用いられてきたが、後者の方式をとった路線において阪急神戸線六甲駅列車衝突事故および信楽高原鐵道列車衝突事故といった重大事故が発生したことから、多くの路線において前者の方式へ切り替えられた。

また、運転指令においては直通事業者同士で緊密な連携が必要となるほか、境界駅での駅業務の管轄、各駅での連絡乗車券類の発売、乗り入れ先での拾得物取扱いなどについても定められる。

車両使用料・線路使用料

車両使用料」および「線路使用料」も参照

直通運転では、複数の事業者(会社)がそれぞれの区間を互いの車両によって運行するため、何らかの方法で経費の精算または相殺を行う必要がある。日本においては、ほとんどの場合線路などの施設の保有・車両の保有と列車の運行のすべてを区間ごとに一つの事業者が担う形態で運営されていることから、各事業者が直通相手の事業者に車両を貸し出して運行するという形を取っており、この際に車両使用料を収受することになる。実際には、双方の支払うべき車両使用料が同じになるよう調整し、支払いを相殺することがよく行われる。このため、時として相手方の路線内だけを往復する運用や運用の持ち替えが見られる。

一方、施設を保有している会社と車両を保有し列車を運行する会社が異なる場合には、運行会社が保有会社に対して線路使用料を支払う形になる。

線路使用権

日本国外においては、列車を運行する会社が他社の鉄道路線を走行する契約を線路使用権(せんろしようけん)ということがある。この契約では、前者が後者のどの区間で運行し、営業を行うかが子細に定められる。前者は後者の路線を走行するが、貨客を問わず営業はしない契約形態もあり、それをオーバーヘッド・トラッケージ・ライト (Overhead trackage rights) またはインシデンシャル・トラッケージ・ライト (Incidental trackage rights) という。時には、後者は自社での運行を取りやめ、前者の列車のみが運行されることがある。これは、路線の一部をリースさせているのと同義となる。

線路使用権は、必要に応じて一時的な契約であったり、長期に及ぶ場合もある。一時的に線路使用権を設定するときの例としては、災害により自社路線が被災した場合に、被災していない平行他社路線を使用して列車を運行する、というものがある。長期契約の例としては、他社路線を使用したほうが利益が高くなる場合や、他社路線を使用すると短絡できる場合がある。

日本における直通運転

日本における直通運転は、大都市の地下鉄が郊外への私鉄路線と直通運転するものや、JR国鉄から経営分離された第三セクターがJRと直通運転するものなどが代表的である。大都市においては、運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会(現在の国土交通大臣の諮問機関交通政策審議会に相当)の答申により、路線建設時には直通運転を前提として計画がなされる。

日本において特徴的な直通運転の形態としては、都心部にターミナル駅を持つ私鉄と地下鉄とが直通する際に、ターミナル駅そのものではなく、数駅郊外側の駅で地下鉄の路線と接続して直通しているというものがあり、東京や名古屋・大阪で例が見られる。

また、同一事業者内ではあるが、東京や大阪のJRでは複数の路線間で直通運転を行っており、都心部をまたいだ一体的な列車運行や、広域的な中距離列車の運行がなされている。代表的な例としては東京の中央・総武緩行線上野東京ライン、大阪のJR東西線学研都市線などが挙げられる。

日本における直通運転の歴史

直通運転の歴史は明治時代から遡る。1950年代以前にも奈良電気鉄道近畿日本鉄道、および同鉄道と京阪神急行電鉄京阪電気鉄道などの異事業者での直通運転はあったが、本格的に異事業者間で直通運転開始をしたのは高度経済成長期全盛の1960年代に入ってからである。

民鉄と地下鉄との相互乗り入れ黎明期は、各駅停車による直通運転を原則としていた。地下鉄に民鉄の優等列車が定期列車で初めて乗り入れしたのは1964年10月1日のダイヤ改正で京成電鉄都営地下鉄浅草線に通勤準急(現在廃止)を乗り入れさせたのが最初である。

なお、かつては同一会社の路線が別会社に分割されて新たに直通運転となった例や、これとは逆に、かつては別会社同士の直通運転だったものが、同一会社の路線となり直通運転でなくなった例も存在する。この他にも、一旦は直通運転を廃止したものの、運営形態の変更により営業上および書類上は再び直通運転となった例もありまた、車両の譲渡などの理由により、それまで片乗り入れだったものが相互乗り入れに変更された例もある。

日本における直通運転の年表

2010Happy Mail