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義務教育とは?

19世紀、小学校に通う風景

義務教育(ぎむきょういく, Compulsory education)とは政府(中央政府地方政府)、(国民保護者など)などが子供受けさせなければならない教育のことである。義務教育の制度は、多くの国において普及している制度であるものの、国ごとに制度の仕組みは異なる。

学齢と関係が深い概念なので、より深く理解するには「学齢」の項目も参照のこと。

目次

  • 1 義務教育の歴史
  • 2 義務教育の保障
  • 3 義務教育の類型
    • 3.1 年齢主義か課程主義か
    • 3.2 教育の義務か就学の義務か
    • 3.3 その他
  • 4 義務教育の期間
  • 5 ヨーロッパにおける義務教育
    • 5.1 イギリス
    • 5.2 イタリア
    • 5.3 オランダ
    • 5.4 スペイン
    • 5.5 フランス
    • 5.6 ドイツ
    • 5.7 ポーランド
    • 5.8 ノルウェー
  • 6 アメリカ合衆国における義務教育
  • 7 日本における義務教育
    • 7.1 日本における歴史
    • 7.2 沿革
    • 7.3 目的
    • 7.4 義務教育として行われる普通教育の目標
    • 7.5 保護者が就学させなければならない子
    • 7.6 義務教育の段階に該当する学校
    • 7.7 就学猶予・就学免除
    • 7.8 授業料と就学援助
    • 7.9 不登校と義務教育
      • 7.9.1 義務教育学校における非義務教育生徒
    • 7.10 課題
      • 7.10.1 年限延長問題
      • 7.10.2 誤用・誤解
  • 8 韓国における義務教育
  • 9 台湾における義務教育
  • 10 香港における義務教育
  • 11 脚注
  • 12 参考文献
  • 13 関連項目
  • 14 外部リンク

義務教育の歴史

学校制度がまだ存在しない古代から現代の義務教育制度に通ずる社会制度は存在した。古くはスパルタにおける7歳から30歳の男性に対しての義務的な教育制度が存在し、自由民に対する文武両道の教育が行われていた。また、シャルルマーニュは802年に貴族の子弟に限定されない義務教育令を公布した。

中世になると、ルター派の諸国では民衆に対する教育に力を入れ始めたが、中でも、ドイツゴータ公国エルンスト敬虔公が1642年に公布したゴータ教育令は、現代の教育法規と同様に、授業時間学級編成教科書などの細密な規定がなされている点でかなり先進的なものであった。ゴータ教育令では義務教育の終了は「12歳を超えるか、文字が読めるようになるまで」と定められており、必ずしも一定年齢までの在学を義務付けていないという点で終了基準は課程主義(前述)と年齢主義の併用であったといえる。こういった教育制度はプロイセンフリードリヒ2世の時代まで主流であったが、基本的には下層階級の救済という目的は薄かった。

産業革命期になると、労働者階級の年少児童が工場などでの労働力として使われるようになり、劣悪な環境におかれることになった。イギリスでは19世紀前半には工場法などによって年少者の工場雇用を禁止し、19世紀後半には義務教育制度が施行されるようになった。アメリカ合衆国ではマサチューセッツ州が1852年に最初の義務教育法を制定した。ただし、これは親が貧困のために子を就学させないことを許容しているものであったため、義務教育制度の本来の対象であるはずの貧困層を救済できないものであるという批判もある。

現代的な学校の形態の起源は1807年よりプロイセンで行われた教育改革に求めることができる。1806年フランスとの戦争に敗れたプロイセンでは、ヴィルヘルム・フォン・フンボルトに意見を乞い、逃亡しない従順な徴集兵候補を育てることを目標とした厳格な義務教育プログラムを策定した。あらかじめ決められたカリキュラムを時間割で管理し、個々人の習熟度を度外視して学年単位で教授する教育法はプロイセン・モデルと呼ばれ、アメリカをはじめとした諸国の教育に影響を与えた。

20世紀初頭のアメリカにおいては、一部の州で「義務就学年限は14歳までだが、読み書きができない場合は16歳まで」とする課程主義と年齢主義を併用した終了規定を設けていたが、現在では全て年齢主義での規定になっていると思われる(ただし特別支援教育の義務教育年限は20歳~21歳までとなっている)。

義務教育の保障

世界人権宣言、及び経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(通称「国際人権A規約」)では、以下に初等教育レベルの義務教育の権利・義務を定められている。

すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。

— 世界人権宣言 第26条1
初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。 — 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条第2項(a)

第二次世界大戦後、先進国ではもはや年少者が工場での労働力に用いられるようなことは過去のものとなっており、積極的な「児童のための教育」の考え方が強くなった。もはや、「教育を受ける義務」ではなく、「教育を受ける権利」としての考え方に転換しているため、「義務教育制度」は「教育普遍化制度」と改称すべきだとの意見もある。

義務教育の類型

年齢主義か課程主義か

義務教育の対象者を決める時の基準に何を用いるかによって分類される。特定年齢の間、義務教育の対象にするという方式を年齢主義と呼び、特定の発達段階に達してから特定の課程を修了するまでを義務教育の対象にするという方式を課程主義と呼ぶ。これは学校進級をする時の基準についての年齢主義と課程主義とは別個の概念である。

始期を年齢主義、終期を課程主義とするなどの両方の基準を用いる方式や、終期について年齢主義と課程主義を併用するなどの方式も存在しうる。歴史上は課程主義の義務教育制度もあったが、現代ではほとんどの国家で始期・終期について年齢主義の義務教育制度を採用している。

この分類について、教育制度教科書などのレベルの書物においても、学校における年齢主義・課程主義と混同している例が見られる。 例えば「年齢主義の義務教育制度では、進級試験によらず年齢に伴って進級し、一定年齢に達したら就学義務は終了する」などと、義務教育の終期が一定年齢で あれば進級も当然年齢基準であるかのような解説が蔓延している。勿論、義務教育の開始・終了の時期と、学校における進級基準には合理的な関係はない。例え ば、フランスにおいては義務教育の終期は16歳と年齢によって規定されているが、小学校から飛び級原級留置がポピュラーである。実際に16歳の時点では小学生も大学生もいる。このように、義務教育が年齢主義であっても、学校で厳しい修得主義に基づく課程主義進級制度を実施することには何の問題もないのである。

また、課程主義は「一定の授業を受けるまで」などとする履修主義と、「読み書きができるようになるまで」などとする修得主義に分けられる。

教育の義務か就学の義務か

家庭教育社会教育なども義務教育の実際の教育活動として認可されるかどうかについては国によってさまざまである。教育義務型の義務教育制度ではホームスクーリングによる教育も社会的に受容されている。就学義務型の義務教育制度では学校教育によってのみ義務教育が行なわれる。

ドイツでは子供に「学校で教育を受ける義務」があると定めている。

その他

他にも外国人に対する就学義務があるかどうか、どこまでが公費負担かなど様々な類型がある。

義務教育の期間

各国の義務教育年数(UNESCO)
13+ 年間
10–12 年間
7–9 年間
0–6 年間

ヨーロッパにおける義務教育

イギリス

イギリスでは1870年の初等教育法により近代的な公教育の制度が始まった。義務教育導入の背景には児童の保護や治安の維持などがあったといわれている。公教育制度は1918年のフィッシャー法により実質的に整備された。1944年のバトラー法で義務教育の年限は9年から10年となり、その後11年に延長された。

イギリスにおける教育制度は複線型であるが、1988年の教育改革法で義務教育の全国共通カリキュラムを設けた。

イギリスの義務教育は16歳までの11年だが、学校の区切りと義務教育年限が一致していないため、16歳の生徒の就学には様々な形がある。2015年の法律で義務教育後18歳までは教育または職業訓練のいずれかを受ける義務があるとされている。

イギリスでは教育の無償の期間が13年間(義務教育11年+2年)とされている。無償の内容は授業料の不徴収である(教科書は学校に備え付けられている物品とされており家庭でも自由に購入できる)。

イタリア

イタリアでは、6歳からの10年間が義務教育である。

オランダ

オランダでは、5歳からの13年間が義務教育である。

スペイン

スペインでは、前期中等教育まで(10年間)が義務である。

フランス

フランスでは教育法典において、以下と定められている。

L.131-1条: 6歳以上16歳未満のフランス人及び外国人の男女両性の子どもに関して、教育は義務である。

L.132-1条; 幼稚園及び幼児学級において行う公教育、ならびにL.131-1条に定める義務教育の期間に行う公教育は、無償とする。 中等教育を行う公立のリセ及びコレージュの生徒、ならびに中等段階の公立学校におけるグランゼコール準備学級および高等教育準備学級の生徒に関して、教育は無償とする。

— フランス教育法典

義務教育の年限は10年である。

フランスでは教育の無償の期間が12年間(義務教育10年+2年)とされている。無償の内容は授業料の不徴収と教科書の貸与である。

ドイツ

ドイツ連邦共和国では、子供には「教育を受ける権利」と「就学する義務」の両方が定められている。また、児童・生徒及び保護者に既成の学校教育を拒否する権利は認められておらず、不登校が発覚した場合は、本人は登校を強制され、保護者も処罰される。これはナチス・ドイツヒトラー政権当時の1938年に制定された、現在も有効な条文で、いわば徴兵制と同様の強制力を持つものとなっている。第二次世界大戦敗戦後、「日本は皇室制度を維持し、ドイツは教育制度を維持した」と言われており、ドイツの教育制度は日本の学制改革のような大きな改革がなかったのが一因である。ただし不登校でホームスクーリングをしている例は500家庭あるとされる。

ドイツの義務教育の年限は6歳からの13年間である(複線型であり9年間・10年間・12年間の場合あり)。

ポーランド

ポーランドでは、15歳までの前期中等教育が義務教育である。

ノルウェー

ノルウェーでは、グレード10までの前期中等教育が義務教育である。

アメリカ合衆国における義務教育

アメリカ合衆国では1852年にマサチューセッツ州が初めて義務教育制度を立法化し、南北戦争後には各州に義務教育制度が広まった。

連邦国家のアメリカ合衆国における学校教育に関する各法令は各州の州法の管轄であり、各州が独自に義務教育年齢と無償教育年齢を定めている。 主流は義務教育7歳から18歳、無償教育5歳から21歳である。多くの州が義務教育終了年齢を18歳に規定しているが、飛び級で12年生課程の終了や州の高校卒業相当学力認定試験などを18歳未満で取得した生徒は、保護者の同意書を提出して自主退学(あるいは大学などへ進学)出来る。 約半数の州が義務教育開始年齢を5歳、6歳と規定しているが、これはアメリカ合衆国がK-12の一貫教育を基本としている為で、5歳で小学校に就学するという意味ではない(幼稚園の義務教育化)。

無償教育終了年齢の最長はテキサス州の26歳で最短はアラバマ州の17歳にオレゴン州・モンタナ州の19歳(残りの各州は20歳あるいは21歳までの無償教育が主流) 無償教育開始年齢の最年少はフロリダ州・イリノイ州・ウイスコンシン州の4歳である(無料幼稚園年少組。無料だが義務ではない。)。 全米リストは外部リンクを参照されたい。

日本における義務教育

日本の教育」も参照

日本においては、子供を保護する日本国民には法律の定めるところにより教育を受けさせる義務があると定められている(日本国憲法26条第2項前段)。もっとも、すべての日本国民は、法律の定めるところにより教育を受ける権利も有している(第26条第1項)ので、「教育を受ける権利」「教育を受けさせる義務」の双方について法律で定めることが想定されており、これらの条件の整備などは、法律によって行われる。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

—  日本国憲法第26条第2項

この規定に基づく教育を「義務教育」と呼称している。そのため、保護者は、学齢期の人を小中学校などに通学するように取り計らう義務がある。これを就学義務(就学させる義務)という。

  1. 日本はあくまで「就学義務」であり、「教育義務」という定義ではないので、諸外国によく見られるホームスクーリングは義務教育の履行とはみなされない。
  2. 学校教育法の第38条に「市町村は、その区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校を設置しなければならない。」と定められており、これは第49条で中学校にも準用されている。そのため、市町村はこれらの学校を設置する義務がある。これを学校設置義務という。
  3. 国は義務教育の対象者の就学を奨励しなければならない。例えば、義務教育国庫負担金制度により義務教育の授業料を無償としたり、貧困家庭には就学援助制度を適用したりするなど、該当者の就学をなるべく保障することになっている。これを就学保障義務という。
  4. 義務教育の対象となる学齢期の子女が教育を受ける機会が十分なものとなるよう、事業所はこれらの児童を一般の労働者として使用してはならない(労働基準法による)。これを避止義務という。

以上の4つの義務によって日本の義務教育が成り立っているとされる。ただし避止義務については載せていない解説書もある。

教育基本法学校教育法の規定によって、子供を保護する日本国民(保護者)の義務については、15歳までの最長9年間は教育段階に応じる一条校就学させなければならないとされ、義務の履行の督促を受けてもなお履行しない者は10万円以下の罰金に処するとされている。しかし、督促について定めた学校教育法施行令第20条・第21条 の運用によっては、保護者に対して督促が行われず、保護者は処罰されない。保護者が催促を受けない具体例としては、保護者が子供が学校に就学できるよう充分な便宜を図った上にもかかわらず、子供自身が登校しない場合などである(不登校。古くは「登校拒否」と呼ばれた)。このようなことについては、いじめ校内暴力などの教育問題との関係もある。

ただし、保護者が就学させなければならない子で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、保護者の義務を猶予又は免除することができる

日本における歴史

学制から始まった義務教育推進運動は、当初は授業料徴収があったために中々効果を上げなかったが、1900年(明治33年)に尋常小学校の授業料を無償化にするなどした結果、1915年(大正4年)には通学率が90%を超えるなど、学齢期の国民の就学が普遍化していった。

明治時代から大正昭和時代前期における義務教育の範囲は実質的に初等教育(尋常小学校から後に学校種を国民学校に改組)のみであった。1941年までは義務教育の始期は一定年齢での定めであったが(ただしそれより前後して就学した例は多い)、義務教育の終期は「尋常小学校の修了と、14歳になることの、どちらか早い方まで」と、課程主義と年齢主義の併用で定められていた。この時点では学齢期と義務教育期は別個のものである。当時の義務教育期間について、尋常小学校の当時の修業年限に基づいて「4年間」や「6年間」と固定的なものであるかのような書き方をしている情報源もあるが、実際には課程主義を併用していたことから、「4年間~8年間」、「6年間~8年間」とすべきである。例えば小学校を6年間で修了した場合、まだ14歳になっていなくても義務教育は終わるが、8年かかっても修了できない場合、14歳までが義務教育期間ということになる。文部省の公的文書である「s:課程の修了又は卒業の認定等について」においても、「義務教育年限が満一二歳までであった当時に義務教育を終え」のように、義務教育期間の終期が12歳である時期があったかのような描写も存在するが、実際には尋常小学校の修了の時期によって終期は変動する(なお学齢の終期が12歳であった時期はない)。

1879年(明治12年)の教育令施行から1941年(昭和16年)の国民学校令の制定までは、保護者は市町村長の許可を得るなどして義務教育として「家庭又ハ其ノ他」における教育を選択することができた(第3次小学校令では、第36条第1項但書の規定による)。

1939年(昭和14年)から、中等学校高等小学校などに在籍していない男子は、14歳から19歳まで青年学校への就学義務があるとされ、年間210時間の定時制教育を受けることとなった。これは第二次世界大戦下の国家総力戦のための軍事教練的な性格も強かったが、形の上では男性のみ13年間の義務教育期間が定められていたことになる。また、1944年(昭和19年)からは国民学校令改正によって昼間の授業による義務教育が8年間に延長される予定であったが、戦況悪化のため実施されなかった。とはいえ、これら義務教育が時代の背景や情勢に左右されることはあっても、当時の日本は世界的にみて識字率の高い国となっていた。なお、国民学校令では義務教育年限は8年間であり、義務教育の終期は国民学校の修了とは関係なく、完全に年齢によって定められていたが、施行当初の3年間は6年制のままにするとの規定があり、また1944年(昭和19年)以降の国民学校令等戦時特例により国民学校8年制化が先送りされたため、義務教育の終期は従来通り年齢主義と課程主義の併用のままであった。なお、6年制予定期間と戦時特例を合わせた期間は、国民学校令の施行から廃止までの全期間に渡っていたため、実際には法令通りの運用になったことはない。

第二次世界大戦敗戦後GHQ占領下の1947年(昭和22年)の学制改革により、現在まで70年以上続いている義務教育制度が施行された。これは6歳から15歳までの9年間を義務教育期間とし、課程の修了と義務教育の終了が無関係な、完全な年齢主義で運用するようにしたものである。またこれまでは尋常小学校もしくは国民学校という単一校種が就学先学校であったが、この改革では小学校6年間・中学校3年間をその期間に該当させるという二段階のシステムがとられた。この時点で特殊教育諸学校への就学義務も定められたが、盲学校・聾学校については早い時期に対応できたものの、実際に養護学校の義務教育化は1979年からとなる。

1998年(平成10年)に中等教育学校が学校種として定められたため、これの前期課程も義務教育を実施できる課程となった。

沿革

目的

教育基本法(平成18年法律第120号)の第5条2項で「義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家および社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。」と規定している。

義務教育として行われる普通教育の目標

学校教育法に「義務教育として行われる普通教育」については次のように定められる。

第21条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成18年法律第120号)第5条第2項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

  1. 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  2. 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  3. 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
  4. 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
  5. 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
  6. 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  7. 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
  8. 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
  9. 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
  10. 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

保護者が就学させなければならない子

日本において、「保護者が就学させなければならない子」は次の3条件を満たしている子である。なお、ここでいう保護者とは「子に対して親権を行う者」であり、親権を行う者のない時は「未成年後見人」である。

  1. 満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまでにある子。(学校教育法の新第2章「義務教育」より)
    学校教育法施行規則および年齢計算ニ関スル法律に基づけば、4月1日内までに満6歳となった子から4月1日内までに満14歳となった子が該当する。
    この9年間の義務教育に該当する年齢は、(法律上の)学齢とも呼ばれる。
  2. 日本国内に在住している子。
    学校教育法施行令において「学齢簿の編製は、当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なうものとする」とされている。学齢簿に基づいて、就学先の学校が指定される。
  3. 保護者が日本国民である子。
    日本国憲法の第26条第2項、教育基本法の第5条第1項においては、義務を負うのは「国民」であるので、保護者に日本国民が含まれない子は、該当しない。

このうちどれかが欠けても、「保護者が就学させなければならない子」とはならない。「保護者が就学させなければならない子」の場合とそうでない場合では、入学の可否、退学の可否、授業料の徴収の可否、停学などの懲戒処分の可否、出席停止の運用などに違いが生じることもある。

なお、制度について詳しく知っていない人の中には、学齢を超過している者や、外国人の子などの任意就学者に対する教育であっても、小中学校教育のことを「義務教育」と呼んでいる人もいる。これは就学義務などよりも教育内容に着目した呼び方であると思われるが、法律上は正式な表現ではないので、できるだけ使用を避けるべきである。#誤用の節も参照のこと。

義務教育の段階に該当する学校

これを具体化する法律(教育基本法および学校教育法)により、その内容は、以下の学校で実施するように定められている。

上記の学校を義務教育諸学校と呼ぶ。なお義務教育諸学校の在籍者の大部分は、「保護者が就学させなければならない子」である。

現状では、特別支援学校を除き、同じ学年には同じ年齢の在籍者がほとんどという状態が続いている。小学校に児童として在籍する者は6歳から12歳の者がほとんどであり、中学校に生徒として在籍する者は12歳から15歳の者がほとんどである。学齢期(義務教育期)の終了と同時に、中学校を卒業する例がほとんどを占めている。

「保護者が就学させなければならない子」を学校に就学させる義務のことを就学義務という。

義務教育の期間は学年基準や在学年数基準ではなく、あくまで年齢基準であるため、義務教育として9学年分または9年間の学校教育を受けられていなくても、一定の期日に達すると義務教育の対象ではなくなる。この考え方を「義務教育年限における年齢主義(前述)」という。4月1日内までに15歳以上に達した人(学齢を超過した者)は、以上の学校に在学していても義務教育には該当しないため、就学猶予原級留置過年度入学などの理由で、14歳の年度のうちに中学校などを卒業できない場合でも、それ以後に通学することは義務教育の範囲とはされない。義務教育期間中に小学校などを卒業した場合、直後に中学校などに進学することとなっているが、小学校卒業時点で学齢を超えている場合は、進学は任意である。

「保護者が就学させなければならない子」の場合は住民登録をすればほぼ無条件で地元の公立の上記学校のいずれかの学年に入学できる。そうでない子の場合は学齢期かどうかが重要である。「保護者が就学させなければならない子」でなくても、学齢期の子の場合は、児童の権利に関する条約などに基づいて、多くの場合受け入れられる。しかし、学齢期を超過した者は新たに入学・編入学することを許可されないこともある。なお、在学中に学齢を超過した場合はすぐに通学できなくなるわけではなく、通例、継続して在学することが可能である。

詳細は「年齢主義と課程主義#日本における現状」および「学齢#学齢超過者」を参照

就学猶予・就学免除

学齢に達しても、病気などによって小学校への就学が困難な児童は就学猶予や就学免除などの手続きを受ける場合がある。この手続きを受けた場合、その年度には就学しないことになる。ただし、1979年(昭和54年)の養護学校の義務教育化に伴い、養護学校などの障害児対象の学校が充実してきたため、近年では就学猶予・就学免除ともほとんど許可されなくなっている。

なお、少年院送致となった学齢期の児童に対しても、就学猶予が行われる場合もある。

授業料と就学援助

日本国憲法第26条2項の後段においては、義務教育は無償とすると定められている。無償とされるべき範囲に争いがあるが、判例(義務教育教科書費国庫負担請求訴訟事件 最大判昭和39年2月26日)によれば、同条の無償とは授業料の無償を意味し、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではないとする。また、判例では、授業料以外の義務教育に必要な費用については、保護者負担の軽減策を国がとることが望ましいが、立法政策の問題として解決すべき事柄で憲法の規定ではないとしている。なお、私立学校などでは授業料の徴収が学校教育法により認められており、この限りではない。

教育基本法第5条第4項
国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
学校教育法第6条
学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、国立又は公立の小学校及び中学校、これらに準ずる盲学校、聾学校及び養護学校又は中等教育学校の前期課程における義務教育については、これを徴収することができない。

現在は、義務教育においては、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律により、学校で使用する教科書(教科用図書)については無償で給与されている。

なお、義務教育諸学校に在学している学齢超過者については正式な意味での義務教育を受けているとはいえないため、義務教育無償の原則に当てはまらないとの考え方もある。ただし、多くの夜間中学校においては授業料を徴収していないものと思われ、また、一般の公立中学校でも授業料は徴収していないケースが多いといわれる。同様に、外国人に対しても、公立学校では授業料は徴収しない扱いが通常である。

経済的に困窮している家庭を対象に就学援助制度がある。これは市町村が保護者に対し、学用品費や給食費を助成するものである。

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出典:wikipedia
2018/11/03 11:38

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