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腰痛とは?

【分類および外部参照情報】

ICD-10 M54.5
ICD-9-CM 724.2
MedlinePlus
007422 007425
eMedicine
pmr/73
MeSH
D017116
腰痛の原因の一つである椎間板ヘルニア

腰痛(ようつう, Low back pain)とは、に痛み、炎症などを感じる状態を指す一般的な語句。 その期間によって、急性(6週間まで)、亜急性(6-12週間)、慢性(12週間以上)に分類される。

大部分の腰痛はたいてい発症から数週間以内には改善され、40-90%のケースでは6週間後までに完全に改善される。しかし急性患者の3分の1は一年後には慢性化し、5分の1は活動に重大な支障をきたす重度になる。

急性・亜急性期における治療の第一選択肢には、皮膚表面の加熱、マッサージ脊柱操作といった非薬物療法が推奨される。患者の大部分は治療の有無と関わらず時間と共に改善されるためである。薬物療法を行う際には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)または骨格筋弛緩薬を推奨する。

疾病コストは医療費のほか、失業、生産性低下といった面でも大きい。任意の時点にて、人口の9-12%(63,200万人)が腰痛を抱えており、またおおよそ25%の人々が過去1ヶ月以内に腰痛を経験している。およそ40%の人々は人生に一度は腰痛を経験するとされ、この割合は先進国においては80%まで上昇する。男女差は見られない。発症が始まるのは、おおよそ20-40歳頃とされている。腰痛を最も抱えている年代は40-80歳であり、年齢が高くなるほど高率である。

目次

  • 1 種類
    • 1.1 非特異的腰痛
    • 1.2 特異的腰痛
    • 1.3 緊張性腰痛(筋肉を原因とした、筋筋膜性腰痛)
    • 1.4 慢性腰痛
    • 1.5 心因性腰痛
    • 1.6 その他
  • 2 非特異的腰痛を来たしやすい要因
  • 3 原因
    • 3.1 腰部に負担のかかる動作による脊椎・腰椎・神経などの障害
    • 3.2 腰部に負担がかかる動作の回避の遅れ
    • 3.3 痛みの悪循環
  • 4 診断
    • 4.1 レッド・フラッグ(危険な徴候)
    • 4.2 各国のガイドラインが共通して推奨する事項
    • 4.3 検査
  • 5 非特異的腰痛の治療
    • 5.1 活動障害の場合
      • 5.1.1 運動療法
      • 5.1.2 ぎっくり腰のような姿勢に起因する急な激しい痛み
      • 5.1.3 温熱療法
      • 5.1.4 薬物治療
      • 5.1.5 ペインクリニックによる神経ブロック
      • 5.1.6 手術
      • 5.1.7 鍼灸による治療
    • 5.2 感染症・腫瘍の場合
    • 5.3 腰痛のある時の体の管理
  • 6 予後
  • 7 予防
    • 7.1 患者教育
    • 7.2 運動による腰痛予防法
  • 8 疫学
    • 8.1 各国の有病率
  • 9 歴史
  • 10 腰痛と社会
    • 10.1 労働安全衛生
      • 10.1.1 通院費・療養期間の保障などについて労災申請する場合
      • 10.1.2 障害が残って障害年金を申請する場合
      • 10.1.3 損害賠償請求訴訟
      • 10.1.4 生活保護
  • 11 脚注
  • 12 参考文献
  • 13 外部リンク

種類

腰痛全体に占める非特異的腰痛の割合(厚生労働省による)

腰痛のうち、骨折・感染症・がん・変性疾患など、原因のはっきりしているものは15%ほどであり、残りの85%ほどは、原因のはっきりしない非特異的腰痛である。画像検査で異常所見が認められても、それが腰痛の原因であるとは限らない。

非特異的腰痛

非特異的な腰痛の責任部位は、腰ではなく脳である。非特異的腰痛では、脳の視床は活性化されず、前頭葉の一部だけが活性化される(Northwestern大学のVania Apkarian博士)。これに対して、腰部打撲による急性腰痛では、腰部からの痛みの情報は、脳の視床に入って視床が活性化され、さらに脳のその他の部位が活性化される(このように、全ての感覚性情報は、いったん視床に入り、その後に脳の各部位に伝達される)。非特異的腰痛の場合では、末梢(腰)や視床は、腰の痛みにあまり関与していない。

特異的腰痛

特異的腰痛の場合は、各疾患ごとに、それぞれの特異的な治療を必要とする。例えば腰椎の圧迫骨折では、骨折箇所を一定期間固定し、鎮痛剤を投与し、基盤にある骨粗しょう症を治療する必要がある。手術が必要な場合もある。

なお、一般的に言えば、病歴聴取と体の診察により、可能性のある特異的疾患を排除することができるので、画像診断などのお金のかかる検査は、慢性化した場合や治療に抵抗する場合に後日行うまで、通常は、差し控えておくべきである。

【主な病名】
【状態】
【症状】
【検査】
【主な原因】

【腰】
【脚】
【他】
【MRI】
【レントゲン】
【他】

急性腰痛症
(ぎっくり腰) 筋肉痛、腰椎捻挫 | 腰痛 |  |  |  |  | 確定できない |  | 老化
作業姿勢
重量物を運搬
激しい運動など
【腰部椎間板症】
椎間板の変形 | 長時間立つとつらい |  |  | 必要 | 
椎間板ヘルニア
椎間板が変形により突出 | 痛みの増大 | 痛み
しびれ | 排泄障害
(重度の場合) | 確定 | 下肢伸展挙上検査
腰部脊柱管狭窄症
椎間板突出による
脊椎脊柱管の変形 | 起床時も痛い | 痛み
しびれ
麻痺
間欠跛行 | 排泄障害
(重度の場合) | 確定 | ミエログラフィー
【変形性脊椎症】
 |  |  |  |  | 椎骨間隙が狭小化。骨棘 | 
骨粗鬆症
 |  |  |  |  | 骨が薄くなる | 骨量測定 | 高齢、閉経
腰椎
圧迫骨折 骨折 |  |  |  | 新旧 | 楔(くさび)形の変形 | 核医学的検査 | 骨粗鬆症
感染性脊椎炎 感染 | 棘突起叩打痛 |  | 発熱 |  |  | 体温測定 | 免疫低下、手術
糖尿病、高齢
【心因性腰痛】
神経症
心身症
うつ病 |  |  |  |  |  | 質問紙 | 怒り
不安
ストレス
腫瘍
良性腫瘍悪性腫瘍
(早期の専門医受診が必要) | 痛みの増大
安静時も痛み | 痛み
しびれ | 四肢の麻痺
(重度の場合) |  |  |  |  | 腫瘍

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄は、老人には非常にありふれており、画像診断でほとんどの老人には認められるが、たいていの場合には、それは腰痛の原因ではない。それは、しばしば手術を行う根拠にされるが、その手術が成功して最終的に腰痛が軽快することはまれである。

椎間板ヘルニアは、その9割が自然に治癒する。

痛みには、筋肉由来の緊張性腰痛と、鈍い痛みを伴う慢性の腰痛がある。

緊張性腰痛(筋肉を原因とした、筋筋膜性腰痛)

筋肉などに過度なストレスが掛かることで、筋肉が緊張することで引き起こされる腰痛である。過度なストレスを強いられると、交感神経は常に優勢になり活発化し緊張を強いられ、余計な他の筋肉などにも力が入る。すると崩れたバランスを調節しようと腰の筋肉に負担が大きくなり、腰痛が発生する。

慢性腰痛

腰痛が、3ヶ月以上継続する場合、慢性腰痛という。慢性腰痛では、不安やストレスなどの心因性因子の関与が大きい。急性腰痛から慢性腰痛への移行は、しばしばイアトロジェニックである。

心因性腰痛

ある調査によれば、腰痛患者のうち38%には、心理学的障害が認められた。福島県立医大の整形外科と精神科は、共同で、心因性腰痛であるかどうかを判定する簡単な質問紙BS-POPを作成している。心因性腰痛である場合は、心身症、または神経症、またはうつ病の治療が奏功することがある。

ニューヨーク大学のSarno医師は、腰痛を心身症として治療し、半数以上の患者で効果があったと主張している。そして「腰痛の多くは、腰に原因があるのではなく、脳に原因がある。怒りや不安やストレスが原因である。それに気が付いて直面すれば、腰痛は治る」と主張している。

作家の夏樹静子氏は、長年の腰痛を心身症として治療して軽快した。

その他

緊急性の高い腰痛としては、致死性の高い腹部大動脈瘤大動脈解離、場合によっては致死性になる腎梗塞急性膵炎排尿排便が困難になることもある馬尾症候群などが挙げられる。

注意を要する腰痛としては、化膿性脊椎炎結核性脊椎炎硬膜外膿瘍椎間板炎などの脊椎感染症や、多発性骨髄腫やがんの骨転移などの悪性腫瘍の骨病変などがある。

非特異的腰痛を来たしやすい要因

左右の脚長差は、あまり腰痛の原因にならない。腰痛の男女差は大きくない。「気分が沈みがち」とか「不安でじっとしていられない」人は、そうでない人に比べて30倍も腰痛になりやすい(スタンフォード大学Eugene Carragee博士)。

原因

欧州におけるガイドラインによれば、腰痛は、疾患ではなく、症状である。ただし、非特異的腰痛は、症状ではなくて、一つの病気であるという考えがある。

腰部に負担のかかる動作による腰椎・椎間板・神経などの障害は、腰痛の原因となる。また、腫瘍などの特異的疾患による障害は、腰痛の原因となる。また、ストレスによる精神的障害は、腰痛の原因となる。

腰部に負担のかかる動作による脊椎・腰椎・神経などの障害

1976年3月、整形外科ナッケムソンは、腰痛の原因を腰部に負担のかかる動作と解明した。

1999年、Wilkeらは、更に細かく約30通りの動作について数値を計測、ナッケムソンの研究を補足する形で追認した。

【】
【姿勢】
第3/第4腰椎の間の負荷
(ナッケムソンによる) 第4/第5腰椎の間の負荷
(Wilkeらによる) 【備考】

【寝ている】
あお向け | 25 | 20 | 20分程横になると軽減する
毎日8時間横になると軽減する
横向き | 75 | 25
【立つ】
直立 | 100(基準値) | 100(基準値) | 
腰から前屈 | 150 | 220 | この姿勢での長時間の作業は避けるべき
【座る】
背もたれにリラックスして座る |  | 50 | 安楽椅子・リクライニング椅子で軽減する
直立 | 140 | 90 | 
腰から前屈 | 180 | 160 | 
【立って20kgの物を持つ】
直立し、ひざを伸ばす |  | 220(*1) | この姿勢での長時間の作業は避けるべき
腰から前屈し、ひざを曲げる |  | 340
腰から前屈し、ひざを伸ばす | 375(*2) | 460(*3)
【(腰部にかかる負荷の例)】
立って20kgの物を持つ | 265kg(*2) | 172(*1) - 316kg(*3) | 体重・装備など重量計40kgの場合
360kg(*2) | 236(*1) - 428kg(*3) | 体重・装備など重量計60kgの場合
455kg(*2) | 300(*1) - 540kg(*3) | 体重・装備など重量計80kgの場合

腰部に負担がかかる動作の回避の遅れ

ナッケムソンは、2つの残された課題に警鐘を鳴らした。

予防
整形外科医の学会などで、整形外科医などに対して、腰部に負担のかかる動作をさせないよう知識を広め予防を働きかける啓蒙活動を求めた。
労働災害制度の抜け道を塞ぐこと
学会と政府などに対して、腰痛を「前の職場で抱えた永久に続く持病」「永久に労働災害保険の支払い対象としない」とする「古い労災保険制度」を温存せず、社会保障制度の抜け道を作らないよう方針転換を強く促した。日本政府は、「腰痛の業務上外の認定基準の検討に関する専門家会議」による議論の結果、1976年10月に腰痛の原因は業務上の作業および姿勢と制度的に認定し、必要な場合は専門医の意見を優先するとし、同一箇所への再発も労災の対象として認定している。

痛みの悪循環

痛みの悪循環

ひとたび腰痛が出現すると、その痛みは、図のような仕組みで悪循環に陥って慢性化することがある。

不安-回避モデルは、精神過程のモデルであり、不安に基づいて回避的行動を行うことにより、慢性的な筋骨格の痛みが生じることを説明するモデルである。1983年に、Lethemらによって提唱された。腰部に痛みを生じるような病変が無いのに、腰部に激しい痛みを感じる仕組みを説明するモデルである。

人が腰部に急性の不快感や痛みを感じて、回避的行動によりその不快感や痛みを一時的に止めたとする。得られた無痛の状態は、この回避行動を強化する。そして、正のフィードバックがかかり、腰部の異常に敏感になり、痛みを感じる閾値は引き下げられ、不快な刺激を除去するための回避行動は強化される。もし人が、痛みを不安なものではないと判断したり、一時的なものに過ぎないと判断するならば、痛みを引き起こした状況は正しく認識され、急性の痛みは治まる。

回避的行動は、本来は健全なものであり、人が傷つくことを防ぐためのものである。しかし、急性の局所病変が治癒した後にも、人の活動を妨げるのであれば、それは有害なものになる。腰部に敏感になって体の動きが制限されると、組織の正常な機能が障害され、身体や精神に悪影響が及ぶ。もし、回避行動が強化されなくなれば、正のフィードバックによる悪循環から離脱できる。それには、まずこの仕組みの存在に気づき、次に自分の不安に直面し、さらに不安と回避行動に打ち勝つように練習する必要がある。例えば、体を少しずつ動かして「体を動かしても大丈夫。腰痛は怖くない」と何度も確認することが必要である。

1993年にWaddellらは、「不安-回避の思い込み質問紙」を作成した。この質問紙を用いた研究によれば、体を動かすことについての不安-回避の思い込みの有無は、労働の損失と強く相関していた。

診断

レッド・フラッグ(危険な徴候)

レッド・フラッグは、重篤な疾患がある可能性を示す警告サインである
【レッド・フラッグ】
【可能性のある疾患】

がんの既往 | がん
原因不明の体重減少
膀胱や消化管がコントロール困難 | 馬尾症候群
筋力のかなりの低下、感覚障害
臀部の感覚消失 (サドル麻痺)
年齢に比べてかなりの外傷 | 骨折
慢性的なステロイドの使用
骨粗しょう症
過去の腰部手術の部位に激しい痛み | 感染
発熱
尿路感染
免疫抑制
静脈内への薬物投与

レッド・フラッグと呼ばれる徴候がある場合、重篤な疾患があるかもしれないのでさらに検査を行うことが必要である。重篤な疾患があれば、直ちに治療が必要だったり、特別の治療を必要とする可能性がある。しかし、レッド・フラッグの徴候があるからといって、必ず重篤な疾患があるというわけではない。重篤な疾患がある可能性があるというだけで、レッドフラッグを持つたいていの人は、大きな問題を持っていない。もし、レッド・フラッグの徴候が全く無いのであれば、症状出現後4週間以内に、画像診断検査を行ったり、臨床検査を行うことは、有用でないことが示されている。

多くのレッド・フラッグの有用性は、エビデンスによれば、あまり支持されない。骨折を見つけるための最も良い手がかりは、高齢の年齢・ステロイドの使用、皮膚に跡を残すようなかなりの外傷などである。がんを見つけるための最も良い手がかりは、その人の病歴である。

他の原因を除外できたのであれば、非特異的な腰痛を持つ人は、通常は、原因をはっきり特定すること無く、対症的に治療される。抑うつや薬物濫用など、診断を複雑にする要因を明らかにする努力や、保険の支払いに関する議論は、役に立つ可能性がある。

日本のガイドラインでは、次の状態を危険信号としている。

各国のガイドラインが共通して推奨する事項

検査

 |  | 
下肢伸展挙上検査は、椎間板に由来する腰痛を診断することができる。この検査で陽性の場合は、MRIのような画像診断を行えば、腰痛に関係する椎間板の詳細を明らかにすることができる。(図は、L4-L5の椎間板ヘルニアを示している)

レッド・フラッグの症状がある場合や、改善しない神経学的な症状が続く場合や、悪化する痛みがある場合には、画像検査を行うのが望ましい。特に、がんや感染や馬尾症候群が疑われる場合には、早期にMRIまたはCTの検査を行うことが推奨される。椎間板の疾患を見つけるのには、CTよりMRIの方がやや優れている。脊柱管狭窄症を診断するには、両者ともに有用である。また2、3の身体的な検査が有用である。椎間板ヘルニアでは、たいてい下肢伸展挙上検査が陽性となる。

腰部椎間板造影検査は、高度な腰痛が持続する場合に、痛みの原因となる椎間板を見つけるのに有用であろう。同様に、神経ブロックのような治療的手技が、痛みの場所を突き止める目的で使用されることがある。このように、椎間関節注射、変形硬膜外注射、仙腸関節注射を、診断的な検査として使用することを支持するいくつかのエビデンスがある。その他の身体的検査、例えば側彎症の身体検査、筋力低下の検査、神経反射の減弱の検査などは、ほとんど使用されない。

腰痛の訴えは、人が医療機関を訪れる最も多い理由のうちの一つである。多くの場合、痛みは、2、3週間しか続かずに、ひとりでに消えるように見える。医学学会のアドバイスによれば、もし、現病歴と診察所見が、腰痛の原因となる特定の疾患の存在を示唆しないのならば、エックス線写真やCT検査やMRI検査は不要である。患者は、CTやMRIによる画像検査を望むこともあるが、レッドフラッグの症状が無いのであれば、そうした検査は不必要である。ルーチンの画像検査は、コストがかかり、症状を改善させる効果の無い外科手術を受ける可能性が強くなり、浴びる放射線が体に悪影響を及ぼす。痛みの原因を特定できるのは、画像診断の1%以下に過ぎない。画像検査は、害の無い異常を見つけて、必要のない別の検査をさらに受けるように患者を仕向け、患者を不安にする。しかし、そうは言うものの、米国のメディケアの統計によれば、1994年から2006年までに、腰部MRI検査の件数は、300%以上、増加した。

非特異的腰痛の治療

米国内科学会 2017ガイドライン
【】
【腰痛の期間】
急性
(4週未満) 亜急性・慢性
(4週以上)
セルフケア | 活動性を保つようアドバイス | Yes | Yes
書籍、パンフレット | Yes | Yes
皮膚表面から温める | Yes | 
薬物療法 | アセトアミノフェン | Yes | Yes
NSAIDs | Yes | Yes
骨格筋弛緩薬 | Yes | 
三環系抗うつ薬(TCA) |  | Yes
ベンゾジアゼピン類 | Yes | Yes
トラマドールオピオイド | Yes | Yes
非薬物療法 | 脊柱操作 | Yes | Yes
運動療法 |  | Yes
マッサージ |  | Yes
 |  | Yes
ヨガ |  | Yes
認知行動療法 |  | Yes
プログレッシブリラクゼーション |  | Yes
集中的な集学的リハビリテーション |  | Yes
※ エビデンスグレードB以上のものを提示

2017年の米国内科学会ガイドラインにおいては、患者の大半は治療とは関係なく回復するとされる。そのため第一選択肢は非薬物療法が推奨される。

セルフケアおよび患者教育(情報提供)も重要である。「体の活動性を維持し、運動を行い、あまり休まずに、仕事を続けるように」とアドバイスを受けると、腰痛の予後は改善する。正しい情報を与え安心させると予後は改善し、怖がらせて不安を与えると予後は悪化する。「Know pain, or no gain」(痛みについて学べ。そうしなければ進展は無い)という標語がある。

活動障害の場合

運動療法

痛みと平行して運動を行う。安静は必ずしも有効な治療法とはいえない。脳から末梢へ下行性の抑制が働くので、運動により痛み自体が改善する。運動には抑うつ作用もある。運動には、ストレッチ(関節可動域訓練)、筋肉トレーニング(筋力増強訓練)、正しい姿勢保持、有酸素運動がある。腰痛では、腹筋と背筋を鍛える。運動の効果は、各国の全ての腰痛ガイドラインで最も高いエビデンスがあるとされている。ニューヨーク大学整形外科では、痛みがひどくない限り、歩くことを勧めている。歩けば、脳は歩くことに集中するので、精神的苦痛や悩みから解放され、痛みが和らぐ。また、座りがちな悪い姿勢(背骨はC字型)から、立位の良い姿勢(背骨はS字型)となる。

ストレッチ

支持療法(コルセット、腰ベルト)は推奨されない。WHOの腰痛イニシアティブは、次のように述べている。「コルセットを長期に使用すると、骨粗鬆症を出現させ、腹部の筋肉を弱体化させる。痛みを我慢できるようになったら、直ちにコルセットを外さなければならない」。英国国立医療技術評価機構は、次のように述べている。「(腰の支持器具が)非特異的腰痛の治療に役立つというエビデンスはほとんど無いので、国民保健サービスNHSの治療として提供されるべきでない」。ヨーロッパ委員会は、腰の支持器具を、非特異的腰痛の治療に用いることを、推奨していない。また下記のように、米国内科学会ガイドラインも推奨していない。

急性腰痛に対して痛みに応じて活動性を維持することは、ベッド上安静よりも疼痛を軽減し、機能を回復させるのに有効である。職業性腰痛に対しても、痛みに応じて活動性を維持することは、より早い痛みの改善につながり、休業期間の短縮とその後の再発予防にも効果的である。各国の急性腰痛ガイドラインで、安静を推奨するものは、見当たらない。

ぎっくり腰のような姿勢に起因する急な激しい痛み

かつては、対処法として、最初に患部を冷やすことが肝心であると考えられていた。「冷やすことで炎症の亢進を抑えて疾患の拡大(腫れ・疼痛)を出来るだけ小さくするための処置であるので、可能な限り早く冷やした方が治療効果も高く痛みも少ない」と考えられた。

急性期を過ぎた後は、出来るだけゆっくりと温めて血流を良くすると筋の復帰も早い。腹圧を上げる為のコルセット着用が行われることがある。下肢の痺れ・感覚鈍麻・歩行困難等が顕れるような場合は、椎間板ヘルニア等による神経圧迫の恐れもある為に病院の診察が必要である。

温熱療法

温熱療法はプラセボと比較して、痛みおよび障害日数を短縮させることが明らかになっている。

一方で腰痛への寒冷療法は推奨されない。根拠は存在せず、寒冷障害により、急性腰痛は遷延して悪化し、慢性腰痛となる(痛みの悪循環)。寒冷療法は、日本では広く行われていた。痛みを伝える神経は、冷やされて機能低下が起こり、痛みをあまり伝えなくなる。また冷却により炎症反応が押さえ込まれと、局所の浮腫は改善し、浮腫による神経圧迫が改善し、当面の痛みは減る。しかし、急性腰痛は、原因不明ではあっても、元来はself-limited で予後の良い疾患である。炎症反応などは正常の防衛反応であり、そうした正常の修復過程を妨害しない方が良い場合がある。寒冷により、血管は収縮し、血流は低下し、虚血を引き起こし、体の組織は正常の機能が果たせなくなる。そして、さらに痛み物質が放出される。

薬物治療

腰痛の治療として、薬が有効な場合の薬物治療がある。腰痛が最初に起こった時の患者の望みは、痛みが完全に無くなることである。しかし、慢性腰痛の場合には、治療の目標は、痛みをコントロールして機能を可能な限り回復させることに変わる。痛みへの薬物治療は、いくばくかの効果があるに過ぎないので、薬への期待は、現実に直面して、満足度が下がる場合がある。

通常、最初に推奨されるのは、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)である。たいていの人にはそれで充分である。アセトアミノフェンは標準的な使用量では非常に安全である。しかし、過量に使用すると肝障害を引き起こし、極端な過量では死亡することもある。NSAIDsは急性腰痛に対してアセトアミノフェンよりもう少し効果があるが、より大きな副作用の危険性がある。例えば、腎不全、胃潰瘍、心疾患などを起こす恐れがある。この理由からNSAIDsはアセトアミノフェンに続いて、二番目に推奨する薬剤となっており、アセトアミノフェンでは効かない場合に限って投与される。NSAIDsにはいくつかの種類があるが、効果を考える時に、COX-2阻害薬の方が、非ステロイド性抗炎症薬の内のその他の薬よりも良いとするエビデンスは全く無い。安全性の観点から、ナプロキセンが良いかもしれない。ナプロキセンは、例えば消化性潰瘍や血小板減少症のある人などには適さない。2015年のある研究は、アセトアミノフェンには効果が無いと述べている。筋弛緩薬は有効かもしれない。

痛みが充分に引かない場合には、モルヒネのようなオピオイドの短期間の使用が有効かもしれない。日本では弱オピオイドが使われる。オピオイドを使用すると依存症になるリスクがあり、また、他の薬剤と負の相互作用があるかもしれない。また、めまい、吐き気、便秘などの副作用が起きるリスクが大きい。オピオイドは、急性の重篤な痛みが多くのトラブルを起こす場合に、短期間だけ使用するのが適切であろう。専門家の集団は、慢性腰痛に対して、オピオイドを漫然と長期間使用すべきでないとアドバイスしている。

慢性腰痛を持つ年長の人々に、糖尿病や胃病変や心疾患など、NSAIDsを使用すると大きいリスクが伴う場合に、オピオイドが使われるかもしれない。また、神経病的な痛みがある人の内の特定の人々に、オピオイドは役に立つかもしれない

抗うつ剤は、抑うつ症状のある慢性腰痛の患者に効果があるかもしれない。しかし、副作用の危険がある。米国内科学会ガイドラインでは薬物療法の第二選択肢として、デュロキセチンを挙げている。抗けいれん薬のガバペンチンとカルバマゼピンは、慢性腰痛に対して時々使用されるが、これらは、坐骨神経痛を改善させるかもしれないが、不十分なエビデンスしかない。ステロイド剤の経口的全身的投与は、腰痛には適していない。椎間関節への注射や、椎間板へのステロイド注射は、慢性的な非神経根性疼痛には効果が無いが、それらは、坐骨神経の疼痛には考慮されるかもしれない。硬膜外へのステロイド注射は、坐骨神経痛に対して、わずかな、ごく短期間の改善をもたらすが、長期的な利点は無い。それらは、副作用を伴う危険がある。

ペインクリニックによる神経ブロック

例えば椎間関節注射については、次の通りである。硬膜外注射やトリガーポイント注射についても、同様である。

手術

椎間板ヘルニアが、足に放散する強い痛みを引き起こし、あるいは足を衰弱させ、あるいは膀胱のトラブルを引き起こし、あるいは膀胱のコントロールを困難にするようなら、手術は有用かもしれない。また、脊柱管狭窄症のある人には、手術は有用かもしれない。もし、これらの問題が無いのなら、手術を受けることによって利益を得られる明瞭なエビデンスは無い。

椎間板切除術(足への痛みを起こす椎間板を部分的に切除すること)は、非手術治療に比べて早く痛みの除去をもたらすことができる。椎間板切除術は、1年後には、より良い結果をもたらすことができるが、4年後、10年後には、非手術療法との差は無くなる。

より侵襲度の低いマイクロ椎間板切除術は、通常の椎間板切除術と比較して、同じような結果をもたらすだけである。その他の状況では、たいていの場合、手術を推奨すべきようなエビデンスは無い。椎間板の変性疾患に対する手術の長期的な効果は、不明瞭である。侵襲のより少ない外科的な治療は、回復までの時間を短縮するが、効果についてのエビデンスは、不充分である。

脊椎融合手術は、椎間板の変性によって腰に限局した痛みを持つ人に対して行われる。この手術を支持するエビデンスがある。この手術の効果は、熱心な身体的治療を行うのと同じくらいであり、非外科的治療を少しだけ行うより多少良いくらいである。

脊椎融合手術は、脊椎すべり症の人が、保存的治療を受けても改善しなかったような場合に考慮されるが、この手術を受けて良い結果を得た人はごく少ない。

脊椎を融合させる手術の術式が、数多く提案されているが、他より優れているというエビデンスのある術式は無い。脊椎を融合させる間は、脊椎を固定する器具を脊椎に装着する。この処置はリスクを高めるが、痛みや機能低下には、何の効果ももたらさない。

鍼灸による治療

詳細は「鍼#鍼とエビデンス」を参照

腰痛は肩こりと並び、鍼灸治療により著効を表すことがある。腰部の腎兪穴大腸兪穴志室穴などの施術のほか、膝の後ろにある委中穴の鍼や、足の照海穴、さらに体調を整える目的で、背部や腹部の経穴を用い腰痛を緩和する代替医療である。諸外国の腰痛診療ガイドラインは、慢性腰痛について、鍼の効果を認めている。WHOも認めている。オピオイド様の不安定な弱い効果がある。健康保険による鍼灸治療が可能であるが、保険治療は地域によっては医師の同意書を必要とする。

感染症・腫瘍の場合

脊椎脊髄専門医の早期受診が望ましい。長期間放置すると、手遅れとなり回復困難となることもある。

腰痛のある時の体の管理

体の一般的な活動度を上げることが推奨される。ただし、それを急性腰痛の痛みや障害に対して行った場合には、明瞭な効果は認められない。急性の腰痛に対しては、歩くことが、低度ないし中等度の質のエビデンスで推奨される。マッケンジー法による治療は、再発性の急性腰痛には、いくぶん効果があるが、短期的な効果は認められない。温熱療法を、急性腰痛や亜急性腰痛に使用するエビデンスは、多少はあるかもしれないが、温熱療法や寒冷療法を、慢性腰痛に使用するエビデンスは、ほとんど無い。背バンドが、労働の病欠日数を減らすという弱いエビデンスがあるが、背バンドが、疼痛を減らすというエビデンスは無い。超音波や衝撃波による治療は、効果が無いので、推奨できない。

運動療法は、慢性腰痛の痛みを減らし、機能を回復させる上で効果がある。運動療法は、運動プログラムを完了させた6ヵ月後の腰痛再発率を減らし、長期的な機能の改善をもたらす。ある特定の運動プログラムが、他の運動プログラムより優れているというエビデンスは無い。アレキサンダー法は、慢性腰痛に有用である。ヨガも有用である可能性がある。経皮的な神経刺激は、慢性腰痛に対しては、効果が認められない。腰痛の治療として、靴の中に中敷を入れることは、効果がはっきりしない。あまり侵襲のない末梢神経刺激は、他の療法では効果がない慢性腰痛には有用かもしれないが、エビデンスは不明瞭であり、また、足へ放散する痛みには効果が無い。

予後

全般的に言えば、急性腰痛の予後は良好である。痛みと機能障害は、たいてい、最初の6週以内に大幅に改善する。完全に回復する人は、全体の40%から90%に上る。大半の人では、1年後の時点で、痛みと機能障害のレベルは、少ない - 最小限である。6週間経っても症状のある人では、回復は次第に遅くなり、1年が経過しても、回復はわずかである。急性腰痛が起きた後の長期的な予後を左右する要因は、苦痛の度合い、以前の腰痛の経験、仕事の満足度である。うつ病、仕事を失った不幸などの精神的な問題があると、腰痛は長引くことがある。

最初の腰痛が起きた後で、半数以上の人では、腰痛の再発が起きる。再発した腰痛においても、短期的な予後は良好である。最初の6週間は大きく改善するが、それ以後の回復はわずかである。慢性腰痛のある人は、1年後にも、中等度の痛みと機能障害を持ち続けることが多い。腰痛による長期的な機能障害を持つようになるリスクが高いのは、腰痛とうまく付き合うことが下手な人や、体を動かすことを恐れる人(1年後の時点で、2.5倍も多く機能障害を持つ)や、機能的な障害のある人や、全般的な健康度が低い人や、痛みに精神的・心理的な要素がある人(Waddell徴候)である。

日本のガイドライン「外来診療」によれば、次の通りである。

米国ハーバード大学のLandon 教授は次のように述べている。「非特異的腰痛では、大半の場合に3ヶ月以内に痛みは自然に収まる。画像検査や薬物注入や手術を行っても、長期予後は少しも変わらない。それらは、腰で起きていることに、ほとんど影響を与えない。それどころか事態を悪化させている可能性がある」

WHOの「腰痛イニシアティブ」は、次のように述べている。 「非特異的腰痛では、大多数のケースでは、症状は2、3週間以内に終息する。どのような治療を行っても、あるいは全く行わなくても、腰痛は自然に治まる。しかし、ひとたび腰痛が慢性化すると、効果のある治療法は、ほとんど無くなる。それで、腰痛の慢性化を防ぐことが、治療の主な目的となる。運動プログラムは、腰痛のある期間を短くし、生活の質を向上させる。ステロイドは、経口でも非経口でも硬膜外注入でも、使用する利点は無い。椎間関節への薬物注入は、ほとんど役に立たない」

無駄な医療」も参照

予防

患者教育

【】
【】
【腰痛予防となる生活習慣の例】
【腰痛の起きやすい生活習慣の例】

【姿勢に注意】
前かがみを避ける | 作業姿勢を工夫 | 前かがみ、中腰、前傾姿勢
同じ姿勢を長く続けない | 屈伸などその場でできる軽い運動をする | 毎日2 - 3時間車を運転するなど、同じ姿勢を長く続ける
良い姿勢 | 両足を揃えて椅子に座る(椅子の高さを足がつく高さにする、背もたれに座布団クッションを置く)、いつも同じ側でかばんを持たない | 脚を組んで椅子に座るなど、姿勢が悪い
【疲れをためない】
規則正しい生活 | 定時退社、家へまっすぐ帰る | 残業などで、疲れをためる
朝食はしっかり | 暖かいものを栄養バランス良く | 朝食抜き、朝食が少ない、油もの・生野菜・果物
運動は適度に | 軽い運動 | 激しい運動などで、疲れをためる
靴 | 適切な大きさの靴 | 足に合わない靴を無理をして履いている
寝具 | 敷布団は固すぎず、やわらかすぎないもの | 腰が沈み込む寝具
十分な睡眠 | 規則正しい睡眠 | 睡眠不足
【体を冷やさない】
空気を冷やさない | 適度な空調 | きつすぎる冷房
暖かい食事 | 暖かいものを栄養バランス良く | 油もの・生野菜・果物
太陽光 | 日光浴 | 
入浴 | 風呂に肩まで入ってゆっくり体を温める | 半身浴
寝具(冬) | 湯たんぽ | 電器毛布をつけたまま寝る
衣類(冬) | 吸湿発熱性のある新素材、ウールマフラー、ハイネック、ズボン | スカート、きつい肌着

運動による腰痛予防法

運動療法は腰痛の発症予防に有効である。職業性腰痛では、腰痛発症後も活動性の

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出典:wikipedia
2018/06/08 10:56

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