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葡萄酒とは?

(葡萄酒から転送)
スイートワイン
【100 gあたりの栄養価】

エネルギー
556 kJ (133 kcal)

炭水化物

13.4 g


タンパク質

0.1 g


ビタミン

ビタミンB6
(1%)
0.01 mg

ミネラル

ナトリウム
(0%)
5 mg
カリウム
(1%)
70 mg
カルシウム
(1%)
5 mg
マグネシウム
(1%)
5 mg
リン
(1%)
7 mg
鉄分
(2%)
0.3 mg

【他の成分】

水分
75.2 g
アルコール
11.1 g


%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

ワイン(: vin: wine: vino: Wein)とは、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料である。葡萄酒ぶどう酒(ぶどうしゅ)とも。通常、単に「ワイン」と呼ばれる場合には他の果汁を主原料とするものは含まない。日本の酒税法では「果実酒」に分類されている。

目次

  • 1 概要
  • 2 歴史
  • 3 製法
    • 3.1 ブドウ作り
      • 3.1.1 品種
      • 3.1.2 土壌
      • 3.1.3 気候
      • 3.1.4 天候
    • 3.2 醸造
      • 3.2.1 酸化防止剤の添加
      • 3.2.2 収穫から搾汁
      • 3.2.3 主発酵(一次発酵)
      • 3.2.4 二次発酵とマロラクティック発酵
      • 3.2.5 澱引き(おりびき)
      • 3.2.6 瓶詰め
    • 3.3 特殊な醸造技術
    • 3.4 芳香成分
    • 3.5 特殊な製法のワイン
  • 4 産地
    • 4.1 ヨーロッパ周辺地域
    • 4.2 ニューワールド
    • 4.3 新緯度帯ワイン・熱帯ワイン
    • 4.4 その他のワイン生産国
    • 4.5 日本のワイン
    • 4.6 原産地表示
  • 5 ワインの飲み方
    • 5.1 保存
    • 5.2 開栓
    • 5.3 デカンタージュ
  • 6 ワインアクセサリー
    • 6.1 コルク抜き
    • 6.2 ワイングラス
    • 6.3 ワインセラー
    • 6.4 ワインラック
    • 6.5 デキャンター
    • 6.6 ワインストッパー
  • 7 ワイン文化
    • 7.1 神話
    • 7.2 宗教上の利用
    • 7.3 ワインツーリズム
  • 8 ワインに関する事件
  • 9 脚注
  • 10 参考文献
  • 11 関連項目
  • 12 外部リンク

概要

ワインは世界で最も多くの地域で飲用されているアルコール飲料の一つである。ワインは主に以下の3種類に分類される。

白ワイン
赤ワイン
白ワイン
主に無色に近い色調から(時に緑がかった)黄色みを帯びたワインを白ワインと呼ぶ。白ブドウなど主に色の薄い果皮のブドウを原料とし、発酵には果汁のみを使用する。酸味の強い物は、一般的に魚料理に合うとされる。白ワインは、料理と合わせる辛口からデザートワインにする極甘口まで甘さに幅がある。
赤ワイン
透き通った赤や濃い紫、あるいは赤褐色のワインを赤ワインと呼ぶ。一般に白ワインよりも渋みの成分であるタンニンを多く含み長期保存が可能である。主として黒ブドウや赤ブドウを原料とし、果実を丸ごとアルコール発酵させる。この発酵の過程で、果皮に含まれる色素やタンニンが抽出される。マロラクティック発酵により減酸が行われることも多い。濃厚な風味のものは一般的に肉料理に合うとされる。また冷やすと香りの成分が揮発しにくくなったり苦味が増すので、冷やさないのが普通である。一般的に赤ワインには辛口しかなく、コクとタンニンにより、ライトボディーからフルボディーといった分類がなされる。白ワインと違い、飲む人の体質とワインの銘柄との相性により激烈な頭痛を起こすことがある。その原因はチラミンヒスタミンの多さにあるとも言われているが、ヒスタミンの含有量は、他の発酵食品と比較して多くはない。また、フラボノイド類により喘息の重症化とは有意な逆の相関関係が示されている。
ロゼワイン
ロゼ (rosé) とはフランス語で「ピンク色」を意味し、時にピンク・ワインとも呼ばれる赤みを帯びた淡い色調のワインを指す。製法には、果皮の色の薄いブドウを赤ワインのように醸造する方法や、赤ワインと同じブドウを白ワインのように醸造する方法、赤と白の双方のブドウによる混醸、赤ワインの醸造途上で色の素である果皮を取り除く、などがあり、味わいも様々である。中には赤ワインと白ワインを混合したものや白ワインに着色しただけの製品もある。
スキンコンタクトワイン
スキンコンタクト(skin-contact)とは、ブドウ品種特有の香りを強く持たせる香味改善のための手法で、果実の破砕後に果汁(搾汁)と果皮を発酵までの一定期間低温で接触させ果皮に含まれている揮発性フェノール類などの香り成分を果汁に溶け込ませた技法を用いて醸造されたワイン。浸漬時間と温度は醸造家により異なる。

他に発泡ワインなどの特殊な製法のものがある。ワインの風味を構成する味覚は、白ワインでは酸味・甘味であり、赤ではそれに渋味が加わる。加えて、香りが風味の重要な要素であり、これらのバランスが取れているものが一般的に良いものとされる。

ワインの主成分はエタノール、各種の有機酸グリセリンアミノ酸核酸タンニン炭酸ガスなどである。各種の有機酸の中では酒石酸リンゴ酸クエン酸乳酸酢酸コハク酸の6つがワインの風味に関して最も重要な要素と考えられている。また、貴腐ワインにはグルコン酸が多く含まれている。

魚介類との相性に関しては、従来はタンニンが関与していると信じられていたが、タンニンでは無くフェノール化合物、カルボニル基を持つ物質、が関与するとの報告がある。特に、鉄分の含有量は魚介類料理との相性に大きく影響を及ぼし、鉄分濃度に依存し1-オクテン-3-オン、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール等の物資により生臭味が増強されてしまうとされている。なお、鉄の起源は、土壌、製造工程中の鉄製品、コラージュに依存している。

ワインは瓶に詰められた後でも熟成が進み、風味は変化を続ける。熟成期間はボルドーワイン等の一部のワインでは50年以上もの熟成に耐えるものもあるが、多くは1年から10年ほど、長いものでも20年から30年である。安価なワインでは熟成によって品質が向上することはあまりなく、むしろ早く飲まないと劣化してしまう。長い熟成に耐えるものを長熟、逆に早く飲むものは早飲みという。作られて間もないワイン(若いワインと表現する)は、ブドウの生の味が強く、渋すぎたり、酸味がきつすぎるということもあるが、熟成が進むと角が取れてまろやかになる。また、年数が経てば総数が減るので希少価値により価格も高くなる傾向にある。ただし、熟成したワインがどれも同じように高くなるというわけではなく、生産年、地域、作り手の知名度などにより価格は大きく異なる。

ワインが食文化に根付いているヨーロッパでは日常的に飲まれることも多いが、近年では日本における日本酒と同様に、一人当たりの需要量は減少傾向にある。イスラム教においては、飲酒が教義により禁止されているため、発祥地である現在の中東諸国では、ワインの生産は、世俗主義国家であるトルコ、比較的リベラルイスラム教徒キリスト教徒が住むレバノンヨルダンパレスチナエジプト等に限られる。日本を含むアジア諸国では、一人当たりの需要量は依然として少ないが、需要の伸びは著しい。

歴史

ワインは極めて歴史の古い酒の一つであり新石器時代に醸造が始まったとされる。様々な歴史的記念物、文献などからジョージアでは7000年から5000年前に醸造され発祥地のひとつとされる。近東のワイン造りの化学的痕跡としては、イランザグロス山脈で見つかった紀元前5400~同5000年(約7000年前)のものが最古とされていたが、ジョージアで発掘された約8000年前の陶器の壺が科学分析により世界最古のワイン醸造の痕跡であると2017年に発表された。また、アルメニアでは約6000年前のものとされる世界最古のワイン醸造所跡が発見されており、その頃には既に高度な醸造技術が確立されていた。以後、醸造法が南方に伝播したことから、中東、特にメソポタミアを中心とする地域で広く愛飲されるようになる。ただし、メソポタミアは葡萄の栽培に適した土地でなかったため、イラン高原では紀元前6000年頃から生産が始まっていたものの、メソポタミア(※特に南部のシュメール)においては紀元前4000年頃になってようやく醸造できるようになったようだ。古代エジプトにおいても、紀元前4000年代末期にはワインが製造されていた。

しかしながら、“ワイン文化”が西洋へ広まった要因はやはり、現在のレバノンが位置する湾岸沿いを拠点としていたフェニキア人だと言えるだろう。そしてその地域こそがワイン生産の起源とも言える。フェニキア人の生産するワインはその後、ギリシャ・ローマ時代にわたり上質なワインを表す“ビブライン” (フェニキアの町、ビブロスから)という形容詞となり、その存在は続いた。ホセアの予言書(780–725 B.C.)の中では、“ブドウの木のように栄えており、その香りはまるでレバノンのワインのようだ。”と弟子たちにヤハウェのもとへ急いで伝えるようにと記されている。

フェニキア人は3つの点においてワインの世界に重要な意味をなしている。

  1. 輸出:ビブロス(レバノンの町)のワインはエジプト古王国(2686 B.C.–2134 B.C.) 時代にエジプトへそして地中海の至るところへも輸出されている。最初のワイン商人として、フェニキア人は松ヤニのシールをオリーブオイルでコーティングしワインを酸化から守っていたと言われている。これがおそらくギリシャのレツィーナの原点である。
  2. ワイン文化とワイン生産の普及:実際にフェニキア人はブドウの為に最高に恵まれた気候と地形によってヴィンヤードを形成することさえも可能であった。このことはマーゴによって残されており、それはローマ元老院からラテン語に訳され、その法令が発布されるほど重要視されていた。
  3. ヴィティス・ヴィニフェーラの原種の普及:カリフォルニア大学デーヴィス校での研究によると、フランスのムールヴェードルは紀元前500年ごろにバルセロナへフェニキア人が紹介したことから広まったとされている。

ワインについて書かれた世界最古の文献は、紀元前2000年前後に作られたシュメール語の粘土板である。例えば、『ギルガメシュ叙事詩』(※ただし、アッカド語版)には、メソポタミアで英雄視された王(ギルガメシュ)が大洪水に備えて箱舟を造らせた際、船大工たちにワインを振舞ったという場面がある。シュメールでは紀元前5000年頃に世界初となるビールの醸造技術が確立しており、紀元前3000年代初期に双方が古代エジプトへと伝わったとされる。ビールの醸造の方が比較的簡単であったため 、これら古代オリエント地域では、ビールを日常消費用、ワインを高級品として飲み分けていた。

その後フェニキア人により古代ギリシアへも伝わる。この頃は水割りにして飲まれ、原酒のまま飲む行為は野蛮とされた。これは当時の上流階級が、ギリシャ北方に住むスラブ系の祖先であるスキタイの原酒飲酒の習慣を忌み嫌っていたからだと言われている。現代ギリシャ語でワインをοίνος(「エノロジー(oenology、ワイン醸造学)」の語源)ではなく普通κρασί(混合)と呼ぶのはこの水割りの習慣の名残である。ワインはそこから地中海沿岸に伝えられ、古代ローマへと伝わり、ローマ帝国の拡大と共にガリアなどの内陸部にも水割り文化と共に伝わっていった。当時のワインは、ブドウ果汁が濃縮されかなりの糖分を残している一方、アルコール度数はそれほど高くなく、今日の蒸留酒を飲む時に行うようなアルコール度数を抑えるための水割りではなく、過剰な甘さを抑えるための水割りであった。酒というよりはソフトドリンク、長期保存可能なブドウジュースといった感覚であった。ヨーロッパの水は硬水が多く大変飲み難いものであったので、それを飲みやすくするためにワインは必要不可欠なものであり、その意味では水で割るというよりも、水に添加して飲みやすくする物であった。

ワイン製造の技術が格段の進歩を遂げたのはローマ時代においてとされ、この時代に現在の製法の基礎が確立した。それにより糖分がかなりアルコールに転化され、ワインをストレートで飲む「大酒飲み」が増えていった。

中世ヨーロッパの時代にブドウ栽培とワイン醸造を主導したのは僧院であった。イエス・キリストがワインを指して自分の血と称したことから、ワインはキリスト教の聖餐式において重要な道具となった。ただしこの時代、ワインは儀礼として飲むものとされ、むやみに飲んで酩酊することは罪とされていた。 中世後期にはワインは日常の飲み物として広まるようになっており、12世紀のイタリアで著された医学書『サレルノ養生訓』では、良いワインの選び方やワインと健康についての考察がなされている。また、ブルゴーニュワインが銘酒として有名となったのはこの頃からである。 ルネサンスの時代以降、娯楽としての飲酒が発展する。17世紀後半、醸造や保存の技術、また瓶の製造技術が向上し、ワインの生産と流通が飛躍的に拡大した。

また、これらのワインとは全く異なるが、古代中国(※王朝 - 紀元前1000年初期)においても独自のワイン醸造技術が存在していたという。ただし、この系統は完全に廃れてしまい、現代中国で生産されるワインは西洋由来のものである。

製法

詳細は「ワイン醸造」を参照

広い意味でのワイン作りはブドウの栽培と醸造に二分できるが、ワイン産地ではワイン作りと言えば醸造(英語ではwinemaking)を指し、醸造学は英語でエノロジー(oenology/enology)と言う。これに対しブドウ栽培(英語でgrapegrowing)の技術や学問はヴィティカルチャー(viticulture)と呼ばれる。海外の大学はブドウ栽培と醸造学の両コースを持つのが普通である。

ワインの生産主体はフランスのボルドー地域においては「シャトー」、ブルゴーニュ地域においては「ドメーヌ」と呼ばれることが多い。フランス語の「シャトー」は、もとは城館をあらわす言葉であるが、ボルドー地域においては転じてぶどう園や管理場、生産者のことをも指す。主なものではシャトー・ムートン・ロートシルトシャトー・ラフィット・ロートシルトシャトー・マルゴーシャトー・ラトゥールなどがある。イタリアにおける「カステッロ」、ドイツの「シュロス」、スペインの「カスティーリョ」も同様である。「ドメーヌ」は、フランス語で「土地」をあらわす語である。カリフォルニアワインなどで「エステート」という語を使っているのもドメーヌと同義である。

ブドウ作り

鋏による収穫
自動収穫機による作業

どんなに醸造の技術が進歩しても、良いワインを作る為には良いブドウがなくてはならない。そのため良質なブドウを収穫する為の栽培技術方法は醸造技術以上に重要である。さらに、現代のワイン醸造では理想の味わいを生み出す為に、醸造前あるいは醸造後に複数品種のブドウを組み合わせる手法が多く用いられている。従って、ブドウ品種の選定とブレンド比は味の特徴を決定する大きな要因である。しかし、一方で品種の特徴を生かしたブレンドを行わない単一品種ワインも生産される。また、生育環境全体の栽培される畑の日当たりや局地的な気候などの要素を加え、それらをひと括りにして「テロワール」と呼ぶ。実際には、品種、土壌、気候条件の違いを栽培技術や収穫時期の最適化で補うことで、広い地域で栽培が行われている。

その年のブドウの作柄のことをヴィンテージと呼ぶ。現在では転じてブドウを収穫した年のことをヴィンテージと呼び、その年の出来不出来によってワインの出来が変わる。そのために各国のワイン関連組織やワイン専門誌などによってヴィンテージチャートが発表される。ただし、現在では補糖や補酸、適切な酵母の選択などの醸造技術の進歩により、力のあるワイナリーであれば悪い年でもそれなりのものができるようになり、味に関しては激しい差はない。その代わり、悪い出来のブドウでは長い熟成に耐えることが難しくなり、より早飲みになる。安価なワインでは品質を安定させるために複数の年のワインを混ぜた「ノン・ヴィンテージ」であることが多い。シャンパンはノン・ヴィンテージが一般的であり、産年表示された「ヴィンテージ・シャンパン」は、高級品に限られる。

品種

ワイン用ブドウ品種の一覧」も参照
カベルネ・ソーヴィニョン

世界的にはワインに使われるブドウの種はヨーロッパ種(学名:Vitis vinifera)が主流である。品種はサルタナ(トンプソン・シードレス)種などごく一部に生食用品種を使用するものもあるが、ほとんどはワイン専用品種である。日本では、巨峰ナイアガラ等の生食用品種を使用しているものもある。一般にワイン専用品種は生食用品種よりも果実の粒が小さく、皮が厚く、甘みと酸味がより強い。代表的な品種としてリースリングカベルネ・ソーヴィニヨンメルローなどがある。また、伝統的な品種だけで無く品種改良によって耐寒性や耐病性を向上したり、他産地との差別化を図るための手法も行われている。

土壌

品種毎に適する土壌には違いがあるとされているが、代表的な好土壌は、カリ白亜土、赤砂質粘土、黄土土壌、混砂粘土、泥灰岩土壌、石灰質土壌、粘陶土質土壌の水はけの良い土地が多く選ばれている。しかし、穀物栽培に適する腐植土壌の滞積平野や湿潤な土地、極度に乾燥した砂漠、塩分の多い土壌は良質なブドウの収穫は望めず不向きである。

気候

ブドウは気候に対する適応能力が高いため温帯を中心に栽培されている。しかし、良質なワインを醸造できる特性を兼ね備えた果実を収穫できる地域の多くは、緯度20度から40度の地域に存在しているが、ヨーロッパでは北緯50度の地域においても栽培が行われている。湿潤な気候区分では地中海性気候が適するが、潅漑用水があればより乾燥したステップ気候地域でも栽培可能である。

冷涼な地域(畑)では収穫期を遅らせ糖度の上昇を待つ、あるいは温暖(畑)な地域では適度な酸が失われる前に早期の収穫を行う事で収穫されるブドウの品質向上を図っている。

天候

その年に雨が多く、日照量が少ないとブドウの生育が悪くなり、そこからできたワインは糖分と果実味に乏しく腐敗果の混入の恐れが増える。逆に日照が良すぎ、生育が早すぎると酸が欠け糖分が強くなりすぎ、酸味とのバランスが悪くなる。

醸造

で熟成されているワイン

伝統的な方法では、搾った果汁を樽や甕に入れ自然酵母(野良酵母)によりアルコール発酵させた後、滓引きを行い樽で数ヶ月から数年間熟成し瓶詰めされる。現在でも基本的な方法はワイン発祥の頃と変わっていない。近代的な醸造方法では培養酵母を添加し、ステンレス製タンク内で発酵させる。熟成(マロラクティック発酵)の際も、特別に培養した乳酸菌を添加する。

酸化防止剤の添加

ワインは、そのほぼ全工程で、なるべく空気、特に酸素との接触を断つ必要がある。これは多くの場合、空気と共に酢酸菌が侵入し酢酸醗酵が行われることで酸味の強すぎるワインになったり、ワインが腐敗状態となるためである。このためワインの製造工程の幾つかの段階では、酸化防止剤としても知られる二酸化硫黄(亜硫酸ガス, SO2)またはそのの1種であるピロ亜硫酸カリウムが添加される。ただし、この二酸化硫黄には、確かに酸素の除去という効果もあるものの、その反応は遅く、しかも、二酸化硫黄は人体に有害な物質としても知られているため、これを添加をしない製法も存在する。このように酸化防止剤を添加しない場合は、醗酵させるタンク内の空気を窒素に置換することで、酸素との接触及び、雑菌の繁殖による腐敗を抑制する手法が多く用いられる。しかし、二酸化硫黄には酸化防止剤としての働きと雑菌の抑制および殺菌の他にも、ブドウの果皮に含まれる酸化酵素の阻害、果汁中の色素の安定化、ワインで発生することのある過酸化水素の除去などの働きもあり、二酸化硫黄の添加を行うことでワインの品質を、より簡単に安定させられるという利点がある。また、二酸化硫黄が含まれていても、少量であれば人体にほとんど問題はないとされていることから、簡単に品質を安定させる手段として、現在でも二酸化硫黄の添加が主流となっている。そして中には、フランスのワイン法のように、二酸化硫黄の添加を義務付けている地域も存在する。ただし、日本やヨーロッパ諸国、アメリカなどでは、製品中の二酸化硫黄の濃度が、一定値を超えてはならないと規制されているため、使用には限度が存在する地域もある。なお、ワインへのこの他の酸化防止剤の使用は、日本では認められていないが、南米などから赤道を越えて船で輸送されるものは、多くの場合に保存料として認められているソルビン酸が添加される。

収穫から搾汁

古典的搾汁方法
果実の破砕、除梗、搾汁を同時に行う機械
詳細は「ムスト」を参照

醸造するには、まず葡萄を収穫しなければならない。葡萄の収穫は糖度が14~26度程度になったところで、鋏または機械で行う。収穫時期をいつにするかということもまたワインの味を決める重要な要素で、単純に糖度が高いだけでは酸とのバランスが悪い物になる。この際に病気のもの(腐敗果)・生育が悪いものは(必要以上に酸をもたらすため)取り除く。この過程を選果という。

伝統的なワインの製造(発酵)方法は、ブドウの芯(果梗)を取り除き(除梗:じょこう)、実の皮を破る(破砕)。産地によっては、ワインにより強い渋みを付けるため果梗を混ぜる場合がある。スペインイタリアの農村では収穫期には伝統的に村人総出で、素足で体重を掛けて搾汁する光景が見られる。最近のワイン工場ではステンレス製の除梗破砕機を使用し搾汁する。多くのワイン専用品種では収穫した果実重量の55~65%程度の果汁が得られ、大粒生食用品種の巨峰等では80~85%程度の果汁を得る。

この次に赤ワインの場合は、果皮や果肉の混ざったままの状態で醗酵させる。白ワインの場合は、圧搾機にかけて果汁を搾り出した(搾汁)後、果汁のみを醗酵させる。ただし、一部の白ワインではスキンコンタクト法と言い「破砕した果実と果汁を1~24時間接触させた後に搾汁する」方法も取られる。このように、白ワインは醗酵させる前に果皮や果肉は捨てられるのが一般的であるものの、種子についてはグレープシードオイル(葡萄種油、食用油)の原料として利用される。ロゼワインの場合は、概要の節で述べたように様々な製法があって、この工程はそれぞれの製法によって異なっている。

なお、ワインの渋みとなるタンニンは果梗や果皮或いは種子に由来し、タンニンはエタノールによって溶出する。したがって、果汁のみを醗酵させる白ワインにはタンニンが少ない。

主発酵(一次発酵)

発酵させるに当たり、ブドウの果実には自然酵母(野生酵母)が取り付いており、さらに、果汁中には酵母が利用可能なブドウ糖が含まれているため、果汁が外に出ることで自然にアルコール発酵が始まる。伝統的な製法では酵母には手を加えない自然発酵が主流であったが、現在では、安定した発酵をさせるため、特別に培養した酵母を使用した酒母として添加し、それ以外の菌を作用させない方法がとられる。更に、ブドウ産地が高温で酸に乏しいブドウとなる場合は、酸を多く生じる酵母を用いる。その後、場合によっては糖(果糖ぶどう糖など)が添加される。この後、赤なら約20~30℃、白なら15~18℃に保ち、数日から数十日かけて発酵させたのち(これを「主発酵」と呼ぶ)、圧搾によって液体成分を搾り出す。目的の発酵度合い(糖の残り具合)になった所で、温度を下げ発酵を停止させることもある。発酵の際の温度が20℃を越えると微香成分が失われるため、低温で長期間の発酵を行う場合もある。 アルコール発酵中に発生する炭酸ガスにより一緒に仕込んだ果皮や種が浮き上がり、好気的な微生物の作用を受けやすくなるため、ピジャージあるいは撹拌や循環により固形分が常に液体に浸った状態を維持する。

酵母による発酵の成果として十分に発酵した場合、糖度計による計測糖度の約1/2の値のエタノールと二酸化炭素(炭酸ガス)が生成される。目的の発酵度合いになったところで、液体と固形分を分離する。このとき圧力をかけずに自然と流れ出た液体が「フリーランワイン」で高級ワインの原料として使用される。一方、残った固形分を圧縮し搾った液体が「プレスワイン」である。「フリーラン」「プレス」は別々に二次発酵から瓶詰めを行うが、プレスワインはブレンド用のワイン原料として利用されるほか、一部ではフリーランと混合され、各々が特徴を持ったワインに仕上がる。

なお、酵母によるアルコール発酵で作り出せる酒のアルコール度数には限界が存在する。これはエタノールが、ある一定濃度以上になってしまうと、酵母がそのエタノールによって死滅してしまうためである。この上限濃度は酵母の菌株によって異なっており、だいたい16%~20%であると言われ、この上限濃度を超えると、酵母は自身の生産したエタノールにより死滅してしまう。したがって、シャンパンのように瓶内二次発酵を行いたい場合は、この濃度に達していない必要がある。なお、酒精強化ワインの場合は、ここで高濃度のエタノール(蒸留酒)を添加することによって、酵母が死滅するようにエタノールの濃度を上げてしまうため、酵母によって消費されなかったブドウ糖などが多く残るために、一般的に甘口に仕上がる。

アルコール発酵」も参照

二次発酵とマロラクティック発酵

搾り出された液体はステンレスやコンクリート製のタンク、木製(主にフレンチオーク、一部ではアメリカンオークも使用される)のに貯蔵される。木製の樽を利用するとその香りなどがワインに影響し、それが良い効果を与えるとされている。一方、ステンレス製のタンクではワインへの影響がないため品質管理がやりやすくなるという利点があり、近年はステンレス製タンクを利用する生産者が増えている。熟成期間は数十日から数年とさまざまである。底にたまった(おり)は随時回収する。アルコール発酵で生じた二酸化炭素を大気中に発散させず、液中に封じ込めたものはスパークリングワインとなる。

酸味の強いワインでは樽での貯蔵中に乳酸菌が投入されてマロラクティック発酵(Malolactic Fermentation,MLF)が行われる。これを「熟成」とも呼ぶ。MLF発酵は酸味の主成分であるリンゴ酸乳酸と二酸化炭素へ分解する化学反応で、製品の酸度の減少と微量芳香成分の付与をする。MLF発酵が行われる温度は15〜18℃で、12℃以下では起こらない。多くの場合、MLF発酵が行われるのは冬期の寒冷期である事から、近代的な製法では乳酸菌スターターの添加と加温管理で行われる。更に、ワインのpHは3.1〜4.0の範囲に無ければならない。pH4.0を越えると失敗しやすくなる。ただし、最適なpHは使用される乳酸菌によって異なっている。また、マロラクティック発酵は赤ワインだけでなく白ワインでも行われる。

乳酸菌としては、 発酵の初期はホモ型 Lacobacillus paracasei , Lb. plantarum , ヘテロ型 Leuconostoc mesenteroides 発酵の後期になると Oenococcus oeni などが作用をもたらす。日本酒に対しこの乳酸菌が作用すると腐造となる。

澱引き(おりびき)

発酵が終わったワインは、酵母や酒石(酒石酸水素カリウム)などの澱が沈降するため、セラミックフィルター、遠心分離濾過、静止などにより澱を分離する。また熟成期間中のワインも、澱が生じるので適宜、澱引きを行う。発酵を停止させる方法は、静止のほか冷却し酵母を沈殿させたり、50℃程度までの加熱を行い酵母を死滅する方法が用いられる。なお、ここで取り除かれる酵母は、加工を行った上で健康食品として販売されることもある。また、蛋白質を除去し透明化させるため、卵白ベントナイトという粘土などを添加する方法はコラージュ(collage)と呼ばれ、高級赤ワインでは広く行われている。

瓶詰め

ワインボトル」も参照

貯蔵後はガラス瓶などの容器に詰め、コルクなどで栓をし、この後、出荷される。コルクには天然のコルクと、合成素材のみ、もしくは天然コルクと合成素材を組み合わせた合成コルクがある。合成コルクは主に安価なワインに使用される。汚染等が問題になるコルクの代りにスクリューキャップ(: Screw cap)も用いられる。安いワインはバッグ・イン・ボックスと呼ばれる段ボール箱に入った特殊な薄い袋(容量は2リットルから4リットル程度)に詰めて売られることも多い。これは、輸送コストが安く、空気が入りにくいため開栓後ワインが酸化しにくいのが特長である。また、ペットボトルや紙パック、缶が容器として使用されることもある。

特殊な醸造技術

補糖と補酸
ワインの醸造の過程では補糖が行われる場合がある。補糖の目的は、果汁の糖度の不足を補う事で発酵により生産されるアルコール度数を高め腐敗を防ぐと共に、赤ワインでは溶出する色素を増加させ色を濃くすることにある。また、果汁の酸が少なくても腐敗することから、酸の不足を補うために補酸が行われる場合があるが、過剰な酸を含む場合は除酸も行われる。多くの国では、この2つの同時使用は認められておらず、またどちらかが法律で禁止されている場合もある。例えば、ボルドー、ブルゴーニュでは同時使用が禁止され、カリフォルニア、オーストラリアでは補糖が禁止されている。
炭酸ガス浸漬法
果実味に富んだ鮮やかな色とタンニンの少ないワインの醸造に用いられる。炭酸ガス浸漬法は、果実を房のまま入れた容器を密閉し、炭酸ガスを充満させて行う特殊な発酵方法で、「マセラシオン・カルボニック」や「カーボニック・マセレーション」とも呼ばれる。葡萄は果粒中の酵素によりアルコール(1.5〜2.5%)を生じ、数日後に搾汁し補糖をして酵母による発酵へと移る。短期間で作られ、毎年11月の第3木曜日が解禁となる「ボジョレー・ヌーヴォー」もこの製法で作られる。数十年といった長期保存には向かない。
詳細は「ボジョレーワイン#製法について」を参照
果汁再添加
ワインの生産過程で時に、果汁再添加(果汁再配合)が行われることがある。これは発酵により失われた香りや甘味を補うためで、主としてアルコール度数の低い日常消費用の甘口ワインに用いられる。ドイツで多く見られる技法で、添加される果汁は多くの場合、搾汁した際に醸造用とは別に保存していたものを混合する。「ジュースリザーヴ」あるいは「ズュースレゼルヴ」ともいう。

芳香成分

香りはワインの品質を決定づける重要な要素であり、原料のブドウと醸造の各々の段階で加わり複雑なアロマを形成する。

特殊な製法のワイン

発泡ワイン
発泡ワインは、瓶内二次発酵などの製法により製造される発泡性のワインである。フランスシャンパンスペインカバドイツのゼクト、イタリアランブルスコスプマンテ等がある。
酒精強化ワイン
酒精強化ワインは、発酵の途中でブランデーなどブドウを原料としたアルコールを添加して発酵を止めたもので、糖分の多く残ったワインができあがる。スペインシェリーポルトガルポートワインマデイラが代表的で、これらは三大強化ワインと呼ばれることもある。日本の酒税法では甘味果実酒にあたる。
貴腐ワイン
貴腐ワインは、ボトリティス・シネレアという貴腐菌がついた葡萄から作ったワインのことを指す。貴腐菌により果皮に無数の穴が開き、そこから余分な水分が蒸発して糖度が上がり、非常に甘いワインとなる。また菌による代謝を受けるため組成成分が変化し、貴腐香と呼ばれる独特の香りを持つ。食後酒・デザートワインとして珍重される。フランスソーテルヌハンガリートカイがとくに有名であり、オーストリアの「ノイジードラーゼー」やドイツの「ベーレ
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出典:wikipedia
2018/08/03 17:23

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