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認知症とは?

【認知症
Dementia】

正常な高齢者(左)と、アルツハイマー病罹患高齢者(右)の脳比較。

【分類および外部参照情報】

診療科・
学術分野

神経学, 精神医学
ICD-10 F00-F07
ICD-9-CM 290-294
DiseasesDB
29283
MedlinePlus
000739
Patient UK
認知症
MeSH
D003704

認知症(にんちしょう、: Dementia: Demenz)は認知障害の一種であり、後天的なの器質的障害により、いったん正常に発達した知能不可逆的に低下した状態である。認知症はなどヒト以外でも発症する。狭義では「知能が後天的に低下した状態」の事を指すが、医学的には「知能」の他に「記憶」「見当識」を含む認知障害や「人格変化」などを伴った症候群として定義される。これに比し、先天的に脳の器質的障害があり、運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は知的障害、先天的に認知の障害がある場合は認知障害という。単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下して性格の先鋭化、強い承認欲求、理性的思考力衰退、被害妄想を招く症状をさす。

日本ではかつては痴呆(ちほう)と呼ばれていた概念であるが、2004年厚生労働省の用語検討会によって「認知症」への言い換えを求める報告がまとめられ、まず行政分野および高齢者介護分野において「痴呆」の語が廃止され「認知症」に置き換えられた。各医学会においても2007年頃までにほぼ言い換えがなされている(詳細については#名称変更の項を参照)。

認知症は70歳以上人口において2番目に多数を占める障害疾患である。全世界で3,560万人が認知症を抱えて生活を送っており、その経済的コストは全世界で毎年0.5-0.6兆米ドル以上とされ、これはスイスのGDPを上回る。患者は毎年770万人ずつ増加しており、世界の認知症患者は2030年には2012年時点の2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測している。

現在の医学において、認知症を治療する方法はまだ見つかっていない。安全で効果的な治療法を模索する研究が行われているが、その歩みは難航している。

OECD各国の65歳以上人口における認知症者(%)

症状

以前よりも脳の機能が低下し、主に以下の様な各種症状を呈することとなる。

中核症状

程度や発生順序の差はあれ、全ての認知症患者に普遍的に観察される症状を「中核症状」と表現する。 記憶障害見当識障害(時間・場所・人物の失見当)、認知機能障害(計算能力の低下・判断力低下失語・失認・失行・実行機能障害)などから成る。

これらは神経細胞の脱落によって発生する症状であり、患者全員に見られる。病気の進行とともに徐々に進行する。

周辺症状(BPSD)

全ての患者に普遍的に表れる中核症状に対し、患者によって出たり出なかったり、発現する種類に差が生じる症状を「周辺症状」、近年では特に症状の発生の要因に注目した表現として「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理障害)」「non-cognitive symptoms」と呼ぶ。

主な症状としては幻覚(20-30%)、妄想(30-40%)、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害抑うつ不安(40-50%)、焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出など)などがある。

発生の原因としては中核症状の進行にともなって低下する記憶力・見当識・判断力の中で、不安な状況の打開を図るために第三者からは異常と思える行動におよび、それが周囲との軋轢を生むことで不安状態が進行し、さらに症状のエスカレートが発生することが挙げられる。前述の通り、中核症状と違い一定の割合の患者に見られ、必ずしも全ての患者に同一の症状が見られるとも限らない。またその症状は上記のもの以外にも非常に多岐にわたり、多数の周辺症状が同時に見られることも珍しくない。中核症状が認知症の初期・軽度・中等度・重度と段階を踏んで進行していくのに対し、周辺症状は初期と中等度では症状が急変することも大きな特徴である。初期では不安や気分の沈みといった精神症状が多く、中等度になると幻覚や妄想などが発現する。

かつては中等度になると激しい症状が現れ、患者は日常生活を行う能力を急速に喪失してゆき、周辺症状の発現と深刻化によって家族などの介護負担は増大の一途を辿るため、「周辺症状=中等度」との固定観念が存在したが、現在では軽度でも一定の症状が発生することが分かってきたため、その固定観念の払拭と、より原因に着目した表現としてBPSDが用いられるようになった。

オーストラリアにおけるBPSD管理指針
【Tier】
【診断】
【有病率】
【症状】
管理
1 | 認知症なし | - | - | 予防に努める
2 | BPSDのない認知症 | 40% | - | 予防・進行を遅らせる処置をする
3 | 軽程度BPSDの認知症 | 30% | 夜間騒乱、徘徊、軽い抑うつ、無気力、反復質問、シャドーイング | プライマリケア管理
4 | 中程度BPSDの認知症 | 20% | 大うつ病、攻撃的言動、精神病、性的脱抑制、放浪 | 専門医受診のうえプライマリケア管理
5 | 重いBPSDの認知症 | 10% | 深刻な抑うつ、叫び、激しい錯乱 | 専門の認知症ケアが提供される施設
6 | 非常に重いBPSDの認知症 | 1%以下 | 物理的攻撃、深刻な抑うつ、自殺傾向 | 老年精神施設にて管理
7 | 激しいBPSDの認知症 | まれ | 物理的暴力 | 集約された特別治療施設

激しすぎる周辺症状が発生した場合、向精神薬等を用いて鎮静化させることもあるが第一選択としては推奨されず、前述の通り不安状態、および認知能力が低下した状態での不安の打開方法としての行動が原因であるため、まずその不安の原因となっている要素を取り除くことが対処の基本となる。中核症状の進行を阻止する有効な方法は確立されていないが、適切な介護・ケア方法によって周辺症状の発生を抑え、明確な症状が見られないままターミナル期を迎えることも可能である。初期の状態での適切なケアが重要となる。

その他の症状

実臨床においては、アルツハイマー病と白質型多発性脳梗塞の合併が多く、後者では歩行障害(パーキンソン症候群。開脚性を伴うことも少なくない)および排尿障害(進行すると尿失禁に至る)がしばしばみられる。レビー小体型認知症では、認知症・幻覚妄想と共に、歩行障害過活動膀胱を含めた自律神経障害がしばしばみられる。

分類

認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断される。

以下は原因疾患による認知症のおおよその分類

また、認知症患者のおよそ10%程度は混合型認知症(mixed dementia)であり、一般的にアルツハイマー病とその他の認知症(前頭側頭型や血管性型)を併発している。

脳血管障害の場合、画像診断で微小病変が見つかっているような場合でも、これらが認知症状の原因になっているかどうかの判別は難しく、これまでは脳血管性認知症(VaD)と診断されてきたが、実際はむしろアルツハイマー病が認知症の原因となっている、いわゆる、「脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症(混合型認知症)」である場合が少なくなく、純粋なVaDは7.3%と言われている。

皮質性認知症と皮質下性認知症という分類がなされる事もある。血管障害性と変性性という分類もあり、Hachinskiの虚血スコアが両者の区別にある程度有用である。日本では従来より血管性認知症が最も多いといわれていたが、最近はアルツハイマー型認知症が増加している。

軽度認知障害

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、正常老化過程で予想されるよりも認知機能が低下しているが、認知症とはいえない状態。認知症の前段階にあたるが、認知機能低下よりも記憶機能低下が主兆候となる。主観的・客観的に記憶障害を認めるが、一般的な認知機能・日常生活能力はほぼ保たれる。「認知症」の診断ができる程度に進行するまで、通常5〜10年、平均で6〜7年かかる。医療機関を受診した軽度認知障害では、年間10%から15%が認知症に移行するとされる。さらに、単に軽度の記憶障害のみの例より、他の認知障害を合わせて持つ例の方が、認知症への進行リスクははるかに高い(4年後の認知症への移行率は、記憶障害のみの場合は24%、言語・注意・視空間認知の障害のいずれかの合併例では77%であった)。

認知症における疾患修飾治療(disease-modifying therapy)、いわゆる根治療法を企図した100以上の臨床試験がすべて失敗に終わり、少なくともMCIの段階からの治療開始が望ましいと考えられている。しかし、MCIから認知症への進行を確実に食い止める治療法はまだ見つかっていない。

MCIの段階では、軽症であるがゆえにその背景にある病気、つまりアルツハイマー病の前駆段階なのか、血管性認知症の前駆段階なのかを判定するのがしばしば困難であること、さらに最近の報告(Brain 2013)では、80歳以上のアルツハイマー病の方の実に8割が何らかの脳血管障害を伴っていることが明らかとなり、脳血管障害に対する介入が、血管性認知症はもちろんのこと、アルツハイマー病の前駆段階であるMCI(MCI due to ADと呼ばれる)に対しても有効なのではないかという期待が世界中で高まっている。我が国でも、脳血管障害に対する治療薬がMCIに対して有効かどうかを確かめようとする医師主導治験(COMCID Study)が平成27年5月より始まっている。

国立長寿医療研究センターの研究班がまとめた発表によると、認知症の前段階と言われるMCIの高齢者を4年間追跡調査してみたところ、14%が認知症になったものの、46%は正常に戻った。研究は、認知症患者ではない65歳以上の住民約4200人を2011年から4間追跡、国際的なMCI判定基準に基づく150項目に回答する形での認知機能検査により、最初の時点で約740人(18%)がMCIと判定された。4年後に同じ検査を行ったところ、MCIと当初判定された人の46%は正常範囲に戻っていた。この認知機能検査は、記憶力・注意力・処理速度・実行機能の4項目を検査するが、MCIの中でも、1項目だけスコアが低いタイプが正常に戻った割合が39〜57%であるのに対し、複数の項目のスコアが低いタイプは20%台であった。MCIの中でも、問題のある項目が少ないほど回復率が高い傾向があった。また、4年の間に認知症と診断された人の割合は、当初MCIと判定された人では14%と、当初正常だった人の5%に比べ、大幅に高くなっていた。

若年性認知症

若年性認知症(Young onset dementia, YOD)とは、65歳未満で発症する認知症。有病率は研究途中ではあるが、45-64歳の人口10万あたりの男性で101-120人、女性で61-77人というデータがある。

原因

危険因子

年齢
最大の危険因子である(特にアルツハイマー型)ことが知られている。23の疫学研究を基にしたメタ分析では、年齢とともにアルツハイマー型の発症率が指数関数的に上昇することが示された。また、75〜85歳の高齢者の追跡調査したthe Bronx Aging studyでは、認知症全体の発症率が85歳まではゆっくり上昇し、85歳を越えると急激に上昇する、というデータが得られている。
家族歴
片親が認知症の場合、本人が発症する危険は10〜30%上昇する。特に、片親が早期発症のアルツハイマー型認知症の場合、本人発症の危険はかなり高くなる(例えば親の発症が50代前半なら、本人発症の危険は約20倍)。
遺伝因子
神経保護に関与するApolipoprotein Eの遺伝子型e4などがアミロイド沈着に関係すると言われる。他の遺伝子で危険因子として確定しているものはない。
各種薬物(医薬品や漢方薬、サプリメントなど)による薬害
血圧降下剤による薬害
抗コリン剤による薬害
ベンゾジアゼピン短期使用
ベンゾジアゼピンの短期使用は、認知症やアルツハイマー病のリスクを少し増加させる。しかし、長期使用はリスク増加に関連付けられていない。このことから、短期使用とリスク増加の関連は、前駆症状の治療を表した可能性が示唆される。
Z薬(アルファベットのZで始まる名称のものが多いことからの俗称。Wikipediaの項目Z薬を参照)
60歳以上の患者におけるZ薬の定期的な使用は、認知症のリスク増加と有意な関連を示した。補正後のオッズ比は 1.21 (95%CI: 1.13 - 1.29) であった。長時間タイプは関連が少し強かった。
酒さ(Rosacea)
病院で酒さ (Rosacea) の診断を受けた患者は認知症のハザード比が 1.42 (95%CI: 1.17 - 1.72)、アルツハイマー型認知症のハザード比が 1.92 (95%CI: 1.44 - 2.58) と報告された。酒さは認知症、特にアルツハイマー型と有意な関連を示した。
動脈硬化の危険因子
高血圧糖尿病喫煙高コレステロール血症などが、脳血管型やアルツハイマー型などの本症の危険因子となる。
加齢関連認知低下(Aging-associated Cognitive Decline:AACD)
記憶障害のみにとどまらず認知機能低下をも含む、「広義の軽度認知障害」の概念のひとつとして国際老年精神医学会が診断基準をまとめたもの。
加齢関連認知低下とは、6ヶ月以上にわたる緩徐な認知機能の低下が本人や家族などから報告され、客観的にも認知評価に異常を認めるが、認知症には至っていない状態である。認知機能低下は、(a)記憶・学習、(b)注意・集中、(c)思考(例えば、問題解決能力)、(d)言語(例えば、理解、単語検索)、(e)視空間認知、のいずれかの面に該当する。
ある地域の高齢者を対象にした研究では、3年後での認知症への進行率は、軽度認知障害が11.1%、加齢関連認知低下では28.6%であった。しかも、軽度認知障害の一般地域高齢者に占める割合は3.2%のみだが、加齢関連認知低下は19.3%にも上る、と報告されている。

難聴との関係

アメリカ国立加齢研究所(NIA)縦断研究部門長ボルティモア加齢縦断研究責任者のLuigi Ferrucci博士らの研究で、難聴を有する成人はそうでない成人に比べて、認知症およびアルツハイマー病を発症するリスクが高く、難聴が重度であるほどリスクも高いことを突き止めた。この研究は、36-90歳の男女639人を対象に、難聴と認知症との関連性について調べたもので、1990年の研究開始時に認知症が認められた被験者はいなかった。研究グループは4年間にわたり、認知力と聴力検査を実施し、2008年まで平均約12年に及ぶ追跡調査を行い、認知症やアルツハイマー病の徴候をモニターした。その結果、125人の被験者が「軽度」、53人が「中等度」、6人が「重度」の難聴と診断された。最終的には、58例が認知症と診断され、そのうち37例はアルツハイマー病であった。軽度の難聴では認知症リスクがわずかに上昇し、中等度と重度の難聴を持つ患者ではリスクが大幅に増大していた。また、60歳以上の被験者では、認知症発症リスクの36%超が難聴と関連していることが分かった。難聴が悪化するほどアルツハイマー病のリスクは増大し、聴力が10デシベル低下するごとに、発症リスクは20%ずつ増大した。研究結果は、医学誌「Archives of Neurology(神経学)」2011年2月号に掲載された。この結果に関連して、アメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学のリチャード・B・リプトン博士は『HealthDay News』2月14日付にて、「難聴は加齢の生物学的測定値の一種かもしれない。また、難聴は神経細胞の損傷の結果生じた可能性があり、仮に聴覚を介在するニューロンに障害があるなら、記憶やより高度の認知機能をつかさどる神経細胞の損傷マーカーにもなる」と述べた。

診断

意識障害時には診断できない。ICD-10DSM-IVでさえ診断基準は異なるが、一般に、日常生活に支障が出る程度の記憶障害認知機能の低下の2つの中核症状が見られる時に診断する。周辺症状の有無は問われない。機能が以前と比べて低下していることが必須であり、生まれつき低い場合は精神遅滞(知的障害)に分類される。

記憶認知機能などの程度を客観的に数値評価する検査としてWAIS-R(ウェクスラー成人知能検査)などがあるが、施行に時間を要し日常診療で用いるには煩雑である。簡便なスクリーニング検査としては、世界的にはミニメンタルステート検査(MMS、MMSE)が頻用されている。日本では聖マリアンナ医科大学の長谷川和夫らが開発した「長谷川式認知症スケール」(HDS-R)がよく利用される。

軽程度・疑わしい認知症患者については脳波検査も含めるべきである。

英国国立医療技術評価機構(NICE)はアルツハイマー型認知症脳血管性認知症の診断基準にはNINCDS-ADRDAアルツハイマー基準前頭側頭型認知症の診断基準にはLund–Manchester基準を推奨している。

鑑別疾患

せん妄、FTD、クロイツフェルト・ヤコブ病が疑われる場合には、脳波検査を検討すべきである。

うつ病せん妄と間違われやすい。難聴とも鑑別を要する。

検査

神経心理学的検査

知能検査をはじめとする神経心理学的検査が診断および重症度評価などに用いられる。記憶検査としてはウェクスラー記憶検査法(WMS-R)や日本語版リバーミード行動記憶(RBMT)が標準とされているが認知症診療では実際的ではないため、ここでは認知症で用いられる検査を中心に概説する。認知症の評価、スクリーニングでは記憶など中核症状、BPSD、ADLの3つの症候を扱う。それぞれ質問式の認知機能検査を用いたり観察式の行動評価尺度を用いたりする。それぞれの検査の特徴を以下にまとめる。

【質問式】
観察式
最低限の情報で実施可能 | 十分に把握している家族、介護スタッフが必要
本人のみであっても実施可能 | 家族などからの情報のみで評価可能
本人が協力的でなければ実施不可能 | 本人が拒否的であっても評価可能
著しい視聴覚障害があると実施不可能 | 視聴覚障害の影響をほとんど受けない
施行者によるばらつきは少ない | 結果のばらつきを減らすにはマニュアルによる訓練が必要
居宅、入院、入所を問わない | 評価項目によっては入院、入所では評価できない
認知機能障害は評価できるがBPSDは評価できない | 認知機能障害もBPSDも評価できる
質問式の知機能障害を測定する尺度

General practitioner Assessment of Cognition(GPCOG)やMini-CogおよびMemory Impairment Screen(MIS)は日本語版が作成されていないため一般的ではない。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)
長谷川和夫によって作成された認知症診断のための簡易スケールで、現在日本で最も広く使用されている。かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれていたが、2004年4月に痴呆症から認知症へ改称されたことに伴い現在の名称に変更されている。自分の年齢や現在の日付、現在位置や物の名称、簡単な引き算などの9つの設問からなり、最高得点は30点であり20点以下を認知症の疑いありとする。あくまで簡易スクリーニング検査であり、認知症との判断を下したり重症度分類の際には使用されない。参考となる平均点は非認知症は24.3±3.9点、軽度は19.1±5.0、中等度15.4±3.7、やや高度10.7±5.4、非常に高度4.4±2.6とされている。
ミニメンタルステート検査 (Mini-Mental State Examination, MMSE)
国際的には最も普及している方法で、英国・豪州では推奨されている。日本でも長谷川式認知症スケールと併用されることが多い。11の設問からなり、満点は30点。原法では20点以下を認知症としたが23点以下を認知症とするのが2010年現在は一般的である。HDS-Rと比較して記憶に関する負荷が低く、教育年数による影響が知られている。一方で長谷川式には存在しない、認知機能の低下による影響が大きい視空間と構成能力を判断する図形の模写を求める設問がある。
時計描画試験(Clock Drawing test、CDT)
視空間と構成能力を評価する簡便な検査法である。時計の文字盤を書いてもらい、指定した時刻を示す長針と短針を書き加えてもらうだけの簡便な検査である。課題としてはコンセンサスを得られた採点法が存在しないことである。
The Seven Minites Screen(7MS)
軽度のADと健常者の区別にすぐれた検査法であり、高感度、高特異度であるがベットサイドで簡便に行うことはできない。
年齢と生年を質問するスクリーニング法
2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」のみを用いるスクリーニングは有用という報告がある。「2つの質問への回答がどちらも誤っているときには認知症である」とすると感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。
Alzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)
臨床的に診断されたADに対するコリン作動薬による認知機能の変化を評価すること目的としている。スクリーニングとして用いられることはない。ADASの認知機能下位尺度であるADAS cog.が臨床試験でよくも用いられる。アルツハイマー型認知症では年間得点変化が9-11点であり、変化は軽度と高度認知症では小さく、中等度認知症では大きい傾向が指摘されている。
Severe Impairment Battery
高度に障害された認知機能を評価する。
日本語版リバーミード行動記憶検査(RBMT)
記憶検査であるが、日本語版では認知症にも用いられるように標準化に高齢者の被験者が含まれている。日常生活のさまざまな状況を再現しているのが特徴。
日本語版Neurobehavioral Cognitive Status Examination(CONISTAT)
多面的な評価が可能である。
観察式による認知機能障害を評価する尺度
Clinical Dementia Rating(CDR)
最も一般的に用いられている観察式の認知症の重症度評価法である。健康がCDR=0、認知症の疑いがCDR=0.5、軽度認知症がCDR=1、中等度認知症CDR=2、高度認知症CDR=3と判定する。
Functinal Assessment Staging(FAST)
CDRと共に国際的に頻用されている観察式の重症度評価法である。ADLを総合的に判断し認知症の中でもADの重症度を判定することを目的とする。境界領域や軽度認知症のADL行動変化が非常に検出しやすいことが特徴である。その他の特徴としてはそれぞれのstageの期間と予後が示されている点、各stageの認知機能低下を示す状態の鑑別疾患が示されている点が特徴である。
N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)
CDRに比べて対象者の日常生活の具体的な状況を当てはめることで評価できるため介護施設で用いられることが多い。
介護者からの情報による認知症スクリーニング尺度
Short Memory Questionnaire(SMQ)
この尺度は日常生活において要介護高齢者と関わる機会の多い主たる介護者が要介護高齢者の認知障害の程度を評価するために作成されたものである。
Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly(IQCODE)
高齢者における認知機能低下のインフォアンケート。高齢者における認知機能低下や認知症を評価するために設計された短いアンケート。
日常生活動作能力(ADL)、道具的日常生活動作能力(IADL)を評価する尺度
日常生活動作」も参照
Physical self-Maintenance Scale(PSMS)/Instrumental Activities of Daily Living(IADL)
家族、介護者からの情報に基づき評価する。簡便で日常生活の中で活用可能である。認知症ではやや複雑なIADLがbasic ADLより先に障害されるため、IADLの評価の意味は大きい。
N式老年者用日常生活動作能力評価尺度(N-ADL)
老年者および痴呆患者の歩行・起座、着脱衣などの日常生活動作能力を多面的にとらえ、点数化して評価する行動評価尺度である。
認知症のための障害評価表(Disability Assessment for Dementia:DAD)
基本的には在宅のAlzheimer病患者を対象とした尺度である。運動機能障害のない患者に対して行われる。
ADCS-ADL(Alzheimer's Disease Cooperative Study-ADL scale)
家族、介護者からの情報を基に評価がなされる。主にAD患者を対象とした治験で用いられる。
認知症の周辺症状(BPSD)を評価する尺度
Neuropsychiatric Inventory(NPI)
介護者による精神症状を評価するための方法。妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1〜4の4段階で、重症度を1〜3の3段階で評価する。
Behavioral Pathology in Alzheimer's Disease(Behave-AD)
ADに特徴的な妄想、盗癖、孤独への恐怖、睡眠障害等に注目したもので、薬物療法への評価を目的に使用される。
Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)
叩く、足踏みする、叫ぶ等の行動に注目し、過去2週間の行動の頻度について38項目の質問を行うものである。
抑うつ状態を評価する尺度
Geriatric Depression Scale(GDS)
老年期うつ病評価尺度。15の質問からなる。評価基準: 0-4 うつ症状なし; 5-10 軽度のうつ病; 11+ 重度のうつ病。
Cornell Scale for depression in Dementia(CSDD)
認知症でうつ病のためのコーネル尺度。19の質問からなる。評価基準: >10 おそらく大うつ病; >18 明確な大うつ病。
多元的認知症評価尺度
GBSスケール(GBSS)
運動機能6項目、知的機能11項目、感情機能3項目、精神症状6項目を6段階評価とする。認知症の重症度とともに質的差異も評価できる尺度であるが、認知症の診断目的ではない。
認知症の生活の質(QOL)を評価する尺度
日本語版Alzheimer's Disease-Health Related Quality of Life(AD-HRQ-J)
アルツハイマー病を持つ人の生活の健康関連の品質を評価するために使用される。ADの人の介護者に質問される。
日本語版Dementia Quality of life Instrument(DQoL)
日本語版DQoLは29項目から構成され、(1)自尊感情、(2)肯定的情動、(3)否定的情動、(4)所属感、(5)美的感覚の5つの下位尺度から構成される。
介護者の介護負担を評価する尺度
Burden Interview
負担のインタビューは、介護者が経験したストレスを反映するように設計されている。22の一連の質問に回答するように求められる。

生化学検査

CSF Aβ

ベータアミロイド(Aβ)は脳脊髄液(CerebroSpinal Fluid、CSF)、血漿中にAβ40とAβ42として存在する。高齢者ではCSF Aβ42が低下するがAD患者ではAβ40が高度に低下しAβ40/Aβ42比は増加する。

CSF タウ

タウ蛋白質はADで上昇するとされている。AD以外では血管性認知症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、HIV感染症では上昇は認められない。しかし前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病では上昇例が認められている。よりADに特異度が高い検査としてリン酸化タウが期待されている。

血漿 Aβ

血漿AβもAD発症の危険因子や病態進行のマーカーとなりえる。

生理検査

脳波

アルツハイマー型認知症の患者では脳波は以下のように推移することが知られている。コリネステラーぜ阻害薬によって徐波が減少することが知られている。

画像検査

他疾患との鑑別、認知症タイプ判別のため、認知症の疑いのある場合は画像撮影を実施しなければならない。

頭部CT

脳腫瘍慢性硬膜下血腫正常圧水頭症などの治療可能な疾患の検出が目的となる。脳萎縮の評価はMRIに比べて劣る。内側側頭部の萎縮の評価は間接所見として側脳室下角の拡大の程度で判定するが下角の拡大が常に海馬や海馬傍回の萎縮と合致するとは限らない。

頭部MRI

statistical parametric mapping(SPM)やvoxel-based morphometry(VBM)が盛んである。認知症の鑑別としてDLBとADを比較すると、ADでは海馬や側頭頭頂葉皮質の萎縮が強い。無名質はADの方が、中脳被蓋はDLBの方が萎縮が強いことが示されている。ADでは高齢発症では内側側頭部萎縮が目立つが初老期発症では側頭頭頂葉皮質の萎縮が目立つ。

SPECT

認知症疾患の鑑別として単一光子放射断層撮影(SPECT)は非常に重要視されている。AD,VaD,FTDかの診断が疑わしい場合はSPECTを実施すべきである。シンチグラフィーも参照。血流は神経細胞数よりもシナプス活動を反映していると考えられており、ADではパペッツの回路として嗅内皮質と解剖学的に密接な繊維連絡を持つとされている帯状回後部や楔前部で血流低下が認められる。DLBでは後頭葉の血流低下が認められる。

PET

アミロイド斑を検出できるPETトレーサーが開発されておりアミロイドイメージングとして注目されている。11C-PIBが最も研究されておりADでは前頭前野や楔前部などの大脳皮質に強い集積が認められるのに対して、正常例では大脳皮質の集積は乏しいとされている。

管理

治療可能と判明しているタイプ以外の認知症以外について、治療法は存在しない。AChE薬は初期状態の認知症に多く処方されているが、しかしその利益は大きくない。

「治療可能な認知症(treatable dementia)」の場合は原因となる疾患の治

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出典:wikipedia
2020/03/23 04:02

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