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郵政民営化とは?

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郵政民営化(ゆうせいみんえいか)は、従来国営で行われてきた郵政事業組織構成を組み換え、民間企業(必ずしも民有ではない)に改編することである。

目次

  • 1 日本における概説
  • 2 経緯
    • 2.1 米国政府と米国の保険・経済界の要求
    • 2.2 郵政省から郵政公社へ
    • 2.3 財政投融資への委託廃止
    • 2.4 小泉内閣による郵政民営化
    • 2.5 郵政民営化の実現
    • 2.6 民主党政権による見直し
  • 3 組織
  • 4 職員の帰属
  • 5 不動産の帰属
  • 6 郵政民営化に対する意見
    • 6.1 行政改革効果
    • 6.2 事業合理化の可能性
    • 6.3 分社化の影響
    • 6.4 外国資本の影響
    • 6.5 その他
  • 7 国民に対する告知
    • 7.1 テレビ
    • 7.2 新聞
    • 7.3 パンフレット・チラシ
    • 7.4 インターネット
  • 8 諸外国の郵政事業の動向
    • 8.1 ドイツ
    • 8.2 イギリス
    • 8.3 スイス
    • 8.4 ハンガリー
    • 8.5 アメリカ合衆国
    • 8.6 ニュージーランド
    • 8.7 オーストラリア
  • 9 脚注
    • 9.1 注釈
    • 9.2 出典
  • 10 参考文献
  • 11 関連項目
  • 12 外部リンク

日本における概説

郵政民営化の概念図

日本における郵政民営化とは、日本政府1990年代末から2000年代にかけておこなわれた郵政三事業(郵便簡易保険郵便貯金)を民営化することを目的とした政策である。

民営化以前の郵便局では郵便配達以外に、「郵便貯金」という銀行業務や「簡易保険」という保険業務が行われており、全国の郵便局には、北海道拓殖銀行日本長期信用銀行経営破綻により、合計350兆円もの資金が集まっていた。郵便局からこの資金が日本国政府に貸し出され、日本国政府はこれらを旧日本道路公団住宅金融公庫などの特殊法人へ貸し出す「財政投融資の原資」とした。

貸し出された側では、郵便局に集まる郵便貯金を当てにできたため、費用対効果をあまり省みないで活動ができた。そのため赤字の道路が漫然と作られるような状況が生まれた。そこで、

ようにした。郵政民営化後は、日本郵政はいままで払っていなかった法人税など日本の租税の徴収対象となり、日本国政府の護送船団方式政策の対象ではなくなり、一般企業として市場競争に晒されることになった。

「民営化」議論によって「郵政四事業」として語られるようになったが、従来の三事業に包含されていた、郵便局窓口での接客サービスである「窓口業務」を別事業として区分したものである。

民営化後長らく日本郵政株は100%日本国政府保有(財務大臣所有)であったが、2015年11月に東京証券取引所第一部に上場された。あわせて、ゆうちょ銀行かんぽ生命保険も上場し、日本郵政から株の売り出しがなされた。

経緯

米国政府と米国の保険・経済界の要求

1990年代初頭から、郵政民営化論に積極的だった米国の保険業界・経済団体と米国政府が、毎年、規制緩和要求や保険協議などで郵貯・簡保の廃止、民営化の要求を日本政府に提示し始めた。平成16年9月22日の日米首脳会談でブッシュ大統領自身が直接、小泉首相に郵政民営化が進んでいるかと確認したほど米国側は熱心であった。

郵政省から郵政公社へ

1996年第1次橋本内閣の「行政改革会議」が発足し、中央省庁再編について議論が交わされた。翌年8月に出された中間報告では、郵政民営化が政府報告として初めて盛り込まれ、郵便は国営、郵便貯金は民営化を準備、簡易保険は民営化、という案が出された。しかし最終報告では、郵政三事業は国営を維持させ、三事業一体の公社で国家公務員の職員によって運営される、という結論が出された(公社の職員は本来であれば公務員から外れるべきものである)。結果として、国家公務員の公社という不自然な形となっており、公社の経営形態を今後見直さないという条項さえもあった。これには、自民党の支持基盤である特定郵便局長会、そのOBで構成されている大樹の会民主党の支持基盤である郵政系の労働組合、旧郵政省の官僚らの圧力があった。

2001年1月6日に実施された中央省庁再編により、郵政省の郵政行政及び郵政事業部門は、それぞれ総務省郵政企画管理局郵政事業庁に再編された。その後、2003年4月1日に郵政事業庁が特殊法人である日本郵政公社となった。

財政投融資への委託廃止

かつて郵便貯金の資金運用は大蔵省資金運用部に全額預託されていた(財政投融資)。 この預託金利は市場より割高に設定(0.2%上積み)されており、その差益は割高な貸出金利を特殊法人に貸し出すことで捻出され、結果的にその負担は特殊法人への税金投入という国民負担となっていた。

しかし、1997年の第2次橋本内閣の財投改革により預託義務は廃止され、郵政公社は資金運用を自主運用することが求められる事となった。 だが官営である郵政公社の資金運用は原則として国債のみに制限されており、これは金融商品の中で最も利回りが低く、このままでは経営が成り立たない。大蔵省預託による割高金利という「ミルク」が享受できなくなった以上、国債以外の金融商品にて資金運用を行うためには、経営リスクを背負える組織がふさわしい。結果的に郵政民営化は避けられない状態であった。

小泉内閣による郵政民営化

小泉純一郎内閣総理大臣に就任すると、小泉内閣は郵政民営化を重要施策の一つとして掲げ、小泉自身も「行政改革の本丸」であると主張した。小泉は1979年大蔵政務次官就任当時より郵政事業の民営化を訴え、宮沢内閣時の郵政大臣在任時や、第2次橋本内閣の厚生大臣在任時にも訴え続けていた。いっぽうで郵政三事業の民営化は行政サービスの低下につながるとして激しい反対論が野党はもとより与党である自民党内からも噴出し、衆議院で否決される事態となった。

郵政民営化関連法案は、第162回通常国会で一部修正の上、2005年7月5日衆議院本会議においてわずか5票差でかろうじて可決されたものの、2005年8月8日参議院本会議においては否決された。衆参どちらの採決においても、自民党執行部の党議拘束にもかかわらず、多数の自民党国会議員が反対に回っていた(造反議員の一覧については郵政国会を参照のこと)。

この結果を受けて、小泉は郵政民営化の賛否を国民に問うとして、衆議院を解散した(郵政解散)。反対派の一部は自民党を離脱し、新党(国民新党新党日本)を結成。そのいっぽうで離党せず自民党に残った議員は、党公認を得られず、無所属候補として第44回衆議院議員総選挙に出馬することになった。また、郵政民営化に反対した国会議員の小選挙区全てに、小泉自民党は対立候補(いわゆる「刺客候補」)を送り込んだ。これら刺客候補を送られ対立した議員の多くは、次期政権の安倍政権によって多くの議員が自民党へ復党している。

そして9月11日に実施された第44回衆議院議員総選挙では、与党で2/3の議席を超える「圧勝」という結果になった(ただし公明党は3議席を失い敗北する)。自民党は選挙後、郵政民営化に反対した国会議員に対して、党紀委員会で除名や離党勧告などの重い処分を科した。後の特別国会で、10月14日に同内容の関連法案が可決・成立された。

その後民主党や国民新党などが郵政民営化を見直す法案を提出したが、与党側は「現在の法律や制度でも、株式を売却する前に、日本郵政グループの完全民営化に関する見直しを行うことはできる」として廃案となった。

郵政民営化の実現

2007年10月1日、日本郵政グループ発足式

2007年10月1日には東京・霞が関にある日本郵政の本社で「日本郵政グループ発足式」が行われた。グループの持株会社となる日本郵政の西川善文社長、福田康夫首相、増田寛也総務大臣に加え、郵政民営化を推し進めた小泉も出席した。小泉は発足式の中で、従来は全政党が反対していた「郵政民営化」を実現できたのは国民による支持があったからこそであると述べた。

民主党政権による見直し

民主党社民党国民新党の三党は2009年(平成21年)8月14日、同月30日に投開票される第45回衆議院議員総選挙に向けての共通政策として、郵政民営化の抜本的な見直しを掲げた。

政権交代が実現された後、国民新党の亀井静香郵政・金融担当大臣が積極的に民営化見直しを働きかけ、民営化推進派である西川善文社長が「政府と隔たりがある」として2009年(平成21年)10月20日に辞任を表明した。翌21日、同相は次期社長として元大蔵省事務次官である斎藤次郎を起用すると発表した。

2010年(平成22年)5月8日、グループ内の約20万人の非正規社員のうち、勤続3年以上などの6万5000人を正社員として採用すると発表した。また、同月には、総務省の郵政民営化を検証する日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会(委員長:郷原信郎総務省顧問)による報告書が出された。当該報告書では西川の経営手法や、客観的公平性に欠ける取引や財産の処分が指摘された。

2012年(平成24年)4月27日、第180回国会(常会)において、郵政民営化法の改正案が可決・成立した。これによって、2012年10月1日付で郵便事業株式会社と郵便局株式会社を合併し、「日本郵便株式会社」として統合することとなった(日本郵政グループは5社体制から4社体制に再編された)。

組織

日本郵政グループの組織図

郵政民営化関連の法律では日本郵政公社を以下の6つの組織に分けている。

日本郵政株式会社(JP 日本郵政 JP HOLDINGS)
郵便事業株式会社・郵便局株式会社の全ての発行済み株式を保有・管理する。
上記2社の経営管理や業務支援を行う。
2017年度の株式上場を果たし、2017年9月末までに郵便貯金銀行・郵便保険会社の保有株式を完全処分する。ただし、完全処分後の株式買い戻しも法律で認められている。
郵便事業株式会社(JP 日本郵便 JP POST)
郵便業務収入印紙の売りさばきを行う。
郵便局株式会社(JP 郵便局 JP NETWORK)
郵便局・郵便窓口を通じた窓口サービスを行う。
株式会社ゆうちょ銀行(JP ゆうちょ銀行 JP BANK)
従来の通常郵便貯金などを郵政公社から継承し、郵便貯金業務を行う。
2009年度から2010年度の期間中に株式上場を果たし、2017年9月末までに完全民営化を目指す。
株式会社かんぽ生命保険(JP かんぽ生命 JP INSURANCE)
生命保険業務を行う。
ゆうちょ銀行と同様に、2009年度から2010年度の期間中に株式上場を果たし、2017年9月末までに完全民営化を目指す。
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
従来の郵便貯金契約(通常郵便貯金などを除く)・簡易生命保険契約を承継・管理する。

資金運営と新規預金や保険、総合口座の残額管理については郵便貯金銀行、郵便保険会社に移管されるため、長期的には郵便貯金・簡易生命保険管理機構は廃止が視野に入れられている。ただし、郵政民営化法独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法では、廃止については全く言及がない。旧勘定が無くなった段階で「廃止される見込み」とあるが、その法的根拠がないため、道路公団のように、一時的と考えられた特殊法人が長期化することを予想する声もある。

政府の機関としては、2004年5月1日内閣官房郵政民営化準備室(2005年11月10日以降は内閣官房郵政民営化推進室)が設置され、渡辺好明内閣総理大臣補佐官が室長を兼務し、2004年9月27日には、竹中平蔵経済財政担当大臣郵政民営化担当大臣に任命され、両名は2006年9月26日までその任に当たった。その後、郵政民営化担当大臣は、鳩山由紀夫内閣から野田第1次改造内閣までは郵政改革担当大臣と表記された。

職員の帰属

日本郵政公社の正規職員は民営分社化によって5つの新会社に振り分けられた。基本的にこれまで従事してきた業務を引き続き従事できるような振り分けとなっている。

民営分社化前に公社の全正規職員に対し、どこの会社に行きたいか希望調書をとっており、希望が叶わなかった社員に対する出向・転籍の制度が設けられている。また、2009年に設立されたJPエクスプレスをはじめとした、系列子会社への出向・転籍制度もある。

非正規職員(ゆうメイト)は2007年9月30日付けで一旦全員解雇となり、民営化以降これまで従事してきた業務を行う新会社に引き続き採用となったが、同一の業務に限り雇用保険、賃金・賞与、年休を引き継げる。社会保険はいったん退職、新規で取得となるが、雇用保険は、郵政民営化になっても引き続き・・・郵便局を事業主とするので、3年以上勤務している非常勤職員が郵政民営化の時点で退職した場合、解雇や期間満了退職ではなく、自己都合による退職となる。 民営化により、これまで使用されてきた「職員」・「非常勤職員」の呼称が「社員」・「契約社員パートタイマーアルバイト」と改められた。これにより、アルバイトは賞与の対象から外され、アルバイトから契約社員で引き続き働く場合はアルバイトの部分は勤続年数に入らず、賞与をもらう必要な日数にも入らない。事実上の改悪である。 分社化により郵便局の局長に加え、郵便事業会社・かんぽ生命の支店長、ゆうちょ銀行の店長のポストが新設された。

だが、民主党政権による民営化見直しによって、2012年4月の第180回国会によって郵政民営化改正案の可決・成立に伴い、同年10月1日より郵便事業会社と郵便局会社が吸収合併し日本郵便となった事で、これまでの2社に従事していた社員はいずれも新会社の社員へ移行し、分社化によってこれまで同一の建物内でありながら別会社となっていた事業所も再び民営化以前の郵便局として一体となったことにともない、郵便事業会社の支店長ポストは廃止された(ただし、ゆうちょ銀行・かんぽ生命および日本郵政の社員に関しては見直し前と変わらない)。

不動産の帰属

日本郵政公社が所有していた不動産についても民営分社化によって振り分けられた。

だが、2012年10月1日に郵便事業会社と郵便局会社の統合により、これまでの2社が所有していた不動産は全て日本郵便が所有することになり、これまで別会社扱いとして郵便局会社が郵便事業会社に家賃・光熱費を払って同居しているといった煩わしさから解消されることとなった。(ただし、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の直営店が同居している郵便局舎に関してはこれまでと何ら変わりない)

郵政民営化に対する意見

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この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年8月)

 | 
この記事は言葉を濁した曖昧な記述になっています。
Wikipedia:言葉を濁さないを参考に修正してください。(2012年8月)

日本郵政グループと他社との比較

行政改革効果

国鉄電電公社専売公社の民営化を上回る戦後最大規模の改革とも謳われ、その主たる目的は財政投融資を廃止することとされている。これにより、約340兆円という潤沢な郵貯資金を特殊法人などに代表される政府機関ではなく、個人や民間企業に融資できるようにすることで、日本経済の活性化が図れるとされている。加えて、これまでは免除されていた法人税法人事業税固定資産税印紙税郵便事業会社ゆうちょ銀行かんぽ生命保険から郵便局会社に支払われる委託手数料にかかる消費税、民営化会社の株式を政府が売却することで得られる収益によって財政再建も図れるとしている。

しかしながら、これまで郵便貯金は国債の最大の引き受け手であり、民間の金融機関と違い長期的に保有することで国債を大量に発行できていた側面があるため、ゆうちょ銀行の引き受け額が減少すると国家財政が破綻する危険性が高まるのではないかと不安視する意見もある。他方で、小泉内閣発足後に財務省が個人向け国債の販売を開始していることや、政府機関が民間金融機関から貸出を受けたり債券を購入してもらったりしていることなどから、財政投融資を廃止しても実質的には同様の効果が存続するのではないかと疑問視する声もある。

自民党は2005年郵政選挙の際、約26万人いる郵政公社の常勤職員が民間人になれば、その分の政府負担が減少すると試算し、「郵政民営化によって公務員が削減され財政再建につながる」と主張した。しかし、郵政公社は独立採算であるため職員の給与などに税金は一切使われておらず、公社職員を民間人にしても政府は人件費負担を抑えることにはならない。郵政民営化法成立後、このことは一般に広く知られるようになった。ただし、民間人になることで人件費を経営陣が調整できるようになるという利点も挙げられる。

また、民営化しなかった場合には、郵政公社が長期的にみて全体として赤字転落するとの試算があり、これを理由として民営化による業務効率化・合理化を求める声もある。事実、郵便引き受け数は2001年をピークに減少している。しかし、2004年度末においての郵政三事業は、長年赤字であった郵便事業も含めそれぞれ黒字になっていた。

2003年4月1日に公社化された際に「5年間の成果を踏まえた上で民営化を論議する」という先送り論が出たがこれは無視された。また、後述のような外国の例を挙げて、民営化賛成派はドイツを、反対派はニュージーランドの例を挙げていることが多かった。

事業合理化の可能性

国鉄分割民営化と郵政民営化の比較は肯定的な立場だけでなく否定的な立場からも行われた。

JRでみられた赤字路線の廃止・転換のように、過疎地の不採算地域での特定郵便局の廃止・統合などサービスの打切り・後退の可能性が指摘されている。また、時間外窓口は、民営化後は日本郵便による取り扱いとなるため、通常の取扱時間の窓口(郵便局会社の取り扱い)と受けられるサービスに差が発生することが考えられる。これについては、民営化後に発足する郵便局会社に対して、郵政民営化に関連する法律や総務省令では、過疎地でのサービス水準を維持するよう義務付けるなど、一定の歯止めをかけている。これに対して、日本郵政西川善文社長や郵便局会社川茂夫会長は報道機関によるインタビューの中で、ゆうちょ銀行・かんぽ生命はそれぞれ郵便局会社との長期的な代理店契約を結ぶことで、現在の24,000局という郵便局ネットワークは維持されるとしたうえで、両社の完全民営化の前に収益性の低い郵便局からの業務委託停止・撤退は無いとの考えを示している。

その一方で、民営化前から巨額の赤字を抱えていた国鉄と郵政事業を単純に比較できないとの主張も存在する。ちなみに、電電公社民営化の際も、過疎地で電話が利用できなくなるのではないか、といった反対意見が出された。国鉄では6つの地域会社と貨物会社に分割民営化されたが、郵政三事業では事業ごとに分割民営化し地域ごとの分割は行われない。これは郵便事業は鉄道事業に比べて日本全国均一のサービスを行うことが重要視されているためである。また、国鉄民営化と異なる点として、郵便事業ではライバルとなる民間企業が、過疎地や離島などでも宅配便メール便のサービスをすでに実施しているため、郵便が営業範囲を縮小したとしても信書を除いて他の民間企業がその減少分をカバーできるとされている。しかし、貯金・保険事業については、利益が見込めないなどの理由により郵便局以外の金融機関が元々なかったり、経営合理化などによって撤退された地域では、国鉄民営化で発生した「鉄道空白地」と同様に「金融空白地」が出来るのではないかと警戒を強めている。

郵便局の廃止に関しては、現実にいくつかの郵便局が廃止されており、簡易郵便局においては、民営化直前に一時閉鎖や貯金・保険業務の廃止が相次いでいる。しかし民営化後は局数も増加し、郵便局の数という点では利便性が高まっている。民営化の前にも簡易郵便局の減少を危惧した日本郵政公社が、2007年1月から受託料の40%〜50%弱引き上げ、窓口端末防犯カメラなどの設置費用の公社負担などを実施していたが、あまり成果を上げることができなかった。これは、民営化によって効率が上がったわけではなく、当時、簡易郵便局の主要な引き受け先である各地の農協の統廃合や、個人受諾者の高齢化などに加え、簡易郵便局が民営化に伴い、業務内容や設置方法等が大規模に変更され、法的根拠のある受託業務は郵便事業のみとなったことにも起因している。民営化後に新規に簡易郵便局を設置する場合、銀行業務と保険業務を受託することが非常に困難になる(詳細については簡易郵便局#郵政民営化と簡易郵便局にて記述)。また、民営化後は設置者によっては一般の利用が不可となるケースがある。これらを危惧した自治体が、実質的に自ら簡易郵便局を開設する動きもある。

ただし、郵便局会社も民営化前のサービス水準を維持させるため、市町村合併により使用されなくなった公民館役所など、道の駅警備会社が別荘地などに設置している出動拠点、鉄道無人駅(駅長と局長を兼務する形態・JR東日本との提携を検討中)などへ簡易郵便局を新たに設置する構想を打ち出している。また、災害発生時に被災地に対して派遣される「移動郵便局車」の台数を増やし、日本全国で一時閉鎖されている約400局の簡易郵便局の機能補てんを行うため、近隣に郵便局がない地域での定期巡回を行う考えも示している(民間の金融機関でも移動銀行窓口車を保有しているところがある)。加えて、特定地区にあるいくつかの簡易郵便局を郵便局会社の従業員が定期的に巡回し、時間帯や曜日を限定した営業を行う「定期開局」の導入も視野に入れている。また、グループの持株会社である日本郵政により、過疎地の郵便局ネットワーク維持のため、赤字補てんを目的とした1兆円(最大2兆円)規模の「基金」も設置されている。

郵便事業に関しては、分社化による業務管理等の問題から旧公社時代より段階的に集配郵便局を再編した。例えば、東京、鹿児島、沖縄の一部離島では、従来島にある郵便局ごとに行っていた集配業務を、本島の支店が設置した集配センターや隣接する島にある支店に統廃合した。また、山間部を配達する従業員は新聞社から委託を受け新聞と郵便の配達を併せて行っているが、配達が昼過ぎになってしまうことから住民からは不満の声が上がっている。過疎地の集配センターでは従業員の数が削減され、郵便物の配達時間が遅れたりするケースも出てきたり、非集配局への降格のためにゆうゆう窓口が廃止されるところも発生した。「書留ゆうパック等の当日再配達の受付締切時刻が大幅に短縮され、日中留守にする家庭では事実上再配達が翌日以降になってしまう」「ポストの郵便物収集回数が1日1回となってしまった」「ゆうゆう窓口を利用できない」などの声もある。またゆうパックの集荷機能が弱体化した結果、他の運送事業者へ切り替えざるを得なくなった事例も報告されている。

いっぽうで、一部支店では書留やゆうパックの配達開始時間を早朝から始めたり、集配センターから支店を経由せず配送したりするようになった地域では、従来より郵便物の届く時間が早くなっている事例もある。なおより一層の業務合理化を目指すため従業員数の大規模な削減と契約社員化が報道されている。

貯金事業に関しては、料金区分が変わったため一律ではないものの、おおむね各種手数料が値上げとなっているのは、民営化により民間の銀行と同じく印紙税を負担しなければならなくなるための措置である。また、従来は採算度外視ともいえる料金だった普通為替の手数料も値上げされており、定額小為替では1枚あたりの発行手数料が従来の10円から100円となったため、為替の額面金額と同額またはそれ以上の手数料がかかる場合が発生している。これらの価格改定については、旧公社は民営化前より告知していた。また、旧公社時代より現金自動預け払い機(ATM)の撤去計画を進めており、ATMの夜間・土日利用にサービス手数料を課金する動きもある。

これまで禁止されていた郵便局舎・庁舎の賃貸業務が可能となることから、いわゆる「一等地」にある都市部の郵便局を再開発し、高層ビルなどに建て替えたり、集配郵便局の再編により窓口業務のみとなった無集配局において、従来は集配業務に充てていた場所を活用し、コンビニなどのテナントを誘致することなどができるようになり、賃貸収入が得られるようになる、といった利点が論じられている。すでに、一部の郵便局内には「ポスタルショップ」として、ローソンam/pmなどのコンビニが出店しているほか、印刷などを請け負う「ポスタルスクウェア」の出店も進んでいる。しかし、この動きに対して、建築学的に貴重な局舎が安易な再開発によって失われるとの懸念の声もある。

分社化の影響

民営化によって、3つの事業会社と窓口会社に分割された。従来から、電子メールなどの普及により発生している郵便事業の損失分を、郵便貯金・簡易保険の収益で補う、という不透明な会計が行われてきたことから、分社化により郵便事業の事業合理化が期待されている。すでに、国際スピード郵便の利用を企業に対して積極的に促すなど、郵便事業本体の収益性を高める取り組みに加え、Japan Post Systemの導入による集配業務の生産性向上を目指した取り組みも行われている。また、日本郵便が日本通運と宅配便事業の統合も視野に入れた、包括的な業務提携を結ぶことで合意しており、「ペリカン便」と「ゆうパック」が手を組むことで、互いの長所を生かしあいながら、業界内での競争力を高めようとする動きもみられている。しかし、一方で手紙・はがきといった郵便物を、適切な料金で全国一律に配送するユニバーサルサービスの維持も続けなくてはいけないため、合理化と公的なサービスとの両立が課題となっている。

事業ごとに分社することは、かえって非効率化やサービスの低下になるのではないかという考えもある。例えば、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の直営店が設置される各地の中央郵便局などの大規模な局舎で、担当会社ごとに仕切りを作る内装工事が行われたり、ATMが郵便局会社とゆうちょ銀行で分担して管理が行われているがために、備え付けられている封筒を郵便局会社とゆうちょ銀行で違うものを用意したりなど、過去の制度に比べて業務ごとの区分が厳密になる。分社化によって従業員が取り扱える業務はそれぞれが所属する会社の業務のみに限られるため、これまでは郵便の配達員に年金の受け取りや簡易保険の保険料納付を頼むことなどもできたが、このような会社間をまたぐ業務の取り扱いが不可能になる。また、時間外窓口は、民営化後は日本郵便による取り扱いとなるため、通常の取扱時間の窓口(郵便局会社の取り扱い)と受けられるサービスに差が発生することが考えられる。

なお、国鉄分割民営化では、それまで全国1社で行われていた事業が地域ごとに分割されたため、複数の会社間をまたがって走行する列車では直通便の削減や会社境界ごとに運行区間の分割などが行われた。例えば、直通列車がなくなったことで乗換を余儀なくされ、それが原因で利用者が減少したにもかかわらず、利用者が少ないという理由で減便・廃便されたという見方も存在する。

民営化法案では、民営化後10年以内(2017年9月末まで)にゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を完全に売却することが定められている。このため、郵便局においてはこれまでのゆうちょ銀行とかんぽ生命との事業に制約されない新たなサービスを期待する意見がある。例えば、既存の金融機関や保険会社が郵便局の窓口ネットワークを活用できるようになるといったことである。すでに首都圏にある一部の郵便局では、損害保険会社の自動車保険を「損害保険代理店」として受託販売している。

その反面、直接の資本関係が断たれるため、これまで全国どこでも郵便局に行けば受けられた郵便貯金と簡易保険の業務を郵便局が必ずしも受託しなくても良いということにもなり、特に貯金業務・簡易保険業務に関して、採算の取れない地域では郵便局があってもサービスを受けられなくなる可能性がある

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出典:wikipedia
2018/10/12 21:02

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