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雨とは?

降雨
車の窓ガラスに付いた雨粒

(あめ)とは、大気からが落下する現象で、降水現象および天気の一種。また、落下する水滴そのもの(雨粒)のこと。大気に含まれる水蒸気が源であり、冷却されて凝結した微小な水滴がを形成、雲の中で水滴が成長し、やがて重力により落下してくるものである。ただし、成長の過程で一旦凍結氷晶を経て再び融解するものもある。地球上の水循環を構成する最大の淡水供給源で、生態系に多岐にわたり関与するほか、農業水力発電などを通して人類の生活にも関与している。

目次

  • 1 雨の形成
    • 1.1 水蒸気から雲へ
    • 1.2 凝結・暖かい雨
    • 1.3 氷晶・冷たい雨
    • 1.4 雲から雨へ
  • 2 雨の降り方
    • 2.1 降水型
    • 2.2 雨の強さ
      • 2.2.1 雨強し
        • 2.2.1.1 日本式天気記号
    • 2.3 世界の気候と雨
    • 2.4 災害
  • 3 雨の性質
    • 3.1 雨粒
    • 3.2 雨粒の大きさと形状
    • 3.3 雨水の化学成分
    • 3.4 特異な雨
  • 4 気象通報・天気図
  • 5 観測
    • 5.1 気象レーダー
    • 5.2 気象衛星
  • 6 水循環と水資源
    • 6.1 自然環境
    • 6.2 雨水の利用
    • 6.3 人工降雨
  • 7 文化・生活
    • 7.1 民俗
    • 7.2 雨による活動の制約
    • 7.3 雨の表現
  • 8 地球以外の天体の雨
  • 9 脚注
    • 9.1 注釈
    • 9.2 出典
  • 10 参考文献
  • 11 関連項目
  • 12 外部リンク

雨の形成

水循環
アスファルト上に降り水紋を作る雨
移動する雨雲と雨筋

水蒸気から雲へ

地球の大気(空気)は、場所により量が異なるが、水蒸気を含んでいる。この水蒸気は、海洋の表面、地面からの蒸発、植物からの蒸散などを通して供給されるものである。

空気中の水蒸気の量を表す身近な指標として相対湿度があり、通常は単に湿度と呼ぶ。相対湿度とは、空気がある温度(気温)であるときに含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)を100%とし、実際に含まれている量を最大量に対する割合で表したものである。例えば、気温25・相対湿度50%の空気には、1m(=1000リットル)あたり11.4gの水蒸気が含まれる。

空気の相対湿度が増して100%に達することを飽和という。空気は、何らかの要因によって冷やされることで飽和する。飽和した空気では、水蒸気が凝結して微小な水滴を形成する。これがである。

先の例に挙げた、25℃・相対湿度50%の空気1mを考える。この空気には11.4gの水蒸気が含まれる。これを10℃まで冷却すると、10℃の飽和水蒸気量は9.3g/mなので、11.4 - 9.3 = 2.1g分が凝結し水滴となることが分かる。

空気を冷却して飽和させるプロセスは、主に断熱膨張による冷却である。断熱膨張とは、上空へいくほど気圧が低いため、空気が持ち上げられて気圧が下がると膨張し、同時に冷却されることを言う。大気の対流気団同士の衝突(前線)などの大気の大規模な運動、また気流が山にぶつかったりするような物理的障害によって起こる。このほかには、例えば暖かい空気が冷たい海面に触れたり、空気が熱放射として宇宙に向かって赤外線を放射したり(冬の晴れた夜間に起こる放射冷却としてよく知られている)、降雨時の雨粒が蒸発の際に潜熱を奪い周りの空気を冷やしたりするプロセスがある。

凝結・暖かい雨

空気中での水滴の凝結は実際には、凝結核を介して行われる。球の形をする水滴には表面張力が働くが、水滴が小さいほど表面張力が強く核生成が安定しない。ある実験によれば、ほこりのない非常に清浄な空気中では、0℃のとき相対湿度が100%を超過(過飽和)してさらに430%まで達しなければ、水滴は自発的に形成されない。対して、通常の大気のように凝結核がある空気中では、エアロゾル粒子の働きにより凝結が助けられるため、相対湿度は概ね101%を上回ることがない。雲の凝結核として働く主なエアロゾル粒子には、燃焼ガスや火山ガスに由来する0.1-1µm硫酸塩粒子、海のしぶきに由来する数µmの海塩粒子や、土壌由来の粒子、有機エアロゾルなどがある。

雲ができたての時の水滴(雲粒)の大きさは、半径1 - 20µm(0.001 - 0.02mm)程度である。これに対し、雨粒の平均的な大きさは半径1,000µm(1mm)である。なお、雲の中には1mあたり1000万 - 数百億個の雲粒が存在する。半径1 - 10µm程度の初期の段階では、雲粒の表面にさらに水蒸気が凝結していくことにより通常でも数分ほどで10µm程度の大きさに成長する(凝結過程)。しかし、凝結による成長は粒径が大きくなるほど遅くなる。雲粒の平均を半径10µmだとして、半径100倍の1,000µmに成長するためには、体積にして100万倍、これを雲の中の平均的な水蒸気量の下で凝結だけで行うと約2週間かかると試算され、現実とはかけ離れている。実際には、10 - 30µm程度に達すると水滴同士の衝突により成長する(併合過程)。衝突併合による成長は粒径が大きいほど速いため、この段階では加速的に成長が進む。なお、海洋の積雲では、吸湿性の海塩粒子が豊富な事から大きな粒子がすぐに生成され、雲ができ始めてから20 - 30分程度で雨が降り出すことも珍しくない。

上記のように、一貫して液体のまま雨として降るプロセスを「暖かい雨」という。これに対し、途中で凍結して氷晶になり、再び融解して降るプロセスを「冷たい雨」という。日本で降る雨は、およそ8割が「冷たい雨」のプロセスによるものだと言われている。

詳細は「降水過程」を参照

氷晶・冷たい雨

気温が0℃を下回る冷たい空気の環境下で起こる。単体氷晶の形成としては、水蒸気が凝結核を介して凝結した水滴がさらに凍結核の働きにより凍結し氷晶となるパターンと、水蒸気が昇華核を介して昇華し直接氷晶を形成するパターン、さらに、氷晶同士の衝突などで生じる二次氷晶がある。

空気中では、気温が0℃を少し下回ったくらいでは水滴の凍結が始まらないことが多い。0℃以下で凍らない状態を過冷却と言う。凍結核は、水滴に衝突することによる衝撃や、水滴に溶け出すことによる化学的効果などを通して、概ね-30℃以上の環境下で凍結を促す。-30℃以下の環境では、昇華による氷晶の形成が起こる。また、-40℃以下の環境では、凍結核がない場合でも純水の均質核生成により水滴が凍結する。

雲の中で一部の水滴が凍って氷晶になり始めると、周囲に存在する過冷却の水滴は蒸発して氷晶の表面に昇華するため、急速に成長する。例えば直径10µmの氷晶は、同じ大きさの水滴に比べて10倍の速度で成長する。氷晶は成長過程で分化し、結晶が集まった雪片になるものと、主に積乱雲の中で生じるが丸みを帯びた氷の粒()になるものに分かれる。

雪片や霰が落下する途中で、0℃より高い空気の層に達すると融け始め、完全に融けると液体の雨粒となる。融けきれない場合はとなる。雪は落下途中で昇華(気化)しながら昇華熱を放出するため、2 - 3℃程度では雪の形状を保ったまま降ることがある。雪になるか雨になるか、あるいは雪と雨が混合するになるかは、気温と相対湿度により決まる(雪#雪・霙・雨の境目、雪の目安も参照)。

またごく稀に、冷たい雨の成立する環境下で上空に0℃以上の逆転層が存在する時、落下中は液体(過冷却)であるものの着地時に凍結して氷の層(雨氷)を形成する、着氷性の雨というものも存在する。

雲から雨へ

寒冷前線(左)と温暖前線(右)による雨の模式図

なお、雲の段階で水滴が落ちてこないのは、落下速度が遅いからである。半径1 - 10µmのオーダーの水滴の終端速度は1cm/sに満たないが、雲の中ではこれを優に上回る速度の上昇気流が普通に存在するため、浮かんでいるように見える。一方、水滴が半径1mm(直径2mm)のときの終端速度は7m/sに達し、上昇気流を振り切って落下する。短い場合、特に海洋上で発生する積雲の場合、雲ができ始めてから最短15 - 20分程度で雨が降り出す場合がある。また熱帯地方の「暖かい雨」の場合も、30分 - 1時間程度で雨が降り出す。ただ、これらより長く滞留して降る雨も少なくない。

主に雨を降らせる雲は、10種分類において層雲乱層雲積乱雲に分類される雲である。層雲は地上に近いところにでき、弱く変化の少ない雨を降らせることが多い。乱層雲は灰色を呈し風により変化に富む形状をする雲で、雨を降らせる代表的な雲である。積乱雲は上空高くもくもくと盛り上がる雲で、乱層雲よりも激しく変化の大きい雨を降らせ、しばしば雷や雹を伴う。

雨雲の下端(雲底)の高さは実にさまざまだが平均的には約500m - 2,000m程度で、多くの雨粒はこの距離を落下してくる。周囲の空気が乾燥していると、雨は落下する途中で蒸発してしまう。このときには、雲の下に筋状の雨跡を見ることができ、これを降水条や尾流雲と呼ぶ。

雨の降り方

降水型

雨は、雲を生じさせる要因によりいくつかの降水型に分類できる。

雨の強さ

雨の強さ、一定時間に降る雨の量を雨量(うりょう)と言う。雨量は、雨量計と呼ばれる直径20cmの円筒形の器具で測定し、その深さをミリメートル(mm)で表現する。通常用いるのは1時間の雨量(時間雨量)だが、短時間の降雨の強さを表すために10分間雨量などを用いることもある。なお、雪や霰などの雨以外による降水も含めた場合は降水量と言う。

気象庁では、雨の強さの表現を時間雨量により次のように分類している。

分類 | 1時間雨量 | イメージ | 周囲の様子や影響
小雨 (数時間続いても1mm未満の雨)
弱い雨 3mm未満 | ―
やや強い雨 10mm以上20mm未満 | ザーザーと降る | 雨の音で話しが良く聞き取れない。地面一面に水たまりができる。
強い雨 20mm以上30mm未満 | 土砂降り | をさしていても濡れる。車のワイパーを速くしても前が見づらい。側溝や下水、小さながあふれ、小規模の崖崩れが始まる。
激しい雨 30mm以上50mm未満 | バケツをひっくり返したように降る | 道路が川のようになる。車のスピードが速いとブレーキが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象)。山崩れ・崖崩れが起きやすくなり、危険な場所では避難の準備が必要。都市では下水管から雨水があふれる。
非常に激しい雨 50mm以上80mm未満 | 滝のように降る。ゴーゴーと降り続く | 傘は全く役に立たなくなる。水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる。車の運転は危険とされる。多くの災害が発生する。都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合がある。マンホールから水が噴出する。土石流が起こりやすい。
猛烈な雨 80mm以上 | 息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる | 雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要。

また、災害の恐れのあるような雨を「大雨」、その程度が激しいものを「豪雨」と言う。

雨強し

雨強しの天気記号(日本式)

雨が強く降っていることを指すが、気象学的には一時間に15ミリ以上の雨が降る状態のことである。「強い雨」とは気象庁の定める雨量が異なる。

日本式天気記号

日本式の天気記号では、雨の天気図記号「」の右下に片仮名の「ツ」をつける。これは、雷強しなどと同様である。

世界の気候と雨

大気循環の模式図。降水量のピークは熱帯収束帯と高緯度低圧帯(亜寒帯低圧帯)にある。

世界では地域によって、雨の降り方は全くと言っていいほど異なる。極端な例では、1分間に30mmあるいは1日に1,500mmもの豪雨が降る地域がある一方、1年に1mmも雨が降らない地域も存在する。おおまかな傾向として、高緯度地域よりも低緯度緯度の方が雨が多く、また大陸では内陸部よりも沿岸部の方が雨が多く、気温の高さや水の供給源からの近さが影響を与えている。しかし、緯度と雨量は単純に対応しているわけではない。地球を南北に見ると雨量の多い地域は2つあり、1つは暖気が上昇し続ける赤道付近の熱帯、もう1つは寒気と暖気がせめぎ合う中緯度の温帯亜寒帯である。

世界の年間降水量(雪を含む)を平均すると、陸上では約850mm、海洋では約1250mm、地表平均では約1100mmと推定されている。古い資料では世界平均で800mm程度とされていることがあるが、新しい調査で海洋のデータが判明したことで値は上方修正されている。

熱帯雨林気候を呈する赤道付近では、貿易風が収束する熱帯収束帯で積乱雲が発達しやすく、対流性の強い雨が毎日のように降る。温帯湿潤気候亜寒帯湿潤気候を呈する中緯度では、亜寒帯低圧帯に沿い前線や低気圧の活動が活発であり、層状性の雲から広く雨や雪が降る一方、寒暖差が大きいため対流性の雨も降る。特に亜熱帯温帯の地域では、1時間雨量の最大値は熱帯とほぼ変わらない。

一方、熱帯と温帯に挟まれた乾燥帯の地域は亜熱帯高気圧に覆われ気流が発散し、雲ができにくいため雨が少ない。ただし、この緯度にあってもアジア・アフリカ・北米・南米の大陸東岸では海洋性の高気圧からの南寄り(北半球の場合。南半球では北寄り)の辺縁流や暖流の影響で湿潤となり、年間を通して雨が多い温暖湿潤気候となる。

これらの気圧帯は季節変化に伴い南北に移動する。これにより、季節により雨量が著しく変化する地域がある。乾燥帯寄りの熱帯に位置するサバナ気候熱帯モンスーン気候の地域では、雨季乾季が明瞭に現れ、年間雨量の9割が雨季に集中する。一方、ヨーロッパの地中海沿いは夏に高圧帯、冬に低圧帯に入るため冬に雨が多く夏に乾燥する地中海性気候となる。

降水量の極値については「降水量」を参照

災害

雨量は季節やにより変動し、少な過ぎても多過ぎても災害となりうる。大雨による災害には、家屋の流失や田畑の冠水をもたらす洪水地すべり崖崩れなどがある。少雨による災害には、水不足旱魃などがある。

雨量の多さと災害の目安については、#雨の強さ節の表も参照。

雨の性質

雨粒の形状
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Rain
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