このキーワード
友達に教える
URLをコピー

ICカードとは?

ICカード(アイシーカード、: integrated circuit card; ICC)とは、情報(データ)の記録や演算をするために集積回路 (IC) を組み込んだカードのことである。国際的にはスマートカード (smart card) やチップカード (chip card) とも呼ばれ、日本では、特に演算処理機能を持つものをスマートカードと呼ぶ。

カード内にRAMROMEEPROMといった半導体メモリを組み込むことにより、情報量が従来の磁気ストライプカードと比べて数十倍から数千倍になる。さらに、CPUコプロセッサなどを内蔵することで、カード内部で情報処理が可能になるという特徴がある。

目次

  • 1 歴史
  • 2 標準
    • 2.1 接触型
    • 2.2 非接触型
  • 3 ICカードの適用先
    • 3.1 通信放送分野での導入
      • 3.1.1 公衆電話
      • 3.1.2 携帯電話
      • 3.1.3 デジタル放送
    • 3.2 決済手段としての導入
      • 3.2.1 ICクレジットカード
      • 3.2.2 ICキャッシュカード
      • 3.2.3 電子マネーへの導入
      • 3.2.4 決済手段の融合
      • 3.2.5 ICクレジットカード100%へ
    • 3.3 交通分野での導入
      • 3.3.1 日本の鉄道
      • 3.3.2 ICカード相互利用
      • 3.3.3 日本のバス
      • 3.3.4 日本の有料道路
      • 3.3.5 日本以外の交通機関
    • 3.4 行政分野への導入
    • 3.5 社員カード・学生カード
    • 3.6 商店街での導入
    • 3.7 アミューズメントでの利用
  • 4 セキュリティ
    • 4.1 期待
    • 4.2 効果
    • 4.3 問題点
    • 4.4 対応
      • 4.4.1 評価認定機関
      • 4.4.2 チップメーカー
      • 4.4.3 カードベンダ
      • 4.4.4 カード発行機
  • 5 脚注
  • 6 参考文献
  • 7 関連項目
  • 8 外部リンク

歴史

ICカードの普及以前は、1960年IBMによって発明された磁気ストライプカードが主に使われていた。

ICカードは、ドイツでは1968年ヘルムート・グレトルップ(Helmut Gröttrup)とユルゲン・デトロフ(Jürgen Dethloff)が共同で、日本では1970年有村國孝が、フランスでは1974年にローラン・モレノ (Roland Moreno) が、それぞれ発明している。グレトルップは1968年に特許を申請したが、認められたのは1982年になった。

ICカードをその機能により分類すると、次の4つに分けられる。

CPUを搭載して単体で演算能力を持つICカードは1970年代後半に登場した。製品としてはブルモトローラが共同で、1973年から1979年に掛けてメモリカードやマイコンカード(EEPROM内蔵CPU、CPU搭載EEPROM、1チップ化したもの)を開発した。これがICカードの始まりとなった。ブルのICカード部門会社のブルCP8は日本国内において大日本印刷と合弁でSPOM JAPANを設立した。マイコンカードの基本技術はCP8技術、或いはSPOM (Self Programmable One-chip Microcomputer) 特許として知られ、世界中のカードメーカーにライセンスされた。その後、現在のSTMicroelectronics NV1982年にセキュア・メモリICを開発した。

日本では1981年大日本印刷が研究を開始し、1983年大日本印刷凸版印刷がICチップインカードを、東芝1984年にICカードを、日立製作所(現在のルネサス エレクトロニクス)が1985年にICカードマイコン (HD65901) をそれぞれ開発した。ソニー1988年から非接触ICカードの研究開発に着手していた。

初期のCPUは4bit - 8bitCPUであったが、その後16bit - 32bitCPUが搭載された。805180526805Z80H8AE-4AVRARMMIPSなどの既存アーキテクチャを使うものだけでなく、独自の非公開アーキテクチャを採用するものもある。

メモリサイズは当初256bit - 8kByteであったが、徐々に大きくなり、2003年頃には32kByte - 512kByte、1MByteになっている。

不揮発性メモリとしては、EEPROMの他にフラッシュメモリFeRAM (FRAM) を搭載したカードがある。当初、EEPROMの書き換えにはIC駆動に用いるVccとは別に専用の電圧を必要としていたが、その後Vccだけで動作できる様に改良された。

RSA用コプロセッサ搭載カードは1990年代前半に登場した。DES/トリプルDESはソフトウェアで実装される場合と、専用回路で実現する場合がある。

当初のICカードはプログラムをROMに格納していたが、1990年代後半にはプログラムを不揮発性メモリにダウンロードできる仕組みを持つプラットフォーム型ICカードと呼ばれるMULTOSカードやJavaカードが開発された。MULTOSカードはMasterCard大日本印刷日立製作所が開発し、プラットフォーム型ICカードの先駆けとなった。MULTOSカードは、MELという専用のアセンブラライクな言語でプログラムを記述する。1999年にはクレジットカードとして大規模に発行開始し、世界初のプラットフォーム型ICカードの実用化となった。Javaカードはカード内にJava VMを内蔵し、Javaで記述されたプログラムを実行する事ができる。Javaの実行環境を含めたJavaカードなどでは、暗号化電子署名の技術を使う事ができるものもある。

カードOS(通信制御・ファイル管理など)にITRONを採用しているカードもある。また、TRONプロジェクトが提唱している電子身分証のeTRONカードもICカードの一種である。

ICカードはプラスチックを使っているが、凸版印刷リサイクル可能なを材料としたものを開発し、2009年4月から販売を開始した。併せて回収と再生までのリサイクルの体制の確立も行う。

標準

フランス保険証 (Carte Vitale)

ICカードの情報の読み書き方式には接触型と非接触型があり、それぞれ幾つかの方式が標準化・規格化されている。

接触型

接触型については、物理的な仕様からコマンドなどの論理面までの必要最小限の部分が国際規格 ISO/IEC 7816(Part 1 - 15 がある)で標準化されている。国際規格でのICカード関連の規格は、カードの規格 (ISO) を参照。

ISO/IEC 7816では最小部分しか規格化されていないので、業界やサービスに特化した仕様が作成されている。

金融向けに、EMV仕様と呼ばれるユーロペイMasterCardVisaによるデビットカードとクレジットカードの標準仕様がある。

GSM3GPPUIMカード仕様がある。

複数のアプリケーションが搭載可能なカードやプラットフォームの仕様として、Javaカード仕様やMULTOS仕様がある。Javaカードには、VisaによるVisa Open Platform仕様がある(現在Global Platform)。

日本では、ISO/IEC 7816を元にした日本産業規格 JIS X 6300 がある。

カード#JISC -- Japanese Industrial Standards Committee」も参照

業界標準仕様には、JICSAP仕様や全銀協ICキャッシュカード標準仕様などがある。

限定受信システム (B-CAS)用のICカード仕様は、ARIB STD-B25(デジタル放送に於けるアクセス制御方式)の第1部第4章で記述されている。

建設ICカードの標準として、日本建設機械化協会規格がある(JCMAS G 001-1 建設業務用ICカード―カード―第1部:物理特性 1997、JCMAS G 001-2 建設業務用ICカード―カード―第2部:機能仕様)。 業界標準は、ISO準拠だけではカード間の相互運用ができない場合があるという実装上の課題を解決するために生まれ、初期にはS型実装仕様などがあった。業界標準を規格化するために、JICSAP仕様を基にして、JIS・ISOの原案が作成されている。

非接触型

非接触型には、国際規格ISO/IEC 14443がある。リーダとライタの通信距離に応じて「密着型」「近接型」「近傍型」「遠隔型」の4種類に区別され、さらに近接型は「Type A」「Type B」に分類される。欧州ではType Aカード、特にオランダフィリップスエレクトロニクスが開発したMIFAREが普及している。米国ではモトローラが開発したType Bカードも普及している。

ソニーは自社が開発したFeliCaをType CとしてISO/IEC 14443に提案したが、この国際規格には採用されず、後にFeliCaとMIFAREの上位通信方式がISO/IEC 18092 (NFC, Near Field Communication) として標準化された(FeliCaと同時期にType D - Gも提案されていたが、規格が乱立するとして標準化の議論を停止した)。2005年1月には、拡張規格であるNFC IP-2がISO/IEC 21481として国際標準規格に制定されType Bにも対応した。

日本ではJIS X 6321 - 6323がある。特定用途向けの規格に、住民基本台帳カード仕様 (Type B)、日本鉄道サイバネティクス協議会によるFeliCaの技術を採用したICカード乗車券規格(サイバネ規格)などが普及している。サイバネ規格のアプリケーションに関係する部分を除いた部分は、JICSAP仕様の第4部で仕様が規定されている。

ICカードの適用先

通信放送分野での導入

公衆電話

ICカードの最初の大規模な適用先は、1983年にフランステレコム(現・Orange)が公衆電話の支払い用に使い捨てのプリペイドカードとして採用したテレフォンカードである。なお、フランスのICテレフォンカードは接触型である。日本でも国際電信電話(KDD、現・KDDI)が接触型のカードを採用している。1999年3月にはNTTグループが主に磁気テレホンカードの偽造対策として非接触型のICテレホンカード(ICテレカ)を導入し、同時にICカード式公衆電話も導入した。

その後、公衆電話は世界的に携帯電話に取って代わられ、プリペイドカードとしての利用は減少した。そのため、NTTグループは2005年1月20日に利用者の減少を理由にICテレホンカードとICカード式公衆電話の廃止を発表し、翌2006年3月までにすべてのIC公衆電話を撤去し、利用者の多かった場所のもののみ磁気カード式公衆電話に置き換えている。

携帯電話

GSM携帯電話NTT docomo第3世代移動通信システムFOMAFOMAカード第3.9世代移動通信システムXi及び第4世代移動通信システムPREMIUM 4Gで使用されるドコモUIMカードauau VoLTEで使用されるau ICカードソフトバンクSoftBank 3GにおけるSoftBank 3G USIMカードイー・モバイルにおけるEM chipなどは、SIMカード/UIMカードという電話番号などが記録されたICカードが搭載された。SIM/UIMカードは取り外す事ができて、カードを別の端末に挿入する事で、別の端末に同じ番号を引き継ぐ事が可能になっており、通話用端末とデータ通信用端末とを1枚のカードを抜き差しして利用できる。

日本においては、これと別に「おサイフケータイ」としてNTTドコモを皮切りにauとVodafone(現・ソフトバンク)が相次いで非接触ICチップ (FeliCa) を携帯電話のアプリケーションとして導入している。

デジタル放送

BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード
スカパーカード

en:Videocryptによる課金管理システムにはICカードが使用されている。

日本では、2000年12月1日に開始されたBSデジタル放送の視聴制御用カードとして、接触型ICカードのB-CASカードが導入された。B-CASカードにはID番号とマスター鍵が格納され、受信機に同梱されて配布されている。有料放送(WOWOWスター・チャンネルBSなど)のスクランブル解除のための秘密鍵を配布管理する手段として利用された。その後、地上デジタルテレビジョン放送(2003年12月開始)や110度CSデジタル放送でもB-CASカードが採用されている。2003年5月までに17万枚を発行している。2004年4月5日にはデジタル放送のコピー制御(コピーワンス)が始まり、B-CASカードが挿入されていないと視聴できなくなった。B-CASカードは(株)ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズが発行している。

スカパー! でも、視聴するために受信機にICカード(スカイパーフェクカード又はパーフェクカード)を入れる。

PPVの課金管理も行われる。

デジタルケーブルテレビ(デジタル化されたケーブルテレビ)の視聴には、接触型ICカードのC-CASカードが使用される。但し、再放送される各種デジタル放送(上記の一般のB-CASカードが対象とする放送)の視聴にはC-CASカードの他にケーブルテレビ用のB-CASカードが必要である。そのため、B-CAS/C-CASの両方に対応する受信機 (STB) もある。C-CASは受信機メーカー間で仕様の差異が課題になっている。C-CASカードやケーブルテレビ用のB-CASカードの運用業務は「一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟 (JCTA)」が行っている。

決済手段としての導入

キャッシュカード(バンクカード)、クレジットカード(日本)プリペイドカードのメディアは、磁気カードからICカードへの切り替えが進んでいる。

フランスでは、1989年頃からバンクカードにICカードが導入された(1984年には最初のATMバンクカードが登場している)。日本では、クレジットカードは2001年頃から、パチンコ用プリペイドICカードは2000年からそれぞれ導入されている。クレジット・プリペイドカードに続いて、2004年からキャッシュカードのICカード化が始まった。

ICクレジットカード

en:EMV」も参照

1993年に、クレジットカード大手のEuropayMasterCardVisaは、クレジットカード決済業務用ICカードの共通仕様開発に合意し、共通仕様を3社の頭文字をとってEMV仕様と名付け、以降、接触型ICチップを採用したクレジットカードやキャッシュカードは、全世界でEMV仕様のICカードが世界標準となっている。その後EMVには、JCBAmerican Express中国銀聯ディスカバーカードも加入している。

相次ぐ不正使用対策の為、割賦販売法を改正し、2018年6月1日に加盟店に対してIC決済対応を義務化された。

割賦販売法 § 改正予定(平成28年以降)」も参照

ICキャッシュカード

ゆうちょ銀行発行のSuica付きICキャッシュカード

ICキャッシュカードとは、口座番号などの取引に必要な情報と秘密鍵を書き込んだICチップを搭載したキャッシュカードのことである。従来の磁気ストライプカードより偽造が困難とされる。

磁気ストライプ式キャッシュカードでは、磁性体の塗布や磁気カードリーダー/ライターを使って磁気情報を読み取る「スキミング」が容易にでき、偽造カードによる被害が多発したため、分解・解析しようとすると壊れる(耐タンパー性)ICチップを採用したキャッシュカードが必要となった。

フランスでは、1990年 - 1993年にかけてICキャッシュカードが普及したので、カード偽造による被害額が1989年と比較して、1998年にはおよそ10分の1に減少した。

中華民国では、2006年3月1日にICキャッシュカードに全面移行し、従来の磁気式キャッシュカードの使用を停止した。

韓国では、2014年2月よりATMにおける、磁気ストライプ式キャッシュカードの取り扱いを中止する予定(2013年2月から試験運用開始)。

日本では、2001年3月に旧・全国銀行協会が「ICキャッシュカード標準仕様」を制定し、2002年頃から導入検討や実証実験などが行われていたが、カード偽造が拡大し、その被害が報道された2004年 - 2005年以降、導入が加速した。ICチップ自体の耐タンパー性に加えて指静脈認証などの生体認証機能を搭載する事によって、強固な本人認証を可能にしている。なお、現行の規格上は、2049年末まで利用可能となっており、2050年以降でも利用可能な規格の新規開発ないしはソフトウェアのバージョンアップなどが必要とされる。

2008年現在では、いまだICキャッシュカードにも磁気ストライプが付いている事が多い(後述のように、みずほ信託銀行は2012年3月までに、ICカード付きキャッシュカードを使用不可とする措置を取り、差し替えの上で磁気ストライプのみのカードに戻している)。これはICチップ通信に対応していないATMや決済端末のための後方互換性の問題があるからだが、磁気ストライプでの引き出し金額を低く設定するサービスを行っている金融機関が多い。また、接触式ICチップに加えて非接触式ICカード通信方式に対応したものも登場し、ICカード乗車券として使えるものも登場している。

2004年
2005年
生体認証登録が必須のカードで、有効期限毎の更新が必要だったが、2017年1月の勘定系リプレースにより、既存の利用者は新仕様のカードに差し替えとなり、以降の新規発行及び磁気カードからの切り替えについても生体認証は必須でなくなり、併せて有効期限が撤廃されることになった。
2006年
合併後のシステム統合後発行分は、旧池田店仕様で発行される。
当初は、キャッシュカード単体のものにも有効期限の設定があったが後に撤廃され、以前からの利用者に対しては期限到来の差し替えカードに切り替えた時点で有効期限のないカードを利用する形となった。なお、一般デザインは有効期限のある時点でグローブデザインからリーフデザインに変更されたため、当該利用者の差し替えもリーフデザインで発行替えとなった。キャラクターデザインとなるちょきんぎょデザインの場合は2017年以降の各県単位の切替のタイミング以降に有効期限が到来する場合にサザエさんデザインで発行される形をとった。
2007年
当初は、キャッシュカード単体のものにも有効期限の設定があったが後に撤廃され、以前からの利用者に対しては期限到来の差し替えカードに切り替えた時点で有効期限のないカードを利用する形となった。なお、一般デザインは有効期限のある時点でグローブデザインからリーフデザインに変更されたため、当該利用者の差し替えもリーフデザインで発行替えとなった。キャラクターデザインとなるちょきんぎょデザインの場合は2017年以降の各県単位の切替のタイミング以降に有効期限が到来する場合にサザエさんデザインで発行される形をとった。
2010Happy Mail