株式会社TBSラジオ(ティービーエスラジオ、英: TBS Radio, Inc.)は、東京放送ホールディングス(TBSHD)の連結子会社で、関東広域圏を放送対象地域とする中波放送(AMラジオ放送)事業を行っている特定地上基幹放送事業者である。
略称は厳密には存在してはいるが、ラテ兼営化以降の通称かつラジオ分社以降の呼出名称(コールネーム)でもある現社名かグループ会社(兄弟会社)のテレビ単営局TBSテレビ共々TBSと表記される場合が多いため、略称が用いられる場合は滅多にない。
AM周波数が954kHzであることから関東ローカル向けにはTBSラジオ954または954 TBSラジオという呼称も使用されていたが、2015年12月7日よりFM補完中継局が周波数90.5MHzで開始したことからジングル等の変更が行われた。
コーポレートメッセージは「聞けば、見えてくる。」。
本項では、法人としての『株式会社TBSラジオ』、および放送局としての『TBSラジオ』について述べる。
1951年(昭和26年)12月25日に全国で6番目、東日本初の民間放送局として開局した。当時の局名はラジオ東京(ラジオとうきょう・社名も同じ)。後にテレビジョン放送事業に参入、1960年(昭和35年)に社名を東京放送(とうきょうほうそう)に、ラジオ部門はTBSラジオに改めた。
2000年(平成12年)3月21日、東京放送の合理化の一環として、同局のラジオ番組の制作と、広告営業を主とするラジオ事業の現業全般を行う子会社として『株式会社TBSラジオ&コミュニケーションズ』(ティービーエスラジオ アンド コミュニケーションズ、TBS Radio & Communications, Inc. 略称 TBS R&C)が設立され、翌2001年(平成13年)10月1日、東京放送から中波放送の免許(周波数954kHz、コールサインJOKR)を承継し、一般放送事業者(現・民間特定地上基幹放送事業者)に事業転換した。しかし、既に「TBSラジオ」の名の方が広く浸透していたためにその社名と略称はあまり用いられず、2016年(平成28年)4月1日には『株式会社TBSラジオ』に社名変更した。以降TBS Rを略称としているがそれすら同じ理由で全く定着していない。結局「TBS R&C」「TBS R」共にTBSテレビと当社を厳密に区別するためだけに用いられるのが実態であり、radikoの局IDも本来はTBSテレビを意味する「TBS」、そのTBSテレビすらJNN・JRN共同災害募金のウェブページで「TBSをキーステーションとするJNN・JRN」と記載する等、その運営体系も手伝い分社後も東京放送時代からの流れでTBSテレビとひとまとめに「TBS」と略記される場合の方が圧倒的に多いまま現在に至る。
その後、TBSグループの再編があり、東京放送から社名変更した東京放送ホールディングス傘下に、テレビ放送事業者であるTBSテレビ(当社同様、テレビ番組制作会社から事業転換)と、ラジオ放送事業者である当社が置かれる形となった。実際はテレビ・ラジオ両社ともTBS放送センター内に本社・演奏所を置く、アナウンサーが後述の理由で共通、スタジオも一部共有するなど、事実上東京放送のテレビ参入以来相変わらずのラテ兼営局同然の運営体系を取っている。それでも会社が別に存在している以上、両社がともに日本民間放送連盟の会員となっており、民放連でも「TBSテレビ=TV単営」「TBSラジオ=AM単営」(「TBSHD≠放送事業者」)として扱われてはいる。
ラジオネットワーク、JRN(Japan Radio Network)のキー局であり、対抗となる全国ラジオネットワーク(NRN)のキー局であるニッポン放送や文化放送とは異なり、1986年(昭和61年)秋の改編における『ハローナイト』から、一時期ぶれこそあったものの、聴取者層の年齢をやや高めに設定したアダルト路線をとってきた。年に6回実施されている聴取率調査(レーティング)において、TBSラジオは「首都圏で一番聴かれているラジオ局」として、2001年(平成13年)8月調査分以来2016年(平成28年)4月調査分に至るまで、首都圏におけるラジオ聴取率では14年10ヶ月間・89期連続でトップを誇る。連続首位を達成している背景として聴取率の調査対象者が2001年(平成13年)10月期より69歳まで引き上げられたことが挙げられる。
広報活動の一環として、TBSラジオ番組パーソナリティのインタビューやイベント情報、横浜ベイスターズ情報や番組表などが掲載されたフリーペーパー「TBSラジオPRESS」(2015年10月まで「954press」)を偶数月1回発行(都営地下鉄駅やイトーヨーカドー店舗(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)、TBSハウジングなどで配布)しており、郵送による取り寄せも受け付けている。過去にはラジオ編成部による直出情報にて構成されたメールマガジン「954プレスメール!」を毎週金曜日に配信していた。
長期安定路線を歩みながら(2015年夏時点で、パーソナリティとして森本毅郎、毒蝮三太夫、大沢悠里、荒川強啓など、番組としては「歌のない歌謡曲」が残る)、他のラジオ局から移籍してきたパーソナリティの起用(ニッポン放送から移籍した伊集院光や、TOKYO FMにレギュラー出演していたライムスター宇多丸など)、番組のゲストやコメンテーターなどからのパーソナリティ起用(荻上チキ、ジェーン・スーなど)を行い、新しい血を取り入れている。
ロゴマークは企業ロゴと放送局ロゴで分かれる。企業ロゴはグループ共通の「TBS」ロゴの右に「ラジオ」(社名変更前は「RADIO &(改行) COMMUNICATIONS」)と書かれた青色のもので、放送局ロゴは「TBSラジオ」と書かれたオレンジ色のもの。うち放送局ロゴは現行のが「TBSラジオ AM954 + FM90.5」で「ジ」の濁音が「オ」の上部につながっている。先代のは「TBSラジオ 954kHz」で、「ラ」の上部にアンテナ(すなわち戸田送信所)が描かれていた。
2000年代後半以降では改編ごとに、20年以上続いた長寿番組でも終了を躊躇しない番組編成を行っている(下記参照)。2017年秋には関東地区のAMラジオ局および在京キー局では初となるプロ野球中継からの撤退を発表した。
TBSラジオの聴取率は長年ライバル局のニッポン放送や文化放送の後塵を拝していたが、前述の通り、2001年以降は在京ラジオにおける聴取率単独首位を維持している。2018年2月26日から同年3月4日の個人聴取率調査でトップになり、2001年8月から100期連続1位を獲得したと伝えられた。
2015年12月7日 13:00より、FM補完中継局からの放送を開始した。戸田送信所被災時に放送できなくなった時の対策や、都心部での高層建築物による難聴取や雑音などの解消を目的として放送を行う。AM放送での補完目的で放送されるため、AMとFMのサイマル放送となる。
【周波数】パソコン・スマートフォン向けに地上波放送と同じ番組やCMをサイマル配信するサービス。2010年3月15日の試験配信開始より参加しており、当初は南関東1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)が配信エリアだったが、同年12月1日の本サービス以降は北関東3県(群馬・栃木・茨城)でも配信されている。音声はモノラルに変更された地上波とは異なり、引き続きステレオで実施。
2014年4月1日開始。radiko公式サイトのプレミアム会員登録(有料)を行う事で、前述の通常配信対象地域である関東1都6県外の日本国内でもradikoを利用した聴取を可能にするもの。ただし、エリアフリー配信許諾の都合上、2017年10月現在、以下のレギュラー番組放送中は1都6県外での聴取を遮断、休止している。
なお、以下の番組は当初プレミアムでの配信が行われていなかったが、許諾処理を行った上で順次配信されるようになった。
2014年5月27日からJ:COMのケーブルネットワーク(J:COMテレビのデータ放送の音声送信機能)を通じてのAMラジオ音声の再送信が行われている。